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『メルマガ北海道人』第156号 2010.2.4.―「北海道人」、キーンとしばれてます―

 部屋が外のように寒い……外に出るともっと寒い。「しばれますねー」という言葉が挨拶がわりになるこのごろです。ネットで週間天気予報をみると、札幌の最低気温には-10度前後の数字が並び、全国の最低気温ランキングを見てみると、上位の気温は-27〜-25度! 寒いと言っている自分が恥ずかしくなりました。
 気温の低さに相反して、“この冬一番の寒さ”という響きに気持ちが高ぶる自分がいます。外は冷たく中はホット。キーンとしばれる日々のなか、自分の振動数を上げて、深雪をわしわしこいで、積もった雪をどんどんかいて、冬を進んでいきたいと思うのですが、どうでしょう。
 明日からさっぽろ雪まつり、小樽雪あかりの路がはじまります。『メルマガ北海道人』第156号、しばれてる北海道へようこそ、配信!

もくじ

連載【上林早苗の『上海日記』】

 「反虐待動物法」の制定準備がはじまっている中国では、猫肉・犬肉の食用が禁止になりそうだということです。中国の古くからの食文化を変えるこの法律についてはネットでの意見も別れ……。「疲れたら犬」が信念の上林さんの姑さんは……。第75回は「犬猫は食べちゃダメ?」です。

連載【とろんのPAI通信】

 とろんさんの妻・はるかさんがPAIではじめてのバイク乗りを体験しました。サイクリングでも子どものように喜ぶはるかさんは、バイクの40キロのスピードに狂喜。六角堂の火入れ式には30キロの道のりをはるかさんの運転で3人乗り! 行きはよいよい帰りは怖い♪ 第68回は「『未知の世界の人』への角度と距離感」です。

連載【若月元樹の『南の島から――沖縄県黒島の日々』】

 生物を飼育や研究目的で採取する場合などは、県や国に対して何かと申請が必要になるという若月さんですが、その申請について、今ホットな怒りがあるそうです。申請手続きによって海人たちの伝統的な漁法にも影響が……。第49回は「守りたいものとは」です。

【上林早苗の『上海日記』】 第75回

犬猫は食べちゃダメ?

 中国で猫肉、犬肉の食用が禁止になりそうだ。中国で制定準備がはじまっている「反虐待動物法(動物虐待禁止法)」に「犬・猫肉の食用、販売を禁止し、違反者は5000元以下(約7万5000円)の罰金と15日以下の拘留に処する」という一項が盛りこまれるというのである。日本人からすると、「えっ、今まで食べていたの?」というのが実感だが、日常的に犬肉を食べてきた人にとっては一大事。中国の食文化史を変える大きなポイントになるのでは、と思っている。
 まずネット上の統計を見てみたい。「猫、犬の食用禁止をどう思うか」という質問に対して「賛成」と答えた人は20万票中で61%、「反対」は36%、「なんともいえない」が3%という結果になっている。ちなみに賛成の理由のほとんどは「人間のよき友人である犬や猫を食べるのは残酷だから」、反対の理由は「中国の食文化の一つだから」というものだった。
中国は古くから犬食文化をもつ国だ。現在でも東北の朝鮮族のほか、広東省、広西チワン族自治区、湖南省、雲南省、貴州省、江蘇省など広い地域で犬を食用にしている。さらに広州では調理済みのレトルトパックや冷凍犬肉も売られていると聞く。
 浙江省出身のわが姑も「疲れたら犬」「気管支がやられたら猫」というのが信念だ。
 5年ほど前、私が多忙のため疲労のピークにあったころ、姑が大量の肉を引っさげて里から戻ったことがあった。肉がとてもやわらかく香ばしいので何肉かと聞くと、「羊肉」だという。それで会話が終われば私も疑わなかったのだが、このとき姑はいつになく多弁で「妹が手間ひまかけて大事に育てたのよ」「白くて毛がフサフサで、まるまる太っていてね」「きっと精がつくわ」などと言った。
 羊が白くて太っているのは小学生でも承知のことで、説明するほどのことではない。おまけに叔母が羊飼いというのも初耳だ。イヤな予感がして食後に夫を問い詰めると、とうとう白状した。肉の正体は叔母宅で飼っていた「白くて毛がフサフサ」の「まるまる太った」犬である。

明代築の民家に住み着いた猫(安徽省黄山市)

 ウソがバレてすっかり小さくなった姑によると、犬は食用に育てていたらしい。しかし、少なからず情が移ってしまった飼い犬に自ら手をかけるのは気が引けるため、妹と飼い犬を交換してシメた、というのだった。多少のことでは動じなくなった私もこのときは「そこまでして?」と、しばらくぼう然としたことを覚えている。そんな姑だから、このニュースを聞いての第一声は「じゃあ病気になっても、食べちゃいけないってこと?」だった。
 では、猫はどうか。気管支を患ったことはないし、レストランでも見たことがないから犬のときのように知らぬ間に胃に入っていたということはさすがにないだろう――と安心していたが、数年前、ぞっとする話を耳にした。ある上海の小動物愛護家によると、道端で売られている一本5角(約8円)の羊肉串(シシカバブー)が要注意なのだという。上海市内の公園には野良猫がたくさんウロついている。それが冬を迎え、脂肪がつく季節になると、大人の猫がこつ然と姿を消す。さらわれて殺されたあと、肉を羊肉串売りのウイグル人に売られ、皮を縫製工場に売られていくからだ。うわさを聞きつけた関係部署がサンプルを持ち帰り、成分を分析したところ、正体はたしかに猫科の肉だったというから恐怖である。
 ちなみに私は犬や猫を食べようという気は起きないし、飼い犬を食う気はもっと知れない。しかし、私にとっての最大の恐怖はそれと知らずに食べることであって、それが何の動物であったかではない。言ってみればイチゴと思って口に入れたものが実はレバーであった、というのと同じ驚愕である。私がぞっとするのはむしろ、「我らと仲良しになれる高等動物はかわいそうだから食べてはならん(それ以外の動物はよろしい)」という理屈のほうだ。人間の端くれとしてはそうしたエゴがまかり通ることに自己嫌悪を感じてしまうのだが、皆さんはどうなのだろうか。
 「民以食為天(民は食をもって天となす)」――いつの時代も庶民にとって最大の関心事は食であった。その文化が犬猫食用問題でどう変わっていくのか、そこでどんな議論が出るのかに注目していきたい。

かんばやし・さなえ・・・1978年生まれ、奈良出身。京都外国語大学中国語学科卒業。上海在住9年目。中国人の夫と姑との3人暮らし。

【とろんのPAI通信】 第68回

「未知の世界の人」への角度と距離感

 産まれてはじめて自転車に乗って走れたときの新鮮な喜びは強烈で、この重くってデカイ飛行機が何故空を飛べるの?? と思いながらの初飛行に匹敵するフシギ初体験歓喜に似ている。日本とタイを何度も往ったり来たりしているボクらだけど、愛妻はるかなどは毎回のフライトごとに、阿呆のように初心を忘れず、そのフシギ体験歓喜を何度も何度もボクに訴えてくる。そんな彼女が、桃源郷PAIで、ついに産まれてはじめてのバイク乗り体験をした。
 ボクの故郷岡山、吉備路でのサイクリングを子どものように喜ぶ彼女が、ついにPAIで、自転車よりも重くって複雑なるバイクに挑んだ。それも125CCの変速機付きのものだし、山道だから、初心者にしてはハードルが高い。最初はNEW MOON VILLAGEの広場(小学校の運動場くらいの広さで、ヤギ4匹を放っている)で単独操作練習を1時間ほどしたあと、いきなり、用水路と並行して走るガタガタ道の細い山道で「仮免路上走行」をしてみたら(それも、何も知らずに大喜びの3歳半の太一と、教官役のボクの3人乗り)、意外に上手に走れたので、ボクは「卒業試験」をPAIに向かうコンクリート路で実施してみた。もちろん3人乗り、だ。キャー♪とかいって40キロのスピードに狂喜する彼女に、ボクはその日のうちに「卒業免許」を与えてしまった。
 たった1日発作的に練習しただけで、あとは運転しないまま何日か経ち、1月12日の六角堂の火入れ式(葉っぱの屋根も完成し、床の中央に作った囲炉裏も出来上がった!!)の日、翌日13日にPAIを出る予定でもあったので、身と心を清めるために森の中の温泉(山の上から湧き出る80度の源泉が流れ下り小川となり、森を縫って流れる小川そのものが温泉なのだ!! ボクにとってのPAI3大聖地のひとつ)に行った。30キロの道のりを3人乗りで、それも愛妻はるかの第2回目の路上初心者運転で、3人ともノーヘルメット。

母性17 LILY(PAIで2回演奏した日本人によるインド音楽グループ『TARA』のメンバー。抜群の誘惑力を放つボーカリスト&ヨーガの先生)

 「行きはよいよい帰りは怖い♪」は本当だった。温泉まで走りきって気を良くした有頂天の彼女は「帰りも運転する!!!」と断言し、そして「初心者の限界点」を超えたカーブ地点で、あ!!っとマンガのように3人乗りが丸ごとコンクリート地面に投げ出された。太一などは「だっこちゃん」(ボクらの世代に爆発的に流行った、だっこする黒んぼちゃん風船人形)みたいに愛妻はるかにしっかりとしがみついたまま、ボクとのサンドイッチ状態での一体化90度転倒のおかげで無傷だったけど、初心者の彼女は、無余裕必死全力緊張状態で、アチコチ傷と痣だらけとなり、今も日本で足をひょこひょこ引きずって歩いている始末だ。
 その「初心者の負傷」のおかげで、ハードスケジュール??? の中、PAI発を一日延ばし、チェンマイ発を三日遅らせて、1月28日に岡山に向かうことになった。2月1日から岡山のボクらのSPACE「太一や」のOPENを告知しているので、仕込みなどを考えるとギリギリのスケジュールだ。でもこの遅れで、1月26日のボクの50代最期の誕生日に、再び東京タワーに登れることになった。誕生日の人は入場が無料だし、おまけにケーキのプレゼント付きなのだ。富士山右手に沈むオレンジ色のSUN SET を拝みながら、家族で乾杯!!! 昨年の10月9日の愛妻はるかの33歳の誕生日も、333メーターの東京タワーで過ごしたので、この遅れは、きっと、何か「意味」があるのだろう。そういう「意味」は後になって浮上してくるのが常だから、とても楽しみ。
 今、またもや東京の武蔵境駅南口の「EXCELSIOR CAFEE」で「HEART LAND BEER」を飲みながらの早朝酔っ払い執筆。今回の1カ月余りのPAI滞在は「冬休み」として完全無為に過ごそうと決意していたのに、六角堂の再建、友人のバンド『TARA』タイツアーの企画(写真)を2回、つづいて、広島県福山市の紙芝居作家ボビーとまめぞう(写真、母性シリーズの第一回目に登場)たちがPAIにハネムーンにやってきて、山中のNEW MOON VILLAGE のゲストハウス(住人の一人、タイ人アーティスト「ジェアップ」が、自ら設計したアートな斜塔の家に住みながら、ソーラー発電のゲストハウスを三つ作ったのだ)に8泊9日し、やはり2回、紙芝居ライブを企画したりして、そして最期の土壇場で、愛妻はるかがバイクで転倒し、もう、わけのわからない「冬休み」今ここ。
 『メルマガ北海道人』の執筆者のひとり、「かんばやしさなえ」さんの最近の文章に「未知の世界の人として向き合う」ふうなことが描かれていたけど、ボクにとって、極めて親しい友人も、いとしの愛妻はるかも、かわいいひとり息子の太一も、ボクを育ててくれた痴呆の父も、全て「未知の世界の人」として向き合えれば「小さなことにも腹たたず」「未知の世界への探求もできる」のだから、さっそくためしてみようかなあ。

    いよいよはじまる痴呆進化の父との対面に、怯え喜ぶとろんより

著者近影

とろん・・・1969年高校卒業直後、フランス郵船に乗ってインドに上陸し地球放浪を始める。帰国後、専門学校、大学、夫などを中退しながらも、旅と文筆とライブ活動を続行し、今に至る。著書に『純粋単細胞的思考』『まるだしのエクスタシー』『とろんのダイジョーぶ経典(スートラ)』(共に、晩聲社刊)があり、この3年間は『とろんのPAI通信』を(なまえのない新聞)に連載中。2001年、50歳のときにタイのPAIに流れ着き、MOON VILLAGEという村つくりを展開しながら、(くるくるPAIバンド)を率いPAIでライブ活動中。

ホームページ:http://amanakuni.net/toron/

【若月元樹の『南の島から――沖縄県黒島の日々』】第49回

守りたいものとは

 私の職場は業務上、県や国に対して何かと申請が必要となる。生物を飼育や研究目的で採取する場合の許可などである。
 最近、「これって法的に問題ないかな」と思って調べてしまうと申請が必要になったりするので、あまり真面目に調べないほうが良いかもと思ってしまったりもしている。その上、担当者は法律や条例を盾に簡単には受理してくれない。また、法律や条例の改正による申請内容の変更なら納得がいくものの、担当者が変わる度に担当者の言い分に合わせて変更しないと通してもらえなくなることは腑に落ちない。
 今、私のなかでのホットな怒りは、研究のために「特別採捕」などという許可を得て採集したものの研究後の取り扱いである。「研究」目的で申請しているのだから「展示」するのはおかしいと言うのである。しかも、「教育」目的での使用は「研究」にふくまれるそうだが、「展示」して広く公開することは、「教育」には当たらないという。
 最近、私の職場が「研究」のために許可を得て採集し所有するあるものを、沖縄県立博物館の要望に応じて貸し出した。そのことを、沖縄県の某担当課がちょっとした問題にしている。県立博物館がその企画展で入場料を徴収することから、「教育」目的ではなく、「営利」目的だと主張するのである。無償で貸し出しており、貸し出した我々に対して報酬があるわけではないからいいじゃないかと主張しても、担当者は納得しなかった。彼らの頭の中では授業料を取る国公立の高校や大学も「教育」施設ではなく「営利」施設と考えるのだろうか。その担当者が自分の仕事に誇りを持っているならば、その主張に応じて県立博物館が2月5日から開催するその企画展を阻止するべきである。

研究所が特別採捕許可で採集したあるもの

 私の職場である黒島研究所は、遠足や修学旅行での団体見学をよく受け入れるのであるが、教職員の中には「学校なんだから無料にして」と言ってくる人も少なくない。私は「あなたがボランティアで教壇に立っているのであれば、賛同します」と言うと、それ以上抵抗されることは今のところない。
 黒島研究所は沖縄県の某担当者の解釈で言う「営利」施設を目指し、沖縄県の別の担当課に博物館登録を申請中である。申請書類を出すこと自体も抵抗されたが、受理後に実施されるべきであるはずの審議すら開かれない。電話をしても「不在」だったり、「戻り次第電話させます……」と言われるが電話はない。しかし、この件に対してはなぜかストレスを感じない。私の怒りは申請などが通らないことではなく、担当者自身の「納得」が許可する際の判断材料になっていることに対する怒りのようだ。2〜3年でコロコロ変わる担当者の「納得」に合わせて申請の仕方がコロコロ変わることは明らかにおかしいと考える私は、心の安定のために申請関係の書類のほとんどを、担当者の矛盾に怒る私とは反対に、相手の矛盾を笑うドライな同僚に任せている。
 申請を厳しくすると、真実が表に出にくくなる危険がある。なぜなら、研究の場合はあらゆる申請を出した上で活動しないと、研究成果を発表できない。
 一方、海人と呼ばれる漁師たちは面倒な申請をしてまでも……となる。罰則を厳しくすると海人たちはウミガメを獲らなくなる。ウミガメも守られなければならないが、ウミガメ漁という伝統漁法も守るべきであると我々は考えている。八重山の海人が漁の対象としているアオウミガメの生息数は深刻な状況ではなく、担当課も捕獲枠を広げようとしている。しかし、海人は敬遠する。一度漁から離れたら再開は厳しい。
 漁獲対象のウミガメが減少したからではなく、面倒な申請によって伝統的な漁法が衰退していくこの状況が私は残念でならない。
 申請によって守りたいものとは一体何なのであろうか。

著者近影

わかつき・もとき・・・1974年広島県生まれ。沖縄国際大学大学院地域文化研究科修了。高校まで広島で過ごした後、沖縄の祖母の家へ移り住む。大学卒業後、そのまま沖縄でサラリーマンになったが、遊び足りなくて退職。大学院へ行ったはいいが、みんなまじめに研究していて衝撃を受ける。現在は八重山諸島の黒島にあるNPO法人日本ウミガメ協議会の附属研究所・黒島研究所でウミガメや島の人々らと戯れている。

黒島研究所ホームページ:http://www.kuroshima.org/

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**『北海道人』 in さっぽろ雪まつり**

2月5日からはじまる第61回さっぽろ雪まつりでは、大通7丁目HBCドイツ広場に『北海道人』ブースが出店します。雪まつりで生まれた「雪ミルク」をはじめ、「夕張石炭ラーメン」「さっぽろピロシキ」など北海道らしい食べ物をそろえてお待ちしております。ぜひお立ち寄りください!

イベントは終了しております。

次号予告

 次回の配信は2月10日(水)です。バレンタインデーも間近ですので、街のお菓子屋さんやデパートには額に青筋立ててチョコ選びをする女子たちであふれるころでしょう。チョコ売り場が女の戦場に見えるのは私だけでしょうか。
 さて、次号のメルマガラインナップは、岩崎稔の「大陸人の時間」、橋場了吾の「SAPPORO MUSIC LETTER」、和多田進の「濡れにぞ濡れし」です。お楽しみに!

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