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『メルマガ北海道人』第121号 2009.5.21.―「北海道人」、春紅葉のパノラマ2009―

 街には新緑があふれています。木という木に、萌黄色の絵の具でペタペタと葉っぱが描かれています。昼夜問わずの作業と思われますので、人びとが寝静まった夜に耳をすませば、あちこちからペタペタという音が聞こえてくるはずです。
 さて、春の展開スピードがあまりにも速すぎたので、季節を少し逆行してみようと、標高の高いところに向かいました。遠くの高い山々にはまだ残雪を見ることができます。ちょっと低い手前の山はというと、赤や黄色が萌黄色に混じり、まるで秋のような景色が一面に広がっています。春紅葉(はるもみじ)というそうですね。しかし、この赤や黄色の葉は、まもなく萌黄や緑にペタペタと塗り替えられてしまうんですね。
 『メルマガ北海道人』第121号、2009年の春紅葉は格別の味わい配信!

もくじ

連載【岩崎稔の『大陸人の時間』】

 5月12日で、8万人以上の死者を出した四川大地震からまる1年が経ちました。今回岩崎さんは、胡錦涛国家主席らが参加した追悼式を取材するため、四川省に向かいました。被害の大きかった地区の人びとの現在の暮らし、地震遺跡として保存が決まった北川県山鎮の様子、追悼式の様子を伝えます!

連載【橋場了吾の『SAPPORO MUSIC LETTER』】

 8月に行われる「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2009 IN EZO」(RSR)の出演アーティストが発表されました。今回橋場さんが紹介してくれるアーティストは、RSRに出演が決定した「勝手にしやがれ」です。メンバーは7人、ドラムがヴォーカルを担当するなどちょっと変わった編成のバンドです。8月14・15日のRSRが待ち遠しい!

連載【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】

 「写真といえば『ピント』であるらしい」。荒木経惟の連作『日本人ノ顔』に、和多田進が連載した新聞のコラムに、篠山紀信が出した吉川ひなのの写真集『ひなのがぴょんぴょん』に寄せられたクレームから、多数の人びとが持っている写真の常識が見えてきます。正しい写真? とは何でしょう。

【岩崎稔の『大陸人の時間』】第60回

四川大地震から1年

 5月12日で、8万人以上の人が一瞬にして亡くなった悪夢の四川大地震から1年が過ぎた。今もなお仮設住宅での生活を強いられる被災民たち。地震遺跡として保存される北川県曲山鎮の街。胡錦涛国家主席らが参加した追悼式などを取材するため四川省を訪れた。
 私はまず地震の被害の大きかった北川県曲山鎮の人たちが暮らす仮設住宅に向かった。小雨の降る中、傘をさす人はほとんどいない。1年たった今も生活感の感じられない仮設住宅では、被災民らによって下水工事がおこなわれていた。プレハブとプレハブの間に大きな水たまりができていて、今にも虫がわきそうだ。これから雨期に入るため工事を急いでいる、と女性の被災民が語った。
 震災から1年を節目に、北川県の被災民が移転する新北川県建設の起工式が行われた。まだ何もない更地にポツンとできた立派な展示会場に、新しい街の模型が作られていた。会場はまだ開放されていないが、自分たちの移転先を一目見ようと、遠くの仮設住宅からやってきた被災民や、突然大きな街が出現することになった地元民たちが、真剣なまなざしでパネルや模型を眺める。
 観光地と化した北川県曲山鎮を一望できる高台に向かう。地震の記録DVDや写真集、地震前と地震後の比較をした写真が売店に並ぶ。開かれた大きな写真集のページでは地震で建物の下敷きになった少年がもがいている。赤い旗を持ったガイドが眼下の街を指差しながら説明してゆく。その横では被災民たちが涙を流しながら犠牲者を追悼する。
 地震遺跡として保存が決まった曲山鎮に入る。昨年取材した町が今も変わらずそこにある。潰れた車、斜めに倒れた看板、ひび割れたアスファルト、今にも崩れてしまいそうな建物。当時は冷静に街の全体図を把握することなどできなかったが、改めて街の規模の大きさに驚く。昨年訪れた際、どこに校舎があるのか見分けられなかった北川小学校の前に慰霊碑が作られていた。崖を背に建てられていた小学校は土砂崩れですべて押しつぶされていたのだった。崩れた建物の瓦礫の中からせっせとゴミを集め、掃除する人たちがいる。どうやらここにも政府の高官が1周年の追悼式典に訪れるようだ。

地震遺跡

 1周年当日、ブンセン県映秀に向かう。先日まで映秀に行くには都江堰から車で1時間以上かかったが、開通した高速道路を通ったため、20分弱で到着する。当局により選ばれた外国人ジャーナリスト10名ほどを乗せたバスと国内メディアを乗せたバスが、追悼式の会場となる倒壊した中学校の前に到着する。
 先にトイレに行ってくださいと担当者から言われ、トイレに行って帰ってくるとバスがない。機材をバスに乗せたままの取材陣たちは、大慌てになる。バスを探しに仮設住宅の近くに行くと、そのまま警備関係者に仮設へ押し込まれる。記者証を見せて追悼式を取材しに来たと伝えても、彼らは一切聞く耳を持たない。国家主席や各国の大使が参加する式典のため、数日前から厳しい警備体制がしかれていたのだ。電話で外交部の担当者と連絡をとり、なんとか仮設住宅から脱出する。厳しい安全検査を通り抜けて取材位置につく。
 地震の発生した午後2時28分を指した時計の形をした白いモニュメントの前で一同が黙とうする。胡錦涛国家主席が演説し、慰霊碑に花を添える。遠くのほうにいる被災民たちは豆粒のように見える。厳しい警備でまったくこの会場には近づけない。
 追悼式が終わり、一度都江堰に戻ってからまた映秀にやってきて、地震で亡くなった人らの集合墓地を訪ねる。墓の前で呆然と座り込む人、気絶しそうなほど泣きじゃくる女性。ハイエナのように群がったカメラマンたちが泣き崩れる遺族の写真を撮る。山の斜面に作られた墓地には次々と遺族らが訪れ、地震の犠牲者を夜まで追悼した。

著者近影

いわさき・みのる…写真家。1974年、宮崎県生まれ。東京工芸短期大学写真学科卒業、中国人民大学法学部卒業。95年から北京市に暮らし、同市を拠点に活動を続けるかたわら、アジアのフォトグラファーネットワークづくりなどに尽力している。
*現在ANAの機内誌「翼の王国」で、作家の原口純子さんと「中国万事通」を連載中です。

ホームページ:http://www.minoruphoto.com/japanesemainpage.htm

【橋場了吾の『SAPPORO MUSIC LETTER』】 第14回

“逆転の発想”を武器に闘いつづける7人の猛者

 「メルマガ北海道人」をご覧の皆さん、こんにちは。今回も【SAPPORO MUSIC LETTER】では素敵なミュージシャンの魅力をお伝えしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 先日、北海道の夏の風物詩「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2009 IN EZO」(以後RSR)の出演アーティストが発表になりました。今年で11年目を迎えるRSRは、日本を代表するライブフェスティヴァルに成長しました。いまでは数多くのミュージシャンから出演オファーが絶えないフェスティヴァルです。今日はその出演アーティストの中から「勝手にしやがれ」をご紹介します。
 「勝手にしやがれ」(文章がそのままバンド名になっている珍しいパターンです)は、1997年に結成された7人編成のバンドです。メンバーはヴォーカル&ドラムの武藤昭平さん、ベースの浦野正樹さん、ピアノの斉藤淳一郎さん、トランペットの田中和さん、テナーサックスの田浦健さん、バリトンサックスの飯島誓さん、トロンボーンの福島忍さんです。
 普通バンドにはギターが入っていますが、「勝手にしやがれ」にはいません。しかもドラムがヴォーカルを取るという変則的な編成です。
  「バンドというのは人間関係なんです。いい仲間というのを重点に考えていたので、ギタリストを探したんですけど、『勝手にしやがれ』に合う人間性・音楽性のギタリストに出会えなかったんです」と武藤さんは語ります。

「勝手にしやがれ」の飯島さん(左)と武藤さん。シブいです

 とはいえ、ギターが入らないことで音楽的には幅が狭くなってしまう危険性があります。しかしながら、そこを逆転の発想で新たなサウンドを生み出したのが「勝手にしやがれ」です。4人いる管楽器をリードギターの役割、リズムギターの役割にうまく振り分けていったのです。
 「従来のイメージを覆して、音楽の色んな要素をアレンジで詰め込んでいるんです。そうすることで『勝手にしやがれ』のサウンドの可能性が広がりますよ」
 逆転の発想が生み出したサウンドは、多くのファンをとりこにしています。「勝手にしやがれ」がファンとの接点として大切にしているのがライブです。特に「勝手にしやがれ」のファンは“熱い”ことで有名なので、7人でもステージでその熱気に対抗するのは容易なことではないそうです。ライブへの思い入れを持っている「勝手にしやがれ」ですが、札幌のライブで印象深い出来事があったそうです。
 「ウチのバンドは基本的に本編だけでアンコールしないバンドなんです。はじめて札幌でワンマンライブやったときに、いつも通りアンコールなしでやろうと思っていたんですけど、凄く熱く盛り上がってくれて、客電がついて終了のお知らせも流れているのにずっとアンコールの声が鳴り止まなくて、嬉しくなっちゃって珍しくアンコールしましたよ」
 8月、石狩湾で「勝手にしやがれ」を待っているファンは久々の北海道でのライブということもあり、さらに“熱さ”を増しているはずです。その“熱さ”に7人の猛者がどのように応えるのか……RSRの楽しみがまたひとつ増えました。

【勝手にしやがれ ライブ情報】
RISING SUN ROCK FESTIVAL 2009 IN EZO
2009.8.14(金)・15(土)
石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ(出演時間は後日発表)
(HP)http://katteni-shiyagare.com/index.html

著者近影

橋場了吾…1975年札幌市生まれ。1998年同志社大学卒業後、札幌テレビ放送入社。ラジオディレクターとして「日高晤郎ショー」「ライブスピカ」等を担当。2005年同社を退社。以後広告制作プロダクションなどを経て、2008年株式会社アールアンドアールを設立し、札幌発の音楽情報WEBマガジン「SAPPORO MUSIC NAKED」を立ち上げる。「音楽で北海道を元気にする」を信条に、札幌にやって来たミュージシャンの取材を続けている。

「SAPPORO MUSIC NAKED」:http://www.sapporo-mn.com/

【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】 第27回

写真機携帯症患者の病状報告(23)

 写真といえば「ピント」であるらしい。あるとき、荒木経惟さんの連作『日本人ノ顔』の一冊を買った読者から事務局にクレームがきた。
 「私を写して下さった写真が写真集に載っているのですが、ピントが合っていないことをご存知ですか? ピントの合っていない写真でなく、ピントの合っている写真を載せてもらいたい。できれば代金を返却してもらいたい」
 そういう主旨だったと担当者から話を聞いた。担当者は応えに窮したという。もし私がその電話に出ていたらどう応えただろうと考えるが、そういう人に理解がいくような回答は私にもみつからない。どうして太陽は月でなく、月は太陽じゃないのか? ということに類するクレームだからである。どうしてあなたは人間なのか! そう言われたって、困っちゃうだけだろう。
 それで思い出したが、私が連載している新聞にも抗議がきた。「こいつのコラムの執筆内容と、そこに付されている写真が無関係なのはなぜなのか。マジメにやれ!」というのが抗議の内容だったらしい。言われてみると、そういう人に答えることは私にもできない。文字で政治家の批判を書き、それに付されている写真は東京タワーの夜景だったりするのだから、抗議する人の気持ちも分からないではない。しかし、そういう人にどう説明すればよいのか、途方に暮れることもたしかである。

東京・江東区大島('08.6月)

 篠山紀信の『写真は戦争だ! 現場からの戦況報告』にも似たような話が書かれていた。吉川ひなのの写真集『ひなのがぴょんぴょん』を出したときの読者の反応の中に、「篠山紀信は、もう写真をやめたほうがいい。写真をとってお金をもらう資格がない。なんでピンボケの写真や顔がはっきりわからない写真や後ろ姿の写真を写真集に入れるの?」というような反応の男性読者が何人もいたというのである。
 そういうことになると、森山大道さんの写真なんかはいったいどういうことになるのだろう。森山さんの写真には、一枚としてピントが合っている写真はないと言ってもいいほどなのだから。しかし、それにもかかわらず森山ファンは多いのである。
 もちろん、篠山、荒木、森山といった三巨頭には三者三様の読者がついているので、そのことを考えに入れないわけにはいかないだろう。もっとも一般的な読者、多数派が篠山紀信の読者だと考えれば、つまり、もっとも写真慣れしていない人びとが篠山写真を見る人びとだとすれば、多数の人びとにとって写真はピントが合っていてこそのもの、というのが大常識になるのだろう。まあ、そういう人びとにとっての写真は絵ハガキになるような写真が写真なのである。だからこそ、「手ぶれ防止」が写真機の標準装備になるのである。
 しかしである。きっちりピントが合うことと、ピントが合っていないことと、いったいどちらが人間の仕業であるのか――。そのことをマジメに考えてみるとどうなるだろう。ピントが合うことが正しい写真だと考える人には、人間の仕業とは何かを考えてほしいと思うのである。

次号予告

 次号の配信は5月28日(木)です。1980年に張本勲氏が日本プロ野球初となる3000本安打を記録した日です。今年の4月16日、イチローが張本氏の3085本の安打記録を塗り替えましたが、その間約30年もかかっています。長い、そして、すごい!
 さて、次号のメルマガラインナップは、上林早苗の「上海日記」、「とろんのPAI通信」、若月元樹の「南の島から――沖縄県黒島の日々」です。
 お楽しみに!

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