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『メルマガ北海道人』第71号 2008.5.22. ―「北海道人」、タンポポの綿毛の行方―

 ゆるやかな丘の斜面に、リンゴやさくらんぼの果樹が立ち並び、枝いっぱいに白い花をつけています。果樹の下には草むらが広がり、あちこちにタンポポの綿毛が見え隠れしています。風のないときはじっと、そよ風のときはゆらゆらと。なんだか楽しげに見えて、思わず身体を左右にゆらして真似てみたくなります。そう遠くない日に、綿毛に旅立ちがやってきます。その日は晴天でしょうか、嵐でしょうか。タンポポの綿毛は風に乗ってどこまで行くつもりなのでしょうか?
 『メルマガ北海道人』第71号、タンポポの綿毛みたいに風まかせで配信!

もくじ

連載【田野城寿男の『楽譜のいらない音楽授業』】

 田野城さんが北海道に移住してから12年が経ちました。農家の方々との出会いが影響してか、かなり北海道人になっている自分に気づかされると言います。昨年は士幌町の方々とファーマーズバンドを結成。田野城さんの頭の中には次なるプランが浮かんでいるようです。みなさん、一緒にどうですか?

連載【岩崎稔の『大陸人の時間』】

 前回に引き続き、中国のデモ事情について。諸外国に対するメッセージと民衆のガス抜き的な要素を持つ政府公認のデモ。フランス系スーパー・カルフールの前で抗議のプラカードを持つ若者、そのプラカードにつかみかかる女性警官、それを見て興奮する民衆。膨れ上がった野次馬がいつしかデモ隊に……。

連載【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】

 前回からスタートした、編集長・和多田進によるひとことコラム。「濡れにぞ濡れし」という表題の意図するところも明らかになり、落ち着いて読むことができる第2回目は「『東京グローブ座』のこと」について。ここで数多くのシェイクスピア劇を観たという和多田進が演劇を通じて、ひとこと。

【田野城寿男の『楽譜のいらない音楽授業』】 Lesson 32

たとえていうなら、北海道農民ジャズロック&ポップスオーケストラ

 早いもので北海道に移住して12年が経ちました。その間、私は音楽監督として、財団法人札幌市芸術文化財団、北海道新聞社主催「ジュニア・ジャズオーケストラ」、十勝毎日新聞社主催「十勝わくにこオーケストラ」、帯広市主催・帯広南商業高校吹奏楽部などで、音楽経験の有無に関係なく、小学生、中学生、高校生、大学生、そして社会人まで指導してきました。また現在は、ヤマハ主催「JAZZ&ROCK〜初級者向け〜ヴォーカル・アドリブ道場」や「TanoLabo→Mix」(自主運営)のジャズロック・オーケストラ、ジャズコンボ・クラス、サックスキャンプなどの開催や指導を定期的に行っています。それは何故なのか……? 
 私は小学校から高校に至る迄、大の学校嫌いでした。登校拒否や無断欠席は当たり前、もちろん塾なんて行ったことがありません。俗にいう、究極の落ちこぼれでした。でも、それには理由がありました。私にはどうしてもわからなかったからです。
「学校で机をならべて記憶するだけの勉強をするのに何の意味があるのか?」
 そして、学校を休んで考えました。
「人間は何のために生きているのだろうか?」
 落ちこぼれだった私が、アメリカへ行って素晴らしい師匠たちと出会いました。音楽知識や教養はもちろんのこと、人生の哲学といった真理に触れることまで、彼らは私に一から教えてくれたのです。それが揺るぎない土台となり、現在の私が形成されています。
 彼らから学んだことは、その後、プロとして音の世界を深めて行けば行く程、強烈に心に感じるのでした。
「世界共通の言語である音楽は、国や民族、宗教の違い等を越えて、人の心を豊かにし、幸福にする力を持っている」
 この私の信念に興味を持ってくださる道民の方からのお誘いで、幸運にも、地域の文化活動としての音楽教育に本格的に携わってくることができました。
 10年以上も北海道に住んでいると、かなり北海道人になっている自分に気づかされます。多分、農家の方々との出会いがおおいに影響しているのでしょう。日本の食をささえ、自然と直に向き合って暮らしている彼らから学ぶことは多くありました。慣れない冬の暮らしでは随分助けていただいたこともあります。そんな触れ合いから、何かお役に立てることがあれば……との思いで始めたのが、農家の方たちと一緒に音楽を演奏することです。たとえていうなら「北海道農民ジャズロック&ポップスオーケストラ」です。昨年、士幌町の皆さんとファーマーズバンドが実現できました。毎日8時間の練習をされて臨んでこられた農家の皆さんのパワーに圧倒されたものです。地域に根ざした楽しい文化活動とでもいいますか、心も温かくなりまして、「また、来年やりましょう!」なんて話もあります。どうです皆さん、素敵でしょう? 
 私は考えるのです。音楽にはそれぞれの地域に合った活動スタイルがあって良いのではないかと。既成概念にとらわれることなく、純粋に「楽しみたい」気持ちがあれば、他に必要なものはないとさえ感じます。そして私は思います。他の地域でもそんな秘めた想いを抱いている音楽好きな方がいらっしゃるのではないかと。
 ……どうですか? 興味がありましたら、どうぞ私にご連絡ください。相談にのりますよ。何なら一緒に演奏しましょう!
 そしてもう一つ、私は考えるのです。そうして出会ったあちこちにちらばる音楽愛好家たちに全員集合してもらい、ジャズを世界に知らしめたデューク・エリントンやキューバラテンの大御所ティト・プエント、ソウルのアース・ウィンド&ファイヤーなどの名曲を演奏しあってパーテイを開催しちゃうんです。どう、楽しそうでしょ?
 コンサートだったら1部はスーツ姿、そして2部はもちろんつなぎに帽子、首にはタオル、長靴を履いて演奏ですね。ちなみに私は十勝在住時代、毎年夏になるとこの格好で庭の草刈りをしていました。これ結構気に入っていました。
 この私のプランに賛同してくださる方がいらっしゃったら、どうぞ遠慮なくご連絡ください! お待ちしています。

メルマガの最後の方にライブ情報を掲載しています

著者近影

たのしろ・ひさお…1958年広島市生まれ。サックス奏者。78年バークリー音楽院入学。在学中から精力的に活動し、帰国後の87年サリナ・ジョーンズの日本ツアーにソロ奏者として参加。91年「25周年記念」のモントルー・ジャズフェスティバルに出演。音楽家はもちろん、多彩なジャンルの表現者たちとのコラボレートを積極的に実践、近年は「音楽教育」の必要性を重視し、広い層の若者たちに個性的な指導を続けている。

ホームページ:http://www.tanoshiro.com
携帯サイト:http://www.tanoshiro.com/m/

【岩崎稔の『大陸人の時間』】第35回

中国のデモ事情(2)

 “カルフールでの不買と米CNNへの抗議”のプラカードを持った青年は、即座に警察に囲まれた。私も夢中でシャッターを切ったが、若者はそれほど抵抗もせずに警察の誘導に従い、警察車両に乗り込んでいった。しかし、それを取り囲んでいた野次馬が彼の持って来たプラカードを奪い取り、カルフールの出入り口に向かっていった。
 いつのまにか野次馬は200人以上に膨れ上がっていた。私服の女性警官が先頭の若者が持つ抗議のプラカードにつかみかかり、引っ張り合いになった。興奮した民衆をここで敵に回すのは危険と考えたのか、周りの警官はそれを傍観している。女性警官は一歩も譲らない。しかし、プラカードの一部が破れてしまったので、女性警官は枠だけを手にして去っていった。勢いづいた野次馬はデモ隊と化し、カルフールの出入り口で不買や米CNNに対する抗議を叫んだ。
 私は先頭に立つ若者の中に顔見知りを見つけた。昨年、台湾の李登輝氏が日本を訪問した際に、北京の日本大使館前で行われたデモの数十人のメンバーの一人だった。彼の動きは中国でのデモを熟知しているかのようで、引くときには引き、出るときには出る、まさにプロのデモ師のように見えた。
 数分も過ぎると警察がプラカードを奪い取り、デモは終結したかに思えたが、隣の広場に中国の真っ赤な国旗を振った若者たちが集まり、「頑張れ中国!」と叫び始めた。デモ隊は400人以上に膨れ上がり、数十人の警察だけでは収集がつかない状態になっていた。警察は何とかデモ隊を解散させようとするが、その目論見とは逆に、一丸となったデモ隊の興奮の矛先が警察に向かいそうで、広場には緊張した空気が流れた。

居眠り

 中国政府が一番恐れるのは、デモ隊が政府に向かうことだ。デモ隊への対処一つでどんな事態を招くか分からない。その後、数十分もすると、何台もの警察車両がやってきて、一気に人海戦術でデモ隊を解散に追い込んだ。メディアもこれ以上ここにいるのは危険だという理由で排除された。
 翌日はデモの予告はなかったが、念のために同じカルフールに行ってみた。昨日のような野次馬もなく、平穏なカルフールをカメラに収めようとシャッターを押すと、案の定、5人ぐらいの私服警官と警官に囲まれた。
「どんな写真を撮ったんだい、見せてみろ」
 と、やけになれなれしい。そうかと思うと別の警官は、
「岩崎、お前のことは良く知っている。早く帰れ」
 と、威嚇するかのように名前を呼ぶ。
 朝食をとっていなかったのでカルフールに入ってみると、昨日の不買デモが嘘のように朝から買い物客であふれていた。昨日は一度も中に入らなかったから、さらにそのギャップの激しさに驚かされる。買い物客を眺めながら、パン屋で朝食を食べていると、顔つきの悪い男たちがビデオで私を撮影している。どうやら警察が資料として撮影しているようだ。昨日、デモを取材していて出合った欧米系の記者は
 「俺の母さんよりあいつらの方が俺の写真を持っている」と皮肉っていた。
 パン屋に顔見知りの警察がやって来る。彼もパンを買うと何も言わず私の向かいに座り、朝食をとり始めた。一言二言話をすると彼は去って行き、今度は日本語の話せる私服警官がやって来た。彼は流暢な日本語で根掘り葉掘り私のことを聞いてくる。
 中国は現在に至ってもメディアの統制を行い、政治的な集会や、愛国的なデモまでをも統制下においている。それらが社会を不安定に追いやる要因になるからである。私は多かれ少なかれどこの国においてもそういった統制はあると思う。が、シナリオ通りに物事は進まない。今回のデモで脚色に四苦八苦する現場を垣間見た気がした。

著者近影

いわさき・みのる…写真家。1974年、宮崎県生まれ。東京工芸短期大学写真学科卒業、中国人民大学法学部卒業。95年から北京市に暮らし、同市を拠点に活動を続けるかたわら、アジアのフォトグラファーネットワークづくりなどに尽力している。
*現在ANAの機内誌「翼の王国」で、作家の原口純子さんと「中国万事通」を連載中です。

ホームページ:http://www.minoruphoto.com/japanesemainpage.htm

【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】 第2回

「東京グローブ座」のこと

 東京・高田馬場の駅から遠くない場所に、「東京グローブ座」という名前の劇場が出来たのはいったいどれくらい前のことだったろうか。調べれば正確なことは分かるのだろうが、今からおよそ20年もむかしのことだったような気がする。
 この劇場は、建築家・磯崎新がロンドンにあった本家のグローブ座をイメージして設計したのだったと思う。客席が舞台を囲み込むような円形の構造だった。
 この劇場運営のコンセプトは、シェイクスピア劇を専門に上演するということで、実際、私はこの劇場で数多くのシェイクスピア劇を観た。もしこの劇場がなかったら、私はシェイクスピア劇のほとんどを体験することなく今日にいたっていたと思う。シンプルな舞台装置で、照明の変化もほとんどなく、音楽にも頼らず、役者の声、台詞、ことばの力だけに頼るようなシェイクスピア演劇というものの雰囲気を、私はこの劇場ではじめて知ったのである。しかし、この劇場はその後、休業した。原因は知らないが、休業して以降、十年以上も私はいちども行ったことがない。

奄美大島

 「劇とは、この世界で生きている人間を扱うものだから、劇作家がどんな手法を用いて作品を書いたかという問題を検討するためには、その劇作家が世界や人間をどのように捉えていたかを知らねばならない。あるいは、演劇そのものについてどう考えていたかを理解せねばならない。ある劇作家の手法について論じることは、実は、当の劇作家の世界観や人間観や演劇観について論じることになるのである。もしも、手法についての議論は小手先の技巧についての議論にすぎないと考えて軽視するひとがいたら、そのひとは救いようがないほど浅薄な誤解を犯しているのだ」
 喜志哲雄が『シェイクスピアのたくらみ』という本にそう書いている。これは演劇の世界のことにかぎったことではないし、自明のことでなければならないだろう。もちろん送り手(劇作家)の場合に限られるわけでもない。受け手である観客の世界観、人間観、演劇観の問題だともいえるであろう。「救いようのない浅薄な誤解を犯す」のは、だいたいにおいて私たち観客の側なのだから。

インフォメーション ライブ・イベント情報

<田野城寿男トリオ ライブ 5月30日(金)開催!>

 「楽譜のいらない音楽授業」の執筆者としてもおなじみの、サックスプレーヤー田野城寿男さんのライブが急きょ決定しました! 今回のメンバーは、札幌一のファンキーベーシスト藤田K一郎、ドラムスはヤマハ講師の岩根匡伸です。サックス、ベース、ドラムスのトリオが、ジャズ、ロック、ボサノヴァの世界を縦横無尽に駆けめぐります。

日 時:2008年5月30日(金)
    19:30開場 20:00開演
会 場:ヤマハミューズクラブ札幌 スタジオフィールズ
    札幌市中央区南10条西1丁目
料 金:前売 ¥2,500
    当日 ¥3,000
チケット問合せ:011-512-5432
(ヤマハミューズクラブ札幌 内)
http://www.tanoshiro.com

次号予告

 次号は5月最後の配信です。1年の5/12が終わるんですね。早いものです。
 さて、次号のメルマガラインナップは、上林早苗の「上海日記」、「とろんのPAI通信」、若月元樹の「南の島から――沖縄県黒島の日々」の3本立てです。
 『メルマガ北海道人』第72号は5月29日(木)に配信します。

※インターネットに接続するとメルマガ上の画像をご覧になれます。

メルマガに対するご意見・ご質問などはこちらまで
mailmag@prc.hokkaido-jin.jp

ポータルサイト『北海道人』
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