第17回 「死の灰」は北海道にも降る

おまえのかあちゃんデ~ベ~ソ!

第17回 「死の灰」は北海道にも降る

 フクシマに気をとられているうちに米国債の格下げ、資本主義の危機がいよいよ現実のものになってきた。これが大げさだというなら、ドルが基軸通貨であることの終わりが現実になったと言い直してもいい。このことの意味は、フクシマ以外の原発がもう一個か二個事故ったくらい深い意味がある。フクシマとは別の意味での生存の危機が顕在化したということなのだから――。
 何年も前からドルは弱っていた。アメリカの子分である日本はそれを売ることができない米国債を0.9兆ドル超も持っている。まあ、アメリカへの義援金、寄進と言ってもいい。中国はそれを1.16兆ドルを保有しているが、こうなっては紙くずに等しいから、せいぜい「恩義をどうしてくれるのだ!」と言う程度にしか使えまい。

2011年8月9日の東京スカイツリー 写真:和多田進

2011年8月9日の東京スカイツリー

 要するに、金融世界となった地球の通貨は群雄割拠、混沌状態になったということだ。ドルも大変だがユーロも大変である。ドルよりもユーロの方がレバレッジを過剰にかけていたのだから、その痛手はかなり大きいはずだ。円高が進んでも、たとえば石油の値段が下がらぬのは架空の市場取引というメカニズムのゆえだろう。つまり、実際の産油量とは関係のない、何度でも繰り返される先物取引の量が国際価格を決定してしまうというシステムのゆえである。
 中国の支配体制の危うさは、高速鉄道事故があぶり出した通り、権力の内部矛盾が人民の声でさらに激化する可能性を示した。社会と経済は固く結び合っているのだから、ほころびはいずれかに顕われる。
 北海道には無関係に見えるこうした世界の状態だが、実は無関係じゃない。放射能にかぎらず、「死の灰」は海峡も国境もやすやすと越えるのだから。

プロフィール

和多田 進(わただ すすむ)

ジャーナリスト、編集者。1945年北海道生まれ。1976年晩聲社創立。『週刊金曜日』初代編集長兼社長。月刊誌「CHAI」編集長。荒木経惟「日本人ノ顔」プロジェクト代表。日本聞き書き学会理事。著書に『生きてるうちが花なのよ 編集現場で考える』(晩聲社)、『横撮り』(バジリコ)、『ドキュメント帝銀事件』『Story A 天才アラーキーの撮影現場』(いずれも新風舎文庫)など多数。

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