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『メルマガ北海道人』第135号 2009.9.3.
―「北海道人」、家庭菜園の収穫報告―

 家庭菜園の作物の収穫がピークを迎えつつあります。5月、ゴールデンウィークの終わりごろにあわただしく種を撒き、7月には日照時間の短さをなげき、9月、それでもなんとか実った野菜の重みに感激しながら収穫を楽しむ日々です。そんななか、ひとつ発見がありました。例年にないほどたくさん収穫できた枝豆をバクバク食べていたところ、特別に美味く感じる瞬間がありました。それは口のなかから枝豆がなくなったときでした。口のなかに広がった豆の甘みの余韻がしばらくつづきました。連続してバクバク食べるより、ひとさやずつゆっくりじっくり食べたほうが美味しい! 枝豆は非連続食べをオススメします!
 『メルマガ北海道人』第135号、たわわに実った連載をじっくりご賞味ください配信!

もくじ

連載【岩崎稔の『大陸人の時間』】

 中国は今年の10月1日に建国60周年を控えています。人民はこれを非常事態と感じているようです。今回岩崎さんが取材に向かった先は、建国記念日を清潔に迎えるための害虫駆除活動が行われる公園です。取材をしていると、息苦しくなり、吐き気がし、目眩まで……。岩崎さんの身にいったい何が起きたのでしょうか!

連載【橋場了吾の『SAPPORO MUSIC LETTER』】

 今回橋場さんが紹介してくれるアーティストは、仙台で結成された4人組ロックバンド・カラーボトルです。各地でのインストアライブが大盛況! ライブが観たいという声が寄せられ、当初は予定になかった北海道の札幌(9月5日)と苫小牧(9月6日)でインストアライブが行われることになりました。メルマガ読んでライブへGO!

連載【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】

 「松下大三郎が日本語文法でいうところの『主題』を『題目』だと看破していたことを知って私は興奮したのだった。」。今回のタイトルは、「『助詞ハ』を考える」です。編集長・和多田進が、そういうことを考えると気持ちがが浮き浮きしてくるという助詞「ハ」や「ガ」のこととはいったい……。

【岩崎稔の『大陸人の時間』】第67回

メディア駆除の日?

 先日、取材を受け入れてくれた地方の役人とこんなやり取りがあった。
 「この非常事態にあなたたちのような海外メディアの取材を受け入れるのは、大変危険を伴う。私は自分の職を失う覚悟で、あなたたちを受け入れました」
 ものすごい覚悟をありがたく感じ、感動した。しかし、心の中では少し大げさではないかと思い、いささか驚きもあった。なぜなら我々の取材は少数民族の暴動や、民主化運動などの政治的内容ではなく、当地の民芸人形の取材だったからだ。
 彼がなぜここまで覚悟しなければならないかというと、10月1日に中華人民共和国建国60周年を控えているからで、彼のいう非常事態とはまさにこのことだったのだ。
 先日、同じように驚かされる出来事がもう一つあった。携帯電話に「○月○日は蚊と蝿を撲滅する日です! 国慶節(建国記念日)を清潔に迎えよう!」という内容のショートメッセージが送られてきた。何かの冗談かと思ったが、調べてみると、本当に撲滅の日に役所が決起集会を開くというので取材に向かった。
 公園の前に設置された会場には「4害(ゴキブリ、蝿、蚊、ネズミ)を撲滅し、国慶節を清潔に迎えよう!」と書かれた横断幕が張られている。害虫駆除会社の人たちが60人、ボランティアが20人、開幕式で踊りを披露するおばさんたちが20人。100人の人たちが整列すると役人が現れて害虫駆除活動を宣言した。私は少し呆れ、カメラのピントが定まらない。

熱烈歓迎

 そして、訪れた市民にゴキブリホイホイとネズミを駆除する薬が配られる。気がつくと長蛇の列ができ、押し合い圧し合いしながら無料の害虫駆除グッズに市民が群がる。より多くのゴキブリホイホイを必至に奪い取ろうとする爺さんと婆さんの間でケンカがはじまる。私は混乱する市民を撮影しながら、思わず「あなたたちがホイホイしてどうするんだ」とぼやいてしまう。
 つづいて害虫駆除活動を行う公園の中へ向かう。巨大な公園の一角で、最新の駆除マシーンを背負ったロボコップのような職人が、巨大なホースの口からモクモクと薬をまき散らしていく。私は薬を被ってしまい、息苦しくて吐き気までする。害虫駆除の薬で弱ったメディアに遅ればせながら担当者からマスクが配られる。私は虫の息で何とかシャッターを押す。
 最後に公園にある湖の中で駆除活動が行われた。害虫駆除隊のボートとメディアのボートが静かな公園の湖を進んでいく。巨大なワニでも捕獲するような緊張が漂う。雑草の生い茂った湖の岸にボートを留め、害虫駆除隊が薬をばらまく。他の生物に影響はないのだろうかと不安になるが、駆除隊はメディアのために薬をばらまきつづける。
 ボートに乗り合わせた地元のカメラマンが、こちらを向いて薬をまいてくれと注文する。こちらにはちらりちらりと魚の気配が感じられる。
 私はボートを降りると駆除剤のせいか目眩を覚えた。そして頭を押さえながら考えた。建国60周年と今日の取材はどんな関係があるのだろうと。

終わり

著者近影

いわさき・みのる…写真家。1974年、宮崎県生まれ。東京工芸短期大学写真学科卒業、中国人民大学法学部卒業。95年から北京市に暮らし、同市を拠点に活動を続けるかたわら、アジアのフォトグラファーネットワークづくりなどに尽力している。
*現在ANAの機内誌「翼の王国」で、作家の原口純子さんと「中国万事通」を連載中です。

ホームページ:http://www.minoruphoto.com/japanesemainpage.htm

【橋場了吾の『SAPPORO MUSIC LETTER』】 第21回

遠く離れた故郷が教えてくれた、
伝えたい気持ちと伝えられない気持ちを繋ぐ「合鍵」

 「メルマガ北海道人」をご覧の皆さん、こんにちは。今回も【SAPPORO MUSIC LETTER】では素敵なミュージシャンの魅力をお伝えしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 今日ご紹介するのは仙台で結成された4人組ロックバンド・カラーボトルです。メンバーはヴォーカルの竹森マサユキさん、ギターの渡辺アキラさん、ベースの穐元タイチさん、ドラムの大川‘Z’純司さん。メンバー全員が仙台出身というわけではなく、仙台のアーケード街のストリートで音楽をやっていた、聴いてきた音楽も全然違う4人が惹かれあって結成されました。
 この4人が集まった理由は「こだわりを持っていなかったのが逆に良かった」(竹森さん)なのだそう。「音楽で何かを伝えたい、感動させたい」……その気持ちが4人をバンド結成に向かわせました。
 バンドを結成したのは2004年。ずっと仙台で活動していましたが、今年はじめに上京し、現在は活動拠点を東京に移しています。その東京でできた曲が7月22日にリリースされた6枚目のシングル「合鍵」です。作詞・作曲を担当している竹森さんはこの曲に込めた気持ちをこう語ってくれました。

ヴォーカルの竹森マサユキさん

 「『合鍵』には仙台の定禅寺通りの風景が出てくるんですが、東京にいることで故郷の風景を今歌いたいという気持ちになって、作った曲なんです。実はこの曲は僕の実体験が元になっているんですが、仙台に住みつづけていたら定禅寺通りのことを歌うことに抵抗があったと思うんです。でも東京に来て故郷に思いを馳せると、とてもいい場所だったなと思えるようになったんです」
 故郷を離れたことではじめて気づいた故郷の素晴らしさ……そしてもう一つ竹森さんが伝えたかったことは……。
 「『合鍵』のテーマは伝えたいけど伝えられないという心の葛藤……何かで迷った時はどちらも諦めずにという気持ちを持ってほしいという思いを込めました」
 もしかしたら欲張りな気持ちなのかもしれませんが、たった一度の人生、自分の気持ちに正直に生きていこうという心境は多くの方の支持を得て、各地のインストアライブでも大盛況だそうです。実は今回、札幌と苫小牧でインストアライブが行われるのですが(下記参照)、ライブの予定になかった北海道でも、ライブを観たい! という声が多く寄せられた結果、かなりの強行スケジュールでやって来てくれるとのこと。先日のインタビューの時点では「ずっと応援しつづけている北海道のファンに生歌を届けられるよう頑張ります」(竹森さん)と話していたので、その思いが実現することになります。
 インストアライブは入場無料ですので、どなたでも気軽に参加できるふれあいの場です。「ライブハウスはちょっと……」という方でも、一度足を運んでみてください。カラーボトルという素敵なバンドが、何かで迷っているあなたの背中をそっと押してくれるはずです。

【カラーボトル ライブ情報】
・カラーボトルNEW SINGLE「合鍵」発売記念LIVE&サイン会
 2009.9.5(土)
 札幌・イオン札幌発寒ショッピングセンター 開演13:00〜/15:00〜
 2009.9.6(日)
 苫小牧・イオン苫小牧ショッピングセンター 開演14:00〜/16:00〜
(HP)http://www.colorbottle.com/

著者近影

橋場了吾…1975年札幌市生まれ。1998年同志社大学卒業後、札幌テレビ放送入社。ラジオディレクターとして「日高晤郎ショー」「ライブスピカ」等を担当。2005年同社を退社。以後広告制作プロダクションなどを経て、2008年株式会社アールアンドアールを設立し、札幌発の音楽情報WEBマガジン「SAPPORO MUSIC NAKED」を立ち上げる。「音楽で北海道を元気にする」を信条に、札幌にやって来たミュージシャンの取材をつづけている。

「SAPPORO MUSIC NAKED」:http://www.sapporo-mn.com/

【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】 第34回

「助詞ハ」を考える

 松下大三郎という人物の名前を知ったのは、三十年ほども以前のことだった。松下は『改撰標準日本文法』とか『国歌大観』、『日本俗語文典』などの著者で、国学院大学の先生だった。知るきっかけは何かの書物だったのだろうが思い出すことができない。そのとき、この松下大三郎が日本語文法でいうところの「主題」を「題目」だと看破していたことを知って私は興奮したのだった。昭和のはじめに「主語」、「主題」を「題目」だと看破していた松下の知性に私は驚嘆したのである。
 アルバイトの人に頼んで国学院大学の図書館に行ってもらい、松下が書いた論文を可能なかぎり紀要などからすべてコピーしてもらった。そんな大むかしに、そんな大事なことを発見した人がいたのが無性に嬉しかったから。
 「題目」――、つまり日本語の「主題」にかかわる大問題を考えるには、「助詞ハ」の問題を避けて通るわけにはいかない。考えてみれば、助詞というのは不思議な品詞である。名詞だとか動詞、形容詞と同等に詞という語が付されている助詞だが、そもそもこいつは単語としてのテイをなしていないと思うのだ。だって、「ハ」とか「ガ」とか「ヲ」とか「ニ」などの語、助詞には活用もないし、それだけでは意味をなさないではないか。早い話、名詞に接続する形でしか機能しないのが助詞という「品詞」なのである。
 いま私は「主題」という語を用いたが、これは『現代語法序説』を著した三上章に従った。その著書のなかで三上はこう述べている。

三上章著:『現代語法序説』より

ロンドン('09.5月)

 三上のこの主張の大概を私は是認するものの、すべてに同意するわけではない。しかしともかく、名詞に関する三上の考えを是認することは松下の「題目」を是認することと同じだと私は考える。従って私は、「名詞+ハ」のかたちの文を「題目」ないし「主題」とも考えるのである。
 前回も書いたが、言葉が生まれるのはコミュニケーションに必要だからである。人間はだれもが「理解(わか)りたい」のである。では、どういう経緯で人間は「理解(わか)り」合うのか。
 簡単に言えば、話し手が聞き手に理解(わか)ってほしいことを伝えることによってである。それでようやく理解(わか)り合う関係が成立する。その相互関係のなかに私たちの暮らしがあるということなのだ。
 さて、「助詞ハ」を考えるということは、要するに日本人同士が相互に理解(わか)り合うという、もっとも基本的なこと、もっとも根本的なことについて、その原理から考えるということに他ならないとも言い得る。「助詞ハ」について考えるということは、単純に文法のことを考えるのでは断じてない。そうではなくて、「助詞ハ」の「ハ」は、どこまで力が及ぶかを考えるということでもあるのである。「助詞ガ」と「助詞ハ」の「ガ」と「ハ」の違い、たとえばその「ガ」と「ハ」の力が及ぶ距離や範囲に気づくだけで、私たちの相互理解はどんなに深く楽しいものになるかとも思うのである。そういうことを考えると、私の気持ちは浮き浮きしてくる。文法を考えるということは結局のところそういうことではないのだろうか。

次号予告

 次号の配信は9月10日(木)です。江戸時代の画家・伊藤若冲が亡くなったのは1800年のこの日です。没後200年以上経っても色鮮やかな作品の数々が人びとを喜ばせていると思うと、絵が持つ力のすごさに驚くばかりです。こんなことを思うなんて、芸術の秋なんでしょうか。
 さて、次号のメルマガラインナップは、「とろんのPAI通信」、若月元樹の「南の島から――沖縄県黒島の日々」、そしてもう一つは、上林早苗の新連載です。
 お楽しみに!

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