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100の物語[伝統・文化] ストーブ

時代とともに変わるストーブ
 和風建築を見るとわかるように、日本古来の家屋は冬のきびしい寒さに耐える様式ではなく、どちらかというと、夏の暑さや湿度の高さに対して過ごしやすいように考案されてきました。和紙でできた障子、開放的な縁側、竹や木、草などを健材に使う建築などがそうです。
 こうした生活様式は、江戸時代から松前藩がおかれた道南の松前などにはそのままもちこまれ、冬の暖房も本州と同様、炉、火鉢などが用いられていました。
ルンペンストーブ
■ルンペンストーブ
昭和初期によく使われた石炭ストーブ。2台を1組にして使い、一方の燃料がなくると、用意していたもう1台を使う。(写真提供:北海道開拓記念館)
 しかし、明治以後、北海道の開拓が本格化して移住者が増えるとともに、北国に適した暖房が必要となり、北海道のストーブの歴史がはじまりました。
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武田斐三郎の国産初ストーブ
 1856(安政3)年、箱館奉行が国内ではじめて、ストーブを製作しました。これは、当時北方警備のために宗谷や樺太(現サハリン)へ配属された役人の防寒対策に作られたもので、設計を担当したのは五稜郭の設計者でもある武田斐三郎です。箱館の港に停泊していた英国船のストーブが、その手本となりました。
 しかし、このストーブは残念ながら試作におわり、一般に使われることはありませんでした。現在、復元品が函館市の箱館高田屋嘉兵衛資料館に展示されています。
国産初ストーブ「カッヘル」
■国産初ストーブ「カッヘル」
斐三郎が設計したストーブの復元品。当時はオランダ語で「カッヘル」とよばれた。(写真提供:箱館高田屋嘉兵衛資料館)
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薪ストーブから石炭ストーブへ
 明治時代になると、開拓使により一般家庭でもストーブの使用が奨励されます。このころのストーブは、各地で原野を開墾していたため、どこでも簡単に手に入った薪を燃料にしたブリキ製の薪ストーブでした。
 その後、開拓が進み都市部で薪の入手が困難になると同時に、炭鉱の開発が進んだため、石炭ストーブが使われはじめます。ダルマストーブ、ズンドウストーブなど、「投げ込み式(燃料の石炭がなくなるごとに投げ入れる)石炭ストーブ」が現れました。また、泥炭地では地面から掘った泥炭を乾かして燃料にした「泥炭ストーブ」も使われました。
薪ストーブ
■薪ストーブ
明治末から大正時代に使われた薪ストーブ。札幌に来ていた宣教師・ジョージ・ローランドが作らせたことから「ローランドストーブ」とよばれた。(写真提供:北海道開拓記念館)
ダルマストーブ
■ダルマストーブ
大型で火力の強い石炭ストーブ。学校や駅の待合所などでよく使われた。(北海道開拓記念館蔵/写真提供:インテリジェント・リンク)
泥炭ストーブ
■泥炭ストーブ
泥炭を掘って夏から秋まで乾燥させ、冬に燃料とした泥炭ストーブ。(写真提供:北海道開拓記念館)
デレッキ(かぎ)
■デレッキ(かぎ)
石炭ストーブで使う火かき棒。デレッキは、ドイツ語がなまったものといわれる。(写真提供:北海道開拓記念館)
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札幌生まれの貯炭式フクロクストーブ
 大正中ごろになると、投げ込み式のストーブに対して、ドイツから貯炭式(ちょたんしき)のストーブが輸入されます。燃料の石炭をストーブの胴体部分に貯めておくことができ、長時間、石炭をつぎ足さなくてもよく、また燃料効率もよいため、灰や煙で部屋が汚れることもありません。しかし、たいへん高価だったため、家庭用にはなかなか購入されませんでした。
フクロクストーブ第1号
■フクロクストーブ第1号
1925年、ドイツ製のユンケルストーブをヒントに考案された貯炭式ストーブ。北海道の冬を、以前とは比較にならないほど快適にした。(北海道開拓記念館蔵/写真提供:インテリジェント・リンク)
フクロクストーブ炊事兼用型
■フクロクストーブ炊事兼用型
人びとの要望に応え、鍋をおく場所を設けた炊事兼用のストーブ。(北海道開拓記念館蔵/写真提供:インテリジェント・リンク)
 このドイツ製ストーブに刺激され、値段が安く性能のよいストーブを作ろうと、札幌の白石村(現在の白石区)にあったレンガ工場の三代目・鈴木豊三郎が貯炭式ストーブづくりに挑戦します。そして1925(大正14)年、鈴木がはじめての国産貯炭式ストーブを完成させ、「フクロクストーブ」と名づけました。このストーブはあっという間に一般家庭に普及するとともに、カダマ(札幌)、アタリア(旭川)など、他の国産メーカーも相次いで貯炭式の製作をはじめました。

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研究が進む木質ペレットストーブ
 現在、北海道の暖房には、石油ストーブを中心として、ガスストーブ、電気ストーブ、温水やオイルを用いたセントラルヒーティングなど、さまざまな暖房器具が使われています。やわらかな暖かさを求めて、薪ストーブを愛用する人もいます。
 また、カラマツなどの間伐材やおがくずを粉砕し、圧縮して作る「木質ペレット」を燃料とする新しいストーブも登場しました。木質ペレットは灰やススが少なく、森林の未利用資源を有効に活用できることから、全国でも注目を集めています。
 北海道では2003年に足寄町で「足寄町ペレット研究会」が発足し、役場や公民館などの公共施設でペレットストーブが試験的に使われています。
足寄町で製造されたホワイトペレットと、ペレットストーブ
■足寄町で製造されたホワイトペレットと、ペレットストーブ
2005年度には町の新庁舎に道内で初めてペレットボイラーが導入される。(写真提供:足寄町)

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