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『メルマガ北海道人』第147号 2009.11.26.―「北海道人」、めまぐるしい―

 日によって寒暖の差が激しいここ最近は、毎朝、「今日は冷え込むからね」「今日はあったかくなるみたい」などと自分の身体に言い聞かせてから家を出ることが多いような気がします。めまぐるしく変化する気温にあたふたする日々――もう少しすると「寒い寒い」に落ち着くのでしょうか。
 しかし、「今日は積雪2センチ」「今日は、あああー30センチ!」などとカーテンを開けてはホッとしたりビックリしたりする日々が間近にせまっていると思うと、それだけでめまぐるしく感じて心拍数が上がります。
 まもなく師走――冬への完全なる移行、大きな年中行事を控えてこころのウォーミングアップはかなりイイ感じです。めまぐるしいシーズンよ、カモーン!
 『メルマガ北海道人』第147号、ウォーミングアップのし過ぎでガス欠に注意配信!

もくじ

連載【岩崎稔の『大陸人の時間』】

 空気の悪い北京に住みはじめてから、子どものころの持病、喘息をぶり返してしまったという岩崎さんは、新型インフルエンザにかなりの注意を払っているそうです。そんななか、とうとう体調を崩してしまったそうなのですが、新型でも普通の風邪でもないよう……。第73回は「オバマ風邪上陸」です。オバマ風邪??

連載【橋場了吾の『SAPPORO MUSIC LETTER』】

 みなさんは「イカ天」という音楽番組をご存知でしょうか? 今回橋場さんが紹介してくれるアーティストは、その「イカ天」でグランドチャンピオンに輝いたBLANKY JET CITYの元メンバー、現在はソロとして活躍している浅井健一さんです。ニューアルバム『Sphinx Rose』を引っさげてのライブも間近です!

連載【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】

 「『過去は水に流す』ということが私たち日本人にはある。『死者にムチ打つ』のがはばかられるのは世の常だろう。」。日本人の常識や美徳がかならずしも他の国の人に通じるとはかぎらない、と編集長・和多田進は言います。「過去は水に流す」をキーワードに、北朝鮮の拉致問題やオバマ大統領の広島・長崎訪問などを読み解きます。

【岩崎稔の『大陸人の時間』】第73回

オバマ風邪上陸

 最近、北京の地元紙に、各地の衛生局が新型インフルエンザの患者数や死者の数を隠蔽しているのでは、といった衝撃的な記事が掲載された。政府の厳しい検閲がある地元紙にこういった記事が掲載されるということは、事態はかなり深刻なのだと感じる。実際、周りの人から風邪や新型インフルエンザにかかったという話をよく耳にする。北京の日本人学校は、高熱と風邪の症状の生徒が多発したため、休校に追い込まれた。  
 私はこの空気の悪い北京に住みはじめてから、子どものころの持病、喘息をぶり返しているため、新型インフルエンザにかかると厄介だ。かなりの注意を払ってここまで乗り切ってきたが、とうとう体調を崩してしまった。症状からして新型インフルエンザではないようだったが、ただの風邪でもなかったと分析する。病名は「オバマ風邪」だ。
 先日、米国のオバマ大統領が日本やシンガポールを訪問した後、中国を初訪問した。私は前日から関節に痛みを感じ、食欲が無かったのだが、オバマ大統領中国到着の取材をするために上海へ向かった。つい最近上海を訪れた時はかなり暖かかったのに、今回はセーターにコートを着ていても寒い。雲行きが怪しく、空港からホテルに向かう途中、小雨がぱらつきはじめた。
 オバマ大統領は深夜10時20分に上海空港に到着予定だった。我々取材陣は午後6時ごろ市内で集合し、バスに乗って空港へ向かった。こういった取材の場合、集合時間がやたら早い。市内から空港までバスで1時間もあれば到着してしまう。その間に撮影機材などの安全検査を済ませなければならないが、それでも時間はタップリある。
 さすがに米国の大統領ともなると取材陣の数も多い。各自いいポジションでオバマ大統領到着の撮影をしようと、バスの出口に素早く席を取ったり、安全検査を素早く通り過ぎたりと、チョットしたレースが繰り広げられる。

首都北京の路地

 深夜10時20分、オバマ大統領の専用機はまだ到着しない。我々は空港の待合室で到着を待つ。深夜11時、やっとバスに乗って到着する滑走路へ向かう。バスの外では叩きつけるような雨が降っている。撮影場所に到着すると一斉にカメラマンたちが撮影台に向かって走る。専用機が到着する滑走路は真っ暗、しかも雨と風でカメラを構えることも難しい。
 約20分雨に打たれたところで、専用機が到着した。傘をさしたオバマ大統領が急ぎ足でタラップを降りてきて車に乗り込み去って行った……。約10秒の出来事だった。何度かシャッターを切ったが、ピントが合っていたのは2、3枚だけだった。
 ホテルに戻るとすでに深夜2時を回っている。翌朝一番の飛行機で北京に戻り、オバマ大統領北京到着の取材をしなければならない。ホテルのバスタブにお湯をため体を温めるが、寒気と咳が止まらない。
 翌日、北京にもどり、市内で集合して空港に向かう。北京は零下7度。スキーウエアーのようなものを着こんでも寒い。撮影位置に2時間30分前につく。吹きさらしの滑走路は体感温度が零下10度にもなりそうだ。風のせいか寒さのせいか、記憶が薄れてゆく。
 長い待ち時間の後にオバマ大統領の専用機が到着した。大統領は昨日とおなじく足早にタラップを降り、車に乗り込み去って行った……。
 翌日、オバマ大統領が故宮を見学する。だれもいない故宮で3時間以上待たされる。熱はないのだが、咳と痰が止まらない。
 最終日、オバマ大統領が次の訪問地韓国へ向かう。もちろん私は吹きさらしの空港の滑走路で専用機に乗り込む大統領を待つ。鼻水が止まらず、ちり紙がいくらあっても足りない。私はこの風邪を「オバマ風邪」と命名するのであった。

終わり

著者近影

いわさき・みのる…写真家。1974年、宮崎県生まれ。東京工芸短期大学写真学科卒業、中国人民大学法学部卒業。95年から北京市に暮らし、同市を拠点に活動を続けるかたわら、アジアのフォトグラファーネットワークづくりなどに尽力している。
*現在ANAの機内誌「翼の王国」で、作家の原口純子さんと「中国万事通」を連載中です。

ホームページ:http://www.minoruphoto.com/japanesemainpage.htm

【橋場了吾の『SAPPORO MUSIC LETTER』】 第27回

全てを注ぎ創り出した“神秘”と“淫靡”の最高傑作

 「メルマガ北海道人」をご覧の皆さん、こんにちは。今回も【SAPPORO MUSIC LETTER】では素敵なミュージシャンの魅力をお伝えしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 皆さんはかつて土曜日の深夜に一世を風靡した、とあるテレビ番組を覚えていらっしゃいますでしょうか? その名も「いかすバンド天国」……略して「イカ天」と呼ばれていた番組は、日本中のアマチュアミュージシャンの憧れの的となりました。毎週10組近いバンドが登場し、その中からトップ評価を得たバンドが前週のチャンピオンに挑戦していきます。5週勝ち抜くとグランドチャンピオンの称号が与えられ、暗黙の了解で(笑)メジャーデビューを果たすことができるというこの番組からは、多くの素晴らしいミュージシャンが輩出されました。
 その中でも、ひときわやんちゃな空気を放っていた特異なバンド、それがBLANKEY JET CITYというスリー・ピース・ロック・バンドでした。茶色く染めたリーゼント風の髪型に上半身裸でギターをかき鳴らす、セクシーで危険な香りがプンプンするミュージシャン、その方こそ今日ご紹介する浅井健一さんです。
 浅井さんは高校時代からプロのミュージシャンを目指し、地元・愛知から上京。東京でBLANKEY JET CITYを結成し、「イカ天」で5代目グランドチャンピオンに輝きました。
 1991年にメジャーデビューして全国的に人気を博しましたが、2000年に惜しまれつつも解散。その後はSHERBETSやJUDE、AJICOといったバンドを経て、2006年からソロ名義で活動をしています。

 ソロとして4枚目のアルバム「Sphinx Rose」が9月30日にリリースされました。そのアルバムを引っさげてのライブが12月19日・土曜日、札幌・ペニーレーン24で行われます。
 「Sphinx Rose」……聴きなれない言葉ですが、これは浅井さんの造語です。
 「人の心の中にずっと残っている美しいもの、そういうものであってほしいと思って付けたんだ。カッコいいタイトルだよね。なぜか思いついたんだよ(笑)」
 そのタイトル通り、“神秘”と“淫靡“という言葉がピッタリの全13曲が収録されている「Sphinx Rose」ですが、ドライブ中に聴いているとどこか違う世界に連れていかれるような感じさえします。「Sphinx Rose」を聴くことで、普段見慣れている風景が違って見える。そして、違う世界に迷い込んだかのような感覚に襲われる……そんな不思議な魔力が備わっているアルバムです。
 浅井さんに「長い間音楽をつづけていける秘訣は何ですか?」と尋ねたところ、こんな答えが返ってきました。
 「秘訣は何もないよ。やろうと思えばいつまででもできるんだけど、認められつづけるというのは、たまたま自分が音楽に向かってあらゆるものを注ぎ込んで作ると、それを聴きたいという人がたくさんいてくれたんだ。新しいアイディアが次から次へと出てくるんだよね。だからこれを形にしたい……そこからいつもはじまるんだよ」
 「イカ天」を見てミュージシャンに憧れた世代としては神様のような存在、浅井健一さんのライブまで、あと少し……です。

【浅井健一 ライブ情報】
・浅井健一 2009-2010 LIVE HOUSE TOUR“GOD MOTEL”
 2009.12.19(土)
 札幌・ペニーレーン24 開場17:30/開演18:00

(HP)http://www.sexystones.com/

著者近影

橋場了吾…1975年札幌市生まれ。1998年同志社大学卒業後、札幌テレビ放送入社。ラジオディレクターとして「日高晤郎ショー」「ライブスピカ」等を担当。2005年同社を退社。以後広告制作プロダクションなどを経て、2008年株式会社アールアンドアールを設立し、札幌発の音楽情報WEBマガジン「SAPPORO MUSIC NAKED」を立ち上げる。「音楽で北海道を元気にする」を信条に、札幌にやって来たミュージシャンの取材を続けている。

「SAPPORO MUSIC NAKED」:http://www.sapporo-mn.com/

【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】 第40回

過去は水に流せるか

 「過去は水に流す」ということが私たち日本人にはある。「死者にムチ打つ」のがはばかられるのは世の常だろう。世の常といっても、この場合の世は日本のことであって、ヨーロッパや中国やは、この場合の「世」の概念には入っていない。つまり、日本では、言い換えれば日本人は、「過去は水に流し」「死者にムチ打」たないのが常識であり美徳なのである。これは、私たち日本人の人生観であり、処世術であり、美意識でさえあるのではないか――。
 日本人の、ということは、日本人以外は必ずしもそうではないということである。過去を水に流してしまうということは、過ぎ去ってしまった時間、事柄についての責任など問わぬがよろしい、ということを意味する。
 実例で考えると分かりがいいかもしれない。たとえば1945年に「終わった」あの戦争である。私たち日本人は、あれで被った被害を水に流してしまった。加害についてもさらりと水に流してしまっているのではあるまいか。被害のことはいったんおくとしても、加害のほうは水に流しちゃうのは簡単な話じゃないのに、である。こっちが忘れても相手は忘れていないのだから。
 拉致問題が進展しないのは、必ずしも北朝鮮に責任があるのではない。進展しない多くの問題は日本の側にあるのである。その多くの問題のなかの大きな問題が「過去」にかかわる認識だろうと思う。
 日本人のだれもが水に流して忘れてしまっている加害の過去が、ずっと尾を引いて拉致問題の根底に横たわっているのである。もちろん、拉致した北は悪いに決まっている。ところが、起こってしまった問題の解決には、さらにそれ以前の過去に関する問題が未解決のまま放置されていることが多いのだ。韓国とも、中国とも、その他多くの国々とも、日本は過去をめぐる問題を抱え込んだままなのだ。

江東区白河1丁目('09.5月)

 米国大統領オバマ氏が来日したにもかかわらず広島・長崎に行かないのは、過去に関する両国の間に食い違いがあるからだと私は考える。日本人は、原爆を投じた責任を追及したくてオバマ氏に彼の地に行ってほしいと思ったのではない。ところが、オバマ氏のメンタリティに「過去を水に流す」習慣はない。だから、広島・長崎に行くことに大きなためらいが生じたのだ。日本人にとって原爆を投下されたことは水に流せる過去だが、オバマ氏にとって原爆を投下した過去は水に流せるようななまやさしい過去じゃないのである。これは認識における一種の皮肉だろう。
 だから、アウシュビッツの問題など、ほとんどの日本人には理解しにくい話となる。どうしてそんなに長い間、憎しみが持続するのか?
 南京事件も加害者たる日本人は忘れちまっている。けれども、被害者たる中国人は決してあれを忘れはしない。この相反するメンタリティが、どういう具合に折り合いをつけていくか、それがこれからの日本の大きな問題になるだろう。
 ここには、時間というものに関する私たち日本人の感覚も介在しているに違いない。さらに、「私」というものに対する認識の違いも介在しているだろう。「私」の眼から見える「世界」と、他者が見る「世界」についての相違に思いいたらねば、「世界」は解けない謎でありつづける。
 あちこちの国々を旅行したところで、「世界」は視えないのではあるまいか。「私」の眼にしがみついているかぎり、「世界」は単に「私」の「世界」であって、客観的に存在しつづけているはずの「世界」にはほど遠い。
 ついに「世界」は視えないものだということは分かりきっているのだが、その決して視えることなどない「世界」を視るために、「私」は、その眼を磨かねばならぬのではあるまいか。要するに、すべては相対的だという認識に近づくために、私は「私」という眼を磨きつづけたい、磨きつづけねばと思うのである。

次号予告

 次号の配信は12月3日(木)です。ついに師走です。しかも3日も過ぎてます。お歳暮、クリスマス、大掃除、正月の準備などをしながらメルマガの下ごしらえをしなくては。みなさんも忙しい手をひととき手を休めて、メルマガむしゃむしゃ読みながらコーヒーブレイクを!
 さて、次号のメルマガラインナップは、上林早苗の「上海日記」、「とろんのPAI通信」、若月元樹の「南の島から――沖縄県黒島の日々」です。
 お楽しみに!

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