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『メルマガ北海道人』第141号 2009.10.15.―「北海道人」、雪虫が飛び交う―

 数日前の夕方、外に出て紅葉する植物たちをながめていると、ふわふわした白いものが目の前を横切っていきました。雪虫でした。初雪虫――。わはは、と笑ってから、笑うのは初物を食べたときだと気がつき、あたりをキョロキョロ見回しましたがだれもいませんでした。ホッとすると同時にさびしくもありました。秋の夕暮れの庭にひとりぼっち……。
 雪の予告がされました。次に「あっ、雪虫!」と思ったら、それは本物の雪かもしれませんね。
 『メルマガ北海道人』第141号、あなたはいくつ雪虫ブローチをつけてますか配信!

もくじ

連載【岩崎稔の『大陸人の時間』】

 前回につづき、今回は「秘境『美人谷』後編」です。「美人谷」に向かった記者と岩崎さんですが、ふさがれたり、迂回したりと道のりはなかなか険しいようです。途中、「美人谷」の不吉な話を聞いて意気消沈することも……。さて、岩崎さんは「美人谷」にたどり着けたのでしょうか?

連載【橋場了吾の『SAPPORO MUSIC LETTER』】

 今回橋場さんが紹介してくれるアーティストは、GARNET CROWです。結成から10年がたつのにいまだ謎に包まれているバンド……。今回の「SAPPORO MUSIC LETTER」で少し謎が解けるかもしれません。10月30日には北海道でははじめてとなるライブが行われます。これは見逃せません!

連載【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】

 今回のタイトルは「注射針・畳針派として死にたい」です。注射針派? 畳針派? ○○針協会内の派閥かと思いきや、これは「ホラ吹き」とか「嘘つき」の程度を表したもののようです。この注射針・畳針派の上をいくのが、ノミのクソ・象の糞派だそうです……。

【岩崎稔の『大陸人の時間』】第70回

秘境「美人谷」 (後編)

 前回に引きつづき「美人谷」の話である。
 四川省カンゼチベット族自治区の康定空港から迂回をはじめた我々は、一方通行になっていた道路が開通したのでいっきに「美人谷」を目指すことにした。しかし、少し進むと崖崩れで道がふさがれていて、さらに迂回することになった。L運転手の話では「このあたりでは一番危険な道として有名で、先日もがけ崩れがあり死者が出た」という。道が徐々に険しくなり、「無理して今日中に『美人谷』にたどり着けなくてもいい」と私とS記者は話しはじめた。
 迂回した道の途中、建設中のトンネルに差しかかった。「ここを通り抜けるしかない」とL運転手は迷路のように入り組んでいる巨大なトンネルへ入ってゆく。街灯のない暗闇を車のヘッドライトだけを頼りに進む。時折真っ暗やみの中にいる労働者たちが車のライトに照らしだされる。舗装されていないトンネルの天井からはジャボジャボと水があふれ落ちてくる。いつ崩れてもおかしくなさそうだ。15分ぐらい走ったところでやっと出口にたどり着いた。私とS記者に安堵の声が起きる。
 さらに山道を数時間走り、丹巴県に到着した。ここで旅行会社に立ち寄って「美人谷」の情報を聞きこむ。どうやら「美人谷」まではさらに2時間ほどかかるそうだ。しかももう「美人谷」の美女は出稼ぎに出てしまい、残っているのは年寄りばかりだという。何とも不吉な話を聞いてしまい意気消沈した我々は、とりあえず丹巴県に宿をとることにした。

フートンと国旗

 宿の受付でチェックインの手続きをしていると、L運転手が「奇遇だね」と美しい受付嬢と話しはじめた。いきなりナンパをはじめたのかと思ったら、彼が以前使っていた携帯番号を彼女が今使っているという偶然が発覚したのだった。今でも彼女のもとに何度もL運転手を訪ねる間違い電話が掛かってくるそうだ。たしかに奇遇だ。そして我々の目的を話していると、なんと彼女は「美人谷」の出身ということがわかり、明日、案内してくれることになった。
 翌日、ホテルの美しい受付嬢ラムさんが加わり「美人谷」を目指す。なんでも「美人谷」とは巴底郷を指し、「美人谷」の呼び名がついたのは最近のことだという。車が細い山道を進んでいくと谷が一面に広がりはじめた。谷の下には川が流れ、斜面に石を積み重ねて作られた家々がぽつぽつと見える。何時間もかけて来たかいがあった――感動的な風景が広がる。美しい受付嬢ラムさんはギャロン・チベット族特有の民族衣装をはおり絶景の中に溶け込む。
 我々は昼食をとるために「美人谷」のレストランに入る。なんとこのレストランは、この地域一帯の美人コンテストで選ばれた美女が経営していた。現われた女性オーナーは、たしかに昔は美しかったのだろう、今でもその面影が感じられる。
 女性オーナーが面白い話を聞かせてくれた。この「美人谷」では通い婚という、いわゆる「夜這い文化」が今もある。男性は好きな女性の家の壁を3階まで登って窓から部屋へ侵入し、夜這いするのだそうだ。女性オーナーは誇らしげに「私が若いころなど家の下に夜這いを待つ男性たちが列を作って待っていた」という。彼女は嫌いな男を窓から突き落したこともあると言っていた。何とも命がけの夜這いである。
 最後にラムさんの自宅を訪ねる。おばあさんとお母さんと「美人谷」美女3人親子の写真を撮らせてもらう。近所では家の建て替えが行われていた。このあたりでは専門の大工さんがいないため、近所の人が集まって無償で家の建て替えを手伝うのだそうだ。手を休めて楽しげに話す村人の声が「美人谷」に響いていた。

終わり

著者近影

いわさき・みのる…写真家。1974年、宮崎県生まれ。東京工芸短期大学写真学科卒業、中国人民大学法学部卒業。95年から北京市に暮らし、同市を拠点に活動を続けるかたわら、アジアのフォトグラファーネットワークづくりなどに尽力している。
*現在ANAの機内誌「翼の王国」で、作家の原口純子さんと「中国万事通」を連載中です。

ホームページ:http://www.minoruphoto.com/japanesemainpage.htm

【橋場了吾の『SAPPORO MUSIC LETTER』】 第24回

ついに解き明かされる柘榴色(ガーネット)に輝く楽曲の“謎”

 「メルマガ北海道人」をご覧の皆さん、こんにちは。今回も【SAPPORO MUSIC LETTER】では素敵なミュージシャンの魅力をお伝えしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 結成してから10年、CDをリリースすれば売上チャートでも必ず上位に顔を出しているのに“謎”に包まれたバンド……それが今日ご紹介するGARNET CROWです。
 GARNET CROWは1999年、大阪で結成された4人組ロックバンドです。メンバーはヴォーカル&作曲担当の中村由利さん、ギターの岡本仁志さん、キーボードの古井広人さん、キーボード&作詞担当のAZUKI七さん。結成翌年の2000年にメジャーデビューを果たし、これまでにシングル30枚、アルバム7枚をリリースしています。
 なぜここまでの実績を残しているバンドに謎が多かったのか……それは北海道でのキャンペーンもライブも行ってこなかったからなのです。メディアに露出することがなく、楽曲だけで多くのファンを魅了してきたのは特筆すべきことですが、好きになればもっと知りたくなってしまうのがファン心理。その期待に応えて、初の北海道キャンペーンを行い、初のライブも実現することになりました。
 メンバーを代表して来札したのは中村さんです。これまで知りたくても知りえなかった色々なこと……ずっとクラシックピアノを習っていてヴォーカルは全然経験がなかったこと、知り合いの紹介で入った音楽業界でこんなに長くバンドをつづけられるとは思っていなかったこと、そしてバンドが長くつづいている秘訣は完全な分業制にしているから……など、GARNET CROWの“謎”がどんどん解き明かされていきました。

ヴォーカル&作曲担当の中村由利さん

 その中でも特に印象に残ったのがバンド内の分業制についての話です。まずヴォーカル&作曲担当の中村さんが曲を書き、そこにキーボード&作詞担当のAZUKIさんが詞をつけます。それからキーボードの古井さんがアレンジを行い、ギターの岡本さんがギターサウンドの味付けをしてGARNET CROWの楽曲は完成します。
 「4人それぞれが自分の仕事に対してプロフェッショナル……曲は私が納得いくまで作り込んで、歌も納得いくまで何度もやり直します。歌詞もアレンジもその道のプロなので、高いハードルを越えたものが仕上がってくる……4人の仕事が混ざり合うことでさらにハードルが上がるんです」
 実はメンバー全員が自分の作業の範囲外のことではほとんど注文を出さないそうです。4人それぞれのプロ意識が高く、お互いの仕事の領域に対して信頼しているからこそできる業なのだと思います。
 そのように出来上がった楽曲がついに初お披露目されます。これまで北海道のファンは東京や大阪で行われるライブに足を運ぶしかなかったのですが、10月30日・金曜日にZepp Sapporoで北海道では初となるライブが行われます。
 「ニューアルバムの曲がメインになるとは思うんですが、古い曲・レアな曲など新旧取り混ぜたライブになると思います。ライブハウスならではの一体感の出る曲も演奏しようと思っています」
 GARNET CROWのデビュー曲は「Mysterious Eyes」(謎めいた瞳)。その瞳の奥の“謎”が解き明かされる日まであと少し……。

【GARNET CROW ライブ情報】
・livescope 2009 STAY 〜夜明けのSoul〜
 2009.10.30(金) 
 札幌・Zepp Sapporo 開場18:00/開演19:00

 (HP)http://www.garnetcrow.com/

著者近影

橋場了吾…1975年札幌市生まれ。1998年同志社大学卒業後、札幌テレビ放送入社。ラジオディレクターとして「日高晤郎ショー」「ライブスピカ」等を担当。2005年同社を退社。以後広告制作プロダクションなどを経て、2008年株式会社アールアンドアールを設立し、札幌発の音楽情報WEBマガジン「SAPPORO MUSIC NAKED」を立ち上げる。「音楽で北海道を元気にする」を信条に、札幌にやって来たミュージシャンの取材を続けている。

「SAPPORO MUSIC NAKED」:http://www.sapporo-mn.com/

【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】 第37回

注射針・畳針派として死にたい

 世の中には「ホラ吹き」と「嘘つき」が充満しているのではないかと思うことがある。その学問的定義は知らないけれど、針小棒大、ノミのクソほどのことを象の糞だと言い散らす輩を「ホラ吹き」というのだろう。従って、注射針を畳針だと言うていどでは真正の「ホラ吹き」に分類されることはない、と思う。そのていどのことなら、人間だれしも無意識にやっているはずだし、あまりにも月並みだからだれもが見逃すし、見逃されてしまう。
 ところが、真正の「ホラ吹き」=ノミのクソ・象の糞派となるとそうはいかない。注射針・畳針派などの一般人は彼らの言動に驚いてしまうのである。たとえばどこぞの公務員の手柄話はこうである。
 「○○会社にオレは5億円の仕事を振ってやった。だから、あの会社はオレの言うことならなんでも聞くんだ」とか「○○団体はオレが苦労して作ったんだ。あそこもオレが作ったしあそこもオレがつくった」というような、たわいもない自慢話の類である。

江東区白河1丁目('09.5月)

 こういう自慢譚=「ホラ吹き」はなぜか地方公務員なんかに多い。中央に対するコンプレックスが原因なのか、住民をバカにしていてそんな話で住民から尊敬されるとでも思っているのか、理由は分からん。でも、そういう「ホラ吹き」地方公務員は実に多い。しかしながら、彼らの名誉のために言っておけば、話の一から十までが嘘なのではない。彼らの管轄する部署の責任において○○会社に5億円相当の仕事を発注する担当のひとりだったり、○○団体創設に関わったひとりだったりしたことはおそらく事実なのである。もちろんそれは彼、公務員氏の公務であったにすぎなく、彼個人の裁量であったのではない。役所は国民の税によって運営され、国民に奉仕することが彼・公務員氏の仕事であるからして、彼・公務員氏が私的な裁量、差配などできようはずもあるまい。ところが、公と私の区別がなんらかの動機によって彼・公務員氏の脳味噌の中でシャッフルされてしまった結果、右のような「ホラ」となってしまうのでもあろう――。
 国語辞典的に言えば、そういう「ホラ」は同時に嘘でもあるのである。「ホラ吹き」=「嘘つき」という等式が成立する。注射針と畳針は見分けがつかない場合もなくはない。しかし、ノミのクソと象の糞はだれにも見分けがつく。ノミと象では同じクソでも別モノなのである。ノミのクソを象の糞だと言うには(もちろんその逆も)かなりの勇気、恥知らずの精神がなければなるまい。
 私自身のことを別にしないで言えば、なるだけ私は注射針・畳針派で一生を終えたいものだと思っているのである。ノミのクソ・象の糞派として生きていきたいなどとは思わない。ただし、それには例外的なことがあるかもしれない。嘘も方便とは言わないが、ある種の正義のためには――、ノミのクソを象の糞だと言いふらして恥じない、そういうクソないし糞を撒き散らして人びとに迷惑をかけつづけて素知らぬ顔を決め込む輩を監獄送りにでもしなければなるまいと決断したときには、ためらうことなく私はノミのクソ・象の糞派に転向できるような気がするのである。私に限らず、人間であればだれでもそういう危険な素質、火事場の馬鹿力的素質がその精神の中心にそもそも含有されているのではないのだろうか。そう思うことが私にもたまーにはあるのである。

次号予告

 次号の配信は、10月22日(木)です。メジャーリーグ・シアトルマリナーズに所属するイチロー選手の36歳の誕生日です。
 さて、次号のメルマガラインナップは、上林早苗の「上海日記」、「とろんのPAI通信」、若月元樹の「南の島から――沖縄県黒島の日々」です。
 お楽しみに!

※インターネットに接続するとメルマガ上の画像をご覧になれます。

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