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『メルマガ北海道人』第139号 2009.10.1.―「北海道人」、月を待って―

 今日から10月がはじまりました。しばらくの間緑一色だった近郊の山々も、気がつけば黄・橙・赤・茶色混じりの複雑な色合いに変わり、私たちの目を楽しませてくれています。変わりゆくものに目を奪われるこのごろです。変わりゆくものと言えば、夜空に浮かぶ月も日ごとにぷっくりと満ちてきています。二日後の10月3日は十五夜です。ススキは穂をゆらゆらさせて準備OKのサインを送っています。あとは月見団子とこころのゆとりがあれば……。心配なのはお天気です。いまのところ北海道は曇りや雨の予報です。日々いろいろなことに追われるなか、月が満ちるのを指折り待って、秋の夜の長さを感じたいものです。
 『メルマガ北海道人』第139号、まんまるに満ちた連載を十五夜より一足先に配信!

もくじ

連載【岩崎稔の『大陸人の時間』】

 「大陸人の時間」第69回は、「秘境『美人谷』 前編」です。日本で活躍する「美人谷」出身の歌手alan(アラン)さんへの取材がきっかけで、記者と二人「美人谷」へ向かうことにした岩崎さんですが、道のりはなかなか厳しいようです。無事、「美人谷」にたどり着けるのでしょうか?

連載【橋場了吾の『SAPPORO MUSIC LETTER』】

 今回橋場さんが紹介してくれるアーティストは“のあのわ”です。北海道での初ライブ、ライジング・サン・ロック・フェスティバルで観客を熱狂の渦に巻き込んだというのあのわのライブへの思いとは? 札幌でのライブは10月24日にあります。まもなくです!

連載【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】

 シルバーウィークの5日間を使って本の引越しをしたという編集長・和多田進ですが、資料を整理していると帝銀事件関連のものはもちろん、未解決事件の資料、「ラストボロフ事件・総括」などという紙の束も出てきたそうです。第36回は「老後の楽しみ」です。何をどう、楽しむのでしょうか???

【岩崎稔の『大陸人の時間』】第69回

秘境「美人谷」 (前編)

 メルマガが配信される10月1日、中国は建国60周年の国慶節を迎える。ちなみに今年は十五夜(中秋節)休みも重なり、8日間の連休だ。1日は午前中から軍事パレードや記念の式典があり、市内は一日中ものすごい交通規制に見舞われるそうだ。
 国慶節が近づくにつれ、テロ警戒のため、街のいたる所に小銃を抱えた特殊警察が現れた。さらに迷彩服を着た民兵が自転車で街中を巡回し、ボランティアと書かれた黄色いTシャツの年配者が約50メートルおきに数人ずつたむろしながら警備に当たっている。いつの間にか北京はかつてない厳戒態勢になっていた。
 外地から来ている私の友人は「出稼ぎ労働者や、合法的に北京で働く許可書を持っていない人たちへの取り締まりが厳しくなった。いつ故郷に追い返されるか不安だ。国慶節は一歩も外に出ないのが賢明だ」と言っていた。国慶節……早く終わってほしいものだ。
 話は変わるが、8月に久しぶりに秘境を旅した。向かった先は四川省の山奥にある「美人谷」。ことのはじまりは日本で活躍する歌手のalan(アラン)さんを取材したことだった。彼女は中国四川省「美人谷」出身のチベット族で、高音を使って美しい歌を歌う。もちろん彼女は「美人谷」出身だけあって容姿も美しい。取材中、S記者とぜひ彼女の故郷「美人谷」に行ってみようということになった。しかもalanさんによると、以前「美人谷」の美女と日本人カメラマンが結婚したという話を聞いたことがあるという。本当に美人ばかりいる谷があるのだろうか、期待と不安を胸に「美人谷」へ向かった。

60

 まず成都から飛行機でカンゼチベット族自治区の康定に向かった。標高約4200メートルの高地に昨年建設された空港は、夏だというのに雪がちらつきとても寒い。思いっきり軽い気持ちで訪れた私は、飛行機を降りるなり持ってきた洋服を重ね着して、空港で売られていた高山病の薬を飲んだ。
 頼んでいた運転手は軽自動車で我々を出迎えてくれた。運転手Lさんによると、空港から2時間程度で「美人谷」まで行ける予測だったが、近道は工事中のため、迂回しなければだめだと言う。迂回すると目的地まで7時間から8時間はかかる。道はとにかく悪い。L運転手の軽自動車で7時間以上この悪い道を走ることは、私のお尻にとって不可能に近い。とりあえず康定の街に出て、四輪駆動車を借りることにした。
 空港から康定市内までは道が舗装されておらず、2時間もガタガタ道を下った。L運転手はよく軽自動車で空港までたどり着いたものだと感心せずにはいられなかった。康定で四輪駆動車を借り、1時間ほど道を進んだところで昼食をとった。地元料理を頼むと、地鶏を丸ごと蒸してから唐辛子と野菜を絡めて炒めた料理が出てきた。さすがに四川省だけあり、料理はピリ辛目だが素材が新鮮でとてもおいしい。
 食事を取り終えるとL運転手は「困ったことがある」ときりだした。この先の道は工事のため一方通行になっていて、夕方5時にならないと通れないという。思わぬ足止めだ。2日後にはS記者はどうしても北京に戻らなくてはならない。しょうがないので足マッサージを受けながら道が開通されるのを待つことにした。無事、「美人谷」までたどり着けるのだろうか……。

つづく

著者近影

いわさき・みのる…写真家。1974年、宮崎県生まれ。東京工芸短期大学写真学科卒業、中国人民大学法学部卒業。95年から北京市に暮らし、同市を拠点に活動を続けるかたわら、アジアのフォトグラファーネットワークづくりなどに尽力している。
*現在ANAの機内誌「翼の王国」で、作家の原口純子さんと「中国万事通」を連載中です。

ホームページ:http://www.minoruphoto.com/japanesemainpage.htm

【橋場了吾の『SAPPORO MUSIC LETTER』】 第23回

“歓喜を放つ音楽団”による無限大のSPECTACLE WONDERLAND

 「メルマガ北海道人」をご覧の皆さん、こんにちは。今回も【SAPPORO MUSIC LETTER】では素敵なミュージシャンの魅力をお伝えしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 北海道でのはじめてのライブが、ライジング・サン・ロック・フェスティヴァルという大舞台……しかも1,000人以上のお客さんを大熱狂の渦に巻き込んだ素晴らしいライブを披露しました。そのバンドの名前は“のあのわ”。東京で結成された5人組のロックバンドで、今年2月にミニアルバム『ゆめの在りか』でメジャーデビューしました。
 のあのわのメンバーはヴォーカル&チェロのYukkoさん、ギターのゴウさん、ベースのnakameさん、ドラムの本間シュンタさん、キーボードの荒山リクさん。高校時代の同級生であるYukkoさんとゴウさんを中心に2003年に結成されました。
 結成当初はガールズ・ポップ・バンドだったというのあのわに転機が訪れたのは、Yukkoさんがチェロを購入した2005年。Yukkoさんがチェロ他クラシック系の楽器に造詣が深かったわけではなく、偶然見たチェロの演奏に一目惚れし、衝動買いに近い形でチェロを買って独学で弾けるようになったそうです。

Yukkoさん(Vo&Cello)と荒山リクさん(Key)

 他のバンドメンバーは最初、これはどうしたものかとも思ったそうですが、Yukkoさんがチェロを弾いている姿を見て「これがステージの真ん中に来たら面白いんじゃなか」という可能性を凄く感じたそうです。そこで正式にチェロを導入、現在の遊園地のような煌びやかなサウンドに繋がっています。
 デビューしてから東京以外の地方でライブをするようになり、のあのわが目指しているライブの姿が見えてくるようになったといいます。
 「デビューしたてのころはショーケースに入っているような綺麗なイメージがあって、ステージとお客さんの間に境界線が引かれているような世界を作ろうとしていたんですが、多くのライブを経験して、自分たちの理想はそれじゃなかったんだなって。みんなで盛り上がれるライブ……ボーダーレスなライブが理想だと思いました」(荒山)
 私がライジング・サン・ロック・フェスティヴァルで体感したのはまさにみんなで盛り上がれるライブでした。5人の一挙手一投足にお客さんの目は釘付けになり、のあのわが奏でる音楽に合わせて自由に体を揺らす……年齢も性別も問わず音楽に酔いしれるワンダーランドがそこにはありました。
 9月9日には1stアルバム『Spectacle』がリリースされました。Spectacleとは日本語で「壮大」の意味。のあのわは今後もその壮大なサウンドによって、私たちを無限大の広がりを見せるSPECTACLE WONDERLANDに連れて行ってくれることでしょう。

【のあのわ ライブ情報】
・夢チカLIVE VOL.55
 2009.10.24 (土) 
 札幌・KRAPS HALL 開場17:00/開演17:30

 (HP)http://noanowa.jp/

著者近影

橋場了吾…1975年札幌市生まれ。1998年同志社大学卒業後、札幌テレビ放送入社。ラジオディレクターとして「日高晤郎ショー」「ライブスピカ」等を担当。2005年同社を退社。以後広告制作プロダクションなどを経て、2008年株式会社アールアンドアールを設立し、札幌発の音楽情報WEBマガジン「SAPPORO MUSIC NAKED」を立ち上げる。「音楽で北海道を元気にする」を信条に、札幌にやって来たミュージシャンの取材を続けている。

「SAPPORO MUSIC NAKED」:http://www.sapporo-mn.com/

【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】 第36回

老後の楽しみ

 あまりに蔵書が増殖してしまって、本の引越しということになった。それで、このシルバーウィークとやらの連休を本の引越しにあてた。力仕事にかかるほとんどのことは引越屋さんがやってくれたのだが、本棚の整理は私自身がやらねばならない。私が使う本だから私が分かるように、私に使い勝手が良いようにしなければならぬ。収容しきれない本は捨てなければならないし、資料類も取捨選択しなければならない。それらすべてが私の仕事となる。それを5日間も一生懸命やると、やはり疲れる。この何十年の間に何度同じようなことを繰り返してきたことかと思うと不思議な気分になったりもした。本の移動を繰り返しているうちに生命が尽きるのだろうか、と。
 資料を整理しているといろいろなものが出てくる。帝銀事件関係の資料はもちろん、まだ未解決の事件の資料もいくつか出てきた。そういうものにまじって「ラストボロフ事件・総括」なんていう紙の束も出てきた。シリアルナンバー付で「外事警察資料 昭和四四年四月」「警視庁公安部」「外部秘」などと印刷された表紙がついている。「はしがき」は山本鎮彦警視庁公安部長(当時)である。
 この紙の束が私の手元にやってきたのにはいろいろな事情があったのだが、詳しい経緯はもう忘れてしまった。これを私に渡した人がいまどこでどうしているかも私は知らない。ただ、これを私に渡した人が、「これは某庁の金庫にあったものです」と言ったことだけは妙にハッキリ記憶に残っている。当時、私はこういう事件に深い興味を持っていたのだった。それはいまよりもはるかに強い興味だったような気がする。

ロンドン('09.5月)

 『手記 罪は海よりも深シ 1.昭和三十九年一月 西口彰』と書かれた大学ノート一冊分のコピーなんかも出てきた。「題名 罪は海よりも深し。此の題名は昭和39年3月13日 福岡地方検察庁小倉支部○○○○検事がつける」(○○の部分んは実名)と横書きの文字が1ページ目に記されている。
 西口彰は連続殺人犯である。5人殺した他に詐欺10件、窃盗2件で起訴され、1966年に死刑判決が確定、70年に死刑は執行された。佐木隆三の『復讐するは我にあり』や同名の映画(今村昌平監督、緒方拳主演)で有名になったあの事件の犯人が西口彰だった。
 ラストボロフはソ連のスパイだった。この事件については松本清張や三好徹などが書いている。その他、有名事件では狭山事件の公判記録、あまり知られていないところでは江津事件の記録などが段ボール箱十数個に眠っていた。
 これらはいまでも私が捨てる気になどならない私にとって貴重な資料たちなのである。これらの資料を読んで老後を過ごす楽しみが待っていると思ったりする。――いや、もうとっくに老後なんだろうか? そこの自覚が私は希薄なんだろうか……。

次号予告

 次号の配信は、10月8日(木)です。二十四節気では「寒露」、露が冷えて霜になるころだそうです。秋もETCを搭載して高速道路を使っているのでしょうか、深まるスピードはなんとも速いですね。スピード違反にご注意、秋! 
 さて、次号のメルマガラインナップは、上林早苗の「上海日記」、「とろんのPAI通信」、若月元樹の「南の島から――沖縄県黒島の日々」です。
 お楽しみに!

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