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『メルマガ北海道人』第151号 2009.12.24.―「北海道人」、ホワイト・クリスマス・イブ―

 例年、札幌やその近郊ではクリスマスのころから根雪になり、ギリギリでホワイト・クリスマスを迎えることができるという記憶があります。今年の「雪降らし係」は仕事が早いようで、だいぶ前からせっせと雪を降らせています。おかげでもう何度も本格的な雪かきをすることになりました。「クリスマスには街は白くなるかな……」などというロマンティックな期待は除雪の汗とともに流れ、雪でガタガタになった道路を走るバスに揺られていると、荷馬車に乗せられた牛になったような気分になります。
 雪かきしたり揺られたりで、ちょっと疲れぎみのホワイト・クリスマス・イブをお迎えではありませんか?
 『メルマガ北海道人』第151号、充分すぎるほどのホワイト・クリスマス・イブに2009年ラスト配信!

もくじ

連載【岩崎稔の『大陸人の時間』】

 今回は国際電話がつながらない農村から原稿が届きました。8月に訪れ、「大陸人の時間」でも紹介した「美人谷」に再びいるという岩崎さん。結婚式に参加するという約束を果たすために、暮れも押しせまるなか、「美人谷」に向かったそうです。さて、今回はどんな旅になったのでしょう。第75回は「ギャロン・チベット族の農家から」です。

連載【橋場了吾の『SAPPORO MUSIC LETTER』】

 今回橋場さんが紹介してくれるアーティストはDAISHI DANCEさんです。音楽関係者の多くが、現在のハウスシーンで最も注目されているDJに推すのではないかと、橋場さんは言います。全国、全世界を飛び回るDAISHI DANCEさんは、札幌出身で札幌在住。曲作りの秘密はそのあたりにありそうです。

連載【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】

 「濡れにぞ濡れし」第41回のタイトルは「風狂老人への第一歩」です。今回は禅師一休宗純、一休さんの狂歌を紹介しつつ、解説もしつつ、自ら深読みに流れるきらいがあるという和多田進的読み方がつづられています。ああ、テレビアニメの一休さんとはずいぶん違って、大人の男の一休さんです。

【岩崎稔の『大陸人の時間』】第75回

ギャロン・チベット族の農家から

 「あっ」という間に時間が過ぎてゆく。今回が今年最後の原稿になってしまった。そんな原稿だが、ちゃんと納品できるか心配である。
 只今、四川省カンゼ・チベット族自治区丹巴の通称「美人谷」と呼ばれるカカ村の農家でこの原稿を書いている。この村は今年8月に一度訪ねたことがある。「大陸人の時間」でも2回に分けて秘境「美人谷」への険しい道のりを紹介した。もう一生訪れることのないと思ったこの秘境に、年末も押し迫ったこの時期にまたやって来た。しかも今回は農家に一人で泊まり込みだ。
 事のはじまりは8月の取材でのラムさんとの出会いだ。その時はまだ妊娠中だったラムさんのお姉さんが無事出産し、めでたく結婚することになった。結婚する時は是非式に参加すると約束していた。実際に日取りが決まったので取材をかねてまた「美人谷」を訪ねることになった。
 カカ村では傾斜のある山の途中にギャロン・チベット族風の石畳の民家が連なっている。8月にこの村を訪れたときは、高温の日中でも涼しい風が吹いていて過ごしやすかったが、冬場はとにかく寒い。
 今まで延安の「窯洞(ヤオドン)」や江蘇省の農家など、中国各地でお泊まりさせてもらってきたが、チベット族の農家は中国でははじめてだ。式の前日、久しぶりに大きなバックパックを背負い、寝袋持参でカカ村に到着した。もちろんこの村までの道のりは前回紹介したように今回も大変だったが省略する。

カカ村

 ラムさんの家に着くと、既に近所の村人たちが行ったり来たりと慌ただしく式の準備を手伝っている。村人と親せきで総勢60人はいるだろうか。新郎は婿養子に来るそうで、明日の式はラムさんの家の横にある先月植えたばかりの小麦畑の上に大きなテントを張って行われる。総勢400人は参加するらしく、準備も大掛かりだ。食事の準備だけでも400人分と考えると恐ろしい。ラムさんの家は2階建てで、見晴らしのよい大きなベランダがある。前日は特にイベント的なものはなく、ひたすら料理や会場の準備に追われる。夕方、チベット風の麺をご馳走になる。ラムさんの畑で今年とれた麦で作った麺と、秋に収穫したサンショウの効いたとろみのあるスープが絶品だ。仲良くなった村人たちと麺をすする。
 夜が近づくと親せきたちがトランプをはじめる。トランプは夜遅くまでつづく。このままでは私の寝場所が空かないことを察したラムさんが、近所の親せきの家に連れて行ってくれる。
 夜道、空を見上げると、これまでに見たこともないほどの星空が広がっている。大げさかもしれないが、空にこんなに星があったことに気付かされて感動する。
 通された部屋には鮮やかな色彩で龍の絵が描かれたチベット風ベッドが三つあり、ステレオとテレビも置かれていた。壁には大きなポタラ宮のポスターが貼られ、いかにもチベット族の部屋といった感じがする。
 農村の暮らしは都会の暮らしより不便で、朝早くから厳しい労働を強いられる。けれども村人たちに、景気が悪くて将来に不安を抱いている都会の人たちのようなストレスは、外から来た私にはみじんも感じられない。
 「いくら働いてもあなたたちほど稼ぐことはできない」
 笑いながらあっけっけらかんと愚痴る村人に、戸惑いながらも改めて自分が恵まれていることに気づかされる。
 私はラムさんの伯父さんとこの部屋に泊まることになった。用意してくれた布団では寒くてとても眠れそうにないので、持参した寝袋を広げる。こうして暗闇の中で今年最後の原稿を書かせて頂いている。無事届くであろうか………。

終わり

著者近影

いわさき・みのる…写真家。1974年、宮崎県生まれ。東京工芸短期大学写真学科卒業、中国人民大学法学部卒業。95年から北京市に暮らし、同市を拠点に活動を続けるかたわら、アジアのフォトグラファーネットワークづくりなどに尽力している。
*現在ANAの機内誌「翼の王国」で、作家の原口純子さんと「中国万事通」を連載中です。

ホームページ:http://www.minoruphoto.com/japanesemainpage.htm

【橋場了吾の『SAPPORO MUSIC LETTER』】 第29回

北のマエストロが綴る壮大なる物語巨編

 「メルマガ北海道人」をご覧の皆さん、こんにちは。今回も【SAPPORO MUSIC LETTER】では素敵なミュージシャンの魅力をお伝えしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 今日ご紹介するのはDAISHI DANCE……名前を聞いたことがある方は多いかもしれません。現在のハウスシーンで最も注目されているDJといえば、DAISHI DANCEさんを推す音楽関係者は多いと思います。そのサウンドはハウスミュージックをベースにしているものの、クラシック・ジャズ・ポップスはもちろん、和楽器も取り入れてしまう懐の深さを持っています。
 そのサウンドの源泉は札幌にあります。というのもDAISHI DANCEさんは札幌出身で、全国いや全世界を飛び回る大活躍をしている現在でも札幌在住なのです。
 旅の途中というのは、音楽を想像するのに持ってこいの時間。そこで浮かんだアイディアを具現化するには住み慣れた札幌が最適。平日は札幌で音楽を作り、週末は全国へDJプレイの旅に出る……それが現在のDAISHI DANCEさんの生活スタイルです。
 10月7日にリリースされた3rdアルバム「Spectacle.」には、旅の途中の風景からインスパイアされた楽曲がぎっしり詰まっています。

 歌姫・中島美嘉さんをフィーチュアした「Memory」、登別出身の三味線奏者・吉田兄弟の弾く旋律が印象的な「Renovation」、ヒーリングミュージックの第一人者・Yoshiki of 姫神と共演した「SUNSET IN THE LAKE」、MONKEY MAJIKのレイナードさんをヴォーカルに迎えた「Find My Way」……数多くのトップミュージシャンをDAISHI DANCEサウンドに染めた壮大な物語巨編、それが「Spectacle.」です。
 「札幌だとリラックスして自然に曲が出てくるんです。週末は色々な場所でDJをしているんですが、平日に必ず札幌でリフレッシュできるというのは大きいですね。北海道に住んでいる人が作っている音楽、という風に聴いてもらうとより説得力があるのかなという気もしますし」
 全ての音楽が東京に一極集中しているわけではない時代ではありますが、札幌に住みながらにして全世界に届く音楽を作り出している、素晴らしいマエストロ(大音楽家)がいる……そのことだけでも私たち北海道人の希望でもあり、誇りでもあります。そのDAISHI DANCEさんのリリースパーティは12月28日。少し遅い時間からのスタートではありますが、北のマエストロの奏でる北海道産の音楽に身を委ねてみてはいかがでしょうか……。

 今回が2009年の最終回となります。来年も素晴らしいミュージシャンをご紹介していきますので、よろしくお願いします。2009年も1年間、ありがとうございました。

【DAISHI DANCE ライブ情報】
・DAISHI DANCE presents.
“Spectacle.” RELEASE PARTY in SAPPORO

 2009.12.28(月)
 札幌・Zepp Sapporo 開場・開演22:00

(HP)http://www.daishidance.jp/

著者近影

橋場了吾…1975年札幌市生まれ。1998年同志社大学卒業後、札幌テレビ放送入社。ラジオディレクターとして「日高晤郎ショー」「ライブスピカ」等を担当。2005年同社を退社。以後広告制作プロダクションなどを経て、2008年株式会社アールアンドアールを設立し、札幌発の音楽情報WEBマガジン「SAPPORO MUSIC NAKED」を立ち上げる。「音楽で北海道を元気にする」を信条に、札幌にやって来たミュージシャンの取材を続けている。

「SAPPORO MUSIC NAKED」:http://www.sapporo-mn.com/

【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】 第41回

風狂老人への第一歩

 ○今日ほめて明去(あす)わるくいふ人の口泣くも笑ふも嘘の世の中

 ○皮にこそ男女(をとこをんな)のへだてありほねには変はる人形(ひとがた)もなし

 ○此世(このよ)にて慈悲も悪事もせぬ人はさぞやゑんまも困りたまわん

 ○お引きとりくだされなどヽ洒落(しゃれ)かうべ嘘の皮をば面(めん)にかぶりて

 ○世の中は食ふて稼いで寝て起きてさてそのあとは死ぬるばかりぞ

 ○世の中はへちまの皮のだん袋底がぬければ穴へどんぶり

 ○我こそは屁たれ坊主よ芋食ふてつと消えなん身こそ安けれ

 ○始めなく終りもなきにわが心生まれ死するも空(くう)のくうなり

 ○三とせまで作りし罪ももろともについには我れも消え果てにけり

 ○傾城(けいせい)は弘誓(ぐぜい)の船のわたし守(もり)にゆく人を乗せぬ日はなし。

 最後の狂歌は少し説明が必要だろう。「傾城」は元来、絶世の美女の意だが、一般には遊女を意味する。『漢書(かんじょ)』に「一顧すれば人(ひと)城を傾け、再顧すれば人(ひと)国を傾く」とあって、女性に溺れることの恐ろしさが喚起されている。弘誓は、人びとを救済しようとする仏の御心、だろう。「し」は、「死」と「する」のかけ言葉と読む。交合する、セックスする、のするだ。「ましょうよ」と言えば、そのは性交のことに違いなく、深読みすれば「死」は「」の際に、「死ぬ死ぬ〜」と叫ぶ者もいるらしいと聞くから、そこに至るのかもしれない。傾城は「する人を乗せない日」がないのでもあるし――。
 ともかくこれら狂歌の主は風狂人・禅師一休サンの作ということになっている。

江東区小名木駅交差点('09.7月)

 美人の陰(おん)、水仙花の香有り。
 楚台応(そだいまさ)に望むべし、更に応に攀(よ)ずべし、半夜、玉床、愁夢の間。
 花は綻(ほころ)ぶ一茎(いっけい)、海樹の下、凌波仙子(りょうはせんし)、腰間を遶(めぐ)る。

 もちろんこれも一休サン。題は「妻の股ぐらに水仙の香りが」だろうか。楚の王が登った望楼に登ろうとした。深夜、閏房で妻と。それはしかし悲しい夢であった……。
 この歌をどう読むのが正しいのか、私にも分からない。私の読みは深読みに流れるきらいがあるけれども、この『狂雲集』のこの一休サンを私は字面の通りに読むことができないでいる。水仙の香りが腰のあたりをただよいあふれ、その香は長々と離れずに腰のまわりにめぐっている、というのだから。
 一休サンは自ら夢閨とも名のっていたのだった。
 老いた自らを「老狂の薄倖」とも称したらしい。「老人」とは病気の別称でもあって、病いは老人にとって大切な隠れみのだともいう。さて、いよいよ私も薄倖の老狂になるときがやってきたように思う。年末に新年の挨拶というのもおかしなもんだが、ここは老狂に免じて乞うおゆるし。一休サンを引いて今年を終わろう。

 門松は冥土の旅の一里塚馬(うま)駕籠もなく泊り屋もなし

 この狂歌、下の句には異説もある。すなわち、「目出たくもあり目出たくもなし」と。いずれも私には好ましくある。それでは、良いお年を。

次号予告

 12月31日のメルマガはお休みします。次号の配信は2010年1月7日(木)です。これからクリスマス、大晦日、正月を迎えるわけですが……皆さんの胃袋の気持ちを代弁して一首。
 七面鳥雑煮におせちに屠蘇(とそ)に屠蘇 草の粥はまだかまだかな

 さて、2010年第1号のメルマガラインナップは、上林早苗の「上海日記」、「とろんのPAI通信」、若月元樹の「南の島から――沖縄県黒島の日々」です。
 お楽しみに!
 良いクリスマス、良いお年をお迎えください。

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