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『メルマガ北海道人』第129号 2009.7.16. ―「北海道人」、音楽のシャワーとソーダの泡―

 雨の多い天候のおかげで気分までジメジメしていまいそうなこのごろですが、そのジメジメを吹き飛ばすかのように、街のあちこちで音楽のイベントが行われています。野外でもコンサートが開かれるなど、耳のチューニングを合わせればいたるところで音楽のシャワーを浴びることができます。
 音楽のシャワーだけではまだスッキリしないという方は、ソーダ水を一口どうぞ。身体の中からもシャワシャワされれば、スッキリさわやか!
 『メルマガ北海道人』第129号、音楽のシャワーとソーダの泡の処方でNOジメジメ配信!

もくじ

連載【岩崎稔の『大陸人の時間』】

 7月5日にウルムチで起きた暴動から数日の間、取材をつづけながら徐々に西へやってきたという岩崎さんがいる街は、新疆ウイグル自治区のカシュガルです。ウルムチでは政府が「メディアセンター」をつくるなど、「透明性」のある報道を訴えていますが、カシュガルで取材しようとする岩崎さんを待ち受けていたのは……。

連載【橋場了吾の『SAPPORO MUSIC LETTER』】

 今回橋場さんが紹介してくれるアーティストは、4人組のバンドSUPER BEAVERです。平均年齢20歳という若さからは想像できないほどたしかなテクニックをもつというSUPER BEAVERが作り出す音楽とは? 「北海道で何かを残したい」とギターの柳沢さんが語る札幌でのライブは7月25日、待ち遠しい!

連載【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】

 学生時代に読んだマックス・ヴェーバー(1864〜1920)の著作『官僚制』を思い出しながら書いたという今回の「濡れにぞ濡れし」。編集長・和多田進がいうヴェーバーによる感動的な指摘とは「官僚制は非人間化にこそ特質がある」ということ――。官僚とは、官僚制とはいったい何なのでしょうか!

【岩崎稔の『大陸人の時間』】第64回

西の果てカシュガルにて

 中国の北西に位置する新疆ウイグル自治区。中でも西の果てパキスタン国境に近い街カシュガルに、昨年の北京五輪の聖火リレー取材以来、約一年ぶりに訪れた。7月5日にウルムチで発生した暴動から数日の間、取材をつづけながら徐々に西へとやって来た。
 今回の取材は昨年ラサで起きたチベット族の暴動取材のように、外国メディアに対する当局の厳しい取締や妨害がほぼなく、「透明性」を訴える政府はウルムチにメディアセンターを作るなど異例の対応をつづけている。政府の方針はカシュガルでの取材も同様のはずだったが、取材は散々たるものであった……。
 カシュガルに到着した翌朝6時半過ぎ、ホテルの部屋のドアを激しくノックする音で起きる。ぼさぼさの髪で扉を開けると、私服の公安が3人外にいた。
 「今すぐこの街から出て行ってください」
 ウルムチで取得した今回の暴動に関する取材許可書を見せる。
 「ここではこんなものは意味がない、今すぐ出て行ってください」
 何度説明しても理解してもらえない。
 私は許可書をもらった自治区の担当や、外交部に連絡し、取材ができるかを確認する。
 「今回の暴動は政府の方針として外国メディアの取材を許可し、透明性のある報道を訴えている。すぐに取材できるよう関係部署に連絡する」
 と言われ、部屋で待機する。

アーファンティ

 数時間が過ぎるとまたドアを激しくノックする音が聞こえる。今度は制服の警察も現れ、「今すぐここを立ち去れ」と警告される。
 担当者を通して、取材ができるか確認しているので、とりあえず待ってくれないかと交渉するが、制服を着た警察官は「そんな事をしても無意味だ、今すぐ立ち去れ」と激しい口調で警告してくる。身分証を見せてくれと言っても「今日は持っていない」と平然といいはらう。
 朝ご飯も昼ご飯も食べることができず、部屋にあったカップラーメンをすする。
 午後になり、また部屋をノックする音。カシュガルの役人が現れた。
 「正式にあなたに通達します。この街では取材はできません、今すぐ出て行ってください」
 朝に交渉をはじめてから10時間は過ぎていた。取材を諦め、ホテルのロビーに水を買いに行こうとすると、部屋の前に机と椅子を置いて朝から待機していた警察が付いてくる。廊下の窓から数枚写真を撮ると、カメラの中身を消去しろとしつこく言ってくる。何の法律に照らして消去するのだと、問いただすと「法律なんかない、俺が決めたことが全てなんだ」と私のカメラを奪おうとする。さすがに商売道具は渡せないと死守する。政府の役人はそれを見て見ぬふりをする。
 空港へ送られる途中、政府の役人は親しげにこう言う。
 「あなたの安全確保のためにこういった処置を執るのです、理解してください」
 車の中からは、武装警察を乗せたトラックやウイグル人のスイカ売り、鮮やかなワンピースを着た少女たちが見えた。

著者近影

いわさき・みのる…写真家。1974年、宮崎県生まれ。東京工芸短期大学写真学科卒業、中国人民大学法学部卒業。95年から北京市に暮らし、同市を拠点に活動を続けるかたわら、アジアのフォトグラファーネットワークづくりなどに尽力している。
*現在ANAの機内誌「翼の王国」で、作家の原口純子さんと「中国万事通」を連載中です。

ホームページ:http://www.minoruphoto.com/japanesemainpage.htm

【橋場了吾の『SAPPORO MUSIC LETTER』】 第18回

積み重ねの末に到達した大爆発前の「深呼吸」

 「メルマガ北海道人」をご覧の皆さん、こんにちは。今回も【SAPPORO MUSIC LETTER】では素敵なミュージシャンの魅力をお伝えしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 皆さんは学生時代、勉強のほか、どのようなことに打ち込んでいましたか? 部活や習い事など人それぞれだと思いますが、最初は遊びではじめたものでもいつの間にかどっぷりはまってしまった、という経験があるのではないでしょうか。
 今日ご紹介するSUPER BEAVERもそんな遊びが高じて、音楽に本気になってしまった4人組バンドです。メンバーはヴォーカルの渋谷龍太さん、ギターの柳沢亮太さん、ベースの上杉研太さん、ドラムの藤原広明さん。2005年に東京で結成され、平均年齢はなんと20歳です。
 もともと上杉さんは高校で軽音楽部の部長をやっていました。その上杉さんの後輩として入部してきたのが柳沢さん。その二人がバンドを組もうということになり、ヴォーカルとして誘ったのが当時ハンドボール部のキャプテンだった渋谷さんです。
 「上杉とは同じクラスだったんですが、そんなに仲が良かったわけではなかったんです(笑)。何がきっかけで誘われたのかわからないんです」(渋谷)
 はじめてのバンド体験……最初は遊びでしたが、ライブをやるごとに、曲を創るごとに渋谷さんは音楽にのめり込んでいきます。それは柳沢さんと上杉さんも同じでした。その「真剣さ」に最初のドラマーは後々迷惑がかかるかもしれないと脱退、柳沢さんの旧友である藤原さんが加入し、SUPER BEAVERは本格的な活動をスタートしました。

ギターの柳沢さんとヴォーカルの渋谷さん

 SUPER BEAVERの音楽は「ハードなサウンド」と「キャッチーなメロディライン」が融合されたハードロックです。そして、その若さからは想像もできないほどたしかなテクニックを持っています。言うなればSIAM SHADEの系譜を引き継ぐバンドです。日本の音楽界で「空き家」になっていた部分を見事に補ってくれるバンドが登場しました。
 6月3日にリリースされたメジャーデビューシングル「深呼吸」には系統の違う4曲が収録されています。歌詞を書いているのは柳沢さん。他の人が書いた歌詞を歌うことについて渋谷さんはこう語っています。
 「彼(柳沢)の書いている歌詞は4人で活動している中から生まれているので気持ちの共有ができているんです。僕の言葉でもあるので、他人の歌詞を歌っているという意識はないですね」(渋谷)
 そのSUPER BEAVERが7月25日に北海道では初となるライブを行います。これまでのライブの模様は一部ですがオフィシャルホームページで見ることができます。そのライブ感溢れるサウンドはCDよりも勢いがあり、特別な空気を感じます。
 「僕らは伝えたいことがあってライブをしているので、北海道で何かを残したいですね」(柳沢)
 若いといって侮るなかれ。音楽には年を重ねることで表現できることもたくさんありますが、若いからこそできることもたくさんあります。SUPER BEAVERがどのようなことをライブで伝えてくれるのか、私もこの目で、耳で、体でたしかめてこようと思っています。

【SUPER BEAVER ライブ情報】
2009.7.25(土)
札幌・クラップスホール(札幌市中央区南4西6)
開場17:00 開演17:30
(HP)http://www.superbeaver.net/

著者近影

橋場了吾…1975年札幌市生まれ。1998年同志社大学卒業後、札幌テレビ放送入社。ラジオディレクターとして「日高晤郎ショー」「ライブスピカ」等を担当。2005年同社を退社。以後広告制作プロダクションなどを経て、2008年株式会社アールアンドアールを設立し、札幌発の音楽情報WEBマガジン「SAPPORO MUSIC NAKED」を立ち上げる。「音楽で北海道を元気にする」を信条に、札幌にやって来たミュージシャンの取材をつづけている。

「SAPPORO MUSIC NAKED」:http://www.sapporo-mn.com/

【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】 第31回

『官僚制』を思い出しつつ

 マックス・ヴェーバーに『官僚制』という著作がある。学生時代、それを角川文庫の一冊で読んだのだったが、それがいま手元にはない。何度かの引越しや書棚を分散したためにどこかにまぎれたままになっているのだろうと思う。気になりながら探し当てられぬまま今日に至っている。従って、いまはおぼろな記憶によるしかない。
 ヴェーバーによれば、近代的国家というものは官僚制なしには考えられない。特に官僚的行政が権力的な地位を確保し得るのは、専門知識によってであり、その専門知識による行政は必然的に文書が大きな比重を占め、そこから職務の秘密、要するに非公開的行政が生ずるのだというのである。詳細な論理の展開、実証は忘れてしまったが、私が記憶するヴェーバーのさらに感動的な指摘は、官僚制は非人間化にこそ特質があるということである。興味のある人は是非ともヴェーバーを一読してほしい。おそらく上私の理解は誤ってはいないはずである。
 東京霞ヶ関にはこの国の中央官庁がひしめき合い、そこに官僚と呼ばれる何千人か、何万人かが働いている。国会で問題にされる官僚批判は、言うまでもなくこの人びとに対する批判である。マスコミもここに働く官僚、官僚組織を毎日のように批判する。だから、官僚と言えば国民は霞ヶ関の住人のことだと思って疑わない。
 しかし、どうだろう。官僚は霞ヶ関の住人だけなのだろうか?

ロンドン('09.5月)

 もちろんそうではない。官僚というからわけが分からなくなるのだが、要するに役人のことなのだ。もっと分かりやすく言い直せば、公務員ということである。これなら、だれの頭にもすぐイメージできる。村役場、市役所、県(道)庁に勤務している人は原則みな官僚というわけなのだから。そして、これらの人びとが行う行政は原則、非人間的たらざるを得ない、というのがヴェーバーの指摘だったはずである。
 私は、ヴェーバーのその指摘がまったく正しいと考える。官僚行政というのは合理的であらねばならない。合理的であらねばならぬというのは、だれに対しても公平かつ平等でなければならないということを意味する。そこに非人間化の余地が生ずる。先に述べた文書化される行政ということもまた事態を平準的な理解に導く。ものごとの平準的理解、平準化もまた非人間化に道を拓くに違いない。間違ってはならないという公務員における一種の義務もまた非人間化の道につらなる。
 それやこれやのことを専門的に遂行する生活を何年間もつづければ、それをつづけた人間は好むと好まざるとにかかわらず非人間的感性を持つ「人間」に「進化」するのではあるまいか。そして、その人びとはその人びとなりの「文化」を共有することになるだろう。本人たちは「選良」としての「文化」と考えるだろうが、そうした「選良」権力に支配される大多数の庶民にとっては迷惑千万な話ということになる。庶民と公務員の相異なる文化の相克――。それが今日の私たちの社会ということになるのだろう。そこに和解の契機はほとんどない、とも私は考える。つまり私の結論は、可能なかぎり官僚の権利を少なくする政治こそ、ということになる。そういう闘争がようやくこの国でもはじまることになるのだろうか。道は険しいようだが。

次号予告

 次号の配信は7月23日(木)です。札幌の大通公園ではビアガーデンがはじまっています。ジョッキを片手に乾杯している人のなかに皆さんの姿はあるでしょうか?
 さて、次号のメルマガラインナップは、上林早苗の「上海日記」、「とろんのPAI通信」、若月元樹の「南の島から――沖縄県黒島の日々」です。
 お楽しみに!

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