メルマガ北海道人

HOME > 第95回

『メルマガ北海道人』第95号 2008.11.13.―「北海道人」、北海道みやげは―

 新千歳空港のおみやげ売り場に行きました。そして驚きました。手前にはクッキーやケーキなどの山、奥の方には毛並みの良いカニや大ぶりの真っ赤なカニがこれ見よがしに横たわっています。カニの手招きに誘われて一歩そこに足を踏み入れると、何かにとりつかれたかのように我を忘れて……。気がつけば、両手一杯におみやげの袋を持っていました。何が起きたのでしょう。菓子、魚介、肉製品などがひしめくおみやげの森は魅惑的で危険な北海道の玄関です。
 「メルマガ北海道人」第95号、北海道みやげに負けない魅惑的な連載をのせて配信!

もくじ

新連載【橋場了吾の『SAPPORO MUSIC LETTER』】

 札幌発の音楽情報WEB マガジン【SAPPORO MUSIC NAKED】編集長の橋場了吾さんによる音楽コラムがスタートします。ライブ間近のミュージシャンを中心に紹介するコラムの第1回目は、ウクレレを持った“音楽を聴く幸せ”宅配人つじあやのさんをピックアップ!

連載【岩崎稔の『大陸人の時間』】

 13年ぶりに日本のプロ野球をテレビで観たという岩崎さんは、私にとってのクライマックスシリーズが先日はじまったと語ります。舛添大臣の訪中、フィギュアスケート中国杯の安藤美姫、震災から半年たった四川省の取材などなど。「大陸人の時間」第47回のタイトルは「撮影トライアスロン」です。

連載【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】

 何人かの写真展を見に行った和多田進は、「『写真家』たちの展覧会会場にぶら下げられている写真は、何も語ってはいない。撮影者たちにも語りたいことなどひとつもないようなのである」と言います。三國連太郎が演劇について語った言葉から、写真家の、人間の生き方の本質がズバリ見えてくる……。

【橋場了吾の『SAPPORO MUSIC LETTER』】 第1回

ウクレレを持った“音楽を聴く幸せ”宅配人 つじあやの

 「メルマガ北海道人」をご覧の皆さん、はじめまして!
 今月より音楽コラムを担当させていただくことになりました、札幌発の音楽情報WEBマガジン【SAPPORO MUSIC NAKED】編集長の橋場了吾です。【SAPPORO MUSIC NAKED】では札幌にやって来られたミュージシャンのインタビューや新譜のレビューを、「音楽で北海道・札幌を元気に!」をテーマに掲載しています。「メルマガ北海道人」では、そのうちから北海道でのライブが近いミュージシャンを中心にご紹介させていきだきますのでよろしくお願いします!
 今日ご紹介するのは「ウクレレを持った“音楽を聴く幸せ”宅配人」こと、つじあやのさんです。つじさんは京都市出身、大学在学中にミニアルバム『君への気持ち』(1999年)でデビューしています。これまでにシングル15枚、オリジナルアルバム6枚、ミニアルバム1枚、ベストアルバム1枚、カバーアルバム2枚をリリースしている人気ミュージシャンです。
 つじさんの音楽の特徴といえば、何といってもウクレレです。実は高校時代にギターにチャレンジしようとしたところ、手が小さくコードを弾くにも一苦労でこれはダメだというときに出会ったのがウクレレでした。ウクレレ自体そんなに流行していなかったので、教本には童謡がほとんどで、古い歌謡曲が少し載っているだけだったそうです。しかし、その少しの中に載っていた吉田拓郎さんの『結婚しようよ』がきっかけで、つじさんはフォークソングの世界へのめり込んでいきました。つじさんの音楽の原型であるウクレレと歌謡曲の邂逅があったわけです。

 大学時代にオリジナル曲の制作をして、デモテープを放送局やレコード会社に送ったことからデビューに繋がりました。デビューから今年がちょうど10年目。ウクレレしか知らなかったため、アレンジの面では相当な勉強をしたそうですが、「人が聴いてすぐに覚えられるような良いメロディを創りたい」という気持ちはいまも変わりません。
 いまのつじさんの音楽には2つの軸があります。ひとつは、つじさん自身が作詞・作曲をするオリジナル曲。もうひとつはカバー曲です。最新作『Cover Girl 2』では「この曲をウクレレで弾いちゃうの?」とビックリするような選曲もふくめて14曲をカバー。名曲たちに新たな息吹を吹き込んでいます。
 「他の人の曲を自分で歌うことで、言葉・メロディの良さを痛感させられるんです。世の中にはこんなに良い曲がたくさんあるんや、どうやって創ったんやろって。自分のスタイルを枠に当てはめず、いろんな曲を書いていくためのカバーでもあります」という彼女は、11月20日・クラップスホールで行われるライブで、ライブでしかやらないカバー曲を披露することも約束してくれました。
 およそ1時間の取材を通じて私が感じたのは、京都出身の女性らしいはんなりとした柔らかさと、自分のやっている音楽に対する信念の強さが同居していることでした。ライブでは、オリジナル曲もカバー曲も関係なく、彼女が考えている言葉とメロディの良さを、彼女の声とウクレレを通して伝えてくれると思います。代表曲『風になる』の中でつじさんはこう歌っています。
 「陽のあたる坂道を 自転車で駆けのぼる 君と誓った約束 乗せて行くよ♪」
 つじさんはこれからも、ウクレレという優しい音色を聴かせる楽器とともに、風のごとく爽やかに「音楽を聴く幸せ」を運んできてくれることでしょう。

【つじあやの ライブ情報】
2008.11.20(木)
札幌・KRAPS HALL(札幌市中央区南4西6/開場18:30 開演19:00)

著者近影

橋場了吾…1975年札幌市生まれ。1998年同志社大学卒業後、札幌テレビ放送入社。ラジオディレクターとして「日高晤郎ショー」「ライブスピカ」等を担当。2005年同社を退社。以後広告制作プロダクションなどを経て、2008年株式会社アールアンドアールを設立し、札幌発の音楽情報WEBマガジン「SAPPORO MUSIC NAKED」を立ち上げる。「音楽で北海道を元気にする」を信条に、札幌にやって来たミュージシャンの取材を続けている。

「SAPPORO MUSIC NAKED」:http://www.sapporo-mn.com/

【岩崎稔の『大陸人の時間』】第47回

撮影トライアスロン

 今年の日本のプロ野球は大変盛り上がった。西武の劇的な逆転優勝で幕を閉じたが、私は13年ぶりに日本の野球を見た。中国のテレビが日本のプロ野球を放送しているわけではなく、今年からインターネットを経由して、家のテレビで民放やNHKが見られるようになったのだ。テレビ好きの私にとっては画期的なことである。
 13年もプロ野球を見ていないと、いろいろなことが変わってだいぶとり残されていることに気がついた。以前はセリーグとパリーグの交流戦もなかったし、クライマックスシリーズで2位と3位が戦う敗者復活のようなシステムもなかった。クライマックスシリーズがはじまってから日本一が決定するまで、かなりのハードスケジュールだ。
 しかし、私も負けてはいない。私にとってのクライマックスシリーズが11月2日、舛添大臣が訪中したことにはじまる。北京で開催された日中韓保健閣僚会合に参加した舛添大臣を一日取材し、その日の夜、四川省成都市へ震災から半年を迎える現地の取材に向かった。さらに翌朝3日、地震の震源地ブンセン県映秀に向かう。往復5時間、道はかなり舗装されていた。4日は地震の被害が大きく「死の街」と化した綿陽市北川県曲山鎮に向かう。往復9時間の道は舗装されていたが曲山鎮には入ることができず、高台から地震発生直後と変わらぬ瓦礫の姿の街を眺める。すでに観光名所と化していて、地震関連のDVDや写真を販売する売り子もいた。被害からかろうじて逃れた人たちは、高台の近くに建設された仮設住宅やテントで暮らしていた。テント暮らしの老夫婦に話を聞く。
 「政府の役人との関係が悪く、仮設住宅にいれてもらえない」

夜の北京空港

 翌5日、朝一番の飛行機で北京に戻って午後からフィギアスケート中国杯の練習風景を取材。安藤美姫がカメラマン席の前を滑り抜けるたびに香水の香りがした。翌6日、朝一番の飛行機で上海へ移動して2010年バンクーバー冬季五輪アイスホッケー女子の最終予選の取材。はじめてアイスホッケーを観戦したが意外に面白い。翌7日はアイスホッケーのノルウェー戦を取材して最終便で北京に戻る。ちなみに日本は中国に敗れ、残念ながら五輪出場を逃した。
 8日は四川省の写真を編集して納品。この日は休めると思っていたが、広東省珠海で起きた暴動の写真の入手や上海からやってきた友人との会食であっという間に一日が終わった。翌9日朝は飛行機で湖南省長沙に向かう。長沙から車で一時間走った瀏陽で花火の取材。北京五輪の開幕式で使用された花火もここで作られたという。夜、花火の打ち上げ試験場に行くと、花火を買付けに来たロシア人が暗闇のなかで、発注表をペンライトで照らしながら、一つひとつ打ち上がる花火を確認していた。打ち上がる花火はどこかロシア風で、赤の広場を連想させた。
 と、この原稿を書いているいま現在はまだ瀏陽市のホテルにいる。今日一日花火の取材をして、今晩の飛行機で北京に戻る予定だ。私にとってのクライマックスシリーズはここでだいたい終わり。明日からは私の「日本シリーズ」が北京ではじまる。12日からは北京市内の大使館街にオープンンしたブティックホテルを大判カメラで撮影しなければならない。インテリア雑誌の取材で3日間ホテルに缶詰になることになっている。各バーやレストランの写真やホテルの外観を撮影する予定だ。グランドフィナーレは三峡特集10ページの旅のルポ。それで私の「日本シリーズ」は閉幕する予定。
 北京に住んでいると各方面から写真の撮影依頼が来るのだが、これだけ短期集中、しかもバラエティーに富んだ撮影をしていると、写真界のトライアスロンに挑戦しているような気分になる。うへー、ゴールを無事迎えられるか、いまはまだ分からない。ホントに大丈夫かなぁ……。

著者近影

いわさき・みのる…1974年、宮崎県生まれ。東京工芸短期大学写真学科卒業、中国人民大学法学部卒業。95年から北京市に暮らし、同市を拠点に活動を続けるかたわら、アジアのフォトグラファーネットワークづくりなどに尽力している。
*現在ANAの機内誌「翼の王国」で、作家の原口純子さんと「中国万事通」を連載中です。

ホームページ:http://www.minoruphoto.com/japanesemainpage.htm

【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】 第14回

写真機携帯症患者の病状報告(10)

 三國連太郎と中浦和光の対談集『「芸能と差別」の深層』(ちくま文庫)は、実に学ぶところの多い本である。
 「…役作りは、私の細胞の動きを関連しながら創造していくものであると、最近になってようやく気付くようになりました。(略)役者は観客に向かって自分の身体で〈役〉を演じてみせるのですが、演じている人物の姿と心理を、まず的確に自分の内面に吸収しておかなければならないと信じています」
 「…戦後は、物質中心主義が加速しまして、ひたすら目に見える現象だけを追うようになりました。
 つまり、自分の内面とは関係なく、外面の出来事だけを価値づける風潮が一般化しまして、これは演劇を含めてあらゆる分野で言えるんですが、形だけにとらわれる傾向が顕著になってきたようです」
 どうだろう。こうした三國の言葉、考えは、そのまま写真についてもあてはまるのではないだろうか。何人かの写真展を見に行って、私は三國のこうした言葉を想起せずにはおれないのである。
 「写真家」たちの展覧会会場にぶら下げられている写真は、何も語ってはいない。撮影者たちにも語りたいことなどひとつもないようなのである。けれども、何かを語っている装いの写真を撮る技術はもっている……。

京都('08.7月)

 いまやそんな「写真家」ばっかりじゃないかと思うのだ。
 そんな「写真家」ばかりのなかで、梅佳代という若い人の写真が少し良いのじゃないかと思うのは、見たモノに彼女が正直だという点にある。自分が見たモノを正直にそのまま撮る、というところが他の「写真家」と比べてうんとマシなのだ。もちろん、上手い写真とはいえない。でも、コトは上手いとか下手とかの問題じゃないのである。写真を撮るという行為と撮り手の内面がかぎりなくイコールに近いということ、そのことが大切なのだ。荒木経惟さんの写真を私がいいのは、それがイコールに近いということにつきる。
 そういうコトが写真なんじゃないのか。どんな花を撮っても、どんな裸を撮っても、撮る側に切実がなければやっぱり駄目だろう。
 つまり、狂わなければ。前掲書にある中浦和光の発言には、「神が乗り移って、忘我・憑依(ひょうい)の境地に入った場合が『狂う』」だという説明がある。「俗世のヒトを超脱する行為が『狂う』の原義」だとも。
 それを読んで思うのだが、なんとこの世には狂っていない人が多いことだろうか、と。なんと振りだけ、狂った振りだけの人が多いのだろうか、とも。なんと「狂う」ことの意味も考えずに写真展を開き、写真を換金しようとする人が多いことか、とも――。
 「役者は、やはり、しっかりした自分の人間観や歴史観を持たないと、よい演技はできません」という三國の述懐は、「写真家」はもちろんそのまま私たちの生き方に対する批評でもなければなるまいとも思う。
 看板だけの役者、看板だけの写真家、看板だけの物書き、看板だけの編集者、看板だけの新聞記者、看板だけの公務員、看板だけの××、看板だけの○○、看板だけの△△……。

次号予告

 次号の配信日は11月20日(木)です。冬囲いも済んで、漬物も漬け終わっているころでしょうか。もう少しで師走! そう思うだけでむだに右往左往してしまうころでしょうか。
 さて、次号のメルマガラインナップは、上林早苗の「上海日記」、「とろんのPAI通信」、若月元樹の「南の島から――沖縄県黒島の日々」です。お楽しみに!!

※インターネットに接続するとメルマガ上の画像をご覧になれます。

メルマガに対するご意見・ご質問などはこちらまで
メルマガ執筆者へのメッセージもお待ちしております!
mailmag@prc.hokkaido-jin.jp

ポータルサイト『北海道人』
http://www.hokkaido-jin.jp/

※登録(または解除)は、こちら
http://www.hokkaido-jin.jp/mailmagazine/index.html

このページの先頭へ

バックナンバー

最新のメルマガ
第160回までのメルマガ
第140回までのメルマガ
第120回までのメルマガ
第100回までのメルマガ
第80回までのメルマガ
第60回までのメルマガ
第40回までのメルマガ
第20回までのメルマガ