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『メルマガ北海道人』第97号 2008.11.27. ―「北海道人」、ほっとしたいときに―

 寒さで身体が固まってしまって、体重は変わらないのに体積は少し減ったような気がしてしまう近ごろの北海道。寒さの補正力に感動するほどです。コチコチの身体につられて心までカチカチになってしまいそうになることもしばしばです。あわてて温かい飲み物を用意したり、ストーブの前に佇んでほっと一息ついてみたり。ほっとしたいときに必要なものは何でしょう? コーヒー、ホットミルク、陽だまり、猫、風呂などなど。ほっとするためのニューアイテムも考えてみました。ホットケータイ、ホットマウス、ホット原稿、ホット上司、ホット……。
 100号まであと3号の『メルマガ北海道人』第97号、ホットメルマガとして配信!

もくじ

連載【岩崎稔の『大陸人の時間』】

 最近は中国各地への出張が多いという岩崎さんが、久しぶりに北京の最新スポットを取材することになりました。同行した編集者が、東京でもなかなか見られないくらい洗練されていると驚いた、北京の“六本木”とも呼ばれる三里屯にできた新しい商業エリアやブティックホテルとはいったいどんなもの?

連載【橋場了吾の『SAPPORO MUSIC LETTER』】

 第95号から【SAPPORO MUSIC NAKED】編集長の橋場了吾さんによる音楽コラムがスタートしました。第2回目は、「キング・オブ・リフメーカー」こと、TRICERATOPSのヴォーカル&ギター和田唱さんをピックアップ! TRICERATOPSの札幌でのライブは12月4日です。

連載【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】

 「私は、なぜ雲を撮影するのだろうか。どうして雲に魅せられて、雲ばかり写すのだろうか?」。ひとときも同じ形をとらない雲に対して和多田進は、「愛した女(ひと)との別れを大切に思うような気分になってシャッターを切る。」といいます。写真を撮る側のこと、写真を読む側のこと、写真の秘密とは何?

【岩崎稔の『大陸人の時間』】第48回

北京の最新スポット

 以前は北京の流行を伝える連載を日本の雑誌にしたり、街を歩いて撮影したフューチャー写真を通信社に売り込んだりしていたので、かなり北京の変化に敏感だった。しかし、最近は中国各地への出張が多く、北京の変化がよく分からなくなってしまった。
 先日、『商店建築』というインテリアデザインを紹介する専門誌の撮影で、久しぶりに新しい北京を垣間見ることができた。北京の“六本木”とも呼ばれる大使館街、三里屯に新しくできた商業エリアとブッティクホテルの撮影だった。私が北京をはじめて訪れた95年ごろ、夜の歓楽街といえば三里屯のバーストリート以外にはなかった。三里屯は外国人や現地のミュージシャン、文化人で賑わっていた。ところがこの10数年の間に懐かしいバーストリートは大きな変化を遂げていた。
 商業エリアとブッティクホテルは隈研吾氏や、北京在住の建築家・迫聡慶一朗氏や松原弘典氏、アメリカなど各国のベテランから新鋭の建築家らが参加して造られた。
 撮影はブッティクホテル「オプジットハウス」がメインだった。ホテルに2泊することになった。北京に住んでいるから北京のホテルに泊まるのは久しぶりである。
 このホテルにはチェックインカウンターなど、フロントがない。入口の横にあるバーやカフェ、ロビーで待っていると、しゃれた格好をした妖精のような従業員が小さな端末を持ってきてチェックインの手続きをする。昼間はホテル全体にあふれるほどの外光が入る。多くの個所に木の素材が使われていて自然な雰囲気が醸し出されてもいる。部屋には木製のバスタブがあり、大きなガラス張りの外壁から自然光が気持ち良く入る。夜はベッドの横に美容のためのフェイスマスクがサービスでおかれている。生まれてはじめて私はフェイスマスクをしながら床に就いた。

ホテルの通路

 しかし、いったい全体だれがこんな一泊300ドル以上もするホテルに泊まるのだろう。東京などの物価で考えるならまだしも、中国では月収の全部を払っても一泊できない人が大多数なのだ。そこのところをマーケティング担当の日本人女性に聞いてみた。
 「金融危機に襲われるとはだれも予測していなかったので、もともとは金融関係者をターゲットにしていました」と厳しい口調で言う。
 北京では五輪開催に合わせてホテルのオープンラッシュがつづいた。彼女の話では、五輪開催後の都市の集客力はだいたい20パーセント伸びるというデーターがあるそうだ。ニョキニョキできた北京の商業施設や高級ホテルは、今回の金融危機で大打撃を受けているらしい。
 北京の他のオシャレなスポットを編集者とロケハンしに行ってもみた。天安門から歩いて5分もかからないところに最近できた高級フレンチレストランとバーに行って、レストランは眺めるだけにして、バーで一杯飲んでみる。景気の良さそうなアジア人が10数人で楽しそうに飲んでいる。外国人建築家によってデザインされた空間は、東京でもなかなか見られないほど洗礼されていると編集者は驚きを隠せない。
 ビジネス街にできたパークハイアットのバーにも行ってみた。65階にあるバーは、北京で一番高いところから街を見下ろす風景だ。平らな大地に街がこびりつくように連なっている風景に圧倒された。遠くには“万里の長城”のある山も見える。
 世界的金融危機も何のその、五輪に合わせて建てられた“バブルの財産”が次々に完成して新しい北京の商業スポットとして現れはじめたことがよく分かる。しかし、この先の見えない不景気を考えると、北京の最新スポットもあっという間に泡にのみ込まれて消えてしまうのかもしれないとも思う。

終わり

著者近影

いわさき・みのる…写真家。1974年、宮崎県生まれ。東京工芸短期大学写真学科卒業、中国人民大学法学部卒業。95年から北京市に暮らし、同市を拠点に活動を続けるかたわら、アジアのフォトグラファーネットワークづくりなどに尽力している。
*現在ANAの機内誌「翼の王国」で、作家の原口純子さんと「中国万事通」を連載中です。

ホームページ:http://www.minoruphoto.com/japanesemainpage.htm

【橋場了吾の『SAPPORO MUSIC LETTER』】 第2回

キング・オブ・リフメイカーが語る「究極の音楽的解答」

  「メルマガ北海道人」をご覧の皆さん、こんにちは!
札幌発の音楽情報WEBマガジン【SAPPORO MUSIC NAKED】編集長の橋場了吾です。【SAPPORO MUSIC NAKED】では、札幌にやって来られたミュージシャンのインタビューや新譜のレビューを、「音楽で北海道・札幌を元気に!」をテーマに掲載しています。「メルマガ北海道人」では、そのうちから北海道でのライブが近いミュージシャンを中心にご紹介させていきだきますのでよろしくお願いします!
 前回ご紹介したつじあやのさんのライブに行ってきました(11月20日)。折しも今シーズン初めて札幌が真冬日になった日です。クラップスホールで行われたライブは、その寒さを吹き飛ばすような温かいステージとなりました。つじさんの歌声、ウクレレ・アコーディオン・ウッドベースの音色が大変心地よく、時間があっという間に過ぎてしまったライブの充実度は、終演後も熱心にアンケートに感想を書き込むお客さんがたくさんいたことで証明されたと思います。
 さて、今日ご紹介するのは「キング・オブ・リフメーカー」こと、TRICERATOPSのヴォーカル&ギター和田唱さんです。
 TRICERATOPSは1996年に結成されたスリーピースロックバンドです。メンバーは和田さん、ベースの林幸治さん、ドラムの吉田佳史さんです。1997年にシングル「Raspberry」でデビューし、これまでにシングル27枚、アルバム9枚をリリースしています。
 TRICERATOPSの音楽の特徴はなんといっても“ギターリフ”にあります。「リフ」とは「リズム音型(RHythmic Figure)」「リフレイン(REFrain)」の略といわれている、ある一定のパターンを周期的に繰り返し演奏することです。このリフを効果的に利用することで、グルーヴ感が増してダンサブルなサウンドになるといわれています。

TRICERATOPSのヴォーカル&ギター和田唱さん

 和田さんは高校生のころにこのリフの存在に気づいたといいます。それまでの日本の音楽はフォークソングの延長ともいえる“コード進行”で成立している楽曲が多かったため、ビートルズやマイケル・ジャクソンの曲のほとんどがリフでできていることを発見し、なぜ彼らの曲をうまくコピーできなかったのかがわかったといいます。洋楽に対して思い描いていた、カッコいい・悪い・セクシーなイメージはリフで成立していると感じた和田さんは、自分でバンドを組んだときはこの方法で曲を創ろうと思ったそうです。それが形になったのがTRICERATOPSです。
 和田さんはリフを多用した曲を創ることで「踊れるロック」を追及しています。これは、和田さんが考えるロックコンサートの良かった時代……拳を振り上げるような熱いライブではなく、ミュージシャンがロックを演奏し、お客さんは自由に踊っている……。そういう思いでライブに臨んでいます。その思いは10月8日にリリースされた最新アルバム「MADE IN LOVE」からも汲み取ることができます。強力なリズムとギターリフによって完成した楽曲には、TRICERATOPSの提案する「踊れるロック」のグルーヴ感がぎっしり詰まっています。
 「ラスベリー踊ろうよ 全て忘れ身をゆだねて それで全てうまくいく」
 (デビュー曲「Raspberry」)
 「誰かを感じたり 好きな服を着たり 嬉しくなる時 カッコよく踊れてんだ」
 (最新アルバムタイトルトラック「MADE IN LOVE」)
 12月4日にcube gardenで行われるライブではTRICERATOPSが織り成すグルーヴによって、多くのロックファンが身を“踊らせ”、心をも“躍らせ”ることでしょう。

【TRICERATOPS ライブ情報】
2008.12.4(木)
札幌・cube garden(札幌市中央区北2東3/開場18:30 開演19:00)

著者近影

橋場了吾…1975年札幌市生まれ。1998年同志社大学卒業後、札幌テレビ放送入社。ラジオディレクターとして「日高晤郎ショー」「ライブスピカ」等を担当。2005年同社を退社。以後広告制作プロダクションなどを経て、2008年株式会社アールアンドアールを設立し、札幌発の音楽情報WEBマガジン「SAPPORO MUSIC NAKED」を立ち上げる。「音楽で北海道を元気にする」を信条に、札幌にやって来たミュージシャンの取材を続けている。

「SAPPORO MUSIC NAKED」:http://www.sapporo-mn.com/

【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】 第15回

写真機携帯症患者の病状報告(11)

 私は、なぜ雲を撮影するのだろうか。どうして雲に魅せられて、雲ばかり写すのだろうか?
 雲こそ「決定的瞬間」の象徴だと思うからである。数秒間、早ければ1秒でも雲から目を離したら、1秒前の雲は形を変えてしまっている。いま、このときの雲に出会うことなど未来永劫にないことは確実だ。そう思うと、雲がいとおしくてシャッターを切らずにはいられないのである。
 二度と会えないことが確かな、その雲に、私は会いつづけていたい、と思う。まるで、愛した女(ひと)との別れを大切に思うような気分になってシャッターを切る。まぁ、雲への切ない愛なんだと思っている。
 頽(くず)おれそうな家屋、廃屋に向かってシャッターを切るのも雲に対するいとおしさと似たような感覚である。廃屋の形に惹かれるのではない。形にも埋め込まれている「何ものか」、愛しい何かが私を誘うのだ。樹木も道も、日の丸の旗も、花も人間の顔も、お墓もビルも、シャッターを切ろうとする私の心の中は、それらに対する愛しさで充満する。思いが心に溢れて狂いそうにさえなる。そのとき、シャッターを押す指が反射的に動く。
 写真を写す行為は、もしかしたらSEXと同等のような気もする。エクスタシーにも大中小があると私は考えるのだが、その大中小のエクスタシーの頂点で私はシャッターを切っているのではないのか。
 SEXを感じない被写体に指は動かない。もちろん、記録のためだけに理性が指を動かすということはある。それはしかし、写真を撮りたいという私の生理とは別の事柄だ。撮りたい、のではなく、それは撮らなければならない、ということなのである。

江東区('08.10月)

 以上のような心理は、写真を写す側の問題である。では、写真を見る側、写真を読む側の心の動きはどうなるのか――。
 実は、写真を見る側、読む側にも写す側と同等の感性がなければ、写真を感じることは不可能だろう。なぜなら、この写真(家)は、なぜここでシャッターを切ったのかが分からなければ、呈示された写真を見ても感じることができないからである。写真を見て、何ごとかを考えることもできないはずである。そういう写真の読み手からは、構図が良いだの光の具合がどうだのという程度の批評しか生まれてはこない。
 けれども、写真という行為の根本的な問題は、構図がどうの光がどうのということのずっと以前のところにあるのである。それは、小説でも絵画でもなんでもそうだろう。
 たとえば、「風景」と言われるモノがある。しかし、考えてみると「風景」などというモノはこの世には存在しない。存在するのは単なる「自然」だけなのではあるまいか。のっぺらぼうの「自然」がそこにあるだけではないのか?
 「自然」が「風景」になるのは、そこに人間が介在しなければならない。つまり、人間が「自然」を「風景」に変えるのである。人間が介在しなければ「自然」は「自然」のままそこにただ存在するだけだろう。人間が、人間がもっているある種の能力が、「自然」を「風景」に変えるのである。人間はただそこにあるだけの「自然」を「風景」にも「光景」にも「情景」にも「景色」にも変える。
 ここに、写真の秘密がある。その秘密を理解しないと写真を撮ることはできない。もちろん、写真を読むこともできないだろう。この秘密こそ、語られねばならない写真の話なのではないか、と私は思っているのである。

次号予告

 次号の配信日は12月4日(木)です。98号です。100号まであと少しです。 メルマガ100号記念の購読者限定特別企画を次号で発表します。お見逃しなく!
 さて、次号のメルマガラインナップは、上林早苗の「上海日記」、「とろんのPAI通信」、若月元樹の「南の島から――沖縄県黒島の日々」です。お楽しみに!

※インターネットに接続するとメルマガ上の画像をご覧になれます。

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