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『メルマガ北海道人』第128号 2009.7.9.―「北海道人」、夏といえば―

 夏! つつつ、冷たいコーヒー! ヒヒ、日陰! ゲゲゲ、ゲゲゲの鬼太郎!う、打ち水! ズズズイカ割り、えー、スイカ割り! リーリーリー二塁セーフ! フフフプ、プール! ルービー1杯ジャーマネシータクよんでちょうだい……。夏といえば……思い浮かぶものを挙げてみたのですが、無理やりしりとりにする必要はありませんでした。
 みなさんはどんなものに夏を感じますか? 朝顔、日傘を差す女性、海開きのニュース、バーベキューの煙、お中元の広告、夏祭り、花火大会、首筋の汗、虫刺されのかゆみ。北海道は夏を迎えました!
 『メルマガ北海道人』第128号、編集部は夏といえばビアガーデン配信! あら、フライング?

もくじ

連載【上林早苗の『上海日記』】

 7月5日深夜、ウルムチで暴動があったと、カシュガルを旅行中の友人から上林さんに連絡が入ります。ウルムチの知人の携帯はつながらず、チャットでも口をつぐむばかり……。さて、「上海日記」は離婚を決心したチャンインのその後の話です。どうすれば別れられるのか――。第61回は「1元安い別れ」です。

連載【とろんのPAI通信】

 小さな手にゴルフボールを握りしめ、買ったばかりの大型液晶テレビの画面をたたき割ってしまったもうすぐ3歳の太一くん。とろんさん一家が温泉の帰りに通っている「美しくって優雅で静寂なる和風のお店」で、太一くんが“踏んだり”“蹴ったり”のわんぱくぶりを発揮してしまいます。第54回は「太一、出入り禁止の巻」です。

連載【若月元樹の『南の島から――沖縄県黒島の日々』】

 黒島には県や町の出先機関や道路を管理する業者がありません。道路沿いの街路樹や雑草の管理は島民がするそうです。道路清掃を呼びかける文書に「持参するもの」として書かれていたのは「カマ・ビーバー・チェンソー・シャボ・ダンプ」。ビーバー! シャボ?? 黒島の道路清掃とはいったい……。

【上林早苗の『上海日記』】 第61回

「1元安い別れ」

 「今日(7月5日)の夕方、ウルムチで大規模な暴動があったらしい」と、カシュガルを旅行している友人から深夜にインターネットのチャットで連絡があった。ウルムチ在住の彼女の知人は携帯電話がつながらず、何があったのかチャットで尋ねても口をつぐむばかりだという。試しにグーグルで検索すると、関連の書き込みのほとんどが案の定アクセス拒否もしくは削除になっていた。情報をつなぎ合わせると「民族差別に憤ったウルムチ人1万人の暴動」「武装警察数千人が出動」「数百人を逮捕」「死者数不明」で、現地は通信がほぼ遮断されているらしい。一夜明けると、さすがに中国や日本のサイトでもトップニュースとなっており、事件そのものが闇に葬られるということはなかったが、昼夜を問わず人海戦術で行われている非公式情報の封じこめを目の当たりにしてぞっとせずにいられなかった。上海万博まであと300日。それまでに「調和のとれた社会」をどこまでアピールできるのか、難題は山積みである。

 どうすれば別れられるのか――。離婚を決心したチャンインのその後である。「性格の不一致」や「宗教の不一致」、どんな理由も裁判官には通じない。「半年別居すれば不仲が認められる」と聞いたチャンインはしまいに家出までしたが、一家の生活が困窮しただけでそれも功を奏さなかった。
 それだけに突然、妻が離婚を承諾した時は喜びもひとしおだった。条件は二つ。一つはチャンインにまとまった貯金ができしだい、慰謝料を払うこと。二つめはアパートを娘の所有物にして夫婦で居住権を持つこと。チャンインは快諾し、2005年3月初旬、二人はめでたく離婚届けを提出した。チャンインは残念そうに言う。
 「本当は離婚届を出すその日に、ユエンイエと結婚届を出したかったんだ」

夜の路地浦(台湾鹿港)

 離婚届と結婚届を同時に申請すれば、きっと話題になる――と、そうもくろんだそうだ。しかし、新聞社の友人に聞くと「そんなニュース、今どき珍しくもなんともない」と一蹴されて断念。考えてみると前妻と新妻がバッティングするのもめんどうくさく、結局、再婚の届けを出したのは離婚の10日後だった。離婚届けは担当者に「仲が悪くなったのですね?」などと声をかけられるかと思っていたが、意外に淡々と受理され、拍子ぬけした。
 10日後の結婚手続も実に簡単だった。15年前のように職場の証明書や身体検査合格書は必要なく、二人の離婚証明書と戸籍謄本だけで受理が完了。よくよく見ると、離婚証明書と結婚証明書は外見がそっくりで、「離」と「結」が唯一の違いというのが興味深かった。しかも前者の手数料は9元、後者は10元である。
 「別れのほうが1元安い……」
 チャンインは思わず吹き出した。
 愛する女性、ユエンイエと暮らせる。バラ色の人生をようやく歩みだせる。母も娘も自分を応援してくれていたし、これから本当の結婚生活がはじまるのだ――チャンインはそう思っていた。だから、財産分割の内容に前妻が不服として裁判を起こしたときは目の前が真っ暗になった。おそらく前妻はチャンイン再婚の知らせを聞きつけたのだろう。チャンインに恨みをもつ悪友による入れ知恵もあった。前妻は親類をぞろぞろと引き連れて、チャンイン宅を訪れた。
 「慰謝料が少なすぎる」
 「娘の所有するアパートを渡せ」
 チャンインはこのとき一文無しだった。8カ月間の家出生活にくわえて、雑誌編集部が解体されたことから職を失い、収入・貯金がゼロに近かった。裁判となれば弁護士費用がいる。さらに前妻の親類は気が荒くけんかっ早いため、入廷するときには身の安全のためにボディガードを雇わねばならなかった。体格のいい上海人二人への礼金は3000元を要した。やがて一家は来月の家賃、明日の米にも困るようになる。
 「ピンチには強いほうだけど、さすがに焦った。人生最大の危機だった」
 上の姉から5万元(約75万円)を借りると、そこから長い裁判生活がはじまった。

かんばやし・さなえ・・・1978年生まれ、奈良出身。京都外国語大学中国語学科卒業。上海在住8年目。中国人の夫と姑との3人暮らし。

【とろんのPAI通信】 第54回

太一、出入り禁止の巻

 あの小さな手で固いゴルフボールを握りしめ、買ったばかりの大型液晶テレビの画面に向かって全力で何度も何度もたたきつけ、見事に割ってしまった3歳直前の我が息子、太一君。カラフルにクッキリ染まり走る美しいそのヒビ割れ模様を見て、納得歓喜していた太一君。なるほど“魔の3歳”だなあと、納得混乱しているボクと愛妻はるか。
 タイ北部の山の町PAIから中国山脈を背にした岡山県南部の街「総社」に移り住み、ボクの両親の介護をはじめて1年半になる。街の西側に「高梁川」という大きな美しい河が在り、中国山脈から瀬戸内海へ、北から南へと流れていて、優しくって小高い山々に囲まれた人口7万弱の街、町。麦や米や大豆などの田園風景が美しくって、今は田植えの季節で、その緑みどりの風景の中に、白くって大きな美しい鶴や白鷺が絵のように舞い降りてくる。新潟県長岡市で生まれ育った愛妻はるかも、この「吉備路」の大きな緑空間を心から気に入ってくれ、サイクリングしながら、アチコチに「お気に入りSPACE」を発見し、今では「太一や」というお店もOPENして、“住めば都”化しているボクらの夏。
 「お気に入りSPACE」の一つに「サンロード吉備路」という国民宿舎があって、そこには「たんちょう鶴」が住み、子どもたちが裸足で遊べる芝生の広場があったり、地元産の野菜直売市場があったり、そしてなによりも、腰痛や傷、やけどや荒れた肌に効き、疲れのとれる温泉があって、ボクらは「太一や」の定休日の火曜日と金曜日の週2回、回数券を駆使してマメに通っているのだ。洋風の大理石風呂と和風の岩風呂があって、男女日替わりなので両方が楽しめる。そして、この温泉に入浴する前、温泉から至近距離に在る「珈琲と人」という2階建てのお店(美しくって優雅で静寂なる和風のお店)で昼ごはんを食べるのが楽しみだったのだけど、太一のせいで(おかげで??)出入り禁止になってしまった。

母性3野の花(太一やに作品を並べているアーティストあ〜ち&MIZUEちゃんの一人娘ののか)

 “魔の3歳”絶好調の太一君、その「美しくって優雅で静寂なる和風のお店」で、毎回大声で叫び走りまわり、座布団を投げつけ、見知らぬお客をいきなり蹴ったり、そして前回は、お店の人が大切にしていた絵本を破いてしまったのだ。毎回“要注意人物”としてお店の人にじっと見張られていたみたいで、「最後の日」、ボクら大人が二人「嗚呼、ホントにおいしい♪」などと優雅に舌鼓を打っていたら、お店の女の人が顔色を変えて太一めがけて早足でやってきて、サ!!っと目にもとまらぬ速さで太一から絵本を取り上げ持って行ってしまったのだ。そして「嗚呼、ホントにおいしかった♪」と食事代を払おうとしたら、男の人から「今回はお客様を不快な目にあわせてしまったので、お食事代は受け取れません。恐れ入りますが、お二人のお子様は目にあまるものがあり、これ以上私たちの店では受け入れることができませんので、今後の出入りは禁止させていただきます」と和風に、丁寧に「出入り禁止」を宣告されてしまったのだ。
 前回の大切な絵本の破損につづき、今回は大切な絵本を小さな足で、エイ!!っと踏んづけていたらしいのだ。そして、目にもとまらぬ速さで太一から大切な絵本を取り上げたお店の女の人に向って太一は「あっちへいけ!!」と足蹴りをしてしまったのだ。その時の女の人の太一を睨みつける憎々しげな顔が忘れられない、と愛妻はるかの困り顔。
 この「珈琲と人」というお店は、ボクたちの一番の「お気に入りSPACE」だったし、やっている夫婦もとっても美的存在感があって「太一や」のイベントのチラシも毎回快く置いてくれていたのに、ついに「出入り禁止」になってしまった。食事代も受け取ってもらえなくって、絵本も破いてしまったので、後日、愛妻はるかは絵本2冊(『やこうれっしゃ』『よあけ』)を買い、ボクの本『とろんのダイジョ〜ぶ経典(スートラ)』を加えて3冊の本に詫び状を添えてお店に送り、一件落着を試みた。
 いまのところ本たちは送り返されていないし、「出入り禁止」ながらも平和な日々がつづいている。岡山を旅するならぜひとも「吉備路」にやってきて、田園風景を縫ってサイクリングしてみたらいい。そして「サンロード吉備路」に2泊して日替わり温泉に入って、その至近距離に在る「珈琲と人」で食事とコーヒーを!!! そして、もしこのお店でボクたちの送った本たちを一冊でも発見したら、ぜひとも報告してくださいね。そしたら、また太一を連れて行ってみようかな??

  3歳児に翻弄されている58歳の父親、とろんより。

著者近影

とろん・・・1969年高校卒業直後、フランス郵船に乗ってインドに上陸し地球放浪を始める。帰国後、専門学校、大学、夫などを中退しながらも、旅と文筆とライブ活動を続行し、今に至る。著書に『純粋単細胞的思考』『まるだしのエクスタシー』『とろんのダイジョーぶ経典(スートラ)』(共に、晩聲社刊)があり、この3年間は『とろんのPAI通信』を(なまえのない新聞)に連載中。2001年、50歳のときにタイのPAIに流れ着き、MOON VILLAGEという村つくりを展開しながら、(くるくるPAIバンド)を率いPAIでライブ活動中。

ホームページ:http://amanakuni.net/toron/

【若月元樹の『南の島から――沖縄県黒島の日々』】第35回

みんなの道路

 黒島に国道や信号機はない。しかし、アスファルトで舗装された県道や町道はある。
 黒島の基幹産業が畜産である理由のひとつに、牧草の成長が早い温暖な気候ということがある。ということは、道路沿いの街路樹や雑草も勢いよく伸びるということで、放置していると荒れ放題となる。しかし、黒島には県や町の出先機関や、道路を管理する業者は存在しない。ではだれが道路の清掃をするのであろうか。
 答えは島民である。県や町から清掃の依頼が島の窓口でもある公民館に来る。公民館は道路の荒れ具合と島内の行事予定などを見ながら清掃を実施する日程を決定し、島内全戸に文書で日時を知らせて協力を呼びかける。報酬はない。自分たちの利用する道路は自分たちで清掃するという意識と、行政からの報酬を島の行事などの経費に充てるという背景がある。
 私が島に来たばかりのころ、道路清掃を呼びかける文書を見て戸惑った。「持参するもの」として、「カマ・ビーバー・チェンソー・シャボ・ダンプ」とあるのである。黒島に来るまでの私にはカマしか使用した経験がなかったからである。
 「ビーバー」とは正式には「刈払い機」などと呼ばれる草刈り機のことである。両手でハンドルを握り、回転する歯を左右に振って草を刈る機械である。島では身近な機械で、小中学校では掃除の時間に子どもたちも使っている。
 「チェンソー」と私は無縁だと思っていた。しかし、相次ぐ台風での倒木を片づけるのに必要性を感じて購入した。現在では倒木を片づける際、チェンソーで倒木を細かく切ってマキにし、外で焚き火をしながら飲む酒が旨く、台風時にマキの材料となる倒木に期待する自分がいる。

7月4日に実施された県道清掃。手前の人が“ビーバー”で草を刈り、奥では“シャボ”のバケットに乗って枝を落としている様子

 「シャボ」の正式名称は知らないが、造成工事などで見かける重機を、畜産の現場で使用しやすいように少し小さくしたものである。バケットで大量の草を除去できるし、写真のようにバケットの上に乗って木の枝を切ったりできる優れものである。事実、「シャボを使ったらすぐできるさー」とういうセリフが日常会話でよく聞かれる。器用に「シャボ」を操作する島民を普段見ていると、重たいものを移動する際などは、ウチにも「シャボ」が欲しいなと思う時がある。
 「ダンプ」はダンプカーのことである。これも畜産関係者たちが持っていて、日頃は巨大なマシュマロみたいな牧草ロールなどを運ぶのに利用されている。
 このことからもわかるように島ではセダンタイプの乗用車はほとんど見かけられない。用途に合わせ、一家に2台は車を所有していることが普通である。ちなみに私の勤める貧乏研究所の所有する車は、トラック一台だけである。しかも、本土の造園屋さんが廃車にしたものをもらってきたもので、車検の度に大きく変身して戻ってくる。先月、車検を受けた石垣島から戻ってきたばかりであるが、今年は錆びて穴だらけだった荷台がきれいに修繕されて戻ってきた。去年の車検ではいつのまにか取れてなくなっていたサイドミラーが取りつけられていた。しかし、島での運転にサイドミラーの必要性は感じられない。
 黒島研究所を訪れる観光客の中に、1年にひとりか二人は、「広くて立派すぎる」とか、「車がほとんど走っていない島で無駄に税金が使われている」と、国交省に言うべき道路の愚痴を我々に言ってくる人がいる。
 単純な比較による批判はよくない。畜産用の重機や車両の大きさを見て理解できないのであろうか。また、観光客も道路を満喫している。草を食む牛を眺めながら、島民がきれいに清掃した道路をレンタサイクルで並列に走り、通行を邪魔する光景は日常である。島民はクラクションを鳴らさず、存在に気づいてくれるまでゆっくり走行し、観光客が気分を害さない配慮をしている。

著者近影

わかつき・もとき・・・1974年広島県生まれ。沖縄国際大学大学院地域文化研究科修了。高校まで広島で過ごした後、沖縄の祖母の家へ移り住む。大学卒業後、そのまま沖縄でサラリーマンになったが、遊び足りなくて退職。大学院へ行ったはいいが、みんなまじめに研究していて衝撃を受ける。現在は八重山諸島の黒島にあるNPO法人日本ウミガメ協議会の附属研究所・黒島研究所でウミガメや島の人々らと戯れている。

黒島研究所ホームページ:http://www.kuroshima.org/

次号予告

 次号の配信は7月16日(木)です。皆既日食が6日後に近づいています。日本で皆既日食が見られるのは種子島南部・屋久島・トカラ列島・奄美大島の北部です。上海でも見られるんですね。札幌はというと、太陽の約半分がかくれる程度。ちょっと残念です!
 さて、次号のメルマガラインナップは、岩崎稔の「大陸人の時間」、橋場了吾の「SAPPORO MUSIC LETTER」、編集長・和多田進の「濡れにぞ濡れし」です。お楽しみに!

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