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『メルマガ北海道人』第99号 2008.12.11. ―「北海道人」、ななかまどの赤―

 雪がドッと降ったかと思えば、ポカポカ陽気の日がつづいて、路面がツルツルになったりカラカラになったりしているこのごろです。冬の準備がすっかりできた木々の多くは葉をすっきり落とし、裸になって寒そうに見えます。
 さびしげな公園の林に、目を惹く木の群れがありました。ななかまどです。赤い実をいっぱいつけたななかまどの木は、冬の街の彩りです。緑のリボンをたくさん結べば、クリスマスツリーに見えなくもないような……。
 『メルマガ北海道人』第99号、冬の街を彩りながら配信!

※『メルマガ北海道人』第100号記念プレゼント企画がはじまりました。
くわしくは巻末をごらんください。

募集は終了しております。

もくじ

連載【岩崎稔の『大陸人の時間』】

 外国人記者がチベット自治区に入ることはなかなかできませんが、チベット文化圏である四川省などは一部の地域をのぞいて開放されているそうです。今回岩崎さんが訪れたのは、青海省の寺院です。そこには中国人の団体旅行客にまじって大勢のある人たちがいました。第49回は「チベット文化圏も不況」です。

連載【橋場了吾の『SAPPORO MUSIC LETTER』】

 「SAPPORO MUSIC LETTER」第3回のタイトルは「“ロックメンタリティ”を追求するミュージックソクラテス」です。札幌でのライブを12月22日に控えたアンダーグラフのヴォーカル&ギター真戸原直人さんを、「SAPPORO MUSIC NAKED」編集長の橋場さんが紹介します。

連載【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】

 どんな文章、芝居、音楽などにもびくともしない、つまり感動しない人がいるらしい。それに対して、そんなことはない、と反論する人が大半だろう。しかしそれは、「感動」したと思い込んで疑わないだけの話ではないのか? という編集長・和多田進は、今回、「感動」に疑いの目を向けます!

【岩崎稔の『大陸人の時間』】第49回

チベット文化圏も不況

 先日、中国外交部の記者会見に行くと、スポークスマンが物凄い勢いでフランスのサルコジ大統領を批判しはじめた。ここ最近、ヨーロッパの首脳たちがインドに亡命中のダライラマ14世と会談している。フランスのサルコジ大統領も数日前にダライラマ14世と会談した。記者会見はそれをけん制するものだった。
 中国中央テレビでも最近、「ヨーロッパの人たちは、特にフランス人はダライラマ14世をなぜ擁護するのだろう」といった特番が放映されている。数年前は国を挙げて反日ムードだったが、現在は反仏に移行している。シラク政権の終わりのころ、中仏関係は気持ちが悪いほど良好だったから、この激変には驚かされる。政治の世界は恋愛と一緒で移ろいやすいのだろうか。しかし、政府の都合によっていちいち市民の心が振り回されるのは、感情の無駄遣いだろう。
 機会があって、先日、青海省のチベット寺院を見学に行った。いまチベット自治区に外国人が入るには、現地の旅行社が発行する入境許可書か、現地の政府機関などが発行する招待状が必要らしい。外国人記者は政府機関を通す方法しかないのだが、許可はほぼ下りないため、チベット自治区に入ることはまずできない。しかし、チベット文化圏である四川省や雲南省、青海省、甘粛省への旅行は、一部の地域を除いて外国人にも自由に解放されている。ただし、政府の都合によってたびたび突然入れなくなる地域もある。

昆明上空の雲

 青海省の寺院に入ると、意外にも中国人の団体旅行客がカメラ片手に見学していた。私が訪れた寺院は3月の暴動の際、何も起こらなかった寺院だったから、他のチベット寺院と比べて観光業の回復がましな方なのだそうだ。しかし、驚いたのは武装警察隊員らがつぎつぎにやってくることだった。「観光客」の半分が武装警察なのだ。彼らはチケット売り場の前に整列すると、「二時間後に集合!」などと声をかけ、一斉に観光に向かう。総勢百数十人のそうした「観光客」が寺院を見学しているので、異様な空気を感じた。もし京都の報国寺で暴動があり、寺が自衛隊に鎮圧され、数カ月後、暴動が起きなかった清水寺に行ってみたら百人以上の自衛隊員がカメラ片手に「観光」していたというようなことを想像してみてほしい。異様な雰囲気を感じずにはいられないと思う。中国政府がよく使う“人民の感情”が、ここでは簡単に踏みにじられているような気がしてならなかった。
 寺を見学し終え、閑散とした土産店が並ぶ通りを歩いてみた。数軒がシャッターを開けていて、強引な呼び込みに誘われて店内に入れられた。宗教画好きの私にとって、曼荼羅やタンカはとても興味深い。
 店主が、「ただでさえ、冬になると客足が減るのに、今年はさっぱりだ」、何か買いなさいと言わんばかりに愚痴をこぼす。すでに夕方4時を回っているのに、「今日はじめての客だ」と言って、必死のセールスを私に繰り広げる。そこに私がチャーターしていた車の運転手がやって来た。彼が私に「こんな所であぶらを売っていないで、早く出発するぞ」と急かす。急かされて何も購入しなかった私の背中を、店主が残念そうに眺めている気配を感じた。
 まだまだ尾を引きそうなチベットの問題だが、解決する日など来るのだろうか。あの土産店がつぶれる前に問題が解決する可能性はなさそうだと思った。

著者近影

いわさき・みのる…写真家。1974年、宮崎県生まれ。東京工芸短期大学写真学科卒業、中国人民大学法学部卒業。95年から北京市に暮らし、同市を拠点に活動を続けるかたわら、アジアのフォトグラファーネットワークづくりなどに尽力している。
*現在ANAの機内誌「翼の王国」で、作家の原口純子さんと「中国万事通」を連載中です。

ホームページ:http://www.minoruphoto.com/japanesemainpage.htm

【橋場了吾の『SAPPORO MUSIC LETTER』】 第3回

“ロックメンタリティ”を追求するミュージックソクラテス

 「メルマガ北海道人」をご覧の皆さん、こんにちは!
前回ご紹介したTRICERATOPSのライブに行ってきました(12月4日)。「宇宙のグルーヴ……植物が芽生えたり、太陽が昇るというのはすべて“前向き”だと思うんだ。だから俺らの音楽を聴くことでも、“前向き”になってくれれば」という和田唱さん(ヴォーカル&ギター)の言葉を証明するかのようなステージには、10月にリリースされた最新アルバム「MADE IN LOVE」収録曲とヒット曲を織り交ぜながら「踊れるロック」が満載でした! 帰り際、雨の中で100人規模の“出待ち”(会場を出るアーティストを待っているファン)に遭遇したのですが、それこそがライブの充実度を物語っていたように思います。
 さて、今日ご紹介するのはアンダーグラフのヴォーカル&ギター真戸原直人さんです。
 アンダーグラフは、1999年に大阪で結成された活動10周年を迎える四人組ロックバンドです。メンバーは真戸原さんのほか、阿佐良介さん(ギター)、中原一真さん(ベース)、谷口奈穂子さん(ドラム)です。そのうち真戸原さんと阿佐さんは幼稚園のときからの幼なじみで、25年もの付き合いです。
 小さいころは仲の良い友だちだった二人ですが、高校時代に音楽をはじめてからはライバル意識が芽生えたといいます。それまで特に音楽をやっていなかった二人はゼロから音楽をスタートしましたが、そのときからお互いを「ヴォーカリストとギタリスト」という意識で見ていたそうです。それからはプライベートの話は恥ずかしくてできなくなり、音楽の話ばかりしているそうですよ(笑)。

アンダーグラフのヴォーカル&ギター真戸原直人さん

 そんなアンダーグラフですが、今年で活動10周年を迎えました。2004年にメジャーデビューしてからはシングル8枚、アルバム3枚をリリース。着実にファンを増やしつづけています。
 しかしながら最近真戸原さんが常に考えていることがあります。それは「アンダーグラフの音楽はロックなのだろうか」ということ。周囲からはロックバンドとして認識されていて、自分自身もロックへの憧れはあるものの、くくり的にはJ-POPというジャンルに入ってしまうのではないかということです。このあたりの感覚的な部分は難しいところなのですが、ミュージシャンならではの悩みは大変興味深いところではあります。その「ロックとは何か?」「日本のロックミュージシャンとは何か?」「音楽以外でもロックを表現することはできるのではないか」というようなジレンマを書き出したのが、9月にリリースされた「ジャパニーズ ロック ファイター」という曲です。
 「自分壊す事があったっていいんじゃない 毎回紳士な奴なんていない
 自分壊す事があったって心配ない 大体本当の僕なんてない」
 ロックに憧れる人間がロックについて苦悩する……こんな音楽哲学を持っている真戸原さんの悩みは尽きることはないのかもしれません。しかし、この解決できない悩みを抱え続けることが“ミュージックソクラテス”の面目躍如なのだと思うのです。そして、その悩みの解決に一歩一歩近づいていくことで、アンダーグラフというバンドがより大きな存在になっていくのだと思います。

アンダーグラフ オフィシャルHP http://www.under-graph.com

【アンダーグラフ ライブ情報】
2008.12.22(木)
札幌・クラップスホール(札幌市中央区南4西6/開場18:30 開演19:00)

著者近影

橋場了吾…1975年札幌市生まれ。1998年同志社大学卒業後、札幌テレビ放送入社。ラジオディレクターとして「日高晤郎ショー」「ライブスピカ」等を担当。2005年同社を退社。以後広告制作プロダクションなどを経て、2008年株式会社アールアンドアールを設立し、札幌発の音楽情報WEBマガジン「SAPPORO MUSIC NAKED」を立ち上げる。「音楽で北海道を元気にする」を信条に、札幌にやって来たミュージシャンの取材を続けている。

「SAPPORO MUSIC NAKED」:http://www.sapporo-mn.com/

【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】 第16回

写真機携帯症患者の病状報告(12)

 どんな文章を読んでも、どんな芝居や映画を観ても、どんな講演を聴いても、どんな音楽や絵画を観ても、びくともしない人がいるらしい。「びくともしない」というのは、別の言葉で言えば「感動しない」という意味である。
 こう書くと、「そんなことはありません。感動します!」と反論する人が大半かもしれないとも思う。いや、そうだろう。たしかにあなたはそれらを見聞きして「感動」したのに違いない。それは認めてもいい。しかしそれは、「感動」したと思い込んで疑わないだけの話ではないのか? どうだろう。
 あなたは「感動」とは何か、ということを自らにいまいちど問うてみたらいい。辞書的に言えば、「深く物事に感じて心を動かされること」が「感動」ということなのだが、「心を動かされる」とは、はたして「心」の動きだけにとどまるものだろうか。「心が動かされる」、それも「強く」動かされるのが「感動」ということなら、直結とは言わないまでも、「心」の「動き」が行動に結びつかないことなどあるだろうか。私の見るところ、「感動した」と思っている人のほとんどが「心」止まりのようにみえる。言葉だけ、「感動した」という台詞だけ、じゃないのか?
 疑い深い私は、しばしばそう感じないではいられない場面に遭遇する。そして、あまりにも幾度となくそういう場面に遭遇していると、そういう場所、そういう人間から離脱してしまいたい衝動にかられもする。一種の絶望感かもしれない。

神田神保町('08.4月)

 そこでである。写真のシャッターを切るということは、感動と直結した人間的行動であるはずだと私は思う。だから、出来上がった写真がボケていようがブレていようがアレていようがかまわないのだとも思う。「そのとき」の「感動」が、写真となって観る人を説得すればそれでいい。写し手の「感動」が強ければ強いほど、大きければ大きいほど、観る人に与える説得力も強く、大きくなるはずだとも私は考える。
 写し撮る以前の「現実(リアル)」には、実は意味がない。まあ、「写真的意味はない」と、あえて低くでてもよい。しかし、いったん「現実」が写真となり、映像となった瞬間から、そこには「写真的意味」が生じるし、生じざるを得ない。
 まず第一に、写す以前に写し手は意味を感じてはいるが、写した後に改めて写し手にとっての意味が生じる。そして第二に、読み手(受け手)の側にも意味が生じる。読み手が多数である場合には、読み手の数だけ意味も多様になるだろう。さらに第三に、時間の経過とともに、要するに時代の変遷に応じて、それら一切の意味にも変化が生じるに違いない……。
 いまから二十年ほど以前、私は南京事件にまつわる写真の「鑑定」に参加したことがあった。いわゆる虐殺現場の写真が南京事件の際のものかどうかということにかかわる「鑑定」だった。そのときの体験が、私を写真の根本について考えさせているらしい。
 「写真とは何か」とか、「写真の力」について考えるとき、私はあの南京事件の写真「鑑定」のときの自分にもどっていくのを感じる。それらのことについてはまた次回に書こう。

北海道人インフォメーション

『メルマガ北海道人』100号記念プレゼント企画

募集は終了しております。

2008年12月18日(木)に、『メルマガ北海道人』第100号を配信します。100号を記念して、メルマガ購読者の皆さまにプレゼントをご用意しました。応募された方の中から抽選で5名様に北海道のおいしいものをプレゼントします。
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次号予告

 次号は『メルマガ北海道人』第100号、12月18日(木)に配信します。
 メルマガラインナップは、上林早苗の「上海日記」、「とろんのPAI通信」、若月元樹の「南の島から――沖縄県黒島の日々」です。お楽しみに!

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