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『メルマガ北海道人』第89号 2008.10.2. ―「北海道人」、季節のスピードが―

 季節が移ってゆくスピードがあるとすれば、ここ最近、だれかがアクセルをグッと踏み込んだような気がします。昨日までは緑色を保っていた街路樹の葉も、今朝は黄色がちらほら見えはじめました。もう10月ですね。猛スピードで走る秋を横目に、気持ちはのろのろ運転、周回遅れぎみです。みなさんの心の日めくりは何月何日ですか。
 『メルマガ北海道人』第89号、駆け抜ける季節とともに疾走配信!

もくじ

連載【田野城寿男の『楽譜のいらない音楽授業』】

 今回の音楽授業は、田野城さんがいままでに寄せられた質問から7つを選んでそれに答えるという内容です。「一番思い出に残っているアルバムは?」「どのアルバムから聴けばよいのでしょう?」「ミュージシャンにならなければ、どんなことをやりたかったですか?」などなど、興味津々です。

連載【岩崎稔の『大陸人の時間』】

 オリンピックとパラリンピックが終わり、北京はいつもどおりの街にもどったという岩崎さん。五輪はすでに過去のこと。人々の関心は有人ロケット「神舟7号」にあるようです。日本ではあまり大きく取り上げられなかった「神舟7号」ですが、中国では出発から帰還までの一部始終が放送されたようです。

連載【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】

 今回は「写真機携帯症患者の病状報告」シリーズの第7回目です。私たちが暮らしている世界は三次元の世界で、写真は二次元です。「三次元が二次元になっているのに、私たちはなぜその二次元の写真を三次元の世界のこととして受け止めてしまうのだろうか?」。深まる秋に深まる和多田ワールド。

【田野城寿男の『楽譜のいらない音楽授業』】 Lesson 41

深まりゆく芸術の秋、そして。

 先日、雪虫を見かけ、冬が来るな〜と思っていたら、今朝は自宅にてんとう虫が飛んできました。いよいよ彼らも越冬の準備をはじめたみたいです。この季節になると決まってアレルギー性鼻炎でグジャミ〜が止まらず、おまけに目がやたらかゆい。私にとっては少々辛い季節になりました。 
 さて、今回のコラムでは、これまで個人的にお寄せいただいた質問の中から、私、田野城が独断と偏見で選び、それに答えていきたいと思います。まずは一番多かった質問から。

Q1.ジャズという言葉は知っていますが、だれのどのアルバムから聴けば良いのでしょうか?
 この答えは実にむずかしい。なぜなら、質問者は間違いなくジャズリスナー若葉マークをつけていますので、一つ間違えると二度とジャズを聴いてくれなくなりますからね!
 私の答えは、マイルス・デイビスの『カインド・オブ・ブルー』です。何が凄いかってビル・エヴァンスのピアノです。彼のピアノタッチは実にオシャレです。

Q2.なぜジャズっていうのですか?
 ありゃ〜、それはニューオリンズ時代にね……。これは説明が長くなるのでどこかで私の講義を受けに来てください。

Q3.一番思い出に残っているジャズアルバムは?
 高校時代に聴いた、エルビン・ジョーンズ(ドラムス)の『ライブ・アット・ライトハウス』2枚組のライブ盤です。1曲目の『ファンシー・フリー』でノックアウト。しかし、このアルバムには弱点があります。それは、もうこれ以上聴きたくない……と思ってしまうこと。

Q4.ミュージシャンにならなければ、どんなことをやりたかったですか?
 歴史や遺跡にとても興味があるので、考古学者インディ・ジョーンズになりたかったです。吉村作治さんが羨ましいです。

Q5.ポピュラーミュージックは好きですか?
 私の音楽人生のスタートはビートルズでした。バート・バカラック『サン・ホセへの道』とかポール・モーリア『恋は水色』、セルジオ・メンデスの『フール・オン・ザ・ヒル』なんかも良く聴いたものです。

Q6.おすすめのアーティストは?
 やっぱりノルウエーのサックス奏者、ヤン・ガルバレイクかな……。彼は音の彫刻家ですね。シゼル・エンドレッセンもおすすめです。彼女の歌声とセンスはピカイチです。現在はフィンランドの音楽学校で教えていると思います。

Q7.好きな映画は何ですか?
 ずいぶん前に観た映画で奇才スタンリー・キューブリック監督『2001年宇宙への旅』があります。私はこの映画が大好きなんです。ちょっとわけがわからないような……観ている側の想像力も加わってはじめて作品が完成する……そんな感じが面白い。いきなりドキッとさせてくれるのが映画の冒頭部分です。名曲、リヒャルト・シュトラウスの交響詩『ツァラトゥストラはかく語りき』第1部「序曲」をバックに、ホモ・エレクトス(原人)らしきキャラクターが、初めて手にした武器に狂喜乱舞するシーンがあります。これが実にインパクトのあるシーンでした。まさに「食物連鎖の頂点へ君臨する人類の第一歩」を感じさせてくれるものでした。また、全編に流れるヨハン・シュトラウス2世の『美しく青きドナウ』は絶妙な味をだしていました。
 そしてもう1本、オリバー・ストーン監督の『プラトゥーン』です。ベトナム帰還兵だった監督自身の実体験にもとづき、民間人の虐殺や軍隊の腐敗、殺人などリアルなベトナム戦争を描いています。クライマックスの戦闘シーンは圧巻です。サミュエル・バーバーの弦楽四重奏曲『アダジオ・フォー・ストリングス』が見事に映像と調和しています。

 ……と書き連ねてきた私ですが、実はベッドの上でタイピングしています。ギックリ腰にやられてしまい、身動きがとれない状況に陥っています。夕方に針治療を受けました。13センチの深針で患部にしっかりあててもらいました。気持ちは落ち込んでいないのですが、この腰の激痛には本当に参ります。トイレに行くのも決死の覚悟ですから。次回のコラムまでには見事カムバックしますね!! カムバックと言えば、マイルス・デイビスの復帰作に『ウィ・ウォント・マイルス』があります。16ビートからいきなり4ビートに強引に変える演奏スタイルには、ゾクゾクさせられました。ぜひ、聴いてみてください。

著者近影

たのしろ・ひさお…1958年広島市生まれ。サックス奏者。78年バークリー音楽院入学。在学中から精力的に活動し、帰国後の87年サリナ・ジョーンズの日本ツアーにソロ奏者として参加。91年「25周年記念」のモントルー・ジャズフェスティバルに出演。音楽家はもちろん、多彩なジャンルの表現者たちとのコラボレートを積極的に実践、近年は「音楽教育」の必要性を重視し、広い層の若者たちに個性的な指導を続けている。

ホームページ:http://www.tanoshiro.com
携帯サイト:http://www.tanoshiro.com/m/

【岩崎稔の『大陸人の時間』】第44回

「神舟7号」複写します!

 北京五輪開催の影響で閉鎖されていた自宅近くの海賊版DVD屋が再開していた。店員は以前のようにカウンターからぼんやりと映画を見ている。最新海賊版DVDコーナーに置かれている五輪開幕式のDVDが何だか懐かしく感じる。市内のいたる所で止まっていた工事も動きはじめ、各地から労働者が北京にもどってきだした。車のナンバーによる交通規制も終わって、北京はすっかりモクモクと排気ガスが朝から充満する元の街にもどった。
 残念な光景も毎朝見かける。先日までパラリンピックが開催され、障害者を応援するテレビ番組や新聞の記事が毎日流れていたのに、長安街では片足のない障害者や火傷で顔や体がただれた人が紙コップを手にお金をせびってくるのだ。やせ細った子どもを抱えた女性が一日中地べたに座り物ごいをしたりしてもいる。地下鉄はバリアフリーが増え、北京は障害者の人も暮らしやすい街になったと報道していたのに。
 五輪は北京ではすでに過去のことになってしまったようだ。話題はもっぱら有人ロケット「神舟7号」だ。中国のロケット開発はここ数年目まぐるしい発展を遂げている。今回の「神舟7号」をふくめるとすでに3度の有人飛行に成功している。アメリカ、ロシアに次いで世界で3番目の快挙である。今回の有人飛行は船外活動を行うというので国民の注目度もかなりのものだった。しかし、外国メディアがロケットの発射基地を取材することはできない。それで、国営通信社である「新華社」が写真を配信するのを待って、それを各外国メディアは転電する。私はそれよりも早くライブで放映される中国中央テレビの中継を複写することになり、打ち上げのはじまりから終わりまでテレビにかじりつくことになった。

地下鉄駅

 驚いたのは中継の映像だ。出発から帰還まで、宇宙飛行士たちの様子がきめ細かに刻々と放送される。ロケットが打ち上げられる場面も、船内の様子もクッキリ写し出された。テレビを見るかぎり、船内はほとんど発射の重力を感じていないようだった。打ち上げられてから少しすると、無重力状態になった船内にノートが行ったり来たり浮かぶ。あまりにも鮮明に中継されたので、これは地上のスタジオで撮影しているのではと疑問を抱く人さえ出てくる始末だ。
 船外活動の中継のときなど、船外活動服に着替えるところから宇宙船のドアを開けるところまで、克明に中継された。NASAの報道などでは、どこそこのパネルがはがれたなど、ドッキリすることが時々ある。しかし、「神舟7号」の場合、そのような報道は一切無い。
 船外に出た宇宙飛行士は、命綱を体に巻きつけながら国旗を振り、テレビに向かって挨拶する。あまりにも出来過ぎていて私も映像に不安を感じずにいられなかったが、どうやら映像は本物のようだった。
 ロケットは内モンゴルの草原に無事に戻ってきた。さっそく中継車が落下ポイントに向かう。ドアが開くと宇宙飛行士たちが担がれるように地上に降り立ち、草原に置かれた椅子に座っていま終えたばかりの宇宙飛行の感想を述べた。
 「順調に任務を遂行できた。祖国を誇りに思う」という飛行士の発言は、政治的要素が濃い。
 テレビにかじりついて複写した写真は、日本での扱いが思いのほか小さかったらしい。中国の悪い面ばかりが目立つ昨今だが、躍進する中国からも目を離してはいけないのではないかと思う。

終わり

著者近影

いわさき・みのる…写真家。1974年、宮崎県生まれ。東京工芸短期大学写真学科卒業、中国人民大学法学部卒業。95年から北京市に暮らし、同市を拠点に活動を続けるかたわら、アジアのフォトグラファーネットワークづくりなどに尽力している。
*現在ANAの機内誌「翼の王国」で、作家の原口純子さんと「中国万事通」を連載中です。

ホームページ:http://www.minoruphoto.com/japanesemainpage.htm

【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】 第11回

写真機携帯症患者の病状報告(7)

 私たちが暮らしている世界は、言うまでもなく三次元の世界である。三次元の世界というのは縦、横、高さに広がりをもつ空間のことだ。だれでも知っているだろう。
 では、写真は何次元であるか――。もちろん、二次元である。わざわざこんなことを書くなんて、おまえは馬鹿かと言われそうな気がしないでもない。しかし、私にとって不思議なのは、三次元の世界が二次元に移されることなのである。それも、その二次元があたかも三次元のように受けとめられ、理解されている。三次元が二次元になっているのに、私たちはなぜその二次元の写真を三次元の世界のこととして受け止めてしまうのだろうか?
 ここには“慣れ”の問題があるのではないか。
 鏡の世界ももちろん二次元である。しかし、鏡に写っている自分を、いちいち「これは二次元の世界だ」と確認して見るだろうか。鏡の世界も写真に写し出された世界も、私たちは改めて「これは二次元だ」などとは思わない。自動的に、二次元の世界を三次元世界に読み換えて了解・理解するのである。しかし、はじめて写真を見た人、鏡を見た人類はどうだったのだろう。簡単には事態を了解できなかっただろうと思う。
 絵画も二次元の世界である。三次元の世界を人間が二次元の世界に移し換えるのが絵画である。それには遠近法という技術が決定的な役割をはたした。写真の場合は遠近法を写真機が自動的にとり行う。三次元を二次元に移し換え、あたかも三次元世界がそこに存在するかのように紙上に変換する道具、それが写真機である。
 つまり、絵画も写真も、早い話が「ウソ」ってことなんですね。文章ももちろん「ウソ」です。ぜ〜んぶ、受け手の側が自分勝手に、自分に都合よく補正して受け取ってくれるんです。受け手の勝手なその補正によって、二次元は三次元に見えるわけなんです。

江東区扇橋('08.6月)

 ということは、人によって補正のしかたも違うということです。大雑把には同じに見えたとしても、細かな点では受け手によって違ってくるってこと。だから、「これはゲージュツだ!」「これは凡作だ!」という違いがそこから生じる、と私は考えるんです。
 たとえば、逆光で撮った写真を考えてみます。実は、これはだれが撮ってもだいたいスバラシイ写真になります。だれが見ても、だいたい美しい! と言うでしょう。しかし、逆光写真は本当に美しく、スバラシイんでしょうか?
 これが美しい、これがスバラシイというものの見本を日々見せられ、訓練されてきてそう思ってしまうのではないかと私は考えます。毎日毎日見せられているものが「良い」ということになっちゃうように訓練されているんじゃないか、と。
 毎日自分の顔を鏡で見ている人は、自分の顔も案外捨てたもんじゃないと思うようになりますね。高じて、自分の顔は案外見苦しくはない、いや私は案外どころかかなりの美男である、美女である、と本気で思うような錯誤に陥っちまうんじゃないかしら。
 ある日突然鏡が生まれ、はじめて自分の顔をその鏡で見た人が卒倒するというようなことが起こらないだろうかとも私は思います。もちろん、卒倒するのは美しさのあまりじゃないですよ。
 写真の本質って、あんがい以上のようなことではあるまいかと、そんなふうに私は思っているわけでなんであります。

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旭川ポリフォニー‚2008「森 空気 感性」〜旭川で国際フォーラムを開催

 旭川や近隣の東川町を舞台に、「旭川ポリフォニー‚2008 『森 空気 感性』」が開催されます。森林保護や文学、芸術など様々な分野で国際的に活躍する方々を迎え、交歓していただく2日間です。スウェーデン・グラミーを二度受賞した北欧の歌姫、ソフィア・カールソンによるコンサートも行われます。

●開催日 10月17日(金)・18日(土)
●場 所 ポリフォニーポイント(上川郡東川町)、ロワジールホテル旭川、旭川市民文化会館
●企画・構成 矢萩 喜從郎(「旭川ポリフォニー‚2008」総合ディレクター)
●パネリスト(50音順)
Dr.ガード・ロスカント、柴田元幸、鈴木恂、塚原史、野家啓一、マルコ・ミュラー、水沢勉、ロジャー・パルバース

天女さま●ソフィア・カールソン バンド コンサート
10月17日(金) 10:00〜(約30分)
森のコンサート 入場無料(ポリフォニーポイント)
10月18日(土) 18:30〜20:30 ジャパンツアー2008 旭川ポリフォニー‚2008公演 チケット:全席自由¥1500(一般発売中)
●主 催 「旭川ポリフォニー‚2008」実行委員会
<お問い合わせ…tel:0166−47−9934/(株)カンディハウス内)>

詳しくはこちら↓
イベントあれこれ レポートアンドニュース

旭川ポリフォニー2008

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<WEB絵本・鯨森惣七さんの「コレは、まちのゲー術だ。と叫びつつ、ちょっとずつ歩きまわる旅。」を更新しました!>

天女さまその6
 鯨森惣七さんが旅先で見て感じたことをイラストとエッセイで紹介します。ちょっとずつ歩きまわって今回たどり着いたところは小樽市潮見台です。「なんじゃコレ、なんじゃコレ」と頭がぽよぽよしちゃう世界をのぞいてみたい方はクジラをクリック!

コレは、まちのゲー術だ。と叫びつつ、ちょっとずつ歩きまわる旅

次号予告

 次号の配信は10月9日です。2199年に「宇宙戦艦ヤマト」がイスカンダルに向けて発進した日だそうです。ちなみに翌10日には、人類初のワープ実験に成功したとか。
 さて、次号のメルマガラインナップは、上林早苗の「上海日記」、「とろん のPAI通信」、若月元樹の「南の島から――沖縄県黒島の日々」です。お楽し みに!!

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