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『メルマガ北海道人』第115号 2009.4.9.―「北海道人」、おぼろづきの夜に―

 寒さのため、夜空を見上げることもなく家に駆け込んでいたのは、1カ月くらい前のことでしょうか。今週、帰宅したときに何気なく南の空を見上げると、ぼんやりとあかるい月が昇っていました。おぼろづき――。春らしい言葉の響きに酔いながら、これで桜が咲いていたらどんなに良いことか、と思いました。
 今日は満月、おぼろづきなら最高です。ほろ酔い加減で月明かりのもと、エアギターならぬ、エア夜桜観賞を試してみては?
 『メルマガ北海道人』第115号、ちどり足、おぼろげな記憶でエア配信?!

もくじ

連載【岩崎稔の『大陸人の時間』】

 日本のような島国とは違い、中国は14もの国と陸続きで隣接しています。今回岩崎さんは、ベトナムと北朝鮮、二つの国の国境を訪れます。北朝鮮との国境に向かった日は、なんとミサイル発射予告の初日! 第57回のタイトルは「中国国境案内」ですが、岩崎さん、大丈夫ですか?

連載【橋場了吾の『SAPPORO MUSIC LETTER』】

 今回のピックアップアーティストは、フルートをフィーチャーしたロックバンドFUNKISTです。日本と南アフリカ、二つの国の血を引くヴォーカリストの染谷西郷さんが音楽で伝えるメッセージとは? 橋場さんのディレクションによるFMラジオ新番組の情報もあります!

連載【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】

 写真を考えるうえで問題なのは、視覚と感情(触覚)であり、個人はそれからなる「無限な富で」もある、と。単に白と黒が形どられたモノクローム写真を見て、私たちが感情をゆさぶられるそのわけは? 今回もヘーゲルの言葉を引用しつつ、読者の皆様とがっぷり四つに組ませていただきます!

【岩崎稔の『大陸人の時間』】第57回

中国国境案内

 中国は日本のような島国ではないので、ロシア、モンゴル、北朝鮮、ベトナム、インド、パキスタン、ミャンマーなど全部で14カ国もの国と陸続きで隣接している。島国で育った私に国境の印象は乏しい。唯一思い浮かぶイメージは、映画『大脱走』で、主演のスティーブ・マックイーンが牢獄から逃げ出し、バイクで国境を越えようとして有刺鉄線に絡まり捕まってしまうシーンだ。彼は軍隊に追われる身だったので、我々の国境越えとは全く違うのだが。
 最近、中国と隣接する二つの国の国境を訪れる機会があった。最初に訪れたのは広西チワン族自治区凭祥市と接するベトナム国境だ。
 中越国境には友誼関という古い関所があり、国境の間を万里の長城のような石畳の城壁が数キロつづいている。現在残っている城壁は一部観光客にも開放されていて、1時間ほどかけて登ることができる。城壁をつたってゆくと、生い茂った木々の中にベトナムに向けて装備された古い大砲や弾薬庫があり、以前国境が戦場と化していたことを物語っていた。
 現在、ベトナムと中国の関係は良好で、友誼関を観光するベトナム人をたくさん見かけた。友誼関を越えると中国の出入国管理局があり、パスポートを見せて手続きすると、あっけなく中国を出ることができた。

国境線

 そこから数百メートル離れた場所にベトナムの出入国管理局がある。この数百メートルの間で事件に巻き込まれたら、どちらの国の法律で裁かれるのだろう……。別の国へ向かう期待と国境越えの緊張感が入り混じる中、向かいからガラガラとスーツケースを引きずり、そろいの赤い帽子をかぶった観光客が大挙してやってくる。なんだか期待を裏切られたような緊張感のなさだが、歩いて国境を越えるということは、大げさに言えば新しい世界のはじまりといった感じがして、意外と気持のよいことであった。
 その次に訪れた国境は一筋縄ではいかなかった。ちょうど北朝鮮がミサイルを発射すると予告した初日、吉林省延辺朝鮮族自治州図們市に向かった。国境を流れる図們江をはさんで向かいが北朝鮮。ベトナム国境とは違って向かいの街が丸見えだ。ここも観光地化されていて、双眼鏡などで対岸を眺める人たちで朝から賑わっていた。
 とりあえず車で国境沿いを走ってみる。対岸には農作業をする人や自転車に乗る人がときどき見え、のどかな光景がつづく。しかしよく眺めると、脱北者を取り締まるために設置された監視カメラがいたるところにある。
 車を止めて望遠レンズで中国側から北朝鮮側の写真を撮影していると、人民解放軍の車がやってきた。すぐにカメラを取り上げられ、身分を確認される。数分もしないうちに遠くの方から銃を抱えて武装した兵士数人が走ってくる。防弾チョッキや巨大な通信機を抱えているため、息を切らしている。
 「早く車に乗れ」と彼らの車に乗せられる。先日、アメリカの記者が二人北朝鮮に連れて行かれたばかりで、警戒を強めていたところのようだ。その後、カメラの写真を消去して解放された。
 私は捕まったのが中国側でよかったと、安堵の息をついたのであった。

終わり

著者近影

いわさき・みのる…写真家。1974年、宮崎県生まれ。東京工芸短期大学写真学科卒業、中国人民大学法学部卒業。95年から北京市に暮らし、同市を拠点に活動を続けるかたわら、アジアのフォトグラファーネットワークづくりなどに尽力している。
*現在ANAの機内誌「翼の王国」で、作家の原口純子さんと「中国万事通」を連載中です。

ホームページ:http://www.minoruphoto.com/japanesemainpage.htm

【橋場了吾の『SAPPORO MUSIC LETTER』】 第11回

世界中に伝えたいものがここにある……BORDERを超えた魂の叫び

 「メルマガ北海道人」をご覧の皆さん、こんにちは。今回も【SAPPORO MUSIC LETTER】では素敵なミュージシャンの魅力をお伝えしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 とある日本人の男性が南アフリカで現地の女性と恋におちました。お互い愛を育んでいきましたが、当時の南アフリカはアパルトヘイト政策の真っ只中。人種の違う結婚は認められていませんでした。しかしながら結婚はしたい……その二人が取った行動は隣国モザンビークへ行って結婚式を挙げることでした――。
 そんな情熱的なご両親を持つのは染谷西郷さん、フルートをフィーチュアした7人組ロックバンドFUNKISTのヴォーカリストです。日本と南アフリカ……二国の血を引いていることに対して、最初は複雑な気持ちだったという染谷さん。肌・髪・瞳の色が違うことで日本の学校には馴染めず、日本で生まれ育ったことから南アフリカでは言葉が通じないという葛藤を抱えていたそうです。その葛藤が解消されたのが19歳のとき、一人で南アフリカに3カ月滞在したことがきっかけでした。
 日本には家族や友だちがいて自分の居場所がある。そして南アフリカでいろいろな人と出会うことで南アフリカでの自分の居場所を発見した染谷さんは、南アフリカのことを歌で伝えていきたいと思うようになります。その想いに共感した同級生を中心にメンバーが集結し、FUNKISTが結成されました。

魂の歌声を聴かせてくれる染谷西郷さん

 FUNKISTというバンド名なのでジャンルでいうとファンクを想像される方が多いと思いますが、語呂でつけた名前とのこと。実際のサウンドは明るくポジティヴなパワーに満ち溢れたロックサウンドです。そこにフルートが入ることで、FUNKISTならではの音楽を形成しています。また歌詞の内容としては、染谷さんが感じている、国や人種の境界線=BORDERについて書かれているものが多く、そのBORDERを超えようという前向きなメッセージを送っています。
 「ライブでもCDでも音楽を通して繋がったり笑いあえることが一番僕たちにとっては重要なんです。音楽を奏でればその場にいる人たちが一緒に笑ったり泣いたり出来るというのは、言葉を超えて繋がることが出来るというのが根っこにあるからだと思うんですよね。伝えたいものはたくさんありますけど、根っこの部分では『わかりあいたい』というのが強くあると思います」
 ちなみに染谷さんの「西郷」という名前ですが、これは「西の故郷」の意味です。そう、日本から南アフリカは平面地図上では西にある……「西の故郷」というわけです。
 2月にリリースされたファーストアルバム「SUNRISE 7」に「CHANIN」(シャナン/【SAPPORO MUSIC NAKED】2009年2月の推薦曲)という曲が収録されているのですが、この曲名は「雪を降らせる妖精が鈴を鳴らしている様子の音」とのこと。こんなロマンチックなイメージが出来上がるのも愛でBORDERを超えたご両親のおかげ……染谷さん自身が生まれたときからBORDERを超えているからなのかもしれません。

【FUNKIST ライブ情報】
FUNKIST CUP 〜北の国からロングシュート〜
2009.4.18(土)
COLONY(札幌市中央区南7西4/開場18:00・開演18:30)
(HP)http://funkist.info/

●私がディレクションを担当しているFM NORTHWAVEの新番組がスタートしました!
・タイトル…「FEEL SO GOOD!!!」
・放送時間…毎週月曜日〜木曜日、正午から午後3時までの3時間
・DJ…グッチー
皆さんに「SO GOOD!!!」と感じてもらえるような音楽・情報が満載です。
平日お昼はFM82.5MHlzにラジオのチャンネルを合わせてくださいね!

著者近影

橋場了吾…1975年札幌市生まれ。1998年同志社大学卒業後、札幌テレビ放送入社。ラジオディレクターとして「日高晤郎ショー」「ライブスピカ」等を担当。2005年同社を退社。以後広告制作プロダクションなどを経て、2008年株式会社アールアンドアールを設立し、札幌発の音楽情報WEBマガジン「SAPPORO MUSIC NAKED」を立ち上げる。「音楽で北海道を元気にする」を信条に、札幌にやって来たミュージシャンの取材を続けている。

「SAPPORO MUSIC NAKED」:http://www.sapporo-mn.com/

【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】 第24回

写真機携帯症患者の病状報告(20)

 写真を考えるうえでとりあえず問題なのは、ヘーゲルが言う「物理的観念性の器官」であるところの視覚(と聴覚)、「地上的全体性」の感官である感情(触覚)だろう。そして、個人はそれらから成る「無限な富で」もあるのである。
 ところで、私たちは白と黒の図形から出来ている一枚の紙、モノクロ写真を見てなにごとかを考えたりするだろう。そんな一枚の紙を見て、私たちはどうして感情をゆさぶられたりするのだろうか。
 視覚――、網膜に受けた光の刺激、それによって私たちに生起するさまざまな反応、そのことをどう理解すればよいのだろうか。
 たとえば、墓石が私の眼の前に存在する。その存在を私の眼が確認する。眼は、石の碑なり塔なりを単に見るだけのはずだ。しかし、私はそれをなぜか「墓石」であると理解する。なぜ私はそれを「墓石」と理解するのだろう。あるいは、私はなぜ、それが「墓石」だと分かるのか。その石は「墓石」だが、あの石は「墓石」でないと私が判断するのは、いったいなぜなのか。
 視覚が「物理的観念性の器官」として腑分けされるのは上のような事情による。そして、この視覚は、「どうしてものが見えるのか」という疑問に連なっていく。先々へのそういう見通しをつけつつでなければ、写真のことは考えられまいということである。

わが家のべランダ('08.10))

 で、単に白と黒が形どられた一枚の紙、要するに一枚のモノクローム写真を見て、私たちはなぜ感情をゆさぶられるのかという問題である。物理的には、白い紙に焼きつけられた図形にすぎない一枚の「写真」と呼ばれる紙切れ、その紙切れの中の図形を図形と認識し、その図形に笑ったり泣いたり、複雑きわまりない感情に右往左往するのは、できるのは、私たちが「無限な富で」あるからだ。要するに私(たち)が人間だからだろう。私たちが味噌をもつ人間だからに違いない、と私は考える。
 逆に言えば、もし私たちに味噌というものがなければ、一枚のモノクロ写真にどんな感情も引き起こされることはない。私たちが「無限な富」の存在でなければ、泣きも笑いも怒りもしないはずである。「地上的全体性」感官の喪失は、人間を失うことと同義だからだ。
 人間の味噌こそが、白と黒とで形どられた図形を焼き付けた一枚の紙を「写真」と認識し、その「写真」を読みとるのである。読みとるということは、そこに人間の感情がはたらいているということである。だから、眼で見たモノ味噌が見たモノとは違う、ということにもなるだろう。眼は、読みとる前、理解する以前のモノを見る。しかし、味噌はそれ以後のモノを見ているのである。
 写真機と写真家(写し手)と、写された写真を見る人(見せられる人)との違いは、以上のような事態の内にあるのである。写真家とは、これらすべてのことを瞬間に、いわば本能的に感知し、瞬発力でシャッターを押す人のことなのだろうと思う。

ポータルサイト『北海道人』連載
和多田進の「ときどき北海道」

次号予告

 次号の配信は4月16日(木)、チャールズ・チャップリンの誕生日です。ちなみに命日は12月25日、クリスマスです。チャップリンがいま生きていたら、どんな役で世の中を風刺するのでしょうか……。
 さて、次号のメルマガラインナップは、上林早苗の「上海日記」、「とろんのPAI通信」、若月元樹の「南の島から――沖縄県黒島の日々」です。
 お楽しみに!

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