第11回 八百長考

おまえのかあちゃんデ~ベ~ソ!

第11回 八百長考

 日本のマスコミ、わけてもテレビは狂っているのじゃなかろうか。沢尻エリカの離婚問題、プロ野球の斎藤佑樹ときて、いまは八百長相撲一点張りである。何ごとも同じで、一点主義は健全とは言い難い。しかしまぁ、私も八百長の話を書こう。
 先日タクシーに乗ったら、運転手氏が八百長問題について話しはじめた。それで、「えっ、運転手さんは相撲は真剣勝負だと思ってたの?」とわざと大げさに驚いてみせたら、「いや、そうは思ってませんでしたけど、以心伝心ということがあるじゃないですか」と言って笑った。
 たしかに、相撲が真剣勝負だなどと思って見ていた日本人はひとりもいまい。けれども、あれが八百長だとも思ってはいなかっただろう。そんなことなど考えてもみなかった、というのが実相だったのではあるまいか。

2011年2月9日の東京スカイツリー

 とすると、八百長問題の犯人は今回のメールで名の挙がった力士だけじゃないということになる。マスコミも、ファンの私たちも、日本人みんなが共犯者だったのだ、論理的には。従って、興業が神事・国技だった、ということにもなる。さらに、神事・国技は八百長だったということにも……。
 まあ、そういうことだろう。頭を行政・政治に向けて見てみたまえ! 検察までもが八百長だったのだから!!
 相撲の不正などはどうでもよろしい。政治・行政の世界では八百長横行と知りつつ、だれも怒らないこの国の在り様。みんなで見て見ぬふりを決め込んでいることの不思議。
 この国で問題にされねばならぬのは、あなた自身の、私たち自身の身辺と思想についての八百長問題じゃあるまいか、と思うのだが。

プロフィール

和多田 進(わただ すすむ)

ジャーナリスト、編集者。1945年北海道生まれ。1976年晩聲社創立。『週刊金曜日』初代編集長兼社長。月刊誌「CHAI」編集長。荒木経惟「日本人ノ顔」プロジェクト代表。日本聞き書き学会理事。著書に『生きてるうちが花なのよ 編集現場で考える』(晩聲社)、『横撮り』(バジリコ)、『ドキュメント帝銀事件』『Story A 天才アラーキーの撮影現場』(いずれも新風舎文庫)など多数。

前へ | 新着順一覧 | 次へ

この記事を知らせる

ブックマークする