第7回 『武士道』のすすめ

おまえのかあちゃんデ~ベ~ソ!

第7回 『武士道』のすすめ

 「義は武士の掟中最も厳格なる教訓である」と新渡戸稲造が書いている。
札幌農学校の第二期生で、内村鑑三らとともにキリスト者だった盛岡出身の、そして樋口一葉の前の五千円札に肖像画として使われていた、あの新渡戸の『武士道』にそういう記述がある。
 原文は英語だから、矢内原忠雄がそれを訳した。私は新渡戸の思想のいろいろをヨシとするものではないけれど、彼が外国に向けて説明した「武士道」は実に優れた著作であることを疑うものではない。そのうえ、彼が解説した「道」は、今日なお私たちの精神的基層を形成しているはずだという考えなのである。
 NHK記者が大相撲の野球賭博事件に絡んで捜査情報を漏洩していたという事件が今月に入ってニュースになった。しかし、報道は必ずしも大きくはない。遠慮がちに書くが、マスコミはどこもみな同様の傷をスネにもっているのである。なにしろ、マスコミ内部を監視するジャーナリズムが存在しないのだから、そう書かれても抗弁のしようがなかろう。

'10年9月21日の東京スカイツリー

 政・官・財の癒着は腐敗を生む。それに加担しているのは言わずと知れたマスコミである。記者のなかには政・官・財の「スパイ」と化して保身を図る輩がいないともかぎらない。事情は霞ヶ関でも地方でも同じだ。官僚・政治の使い走りも存在する。そんな者たちが、以心伝心で談合的状況にあるとすれば、人びとはいったい何を信じればよいのかということにならないか。
 新渡戸の『武士道』を未読の北海道人がもしおられるならば、僭越ながら私は『武士道』から日本人を学ばれることをおすすめしたいと思うのである。既読の方は、いまいちどそのページをめくられよ。
 北海道人とは何かを考えるためにも。

プロフィール

和多田 進(わただ すすむ)

ジャーナリスト、編集者。1945年北海道生まれ。1976年晩聲社創立。『週刊金曜日』初代編集長兼社長。月刊誌「CHAI」編集長。荒木経惟「日本人ノ顔」プロジェクト代表。日本聞き書き学会理事。著書に『生きてるうちが花なのよ 編集現場で考える』(晩聲社)、『横撮り』(バジリコ)、『ドキュメント帝銀事件』『Story A 天才アラーキーの撮影現場』(いずれも新風舎文庫)など多数。

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