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『メルマガ北海道人』第144号 2009.11.5.―「北海道人」、初雪を迎えて―

 道内の多くの地域で今週前半に初雪が観測されたようです。みなさんは2009年の初雪を体験しましたか? 月曜の朝、布団から起きだすといつもより部屋が冷えていました。もしやと思ってカーテンを開けてみると、車にうっすら雪がつもっていました。ぶるるっと身震いしたあと「ついに来たか……」という諦めのような気持ちが湧いてきました。それとは別なところで、真っ白な雪に目を奪われている自分がいました。諦めと感激――二つが混じりあったちょっと複雑な気持ちで今年の初雪を迎えました。
 『メルマガ北海道人』第144号、初雪の日の朝は道路が渋滞するのでいつもより慌ただしい、配信!

もくじ

連載【上林早苗の『上海日記』】

 茶の間でのひそかな悩みの一つが、お笑い番組の楽しみ方だという上林さん。大学では中国語を専攻、上海に住んで9年目、たいていのテレビ番組の内容は理解できるようになったそうですが、お笑い番組では家族の笑いから取り残され、寂しい思いをしてきたと言います。「上海日記」第69回は「笑いは共有できる?」です。

連載【とろんのPAI通信】

 「過去から未来へと流れ向かっているように見える時間の流れが、実は強い『未来力』という引力によって、未来から吸い込まれるように今が展開しているのかもしれない、とこのごろよく想う。」。とろんさんによる新しい宇宙論が展開される今回の「PAI通信」は「未来からの引力」について。相対性理論以来の新理論かも!

連載【若月元樹の『南の島から――沖縄県黒島の日々』】

 NHKの連ドラ『ウェルかめ』に映し出された黒島を見て、ますます親近感が湧いた読者もいらっしゃるのでは。さて、今回は「町政懇談会」について。竹富町に属する黒島に町長さんらがやってきて、住民の要望を聞く会が開かれました。若月さんが町政に思うことは、会で出された要望とはどんなこと?

【上林早苗の『上海日記』】 第69回

笑いは共有できる?

 茶の間でのひそかな悩みの一つに、お笑い番組の楽しみ方があった。大学で中国語を専攻し、上海在住は今年で9年目。株式ニュースなど専門用語が続出する番組を除けば、たいていのテレビ番組の内容を理解できるようになったし、なんとか楽しめるようになってきたと喜んでいたのに、どうしてもお笑い番組だけは中国人である夫や義母と同時に笑えないようなのである。特に春節など大型連休の前後にはお笑いスペシャル番組が連日放送されるため、そのたびに家族の「笑い」から取り残され、寂しい思いをしてきた。
 ひと口にお笑いといっても、もちろんいろいろある。北京の相声、上海の独脚戯などの地方伝統漫才や、上海のドタバタ喜劇・滑稽戯、現代ミニコントである小品、最近では東北地方の芸能・二人転の小瀋陽や社会派お笑いエンターテイナー・周立波、それにエンタメ番組のフリートークも広い意味ではお笑いだろう。日本と同様に漫才にはボケとツッコミがあり、喜劇には涙と笑いが、トークショーには皮肉が散りばめられ、「オチ」や「ネタ」「ボケ」「ツッコミ」に相当する中国語も存在する。たとえば上海漫才の古典作品『拉黄包車(人力車を引く)』。解放前の上海を舞台にした古典作品で、貧しい人力夫と客の大旦那の上海語による会話がテンポよく進んでいくのだが、試しに一部を関西弁に訳してみるとこうである。
 「(人力車を引きながら)旦那、三馬路まで何用で?」
 「ちょいと店まで。あの界隈で豆炭屋やってるんや」
 「ああ、ボッタクリで有名なあの。店主が腹黒いって聞きますけど、もしかして旦那がその?」
 「そうや。姓は黒、名は良心。黒良心」
 「(つぶやくように)自覚あるねんな……」
 「そういう名前や!」
 オチはわかるし、「姓黒(シンヘイ=姓が黒)」と「心黒(シンヘイ=腹黒い)」の言葉遊びも理解できる。だけど、やはり笑いには取り残されてしまう。

古い民家のお風呂セット(安徽省南屏村)

 そこで、アメリカの日本語字幕付きコメディを見ても笑えないように、たとえ言語を理解して情報を共有できたとしても、喜怒哀楽を共有できるとは限らないのかもしれないと思いはじめた。たとえば「りんごが落ちました」という一つの情報でも、受け手が異なると泣く人もいれば喜ぶ人もいるし、なかには怒る人だっているかもしれない。実際に中国の友人と世界の時事ニュースを見ていると、情報の受け止め方のズレにお互い驚くことがしょっちゅうあるから、育った国が違う、立場が違うということは、そういうことのなのだろうと思う。
 ところが、これがドラマやドキュメンタリー番組など人間を描いたものになると、必ず同席者と同じシーンで怒り、涙してしまうから不思議だ。ドラマ中で優しい母親がいじめられていたら腹立たしいし、頑固親父でも死ぬと悲しい。涙ぐむ夫や義母をチラチラと盗み見しては、悲しみや幸せを感じるものは日本人も中国人も基本的に同じなのだと、鼻をすすりながらしみじみと思う。
 感情のなかでももっとも人間らしい「笑い」、それも見る者を笑わせたいという明確な意図をもってつくられた「笑い」がどうして共有できないのだろうか。泣かせることより、笑わせることのハードルが高いのはなぜだろうか。
 原因を考えているうちに、共通体験の不足に思い当たった。笑いに大切なのは「そうそう、あの時代はそうだった」という共感なのだ。多くの場合、ネタそのものよりも他の観客との一体感が笑いを生むのであって、どれほど中国史に詳しい外国人がそこに潜りこんでも、心から笑うことはできないのだろう。
 もう一つの原因として、社会に求めているものの違いがあるのではないかと思う。お笑いの基本は社会への皮肉や風刺である。「温首相はカメラを前にいつも一番汚い農民の手を選んで握手をする」「巨資を投じて開発した上海のリニアは無人地区だけをぶっ飛ばす」などと、言いたいことを代弁してくれ、かゆいところに手が届くからこそ痛快なのであって、私がかゆくないところをいくらかいてもらったところで、クスリとも笑えないのは当然といえば当然なのかもしれない。
 数カ月前、ワンステージで700回、観客を笑わせるお笑いスター・周立波に会う機会があり、この問題をどう思うか聞いてみた。すると彼は「音楽に国境はないが、笑いにはある」と断言した。しかも広い中国では笑いの異文化が都市単位で存在するのだという。理解できることと笑えることは別の次元の話である。たぶん私は一生、夫と一緒に、同じ次元でお笑い番組で笑えないだろうし、逆にそれでいいのだと今は思う。

かんばやし・さなえ・・・1978年生まれ、奈良出身。京都外国語大学中国語学科卒業。上海在住9年目。中国人の夫と姑との3人暮らし。

【とろんのPAI通信】 第62回

未来からの引力

 TIME&SPACE、時間と空間のことを想うとき、それにともなって「質量」と「形相」からはじまって、「引力」と「自発力」、果ては「愛、神、自力本願、他力本願」などという言葉までが立ち現われてくる。過去から未来へと流れ向かっているように見える時間の流れが、実は強い「未来力」という引力によって、未来から吸い込まれるように今が展開しているのかもしれない、とこのごろよく想う。
 もしそうだとすると、今の自分の置かれた状況を楽しめるかどうかは、その自分のイノチを吸い込む強い「未来力」への「諦念」と「妄想力」にかかっている。つまり、この世に産まれ落ちた自分の種、持って産まれた種へのアキラメと喜びの心、アキラメキレヌ心と焦燥感。バラはバラの花を、チューリップはチューリップの花を咲かすしかないのだという「宿命」への諦念と妄想。
 そして人は、そういう「アキラメの心」と「妄想」が生物学的にひとりでに出てくるように作られている生き物なのだろう。そして、この「諦念力」と「妄想力」がこの世をドラマティックに展開させている二大エネルギー源。
 日記に赤ペンで「自分の下したBESTな選択すべてにOKサインをだしてあげられること」と書き綴りながら、介護生活の中、わくわくドキドキものの5泊6日の「愛妻はるか誕生日ツアー33」を決行し、無事終了した。
 日本で両親の介護をするハメに陥った自分の運命への「アキラメ」と喜び、と同時に、介護をしながらも次々と自分の内奥から湧き起きてくる強力なる「妄想力」「明日への想い」「夢力」。この自分を突き動かしている今の「自発力」は、実は未来からの引力「未来力」に呼応した内奥の疼きなのかもしれない。

母性11、ことさん(パートナーと共にゲストハウス「月光荘」を運営。現在、岡山の建部町在住。光放つ美しい存在)

 5泊6日のツアーの中、東京では東中野駅の北口の路上で、吉祥寺駅の改札口で、吉祥寺駅の北口の商店街で、そして京都では、宿泊したゲストハウス「月光荘」(京都と沖縄の二か所にあって、今、岡山の山中に新たに計画中。あめっしゅと「ことさん」(写真)と3歳になる娘の「ひなた」の3人が運営し、元気で魅惑的なスタッフが「おもしろくっておかしくってHAPPYになれる」SPACE&TIMEを醸し出している)のスグ隣のコンビニで深夜にバッタリ、そしてとどめに、帰りの京都駅構内で、次々と5人の旧友たちと出会ってしまったのだ。それぞれ、3年〜25年ぶりの再会!!! 確率からいうと限りなくゼロに近い遭遇率なのに、なにかに導かれるように、なにものかに仕組まれたように遭遇してしまう、この摩訶不思議なるSPACE&TIME。
 この5泊6日の誕生日ツアーから岡山に戻ってみると、母は、ほとんど意識不明に陥っていた。出発前に「5日間こられないけど」と固い握手を交わしたのが、目を見つめあっての最後の握手になるのだろうか? うわごとで「怖ろしい悪夢をみたんじゃ」「私に何が起きたんじゃ」「私が悪いことをしたからバチがあたったんじゃろか??」と、入れ歯を外したシワクチャの口でモグモグとおどろもどろしい低い声で言い放つごとに、ギョ!!っとしてしまう。十代のころ、広島で突如と被爆して、一瞬にして父親と妹を失ったときも同じ気持ちだったのだろうか?? 肉体的にも精神的にも、彼女の人生の核に、広島での突如の被爆体験が強く存在しているような気がしている。そして、その原爆手帳のおかげで、入れ歯をふくめた全ての医療費が無料で助かっているのだから、これもイノチの摩訶不思議力。
 父は父で、ボクら不在の6日間で痴呆度がもっとすすんでいた。顔の表情も緩んでいて、ますます忘れっぽくて、平気でウソ(本人はウソだとはおもってない)を言い放つ存在。今回は8日間のショートステーだったけど、11月3日から3カ月間、グループホーム(認知症専門の施設で、入所者は9人単位で構成され、3人に一人のスタッフがついていて、介護施設のなかでは最も家庭的な処、といわれている)に入所が決まっている。
 母のお通夜予定の八畳部屋もすっかりキレイに整い、父の入所も決まった中、11月17日のタイへのフライトに向かう日々。父、母、ボクらの、まさにイノチがけのスリル満点なる介護の日々の中、未来からの強い引力に打ち負かされて、パ!!っと今の手を放してみる。今の強い流れに乗って未来に吸い込まれゆくのが、一番楽で楽しく、健康的かつ経済的?? なのかも。

    パ!!っと今の手を放してみる、とろんより

著者近影

とろん・・・1969年高校卒業直後、フランス郵船に乗ってインドに上陸し地球放浪を始める。帰国後、専門学校、大学、夫などを中退しながらも、旅と文筆とライブ活動を続行し、今に至る。著書に『純粋単細胞的思考』『まるだしのエクスタシー』『とろんのダイジョーぶ経典(スートラ)』(共に、晩聲社刊)があり、この3年間は『とろんのPAI通信』を(なまえのない新聞)に連載中。2001年、50歳のときにタイのPAIに流れ着き、MOON VILLAGEという村つくりを展開しながら、(くるくるPAIバンド)を率いPAIでライブ活動中。

ホームページ:http://amanakuni.net/toron/

【若月元樹の『南の島から――沖縄県黒島の日々』】第43回

町政懇談会

 町政懇談会なるものが開催された。これは黒島をふくめ7つの有人島から形成される竹富町が、町長を筆頭に各課の課長さんが来島して住民と懇談し、要望事項等を聞くというものである。
 島が二分して、ここ何回か町議会議員を出せていない黒島にとっては大切な懇談会かもしれない。また町当局も、数日前に要望事項をファックスで送れと言ってくるので、議会並に答弁を準備しているのかもしれない。
 私の知っている範囲で一番盛り上がったのは医師と看護師の確保に島が熱かった時だった。その時は会場となった黒島伝統芸能館の入口に「命どぅ宝 常駐医・常駐看護士 早期実現」と書かれた懸垂幕が垂らされた。「命どぅ宝」は「ぬちどぅたから」と読み、その字のとおり「命こそ宝ですよ」という意味で、沖縄ではよく聞く。命を粗末にしないようにと、交通安全の看板などでよく見られる言葉である。
 懸垂幕には誤字があった。「看護師」が「看護士」と間違って仕上がって届いた。これは大した間違いではなく、町政懇談会に臨むにあたり、町当局に意気込みを見せるのが目的なので、誤字は大して気にしなくていいらしい。黒島ではかつて、牛まつりというイベントにむけて「小さな島から見出す大きな可能性」という文言の横断幕を発注し、「小さな島から見出す小さな可能性」と書かれて届いたこともあるらしい。私も仕事で看板屋さんに横断幕を発注した時、「一度書いてしまったら修正が大変」と、何度もチェックを要求されたことがあり、面倒だった記憶があるので、発注した島側の担当者にも問題があるかもしれない。

参加者の少ない今年の町政懇談会

 さて、常駐医師と看護師確保に燃えていた3年前は会場もびっしり埋まり、当時は石垣島から週に一度来てくれていた医師と看護師も参加して、診療所再開を訴えていた。
 今年の町政懇談会は空席だらけだった。町当局に対する要望も、自分の家の前の道路を舗装しろだの、外灯を増やせだの相変わらずいつもの我田引水的な要望が目立った。普段は「黒島は星がきれいで静かな島」と言いながら、外灯を増やして星を見づらくし、道路を舗装して車が飛ばせる島を望んでいるらしい。
 また二言目には、島に若者がUターンできるように住宅を作れというのである。私はこの意見には大反対である。町が住宅を準備しないと戻ってこないという人を戻しては島が駄目になる。それに、住宅を整備してしまうと、本当は島に戻りたくないから戻っていないのに、住む場所がないことを島内の身内に対する言い訳にしている人たちが可哀そうではないか。島には3年前から医師が常駐している。それまで「子どもが小さいから医師が常駐していない島には住めない」と主張していたにもかかわらず、今だに島に移ってくる気配がない人を私は知っている。
 どうしても町営住宅を造りたければ単身者用の住宅を建設するべきであると私は考える。現在、島々の町営住宅は家賃滞納問題などを抱えているようだ。単身者なら家賃を滞納しても追い出しやすいし、島に腰を据えようとする単身者が増えればそこで結婚も増えるであろう。結婚の準備の一つに新居探しもふくまれるから、そこは愛の勢いでなんとかするであろう。
 さらに今年は、のどかで平和な黒島らしからぬ要望が出た。PTAと青年会から警官の常駐が要望されたのである。その要望に対して、町長は石垣市の景観条例の話を語りはじめ、周囲から間違いを指摘されていた。町長は「警官」と「景観」を間違えていたのだ。
 この町長の間抜けな間違いが、目玉となる要望のない今年の町政懇談会を象徴しているような気がした。

著者近影

わかつき・もとき・・・1974年広島県生まれ。沖縄国際大学大学院地域文化研究科修了。高校まで広島で過ごした後、沖縄の祖母の家へ移り住む。大学卒業後、そのまま沖縄でサラリーマンになったが、遊び足りなくて退職。大学院へ行ったはいいが、みんなまじめに研究していて衝撃を受ける。現在は八重山諸島の黒島にあるNPO法人日本ウミガメ協議会の附属研究所・黒島研究所でウミガメや島の人々らと戯れている。

黒島研究所ホームページ:http://www.kuroshima.org/

インフォメーション ポータルサイト「北海道人」更新情報

<WEB絵本・鯨森惣七さんの「コレは、まちのゲー術だ。と叫びつつ、ちょっとずつ歩きまわる旅。」を更新しました!>

ワタシ あやしくないその10
鯨森惣七さんが旅先で見て感じたことをイラストとエッセイで紹介します。
ちょっとずつ歩きまわって今回たどり着いたのは、観光客でにぎわう堺町通です。「ここは小樽? それとも外国?」。不思議な秋の小樽にトリップしたい方はクジラをクリック!

コレは、まちのゲー術だ。と叫びつつ、ちょっとずつ歩きまわる旅

次号予告

 次号の配信は11月12日(木)です。11月12日(イイヒフ)ということで1989年、日本臨床皮膚科医会によって「皮膚の日」に制定されたそうです。「12」を「ヒフ」と読ませるなんてニクい、と思ってほかの読み方を考えてみました。「イイワンに」で「犬の日」なんかはどうだろうと思いましたが、すでに11月1日が「犬の日」になっていました。残念!
 さて、次号のメルマガラインナップは、岩崎稔の「大陸人の時間」、橋場了吾の「SAPPORO MUSIC LETTER」、編集長・和多田進の「濡れにぞ濡れし」です。お楽しみに!

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