第9回 北海道独立論の背景

おまえのかあちゃんデ~ベ~ソ!

第9回 北海道独立論の背景

 柳田国男に『蝸牛考』という一冊がある。その序に、柳田は以下のように記した。


 いわゆる「蝸牛角上の争闘」は、物知らぬ人たちの外部の空想である。彼らの角の先にあるものは眼であった。角を出さなければ前途を見ることも出来ず、従ってまた進み栄えることが出来なかったのである。昔我々が「角出よ出よ」と囃していたのは、即ちその祈念でありまた待望でもあった。角は出すべきものである。そして学問がまた是とよく似ている。


 かたつむりやゝ其殻を立ち出でよあたらつのつのめづる子のため

2010.12.4の東京スカイツリー

 昭和5年(1930)と日付のある文章だが、そこで考究されているデンデンムシにまつわる方言に北海道は出てこない。つまり、北海道に方言が「ない」からだろう。方言を寄せ集めたような場所であるからに違いない、と私は考える。
 柳田とは関係ないけれど、もうひとつ北海道に「ない」ものがある。いわゆる「人間国宝」、重要無形文化財に指定された人がいないということだ。主として日本の伝統工芸などというものが北海道には存在しないのである。
 これが悪い、というのではない。価値判断ぬきの事実を言っているのである。それで、結論。 北海道は「日本」に未練を持つ必要がない、ということである。日本から北海道は独立するべし! という私の考えの背景には、右のような事実が存在するということなのである。

プロフィール

和多田 進(わただ すすむ)

ジャーナリスト、編集者。1945年北海道生まれ。1976年晩聲社創立。『週刊金曜日』初代編集長兼社長。月刊誌「CHAI」編集長。荒木経惟「日本人ノ顔」プロジェクト代表。日本聞き書き学会理事。著書に『生きてるうちが花なのよ 編集現場で考える』(晩聲社)、『横撮り』(バジリコ)、『ドキュメント帝銀事件』『Story A 天才アラーキーの撮影現場』(いずれも新風舎文庫)など多数。

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