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『メルマガ北海道人』第157号 2010.2.10. ―「北海道人」、サイトシーイング―

 幹線道路を走る観光バスの数が際立って多いこのシーズン。札幌の中心街を歩いていると、後ろのほうからは聞きなれないアクセントの日本語が、両側からは海外の言葉が耳に入ってくるといった状況です。この時期、局地的に北海道人より他の地域からやってきた観光客の数が上回る場所があるはずです。
 「ファッツザパーパスオヴユアヴィズィット?(訪問の目的は何ですか)」
 「サイトシーイング(観光です)」
 全国各地・世界各国からやってきた人たちの中にするりと紛れ込むと、アレアレここは本当に北海道? と思ってしまうこの2週間くらいです。
 『メルマガ北海道人』第157号、観光客を前にするとなぜかいつもより北海道弁を多様したくなるしょや〜配信!

もくじ

連載【岩崎稔の『大陸人の時間』】

 「私はティム・バートン監督の映画『チャーリーとチョコレート工場』が大好きだ。」と宣言する岩崎さんが今回取材で向かった先は、この映画をほうふつさせるイベントでした。チョコレートの滝(?)、ウンパ・ルンパのようなチョコレート職人……。第78回は「北京のチョコレート公園」です。

連載【橋場了吾の『SAPPORO MUSIC LETTER』】

 今回橋場さんが紹介してくれるアーティストは、SEAMOさんです。男性ラッパーと女性ヴォーカルがからみあう、新しいスタイルのヒップホップを作り上げたSEAMOさんのこれまでのストーリーとは、北海道を第二の故郷と呼ぶそのわけは。札幌・ペニーレーン24でのライブは2月13日・14日の2daysです!

連載【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】

 “kiss”の翻訳語として「啜面(てつめん)」という語が明治の辞書に載っているらしいのですが、翻訳語ができる以前はその行為をどう呼んでいたのでしょう。「下品の下限ギリギリのところにエロチシズムの本領は宿る」――今回の「濡れにぞ濡れし」は、和多田進の川柳の講義に頬がちょっとぽっと赤くなる……かも。

【岩崎稔の『大陸人の時間』】第78回

北京のチョコレート公園

 私はティム・バートン監督の映画『チャーリーとチョコレート工場』が大好きだ。工場の中の色彩、流れるチョコレートの川、従業員のウンパ・ルンパ、どれも一度見ると頭から離れない。もちろんジョニー・デップ演じるウィリー・ウォンカ工場長も最高であった。
 先日、この映画を彷彿させるイベントを取材した。北京五輪メーン・スタジアムとして使用された通称「鳥の巣」の北側に「世界夢チョコレート公園」がオープンした。通信社がいち早く取材した写真を見ると、縦2メートル、横10メートルぐらいの「万里の長城」の模型や20センチほどの「兵馬俑の兵士」の模型数百体が全て食べられるチョコレートで作られ、展示されているのだ。早速主催者を探し、オープン前の「チョコレート公園」を取材させてもらうことになった。
 公園といっても野外にチョコレートが展示されているのではなく、幾つかに分かれた仮設の建物が会場として使用されていた。担当者を探して会場内に入ると、すでに甘い香りに引き寄せられた30人ぐらいの報道陣が暗い室内で「チョコレート公園」の公開を待っていた。先に進もうとすると、ミツバチのきぐるみを着た同公園のマスコットが横一列になって道をふさいで、外部者の侵入を防ぐ。知り合いのアルゼンチンのカメラマンが無理に先に進もうとしたが、その「ミツバチ」らによって阻止され、追い返されてきた。
 少しすると担当者が現れてこの公園の施設を紹介した。この「チョコレート公園」は台湾系のイベント会社によって主催され、中国の春節(旧正月)休みや、バレンタインなどがある約2カ月の期間、市民に公開される。なぜこんな公園を作ったのかは、何度聞いてもこれといった答えが返ってこない。きっとだれかの思いつきなのだろう……。

チョコレートのBMWとマスコット

 まず公開されたのが世界のチョコレートコーナーで、ヨーロッパのチョコレートが主に紹介されていた。少し進むと現れたのがチョコレートの滝(?)で、上から甘い香りを漂わせながらドロドロとチョコレートが流れてくる。一番下にあるチョコレートがたまった桶には大人7〜8人は入れそうだ。中国人記者が思わず「なんて無駄なことをするんだ」と感想を述べた。
 さらに奥に進むと白衣をまとった職人たちが何やらチョコレートで彫刻を作っていた。黙々と作業する職人たちはまさに、ウンパ・ルンパのようだ。すぐに報道陣に囲まれて質問を受ける。
 「この作業で一番難しいのはどこですか?」
 ウンパ・ルンパ、いや作業員は真剣な顔つきで答える。
 「チョコレートは溶けやすいので、あまり体温が上がらないよう気を付けています」
 そんなことが可能なのだろうか……。
 例の「万里の長城」や「兵馬俑の兵士」のチョコレートを見学して帰ろうとすると、主催者から、来週チョコレートのファッションショーを企画しているので是非取材しに来てくださいと誘われた。是非取材しますと二つ返事をし、数日後に私は「チョコレート公園」に戻ってきた。
 特設の舞台では例の「ミツバチ」たちがチョコレートの劇や踊りを披露する。そしてなぜか雑技団までも登場して皿を回したり、組み体操をしたりしてチョコレートファッションショーの前座を行った。
 約1時間後、軽快な音楽とともに登場したモデルは古代戦士や中国の少数民族の洋服、ドレスなどチョコレートを使った洋服で登場した。洋服に統一感はなく、甘い香りが漂う奇妙なファッションショーだった。

終わり

著者近影

いわさき・みのる…写真家。1974年、宮崎県生まれ。東京工芸短期大学写真学科卒業、中国人民大学法学部卒業。95年から北京市に暮らし、同市を拠点に活動を続けるかたわら、アジアのフォトグラファーネットワークづくりなどに尽力している。
*現在ANAの機内誌「翼の王国」で、作家の原口純子さんと「中国万事通」を連載中です。

ホームページ:http://www.minoruphoto.com/japanesemainpage.htm

【橋場了吾の『SAPPORO MUSIC LETTER』】 第32回

HIPHOP LOVE SONGの第一人者が辿り着いた一つの答え

 「メルマガ北海道人」をご覧の皆さん、こんにちは。今回も【SAPPORO MUSIC LETTER】では素敵なミュージシャンの魅力をお伝えしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 大航海時代に活躍した探検家といえばコロンブス。コロンブスといえばアメリカ大陸を発見したことで知られていますが、逸話として有名なのが「コロンブスの卵」の話です。「卵を立たせる」という難題を一種のひらめきで可能にしたエピソードですが、それに似たようなストーリーがここ日本の音楽界でも起きました。
 今でこそ日本のミュージックシーンの柱の一つとなったヒップホップ。男性ラッパーと女性ヴォーカルが絡み合うスタイルは、着メロ世代を中心に絶大な支持を受けています。そのシーンのオリジネイター、一種のひらめきでこのスタイルを作り上げたのは今日ご紹介するSEAMOさんです。
 SEAMOさんは愛知県出身、名古屋在住のラッパー・ヴォーカリストです。もともとはダンスに憧れて音楽を聴くようになったというSEAMOさんは、学生時代にMC Hammer(『U Can’t Touch This』が日本でも大ヒットした黒人ラッパー)のラップを聴いて、本格的に音楽にのめり込んでいきます。そこからブラックミュージックに傾倒し、大学時代にはインディーズながらCDもリリースするなど音楽活動をつづけていました。
 そのSEAMOさん、一度はグループでメジャーデビューするも結果が出ずに契約が終了してしまいます。その後、同郷のアーティストがどんどん中央に進出していることに一念発起し、ソロアーティストとして再び表舞台に登場しました。

 2005年にシングル『関白』でデビューし、その時掲げたのが「ラブソングをヒップホップで歌う」というものでした。それまでの日本のヒップホップは日常生活や、社会への風刺を歌ったものが多く、ラブソングを本格的に持ち込んだのはSEAMOさんが最初でした。男性ラップと女性シンガーによる掛け合いが作り出すグルーヴ感と等身大の恋愛模様を歌った歌詞が世代を超えて共感され、シングル『マタアイマショウ』が大ヒット。SEAMOという名前が日本のミュージックシーンにヒップホップラブソングのオリジネイターとして刻まれました。
 2009年10月にはシングル曲を網羅したベストアルバムをリリースし、半年弱の期間を置いて、ついに札幌でライブが行われます。しかも2Daysという力の入りよう。
 「『第二の故郷』と呼んでいるのは北海道だけなんです。他の地方では放送禁止になってしまった歌もたくさんオンエアしてくれたり(笑)。自信を持ってライブをさせてくれたのもこの土地でした。その恩を一生涯かけて返していきたいですね」
 第一の故郷・愛知に住みつづけ、第二の故郷・北海道で恩返しをする……地方と地方がこのような形で繋がるというのも音楽の面白いところです。SEAMOさんの北海道への恩返しを、是非ともより多くの方に体感していただけたらと思います。

【SEAMO ライブ情報】
・SEAMO BEST TOUR 2010
 2010.2.13(土) 札幌・ペニーレーン24 開場17:30 開演18:00
 2010.2.14(日) 札幌・ペニーレーン24 開場15:30 開演16:00

(HP)http://www.seamo.jp/

著者近影

橋場了吾…1975年札幌市生まれ。1998年同志社大学卒業後、札幌テレビ放送入社。ラジオディレクターとして「日高晤郎ショー」「ライブスピカ」等を担当。2005年同社を退社。以後広告制作プロダクションなどを経て、2008年株式会社アールアンドアールを設立し、札幌発の音楽情報WEBマガジン「SAPPORO MUSIC NAKED」を立ち上げる。「音楽で北海道を元気にする」を信条に、札幌にやって来たミュージシャンの取材を続けている。

「SAPPORO MUSIC NAKED」:http://www.sapporo-mn.com/

【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】 第44回

エロは下品に宿る

 どこで知ったのか忘れてしまったが、鴎外が「親嘴(しんし)」という語を遣っているらしいことを思い出した。クチバシを親しくするの意だから、要するに接吻、“kiss”ということだろう。明治のはじめごろの辞典には「啜面(てつめん)」という語も載っていた。もちろん接吻のことである。
 それにしても「啜(セツないしテツ)」は、「すする」の意である。息とともにすすりこむとか息を吸いこむとかと辞典に書いてあるから、そのまま想像すると、接吻はなんとも壮絶な事態であることかと思う。重大決心を要する行為ではないかとさえ思う。
 外来語を翻訳すると、上のような日本語ができてしまうのらしいが、そういう奇妙な翻訳語が考案される以前にも当該行為が日本男女の間で日ごと夜ごと実行せられていたことは間違いない事実だろう。日本髪の女性とチョンマゲの男がそのような行為を実行する図など、いまや想像の範囲を越えている。だがしかし、男女が親密な関係をもてば、その行為自体は自然であったはずなのだ。
 では、明治の翻訳語ができる以前、私たちの祖先はその行為をどう呼んでいたのだろうか――。
 「口吸う」とか「口口」「甘口」と言っていたと辞書にある。隠語では「呂の字」とか「お刺身」と言ったらしい。「呂」は口と口による行為だからだろう。直接的と言えば直接的、下品と言えばこのうえなく下品である。しかし、下品の下限ギリギリのところにエロチシズムの本領は宿る。

 ●おさしみの前に土手をばちょっと撫で
 ●口吸えばかんざしの蝶ひらめいて
 ●宝船しわになるほど女房こぎ
 ●宝船艪を押すような音をさせ
 ●やかましやするにしておけ姫始め
 ●ほうろくへたれると船頭こらえかね

目白・学習院大学前('09.10月)

 最後のにはちょっと説明が必要だろう。「ほうろく」は焙烙で、素焼きの土鍋。「へたれる」はへたり込むの意だから、土鍋にへたり込む姿を見たら船頭がムラムラして我慢できなかった、というのである。野暮を承知で少し先まで言うと、屋形船のうえで女性が尿意を……ということだ。川柳は、妄想によって成り立つとも言えるのである。

 ●道鏡は腕人形もどどつかい
 ●道鏡はすわると膝が三つでき
 ●医者親子ともに女帝はご寵愛

 弓削道鏡(奈良時代後半に現れた怪僧。法王にまでなった)が驚くべき巨根だったという説を知らなければ、これらの川柳の意味は不明となる。しかし、「女帝はご寵愛」はちと難しいかもしれない。

 ●門口(かどぐち)で医者と親子が待っている

 をいっしょに考えてみよう。まず「女帝」の句。道鏡に慣れ親しんでいる女帝は「腕人形」でなくては間に合わないのである。では、「医者親子」をどう解くか。普通、指人形は人差し指と中指を使って操る。それが分かれば後は簡単だろう。薬指はもちろん医者、あとは親指と小指だから「親子」。要するに「医者親子」だ。女帝のホコラ(門口)は五本の指全部を使用せねばならぬほど大きかったということ。女帝はケツの穴の大きなヤツだったのだ! そうなると、「門口」で待っていたのは……、ということ、ですな。
 今回の後技、おっと間違えた、川柳の解説と講義はこのへんで打ち止め、ざんす。

次号予告

 次号の配信は2月18日(木)です。1950年のこの日は、第1回「さっぽろ雪まつり」が開催された日です。雪像は6つでしたが、雪合戦やカーニバルもあわせて行われ、5万人が集まったそうです。
 さて、次号のメルマガラインナップは、上林早苗の「上海日記」、「とろんのPAI通信」、若月元樹の「南の島から――沖縄県黒島の日々」です。
 お楽しみに!

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