ネイチャーミュージアム北海道の作り手たち 1

ネイチャーミュージアム北海道の作り手たち 1

文:ネイチャーミュージアム北海道実行委員会

 今回から数回に渡り、「ネイチャーミュージアム北海道」(NMH)のサイト構築や運用に携わっているメンバーにスポットをあててご紹介いたします。
 第1回目は、サイトの企画・構築ディレクションという重要な役割を担当した株式会社Gear8(ギアエイト)代表取締役の水野晶仁さんとWebディレクター兼デザイナーの北川ふくみさんにいろいろとお話を伺いました。



 <NMHプロジェクトへの参加>

 ──はじめに NMH への参加の経緯について聞かせてください。


(水野) 2008 年の秋〜冬頃にはじめて(ネイチャーミュージアム北海道実行委員会の)HOTnetさんから今回のプロ ジェクトの話を聞いて、(企画資料など)色々見せていただきました。 その時、地域の情報や北海道の観光資源みたいなものを紹介して、観光事業へ結びつけるものを考えているという話を最初に伺いました。それを「総務省のユビキタス特区事業として展開できないか?」ということで、その後、翌年の 2〜3月には具体的になっていきました。
 最初はそれほど大きなプロジェクトだとは思っていなかったというのが正直なところだったのですが、実際に参画してみたら、やるべきことがメチャメチャたくさんありました(笑)。当初、全体的なディレクションをお願いしたいというお話でしたので、「これ全部ディレクションするの?」という感じで、非常に驚きました。実際には Web サイトに関わる部分だけだったんですが(笑)。

(北川) 私は参加時期が定かではないのですが、実行委員会の主要なメンバーが水面下で企画を進めていたものが少しずつ表面化してきたあたりで、実際にプロジェクトに入って動きはじめました。
 最初に驚いたのが、企画書にある「サイトのコンテンツはこういうものになります」という部分を見て、コンテンツがものすごい大量だった点です。占いからゲーム、アプリなどなど、たくさんのコンテンツを一気にやる! という感じだったので。

(水野) メンバーと「こんなのあったら良いよね〜」と話していた多くの案が、ほぼそのまま入っちゃったみたいな感じです(笑)。


 ──テンコ盛りになっちゃいましたね。


(北川) そんな感じなのでギョッとしたというのが最初の印象でした。

(水野) これ、一個一個別のサイトじゃないの? みたいな(笑)。
 テンコ盛りにできるくらいの規模のプロジェクトでもありましたし、みんな気合いが入っていましたね。 とくに、同じ時期にユビキタス特区に選ばれた他の6ブロック(東北・北陸・広島・倉敷・高知・鹿児島地区)がありましたよね。あれには競争心を煽られました。「他のブロックには負けたくないよね〜」と。


 ──NMH でのお二人の役割は、それぞれどのようなものでしたか?


(水野) 僕は企画と全体ディレクションを担当しました。
 このプロジェクトはプレイヤーが多くて、フラッシュを作る人・アプリを作る人・音楽を作る人・ケータイ サイトを作る人・屋外定点カメラをネットワークに繋いで撮影した画像をサーバに蓄積するシステムを構築した人など、とにかくたくさんの人が関わっていたので、プロジェクトの中ではそういった色々な方々とお仕事ができたうちの一人という感じでした。


 ──人と人をつなぐハブの様な役割でしたね。一方で、北川さんはサイト構築のディレクションを担当なさった。


(北川) そうですね。水野さんが考えてくださったものを実際に形にしようとするとき、「こういう矛盾が生じますけどどうしますか?」というツッコミを入れる役割というか(笑)。そんな形で、サイトの設計なども一緒にやらせていただきました。大きなところでは、プロジェクトのコンセプトからブレないように細かいアートディレクションなども。 あとはサイト構築の最終的な場面、例えばFlashを組み込むだとか、システム側との受け渡しといったいろいろな要素を全部合わせてまとめるところで間に入って、通訳するような立場でディレクションをしました。


 ──このプロジェクトに携わっていたのはどれくらいの期間ですか?


(水野) 集中的に動いていたのは公開までの半年間くらいの印象ですね。

(北川) 2009年の4月くらいから動きはじめて……。

(水野) (2009年の)夏頃に公開したいと思っていたのが、ひと月遅れて 9月に公開となって、その後、第2弾・第3弾に分けてコンテンツを公開することになったんです。



 <NMH、いよいよ公開>

 ──最終的に公開完了したのが 2009年11月でしたね。苦労された点も多かったと思いますが、いかがでしたか?


(水野) 関わっていたメンバーが多かったので、進捗管理にはかなり慎重になりましたね。
 例えばデザイン側とシステム側とを連携させる部分では、それぞれちょっと進み具合が違うとか。東京で作業している方もいらっしゃって、とくにそこのやりとりで結構苦労したかなという気がします。サイトが出来上がった後の修正もあったので、手戻りというわけではないですけれど、調整しながら進めなければならなかったので大変でした。ただ「星空」というコンセプトがしっかりしていたので、中身に対する迷いはなかったですね。

(北川) ひとつのサイトのディレクションをやっているとは思えないほど、いろいろなことをやらせていただきました。例えば、撮影のカメラマンのアサイン、地域情報の更新のとりまとめ作業、ロゴのデザイン、キャッチコピーをコピーライターさんにお願いするとかですが、本当に気が抜けずに同時にいろいろなところを見張っていなければいけない状況でした。そこが大変と言えば大変でしたけど、すごくやりがいがありました。




(北川) 私、とっても印象に残っていることがあるんです。サイト公開日も近づいてきて「今進めないと間に合わない!」といった気持ちになっていることがありまして、そんな時にたまたま水野さんも私も別々の用件で東京へ出張していたのです。その時、NMHとは全く関係ない案件で行っているにも関わらず、NMH の打ち合わせを東京で3時間くらい、夜中の12時くらいまでやったことがありました(笑)。


 ──そんなことがあったのですか。


(水野) 僕は、アストロアーツさんという星専門の出版社にコンテンツ作りの協力をお願いする交渉をしたんですが、そういうことははじめてだったんです。 実際に出版社におじゃまして、担当者から星の話をいろいろと聞いて、それで非常に良い形でご協力いただけたのが印象的でした。
 NMHで扱っていたのが「星」というテーマだったことと、プロジェクトの体制自体もしっかりしていたので、きちんと納得していただけたんじゃないかな、という感じがします。



 <NMHのコンテンツ>

 ──では、お二人が考える NMH のオススメコンテンツについて教えてください。


(水野) 北海道の主要な観光地ではないエリアを星景写真とコラムで伝える「撮影コラム」がオススメです。 カメラマンの方に良い撮影ポイントへ実際に足を運んでいただいて、星空を撮影し、その場所を紹介していただくというコンテンツです。 あとは「星空検定」ですね。 だれでも参加できますし、教育向けにも使えましたし、クイズ形式で星にまつわる情報を学んでもらえる点が良かったですね。


 ──撮影コラムは全7回ですが、内容が非常に良いですよね!


(北川) すごく濃いですよね〜(笑)。

(水野) 写真がすごく良いんです。

(北川) 当時は星空の写真を見慣れ過ぎていて、実はそこまでの感慨は無かったんですが……(笑)。

(水野) 改めて見直すとすごいですよね!

(北川) 銀河鉄道みたいに空に向かっていく(線路)みたいなのとか。
 コラムの他にもトップページやダウンロード用の壁紙として掲載している写真もすごくすてきな写真ばかりで、写真家の方も快く提供してくださったり、他の写真家の方を紹介してくださったりしたお陰ですね。
 サイトの趣旨に共感し、「こういうサイトに掲載されるなら是非協力したい!」と言ってくださいました。「こういうところの写真が欲しい」という話をすると、「じゃあ今週末行ってきます!」みたいに熱い方もいらっしゃって、そういうものがいろいろ詰まっている感じですね。
 北海道のことをすごく愛し、「星もこんなに綺麗なんだよ!」ということを伝えたい人が撮っている写真が揃っているので、ぜひ多くの方に見ていただきたいですね。
 あとは、疑似プラネタリウムとでも言うような「季節の星座を見る」がオススメですね。季節毎に星の名前とか星座の物語を見ることができるなど、機能的にも内容的にも濃いものができましたし、何よりデザイン的にもこだわったものができたなと思います。 こういうことをやっているサイトは当時他にもあったんですけど、ここまでカッコイイ感じで作ることができ、他にないものになって良かったですね。


 ──この期間で結構星に詳しくなれましたね。


(北川) そうですね!


 ──では最後に、今後のNMHに期待することを教えてください。


(水野) 地域の魅力を紹介するようなサイトっていくつもあって、できては消え、できては消えということを繰り返している気がします。 同じ様な切り口で見せると他のサイトに埋もれてしまうので、NMHのサイトを見た人が「行って みたい!」とか「美味しそう!」というような気持ちを醸成してくれる様な、ちょっとエッジの立った見せ方をするサイトであって欲しいなと思います。

(北川) 右に同じです(笑)


 ──本日はいろいろとお話を聞かせていただき、どうもありがとうございました。


 お二人の話はいかがでしたか? この様な裏話と併せてサイトをご覧いただくと、また少し違った楽しみ方ができるかもしれません。次回も「ネイチャーミュージアム北海道」の立ち上げ・運営に関わったメンバーをご紹介いたしますので、ど うぞお楽しみに!


●ネイチャーミュージアム北海道
http://www.nmhokkaido.jp/



水野晶人
Akihito Mizuno

北海道出身。株式会社Gear8代表取締役。 Webディレクターとしての経験を積み、2009 年10月に株式会社Gear8を設立。

北川ふくみ
Fukumi Kitagawa

大阪府出身。株式会社Gear8勤務。 縁あって北海道に移り住み、Webディレクター/デザイナーとして活躍中。


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