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『メルマガ北海道人』第111号 2009.3.12.―「北海道人」、卒業の季節なんだ―

 はかま姿の若い女性が母親らしき人と歩いていました。手には卒業証書の筒を持っていました。卒業式だったんだ――。晴れやかな顔をしたスーツ姿の男性たちが笑顔で別れていきました。バイバイと振った手には卒業証書の筒が握られていました。ああ、卒業式のシーズンなんだ――。最後に経験した卒業式はいつでしたか? 最初は卒園式だったでしょうか。卒業式を思い出してみると、開放と希望にちょっぴり寂しさが混じった当時の気持ちがよみがえります。その味は、にがすっぱあまいレモネードみたいな感じですが、みなさんはいかがですか? それにしてもザクザク雪と泥混じりの道は、晴れ着泣かせ!
 『メルマガ北海道人』第111号、にがすっぱあまい複雑な味わいで配信!

もくじ

連載【岩崎稔の『大陸人の時間』】

 今回は「ミステリーツアー・イン・チベット」の(下)です。中国政府の招待でラサ取材の機会を得た岩崎さんですが、詳細を知らされないまま出発の日を迎えます。予定がぎっしり詰まった取材ツアーの中で、一度だけ一人で街に出ることができました。なじみの職人と再会したのですがそこで待ち受けていたのは……。

連載【橋場了吾の『SAPPORO MUSIC LETTER』】

 今回橋場さんが紹介するアーティストは、地元札幌出身のパンクバンド、太陽族です。新メンバー加入で生まれ変わった太陽族は、なんと全員が高校の同級生なんです! 2月22日の東京ライブを皮切りに、全国ツアーがはじまりました。札幌で太陽族に会えるのは、3月22日です。

連載【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】

 「一枚の写真が富士山を写している。しかし、写真は本当に富士山という山、山の本質、本体を写しているのだろうか――。」。「物」という三次元世界と、写真という「形」だけが写った二次元世界の間で編集長・和多田進が読者に向かって投げる一球は、外角低めにズバーンと決まるスライダー! 切れ味良し、見逃がし三振にご注意を!

【岩崎稔の『大陸人の時間』】第55回

ミステリーツアー・イン・チベット(下)

 チベットに向かう日の朝、北京空港に各国のジャーナリストたちがパラパラと集合した。今回のツアーを通して痛感させられたのだが、国籍の違う人たちとの団体旅行では一個人にその国の特色が良く現れる。例えばフランス人新聞記者は、やたら集合時間に遅刻する。まったく悪気はないのだろう、そういった習慣が染み付いているようだ。アメリカ人カメラマンは常時アイフォーンとブラックベリーを手に、インターネットをチェックしたり、取り込んだ映像を見たりしていた。私たち日本人記者はというと、朝から晩まで休むことなく仕事のしっぱなし。他国の記者から見ると、ひと昔前の日本人のイメージそのものだったのではないだろうか。
 飛行機は成都経由でラサに到着した。前日の説明会では、到着初日は高山病にかかりやすいのでゆっくり休むように、と聞いていたが、我々を乗せたバスは取材のために直接ラサ中心地にあるジョカン寺に向かった。当局は、私たちに自由な時間を与えて勝手に取材に行かれては困るので、スケジュールに予定をいっぱい詰め込んでいるようにも感じた。その日は夜10時まで記者会見があり、そのあと部屋に戻り、高山病で頭痛に襲われながらも酸素吸入用の管を鼻に突っ込み写真の処理をした。
 翌朝5時半、ツアーがはじまる前にラサの街を見に行く。まだ暗闇に包まれる街では、私服を着た武装警察や警察官が凍てつく寒さの中、パトロールをしている。何だか物々しい。寺院は普段と変わらず五体投地をする巡礼者で溢れている。以前訪れたときと同じ懐かしいラサが少し見られてホッとした。
 日中のツアーは、チベットの農村地帯がこんなにも裕福になったと紹介する趣向のものが多かった。訪れた農家には部屋が7つもあり、テレビや立派な家具もあった。壁にはダライ・ラマではなく毛沢東や胡錦濤主席のポスターが貼られていた。

'06年巡礼者

 夜になると毎晩、政府の役人との宴会がセッティングされていた。たまたま誕生日だったフランス人記者にはバースデーケーキまで用意されていて、チベット族の踊り子が彼の前で誕生日の歌を歌った。宴会も終盤になると、中国の“乾杯”、日本のいっき飲みがはじまり、私はアルコール度数60パーセントもある白酒を何杯も飲まされた。ただでさえ高山病と睡眠不足で体が弱っているのに、普段飲まない酒を何杯も飲み、ヘロヘロになり、ラサの夜は過ぎていった。
 期間中一度だけ、ツアーを数時間抜けて一人で街に出ることができた。数年前に訪れた際になじみになった、仏教画“タンカ”を描くショップに向かった。旧市街地にあるショップは今も同じ場所にあった。中に入るとなじみの職人がいた。
 「お前よく来たな」と私たちは再開を喜んだ。街に変わりはないですかと尋ねると、「まだ私服の警察がうようよしている」と言った。
 少しすると怪しい中国人観光客とチベット族が店に入ってきた。これはいくらか、などと一通り値段を聞きながらも、どうやら私を観察しているようだった。中国人観光客が店を出て行くと、私は「あれは私服警官じゃないか」と職人に尋ねた。
 顔なじみの職人は血相を変え、「出て行け!」と私を怒鳴りつけた。どうやらあとから入ってきたチベット族の男性も当局の関係者らしく、私のことを根掘り葉掘り聞いてきた。何となく事情を理解した私は店を出た。数年前にラサを訪れたときとは、まったく違う空気が流れていることを改めて感じた。
 奇妙なチベットの旅は、すべての霧が晴れることもなく終わっていったのであった。

終わり

著者近影

いわさき・みのる…写真家。1974年、宮崎県生まれ。東京工芸短期大学写真学科卒業、中国人民大学法学部卒業。95年から北京市に暮らし、同市を拠点に活動を続けるかたわら、アジアのフォトグラファーネットワークづくりなどに尽力している。
*現在ANAの機内誌「翼の王国」で、作家の原口純子さんと「中国万事通」を連載中です。

ホームページ:http://www.minoruphoto.com/japanesemainpage.htm

【橋場了吾の『SAPPORO MUSIC LETTER』】 第9回

継続することで手に入れた「笑顔とともに輝きつづける太陽」

 「メルマガ北海道人」をご覧の皆さん、こんにちは。今回も【SAPPORO MUSIC LETTER】では素敵なミュージシャンの魅力をお伝えしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 3月に入り、北海道も卒業シーズンですね。卒業といえば別れ……というイメージですが、その後の新しい出会いや同級生との友情など、別れの「その後」には楽しいこともたくさん待っていたりします。今日は、そんな同級生との友情を育んでいる札幌出身のバンド・太陽族をご紹介したいと思います。
 太陽族は1996年、花男さん(ヴォーカル)を中心に札幌市内の高校で結成されたパンクロックバンドです。2003年のデビューまでに、ギターが2人、ベースが9人(!)、ドラムが4人というメンバーチェンジが行われました。デビュー後は順調にCDをリリースし、コンスタントにライブ活動を行っていましたが、昨年、メンバー2人が脱退するという転機が訪れます。
 「辞めるなら今だよな、と思いつつも太陽族が好きだというシンプルな理由で音楽をつづけることにしました」と語るのは花男さん。残ったのは高校の同級生でもあるそら坊さん(ギター)。最初は2人で活動する選択肢もあったそうですが、メンバー探しをはじめました。そのときに頭に浮かんだのが……高校の同級生の2人の顔でした。
 一人はベースのまるさんです。函館で放射線技師をしていた彼に電話をした花男さんは「そろそろ白衣を脱ぐ季節じゃないか?」という、ある意味むちゃくちゃな理由付けでバンドに誘ったそうです(笑)。しかし経緯を話したところ、2週間後に「太陽族に入る」との連絡がありました。

笑顔が素敵な花男さんはレーベルも立ち上げて大忙しです

 もう一人はドラムのりょうさんです。彼は札幌で他のバンドで活動していましたが、花男さんの熱心な誘いにより加入することに。居酒屋で飲みながら話したそうですが、そら坊さんはりょうさんからOKが出たとき、嬉しくて泣いていたそうです。
 このようにメンバー4人全員が札幌の高校時代の同級生に生まれ変わった太陽族は、2009年から再スタートを切りました。2月22日には東京でワンマンライブを行い、その後全国ツアーを開始します。札幌でのライブは3月22日に決まりました。また、その日には「222」というワンマンライブの模様を収めたライブCDの発売もスタートし、毎日昇る太陽のように活動が活発化しています。
 「ワンマンライブは『学校祭当日!』みたいな勢いでやったんですよ。自然体で、感謝の気持ちを伝えられたと思います。最初から最後まで笑いながら演奏できました」
 そう、太陽族は昔から笑顔が印象的なバンドでした。今、その笑顔は「音楽を奏でる喜び」だけでなく「この同級生の4人で音楽を奏でる喜び」に変わったといいます。それは4人ではじめて練習をしたときに気づいた気持ちでした。
 「『GOOD DREAM』という曲に、♪何にもいらないかもしれない こいつがあれば……という歌詞があるんですけど、歌いながらそういう気持ちでしたね」
 現在はライブ活動・制作活動のみならず、BANANA MOON RECORDSという自主レーベルを立ち上げ、マネジメントもふくめ全部が自主制作の太陽族。音楽を継続することで輝きつづける太陽は、これからも眩い光を私たちに届けてくれることでしょう。

【太陽族 ライブ情報】
太陽族がやってきた★ツアー 2009 in札幌
2009.3.22(日)
cube garden(札幌市中央区北3西2/開場17:30・開演18:00)
(HP)http://www.taiyouzoku.com/top.html

著者近影

橋場了吾…1975年札幌市生まれ。1998年同志社大学卒業後、札幌テレビ放送入社。ラジオディレクターとして「日高晤郎ショー」「ライブスピカ」等を担当。2005年同社を退社。以後広告制作プロダクションなどを経て、2008年株式会社アールアンドアールを設立し、札幌発の音楽情報WEBマガジン「SAPPORO MUSIC NAKED」を立ち上げる。「音楽で北海道を元気にする」を信条に、札幌にやって来たミュージシャンの取材を続けている。

「SAPPORO MUSIC NAKED」:http://www.sapporo-mn.com/

【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】 第23回

写真機携帯症患者の病状報告(18)

 一枚の写真が富士山を写している。しかし、写真は本当に富士山という山、山の本質、本体を写しているのだろうか――。ひょっとすると、富士山という山の「形」を写しているだけなのではあるまいか。あの、富士山の「形」だけを。
 その証拠に、どんどん富士山に近づいて、富士山から50センチの近さまでいってシャッターを切ってみる。どうだろう? ただ黒い土くれが写っているだけということになるのではないか。しかし、その土くれの一枚を見て、私たちは富士山だと思うことはできないだろう。不明の場所の土くれが写っているだけの写真である。
 富士山も「物」である。「物」には「形」がある。「物」と「形」は一体不可分である。ところが、写真はその「物」を写すことができない。その「物」の「形」だけが写真に写るのである。「物」という三次元世界から「形」だけが抜き取られて写真として二次元世界に移し(写し)代えられるのである。
 ということは、写真は「物」から「形」だけを抜き取る行為なのだろうか?
富士山の写真を見て、それが「山」であることを私は認識する。富士山が活火山だということを私は知っている。むかし、何度も爆発を繰り返したこと、その火山灰が関東平野に降り積ったこと、すそ野が深い草木に覆われていることやそこが自殺の名所になっていることなども私は知っている。

京都('03.7)

 しかし、それらのことは一枚の写真には写っていない。北斎が描いたような、広重が描いたような、富士山の「形」をした富士山が、富士山らしい富士山が写っているだけである。言ってよければ、富士山の「素材」は写っていない。写っているのは、富士山の「形」だけである。
 私が見た富士山は、「形」のある「素材」としての富士山であった。「形」を備えた「物」としての富士山であった。ところが、いま見ている一枚の写真にある富士山は、「形」だけの富士山なのだった。
 そんな写真の富士山を見て、どうして私は「花も実もある」、「物」としての富士山だと思い込むことができるのだろうか? それは富士山でなくて花子のヌードでもいい。写真に写っている花子の裸体を見ただけで、どうして私は花子の肉体をリアルに思い浮かべることができるのか。写真に写っているのは単に女の裸体、「形」にすぎないのに――。「形」を見て、「花も実もある」花子、「物」としての花子だと私が理解できるのはなぜなのだろうか? 
 私はなんか錯覚でもしているのだろうか。写真に写っている「形」を見て、これは「富士山だ」と私はなぜ断定するのか。女性の裸体写真を視て、これは「花子の肉体」であるとなぜ私は断言できるのか。
 そこには、「見る」とか「見える」とかにかかわる、なにか秘密のようなものがあるのに違いないのだが、いま私にその秘密が分からない。
 どうやら、三次元の立体感と二次元の立体感の違いということを考えざるを得ないところまで私はやってきてしまったようである。

ポータルサイト『北海道人』連載
和多田進の「ときどき北海道」

インフォメーション ライブ・イベント情報

<田野城寿男ライブ>

サックスプレーヤー田野城寿男さんのライブが行われます。ライブ開催地は、札幌・京都・大阪・東京・金沢・横浜です。東京で行われる「クロスオーバーオーケストラワークショップ in 丸の内」では音楽監督として参加します。オーケストラ参加者を募集中です!

※ライブイベントは終了しております。

次号予告

 次号の配信日、3月19日(木)は、春分の日の前日です。お彼岸の中日を前に、ぼたもちのつまみ食いを我慢できるかどうか。
 さて、次号のメルマガラインナップは、上林早苗の「上海日記」、「とろんのPAI通信」、若月元樹の「南の島から――沖縄県黒島の日々」です。
 お楽しみに!

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