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『メルマガ北海道人』第52号 2008.1.17. ―「北海道人」、寒さの真ん中で―

 「あ〜、さぶさぶさぶさぶ」
 この冬、みなさんは「さむい」または「さぶい」と何回言いましたか。日に何度口にしているのでしょう。起きがけの一回、外に出て一回、近所の人とあいさつがわりに一回、仕事場で一回、客先で一回……。万歩計のように「さぶ」をカウントするマシンがあったらおもしろいかもしれません。さぶの数を寒さの指標にするのです。
 「昨日は20さぶ、今日は30さぶと予想されていますのでいつもより温かい服装でお出かけください」
 『メルマガ北海道人』第53号、本日35さぶ予想、寒さの真ん中から配信!

もくじ

連載【田野城寿男の『楽譜のいらない音楽授業』】

 「あと30年もすると地球温暖化がすすみ、大変な事態を招くだろう」。これは30年前に田野城さんが新聞で読んだ、アメリカの科学者の主張です。幼少時代の暮らしを振り返りながら、現在、人類が直面している問題について、Tanoismが展開されるLesson23。

連載【岩崎稔の『大陸人の時間』】

 広大な中国のあちこちを取材で駆け回る岩崎さんが今回出会った強烈な人は、坊さんでした。ビュッフェ会場で呼ばれるままに同じテーブルについてしまった岩崎さんに、その坊さんがあることを言い放ちます。この坊さんは何者か? お寺のVIP待遇も気になります

【田野城寿男の『楽譜のいらない音楽授業』】 Lesson 23

21世紀――未来へ向かって歌をうたおう!

 先日テレビを見ていると、あと30年で北極の氷がすべて融けてなくなり、あと80年後には環境の変化が激変し、人類の存続が危ぶまれるであろうと主張する学者もいる……とキャスターがコメントしていました。時折私の脳裏をかすめるのが、20歳の頃(30年前)の日本の新聞に載っていた、あと30年もすると地球温暖化がすすみ大変な事態を招くであろうというアメリカの科学者の主張です。確かにここ数年、カリブ海や北米は人類が経験したことのないような巨大ハリケーンや竜巻に襲われ、ヨーロッパ各地でも集中豪雨で住宅浸水が起きています。水の都ベネチアの市街にも海水が溢れ、モルジブの島々にいたっては水没して国が消滅してしまいそうな勢いです。
 人類はかなり崖っぷちです……。
 私は根っからの恐竜マニアであり、自然科学の書物やテレビ等をよく見ます。それらによると、これまで発見された人類最古の化石は約700万年前のものであり、その生き方はライオンや熊など動物と同じで、狩猟採集だったと言われています。それは物質やエネルギーの循環に連なって生きる、食物連鎖と呼ばれるものです。しかし、人類は約1万年前、氷期が終わり安定した気候になったことをきっかけに、狩猟採集の生活を改め、農耕牧畜という生き方に変えました。この時点で食物連鎖から大きく逸脱したというわけです。人類の目でみれば文明時代の幕開け、自然の目でみれば環境破壊時代の幕開けとなったと言えるでしょう。そして、人類は爆発的に人口を増やし、現在に至ります。
 私がまだ保育園に通っていたころでした。馬車にガラスケースの荷車を取り付けて「ロバのパン屋」がやってきていました。
 ♪ロバのパン屋はピ〜ひょろりん♪
 と音楽を流しながらやって来ました。今から思うと衛生的か非衛生的かは別として、私はこの「ロバのパン屋」が来るのをとても楽しみにしていました。なかでも蒸しパンがすごく美味しかった記憶があります。それから間もなく、この「ロバのパン屋」は馬車から自動車へと姿を変えたのでした。
 「あの馬車に引かれてやってきたパンが食べたい!」と強く願ったものでした。
 話はそれますが、パンマニアでもある私がこれまで食べた最高に美味しい菓子パン。それはパリで食べたペストリーです! ケーキともパンとも言えない絶妙な香りと食感のあれにかなうものいまだなしです。あまりの美味しさに、一度に5つも食べてしまったほどですから。
 断水や停電も結構ありました。道路も三輪自動車が走り回っていました。また、近所には駄菓子屋がありました。当時の私達にとって、それは現在のデパートに匹敵する存在だったと思います。私はこの駄菓子屋で強烈な洗礼を受けます。それは黒糖菓子「クロボー」の洗礼です。5円でくじを引いて、当たれば5人分に値する大きな1本のクロボーがもらえるのです! はずれはいつもの小さな1人分のクロボーです。遊び疲れた体を癒してくれ、お腹も満腹にしてくれるこの甘いお菓子。
「お腹いっぱい食べてみた〜い!!」
 いつもお腹をすかせていた私達にとって、5人分のクロボーは憧れの的であったのです。
 それから10年以上経たボストン留学時代にも、日本から何度かこのクロボーを送ってもらう程、大好物でした。
 ひと時、朝シャンがCMで流行したように、現在は給湯システムの技術で蛇口をひねるだけで24時間好きな時にお風呂に入れるようになりました。私の幼少時代、お風呂と言えば五右衛門風呂でした。薪でお湯を湧かして入るこの風呂は手間や不便さはありましたが、何とも風情があったものです。小学校時代は巨大なニュータウンに住んでいましたが、どの家庭にもお風呂が存在しませんでした。だから、地域ごとに銭湯があり、学校から帰宅するとすぐ友人達と銭湯にでかけては、まだお客さんのいないお風呂で裸の付き合いをしたものです。ちょうどそのころ流行りだしたのがベランダに設置するタイプの簡易のお風呂でした。
 このように、私の子供時代は現在からみればかなり古さを感じますが、決して狩猟採集の生活はしていませんでした。また、食料生産に関わらなくても生きてこられました。
 それから40年後の現在、豊かさや便利さをあたりまえのように享受しているため(特に先進国の人々が人間の幸福追求をするあまり)、人は“大地や資源をすべて所有した”という幻想を信じ、既存の民主主義とか市場主義経済が作り出した世界に埋没しているのではないか、と感じています。しかし21世紀の今、人類は想像できないような出来事に直面しています。環境災害はもちろん、鳥インフルエンザなど、目に見えないウィルス感染の災害が世界各地で起こり続けています。補食されるものと補食するもの、一見残酷に見える食物連鎖ですが、人類が出現したころには既に存在していたこの地球のシステムこそ、最も自然にやさしい……それがすべてだと私は感じます。
 幻想の世界が崩れ始め、地球が自ら「地球は人間だけのものではないのだよ」と訴えています。今こそ「人間とは一体何なのか?」を考える絶好のチャンスではないでしょうか!

※メルマガの最後にライブ情報を掲載しています

  著者近影

たのしろ・ひさお…1958年広島市生まれ。サックス奏者。78年バークリー音楽院入学。在学中から精力的に活動し、帰国後の87年サリナ・ジョーンズの日本ツアーにソロ奏者として参加。91年「25周年記念」のモントルー・ジャズフェスティバルに出演。音楽家はもちろん、多彩なジャンルの表現者たちとのコラボレートを積極的に実践、近年は「音楽教育」の必要性を重視し、広い層の若者たちに個性的な指導を続けている。

ホームページ:http://www.tanoshiro.com
携帯サイト:http://www.tanoshiro.com/m/

【岩崎稔の『大陸人の時間』】第26回

謎のVIPカード

 年が明けての初仕事は、中国の南に位置する雲南省・西双版納(シーシュアンバンナー)への出張だった。去年の最後の仕事が中国の東北・黒竜江省・哈爾浜(ハルビン)だったため、大陸の広さを改めて痛感した。
 哈爾浜はロシア国境の近くだ。外気温は日中でも零下15度まで下がり、短時間でも外に出るときは防寒着はもちろん、防寒帽と手袋、マフラーが必需品だった。一方、西双版納はラオスやミャンマー国境に近い場所だ。気候も雨季と乾季に分かれているだけで、冬がない。空港を出るなり濃い空気の壁がぶつかるように押し寄せてきて、一気にムワーッと暑くなった。
 北と南で撮影をしていて一番感じるのが、日の長さの違いだ。夏はともかく、冬の撮影は一刻を争うもの、だらだらしていると外はすぐに真っ暗になってしまう。哈爾浜での撮影はまさに時間との勝負だった。朝8時半ぐらいにようやく日が出て、街全体が光に包まれるのは10時ぐらい。それから段々と日が沈んでいき、3時にはもう夕焼け空だった。その間に昼食をとると、撮影できる時間は2〜3時間しかない。それに対し、西双版納は昼が長い。朝は大体8時ぐらいから明るくなり始め、夜は7時半ぐらいまで明るい。午前中に撮影がうまく進まなかったとしても、余裕で昼食をとれる。また、レストランや商店も夜中の1〜2時まで開いているので、仕事が遅く終わっても夕食にありつくことができた。
 二つの都市の食習慣も全然違う。哈爾浜は以前ロシアの植民地だったこともあり、一般家庭でもボルシチやロシアパンが食べられている。もちろん主流は水餃子だが。西双版納は漢族以外にダイ族やハニー族など民族の数も多く、更にバラエティに富んでいた。地元では特にバーベキューが人気で、メコン川で取れた魚の他にも鶏、豚、カエルなど何でも焼いていた。主食はパイナップル入り炊き込みご飯や、もち米を使ったものが多かった。

冬の路上で

 しかし、この南北に遠く隔たった二つの都市で私は同じ光景を見た。否、これは昨年、大陸の数十ヶ所を飛び回り、各地で目にしてきたことだが、二つの都市を比較して改めて気がついた。それは、朝のビュッフェ会場の中年男性だ。私は宿泊するホテルで朝食をとるのだが、いつもおじさん集団が信じられないほどの量の食べ物を山盛りにした皿を両手に持ち、保温器の前を食欲旺盛な目をぎらぎらさせて右往左往しているのだ。
 西双版納の朝のビュッフェ会場でもおじさん集団と合い席になった。よくもまあ、朝からこんなに食べられるものだなあと、その食べっぷりに見惚れていると、隣のテーブルに座った坊さんが話し掛けてきた。何だか朝から物凄くテンションの高い坊さんで、呼ばれるままに私は彼のテーブルに移ってしまった。
 すると突然、
 「あなたは恋愛で苦労する。その他は大丈夫だろう!」と言ってきた。
 え、恋愛って、まさか、それはないだろう。突拍子もない言葉に驚いていると、
 「私は九華山の僧侶です」と名刺を渡された。
 その裏には「九華山の寺にお越しの際はVIP待遇でお迎えします」と書かれていた。そしてなにやら金色のカードを取り出し、これは取っておきなさいと渡された。カードには仏の姿が刻まれていた。どうやら最初の突拍子もない言葉は、私の人相を占った結果らしい。食事が済み、そろそろ席を立とうというときである。
「では、お布施をください」
「朝食を食べに来ただけだから、今は持ち合わせがありません」
「あ、そうですか」
 と、坊さんはあっさり立ち去った。
 一体いい人なのか、何だかわからないまま私もレストランを出た。新年早々、またも不思議な人に遭遇してしまったと思った。寺でのVIP待遇とはどういうものなのか、一度行ってみようかな。

著者近影

いわさき・みのる…写真家。1974年、宮崎県生まれ。東京工芸短期大学写真学科卒業、中国人民大学法学部卒業。95年から北京市に暮らし、同市を拠点に活動を続けるかたわら、アジアのフォトグラファーネットワークづくりなどに尽力している。
*現在ANAの機内誌「翼の王国」で、作家の原口純子さんと「中国万事通」を連載中です。

ホームページ:http://www.minoruphoto.com/japanesemainpage.htm

インフォメーション ポータルサイト「北海道人」更新情報

連載【となりの北海道人「私のお父さん」 第33回】

北海道出身、または現在北海道にお住まいの4人の方に、ご自分のお父さんについて語っていただくコーナーです。

今回の「私のお父さん」のタイトルはこちら↓
「受け継いだ畑で給餌をつづける」
「職人気質で多趣味な父」
「夢を追いかけ、夢を与えている」
「書くことと指導を仕事に。現役時代より多忙です」

【となりの北海道人「私のお父さん」 第33回】

田野城寿男 <The 2nd Secret Duo Live>

『メルマガ北海道人』の執筆者としておなじみの、サックス奏者・田野城寿男さんのライブが行われます。今回はヨーロピアンテイスト漂うエレガントサウンドを皆さんにお聴かせするとのことです。

出 演 田野城寿男(サックス)・友成好宏(ピアノ)
日 時 2月29日(金)
     19:00(開場)、19:30(開演)
料 金 \4000(全席自由)
会 場 ミューズクラブ札幌 スタジオフィールズ
     札幌市中央区南10条西1丁目
問合せ ミューズクラブ札幌 TEL.011-512-5432
主 催 FMノースウェーブ
協 賛 ミューズクラブ札幌

※小学生以下のご入場はご遠慮願います

http://www.tanoshiro.com

次号予告

 次号が配信されるころには、冬も本番となります。道内各地で冬のいろんなまつりが続々と始まり、家でじっとしているのがもったいないくらいです。
 さあ、猫といっしょに、コタツを捨てよ町へ出よう!
 次号のメルマガラインナップは、上林早苗の「上海日記」、「とろんのPAI通信」、「危機の時代に―鈴木邦男・和多田進 10年目の往復書簡」です。
 『メルマガ北海道人』第54号は1月24日(木)に配信します。

※インターネットに接続するとメルマガ上の画像をご覧になれます。

メルマガに対するご意見・ご質問などはこちらまで
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