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『メルマガ北海道人』第131号 2009.7.30.―「北海道人」、夏休み妄想―

 もしもいま、1カ月の夏休みがあったら皆さんはどんな風に過ごしますか? 不足ない程度のお小遣いつきで「さあ、遊びなさい」と言われたら。ここまで書いて、なんだか楽しい気持ちになってきました。ちなみに私の場合は、すぐ旅に出るでしょう。飛行機で南国へひとっ飛び! やしの木陰で読書と昼寝、飽きたら海に入って魚といっしょに海水浴。泳いでいる魚を何匹か捕まえて、同伴の子猫たちのご飯に。火を通して、固い骨を取り除いて、身をほぐさなくては……。楽しい妄想に細かい現実が入り混じって、なんだか、なんだか。
 『メルマガ北海道人』第131号、1週間の休みを1カ月に変える妄想力でロングバケーション配信!

もくじ

連載【岩崎稔の『大陸人の時間』】

 先日、上海ではじめて皆既日食を体験したという岩崎さん。上海らしい日食写真を撮ろうと、前日から撮影場所を探しまわります。皆既日食当日の天気予報は雨。岩崎さんは上海で不思議な体験をします。第65回は「上海怪奇日食」――。怪奇なんですか!?

連載【橋場了吾の『SAPPORO MUSIC LETTER』】

 今回橋場さんが紹介してくれるアーティストは、キマグレンです。ミュージシャンとライブハウスの運営という二足のわらじを履くキマグレン誕生のストーリーとは? 8月4日は札幌大通公園のWHITE ROCK MUSIC TENT、10月21日は札幌・ペニーレーン24でライブがあります!

連載【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】

 七五調は四拍子であるという理論を唱えたのは別宮貞徳先生。著作からいろいろ刺激を受けたという編集長・和多田進が今回取り上げるのは、ある研究者を痛烈に批判した別宮先生の『裏返し文章講座』からの一節です。第32回は「権威主義ということ」。

【岩崎稔の『大陸人の時間』】第65回

上海怪奇日食

 先日、上海ではじめて皆既日食を体験した。日本でも相当盛り上がったそうだが、中国でも皆既日食を見ようとする人民の執念は凄かった。
 皆既日食が観測される前日、ロケハンのために上海の高層ビルに向かう。欠けていく太陽だけを撮影するとどこで観測された皆既日食か分からなくなるので、上海の代表的な高層ビルやテレビ塔と重なる場所を探す。上海では午前9時20分ころに太陽が月に隠れる。同じ時間に東方明珠(テレビ塔)の近くから太陽の位置を確認するが、すでにかなり高いところまで上ってしまっている。建物とちょうど重なる所を目指して行くと、すでに数人のカメラマンらしき人たちが場所の確認をしている。太陽の位置を頼りに集まった私たちは、何だか宝のありかを探す謎解きでもしているようだ。
 するとまた一人、上を見上げながらこちらに吸い寄せられてくるカメラマンがいる。よく見ると知り合いだ。
 「明日は雨らしいよ」と開口一番不吉なことを言う。たしかに今朝聞いた天気予報ではかなりの確率で雨だった。雨なら雨であきらめがつくのだが、上海に到着してから連日物凄く天気がいい。雨の降るような気配すらない。
 そのカメラマンと幾つかの場所をロケハンしていると、さらに何人もの知り合いのカメラマンに出会う。みんな上を見上げながら、本当に宝のありかを探しているようだった。

怪奇な日食

 その日、地元の夕刊を見て驚いた。1面に東方明珠と雲の隙間からのぞく皆既日食の写真が掲載されているのだ。よく見ると合成写真だと分かるが、前日に写真を載せてしまうなんて、中国の皆既日食報道もかなり盛り上がっている。地元紙を読むと「皆既日食観測は絶望的」との見出し。その記者は飛行機に乗って皆既日食を取材すると書いてある。物凄い執念だ。
 翌朝、窓を開けると曇りだ。しかし、時折雲の隙間から太陽が見える。観測できるのかできないのか、撮影するカメラマンとしては、ハッキリしていただきたいのだ。とりあえず、前日にロケハンした高層ビル街近くの公園に向かう。すでに数十人の市民やビジネスマンたちが観測用のメガネやフィルムを使って空を見上げている。
 時折雲の切れ間から太陽が出てくると、集まった人たちは歓声を上げた。部分日食がはじまったころには、数分だがはっきりと太陽が欠けているのが観測できた。
 そして9時10分を回ったころだった。雲が太陽を覆い、あたりが暗くなりはじめた。パラパラと降り出した雨はだんだん激しくなり、観測していた人たちが一斉にパラソルに逃げ込んだ。そして数分間、街頭に明かりが灯り、まさに「夜」のような風景になった。さらに数分が過ぎると徐々に明るくなり、雨も小雨に変わった。
 皆既日食と強い雨は何か関係があったのだろうか。北京で部分日食を撮影していたカメラマンに電話で状況を伝える。すると彼は「それは怪奇な日食だね……」と、本気で答えているのかどうか分からないコメントを寄せたのであった。

終わり

著者近影

いわさき・みのる…写真家。1974年、宮崎県生まれ。東京工芸短期大学写真学科卒業、中国人民大学法学部卒業。95年から北京市に暮らし、同市を拠点に活動を続けるかたわら、アジアのフォトグラファーネットワークづくりなどに尽力している。
*現在ANAの機内誌「翼の王国」で、作家の原口純子さんと「中国万事通」を連載中です。

ホームページ:http://www.minoruphoto.com/japanesemainpage.htm

【橋場了吾の『SAPPORO MUSIC LETTER』】 第19回

一心同体の二人から生まれた「LIFE&LOVE」

 「メルマガ北海道人」をご覧の皆さん、こんにちは。今回も【SAPPORO MUSIC LETTER】では素敵なミュージシャンの魅力をお伝えしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 2008年に大ヒットした曲、といえば皆さんどんな曲を思い浮かべるでしょうか。私は間違いなく、某スポーツウェアのCMソングにもなっていた「LIFE」という曲が最初に頭に浮かびます。
 「泣きたくて、笑いたくて、ホントの自分 ガマンして伝わらなくて 君は君のために生きていくの」
 「アーイヤ、イエイエイエ」の掛け声とともに歌われるこの曲、といえば「あ!」と思われる方も多いのではないでしょうか。昨年末には紅白歌合戦にも出場したキマグレンの1曲です。
 キマグレンは神奈川県逗子市に住んでいるKUREIさん(ヴォーカル)とISEKIさん(ギター&ヴォーカル)の二人組のユニットです。高校時代に同じスイミングスクールに通っていた縁で結成されました。
 実は結成されたのは「生きていくため」でした。というのも、お二人は現在も夏季限定のライブハウス「海の家 OTODAMA SEA STUDIO」を運営しています。そのライブハウスも最初はなかなか軌道に乗らず、やむを得ず自分たちの友だちにお客さんとして来てもらうため、ミュージシャンを呼ぶ代わりに自分たちがステージに立った、というのがはじまりでした。
 当時から歌っていた曲は「何かを伝えたいという気持ち」よりも「自分たちはこう考えている」ということ。その代表曲がタイトルもそのまま「LIFE」でした。そして昨年の大ヒットがあり、今年はその「LIFE」に「LOVE」を加えたニューアルバム「空×少年(そら・かける・しょうねん)」を6月17日にリリースしました。

ヴォーカルのKUREIさんとギター&ヴォーカルのISEKIさん

 作詞を手掛けるのはKUREIさんで、主に作曲を手掛けるのはISEKIさん。ISEKIさんが歌うこともあるのですが、「他人の書いた歌詞を歌っている気がしない」といいます。
 「どんな歌詞であろうと気持ちは一つなんですよね。KUREIが書く歌詞は僕ら自身そのものなんですよ。僕らは常に一緒にいるので、だからこそ歌う時に考えているのはそのまま素直に伝えること。だから僕が歌ってもKUREIが歌ってもいいんです。僕が歌ったことはKUREIが歌っていることと一緒なんですよ」(ISEKI)
 まさに“一心同体”となって、ミュージシャンとして、そしてライブハウススタッフとしての活動を両立しているキマグレン。彼らが歌う「LIFE&LOVE」に共感するファンが多いのは、ごくごく自然なことなのかもしれません。
 そのキマグレン、8月と10月、2回も札幌にライブでやってきてくれます。前者は大通西2丁目に期間限定で出現するWHITE ROCK MUSIC TENTで、後者はペニーレーン24で行われます。なかなか先が見えない時代ではありますが、彼らの心の底からの叫びは、一服の清涼剤になりそうですので、是非足を運んでほしいと思います。
 (追記)
 先日7月22日に私が運営している【SAPPORO MUSIC NAKED】のサイト開設1周年を迎えることができました。これもひとえにインタビューが掲載されているミュージシャン、プロモーター、そしてサイトを訪問してくださる多くの方々のおかげです。この場をお借りして感謝・御礼申し上げます。今後とも【SAPPORO MUSIC NAKED】をよろしくお願いいたします。

【キマグレン ライブ情報】
・SAPPORO CITY JAZZ
 2009.8.4(火)
 札幌・WHITE ROCK MUSIC TENT 開場17:00 開演18:00
・キマグレンTOUR2009〜KID IN THE SKY〜
 2009.10.21(水)
 札幌・ペニーレーン24 開場18:00 開演18:300
(HP)http://www.kimaguren.com/

著者近影

橋場了吾…1975年札幌市生まれ。1998年同志社大学卒業後、札幌テレビ放送入社。ラジオディレクターとして「日高晤郎ショー」「ライブスピカ」等を担当。2005年同社を退社。以後広告制作プロダクションなどを経て、2008年株式会社アールアンドアールを設立し、札幌発の音楽情報WEBマガジン「SAPPORO MUSIC NAKED」を立ち上げる。「音楽で北海道を元気にする」を信条に、札幌にやって来たミュージシャンの取材をつづけている。

「SAPPORO MUSIC NAKED」:http://www.sapporo-mn.com/

【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】 第32回

権威主義ということ

 日本語は七五調である、ということが一種の常識として世の中に行きわたっているのではあるまいか。ところが、七五調は四拍子であるということを言い出した学者がいる。『日本語のリズム』という本を書いた別宮貞徳先生である。未知未見の学者だったが、その著作は私にいろいろの刺激を与えた。
 別宮先生のこの理論は、一音節を八分音符で表現し、たとえば五音節の句に一拍半の休止を、七音節の句の場合は半拍の休止を置けば四拍子になる――というものである。日本語の音節を楽譜に置きかえて休符を導入する。そうして理論だてたのが日本語四拍子説である。つまり、ここには休符という「間」の発見があったのだ。
 別宮先生によるこの「間」の発見を読みながら、私は柿右衛門様式のことなどを考えた。素地(きじ)は別にして、柿右衛門様式の絵付だけを考えれば、あれは「余白」にこそ秘密がある。余白、という感性(感覚)がなければ、柿右衛門の美は不明になるだろう。そして、余白とは「間」のことでもあるのである。
 言うまでもなく、余白にはなにも描かれてはいない。「間」にも、何もない――、ように思う。しかし、本当に余白にも「間」にも、何もないのだろうか?

自宅('03.7)

 もちろんそうではない。そこは空白や無などではないのである。そこには豊穣な、なにごとかが表現されている。表現に絶対必要な空白、それが余白であり、間という場所なのだ。私たち日本人のDNAは、何もないように見える、空(くう)に見える、その場所に意味、美を発見する。おそらく、これは西洋人一般にはなかなか感じ取れない場所のような気がする。西洋にももちろん「間」、空は存在する。しかし、その存在の仕方は日本とは大きな相違があるのではないか。その相違のなかに、あるいは文化の成り立ちの相違が溶け込んでいるような気もする。
 別宮先生の日本語四拍子説から私の妄想はそんなふうに展開した。そういう別宮体験の後、あれやこれやの数年が過ぎ、ふらりと入った書店でまたしても別宮先生の著作が私の目にとまった。『裏返し文章講座』という。
 「ひとことで言えば権威主義。周囲の人より少々学があったって、人間としてそう偉いわけじゃない。偉くないのにいかにもいらそうなかっこうで相手を見下すのは、むしろ恥を知らない品性から出てくると思います。権威主義は権威を振り回す方だけではなくて、権威を奉る方、権威にひれ伏す方にもある。みなそれにかぶれているんです。訳してつかわすという学者先生、その名をありがたがって翻訳をたのみこむ出版社、いくらわからなくても自分の頭が悪いんだろうと卑下する読者、すべて恥を知らぬ権威主義者にほかなりません。
 品格に欠ける文章は、一つには権威主義から生まれるとぼくは考えています。いかがですか」
 これはアダム・スミスの研究者として知られる日本学士院会員・水田洋先生訳『国富論』(河出書房新社)に対する別宮先生の痛烈な批判文である。別宮貞徳先生は1927年生まれだから、もう八十歳を越えられたことになるが、機会があれば私はお目にかかりたい人のひとりである。権威を畏れぬ精神の持ち主にこそ出会わねばならぬと改めて思う次第である。

次号予告

 次号の配信は8月6日(木)です。64年前に広島に原爆が投下された日です。
 さて、次号のメルマガラインナップは、上林早苗の「上海日記」、「とろんのPAI通信」、若月元樹の「南の島から――沖縄県黒島の日々」です。
 お楽しみに!

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