第14回 利権の構造をスケッチする

おまえのかあちゃんデ~ベ~ソ!

第14回 利権の構造をスケッチする

 今回の原発事故でも「鉄の三角形(政・財・官)」と、マスコミが演じる猿芝居は不変だろう。理由は、彼らが骨がらみ利権構造形成者であるからだ。簡単にこの関係は崩れまい。庶民は真の情報にアクセスする手段がないうえ、日々の暮らしに忙しい。そこが彼らのツケ目となる。
 学校で習う歴史は、言ってみれば仁丹のような歴史で、毒にも薬にもならない。だから、一生懸命勉強しても歴史のカラクリは分からない。逆に、勉強すればするほど歴史のカラクリを見抜く眼は失われることもある。要するに、「正史」は真実を語らない。
 たとえば、水野成夫(しげお)という人物がいた。この男は「財界の四天王」「マスコミ三冠王」とあがめられたこともある。だが、この名を憶えている人はもう少ない。フジ・サンケイグループの創始者だったこの男は、「産経残酷物語」の主人公と労働者に忌み嫌われもした。

富士山 写真:和多田進

富士山

 北海道の鉄道敷設が何故早かったのか。王子製紙はどういう歴史の会社なのか、何故、白鳥事件は札幌で起きたのか。下山事件の真相は......。そして水野。
 一見バラバラに見える歴史的事実がどこかでぴたりと符合するとしたらどうだろう。それが、生きた歴史というものではあるまいか。念のために言っておけば、これらはぴたりと符合する。
 話を簡単にしよう。公がまず事業を「開発」する。その後、「民間」にそれをタダ同然で売り飛ばす。その場合、民間の活性化、官の財政難が理由の常套句となる。税で事業を興し、タダ同然で民間に払い下げる繰り返しが「三角形」利権構造の秘密であり、「民営化」の意味なのだ。応援団はマスコミという仕掛けである。
 北海道はその「主舞台」だった。夕張はそんな歴史の痕跡・証拠のひとつだろう。今回の原発事故を処理するのにも、同じ手法が当然使われるはずであるから、眼をこらして見ておきたい。

プロフィール

和多田 進(わただ すすむ)

ジャーナリスト、編集者。1945年北海道生まれ。1976年晩聲社創立。『週刊金曜日』初代編集長兼社長。月刊誌「CHAI」編集長。荒木経惟「日本人ノ顔」プロジェクト代表。日本聞き書き学会理事。著書に『生きてるうちが花なのよ 編集現場で考える』(晩聲社)、『横撮り』(バジリコ)、『ドキュメント帝銀事件』『Story A 天才アラーキーの撮影現場』(いずれも新風舎文庫)など多数。

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