メルマガ北海道人

HOME > 第103回

『メルマガ北海道人』第103号 2009.1.15.  ―「北海道人」、石狩湾と冬山―

 北海道の冬はとても長いです。「寒い寒い」と言って、ずっとストーブにあたりつづけているわけにもいかず、雪かきをしたり、働きに行ったりしなければなりません。長い冬を楽しんだり、やり過ごしたりする術を北海道人はみんな持っていることでしょう。
 寒い朝、石狩湾を望む高台に立つと、増毛連山がくっきり見えることがあります。白と青の見事なコントラストに、ひととき寒さを忘れて見入ってしまいます。明日も見えたらいいのに……。そんな期待はさらっと裏切られ、翌日は猛吹雪。今度は石狩湾の浜辺にドドーン、ザザーンと襲いかかる高波を見て、胸が高鳴ります。みなさんは冬をどのように楽しんでいますか?
 『メルマガ北海道人』第103号、冬の配信を楽しんでいます!

もくじ

連載【岩崎稔の『大陸人の時間』】

 今年の中国は、元旦から4連休、26日から1週間の旧正月休みがあるそうです。休みたっぷりのサラリーマンがうらやましいという岩崎さんから、2009年最初の原稿が届きました。金融危機は出稼ぎ労働者にも影響を与えているようです。年末の北京駅で、岩崎さんは帰省するひとりのおじさんと出会いました。さて、どんな話をしたのでしょう?

連載【橋場了吾の『SAPPORO MUSIC LETTER』】

 今回橋場さんがピックアップしたアーティストは、jazztronikの野崎良太さんです。現在最も勢いのある音楽ジャンル、ハウスと呼ばれるクラブミュージックの先駆け的な存在である野崎さんの音楽とは? 昨年発売されたアルバムや、2月に札幌で行われるライブ情報も併せて紹介してくれます!

連載【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】

 前回、「南京事件の写真鑑定」に立ち会った和多田進は、当時論争となった内容のいきさつや、写真の真贋問題での自らの立場を書きました。今回の問いは、「『残虐写真』を見た人に必ず反残虐の気持ちが生じるか」――。「戦争写真」や「残虐写真」にはどういう意味があるのでしょう。見る側はそれをどう受け止めてきたのでしょう。

【岩崎稔の『大陸人の時間』】第51回

帰省するおじさん

 明けまして、だいぶ過ぎてしまいましたがおめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 今年は中国でも正月は元旦から4日間の連休、しかも旧正月休みが26日から一週間もつづくので、今月、サラリーマンたちはかなり休めるはずだ。うらやましい。
 ブルーカラーの労働者たちはというと、昨年からはじまった世界的金融危機の影響で、北京のあちらこちらで工事がストップし、11月の終わりごろから帰省ラッシュがはじまったと、地元紙に記事が出ていた。やはり中国でも不景気の波が押し寄せてきているのだろうか。年末、北京駅に取材に向かった。
 午前中の北京駅はたしかに荷物を抱えた労働者などで混雑していた。何百回と北京駅を訪れているが閑散とした駅は一度も見たことがない。やはり人口が多いせいだろうか、いつも人がいる。駅の待合室で、北京のお隣の河北省から出てきて小学校の建築現場で働いていたという出稼ぎ労働者のおじさんに話を聞く。
 「旧正月まであと一カ月もあるのにもう帰省されるのですか」
 「北京は寒くて仕事にならない」
 先日、北京で最高気温マイナス7度という極寒を体験した私は思わずうなずいた。
 「でもやっぱりあれでしょ、金融危機で仕事がないから帰るんでしょ」
 よくある誘導尋問だ。自分で言っていて恥ずかしい。
 「金融危機? そんなことは知ったことではない。工事現場のセメントが凍りつくんだ。それを溶かす材料を買う金がないから現場がストップしているんだ」

春節の帰省ラッシュ

 やはり元をたどれば、金がないということだ。金融危機の影響なのだろうかと、思わず結びつけてしまうが、ホントのところは分からない。しかし、セメントも凍りつく工事現場で働く姿を想像すると、ぞっとする。おじさんは溜ったうっぷんを話しはじめる。
 「おれはまだ給料を貰っていないんだ。しかも仕事中に足を怪我したが何もしてもらえなかった」
 大きなビニールのカバンに一切合財の家財道具が詰め込まれ、そのわきに手作りの木の杖があった。ちなみに中国では労働者への賃金未払いの話はよく耳にする。先日も新しくできたビルを撮影していたら、「給料払え!」と労働者たちに詰め寄られた。私もデベロッパーから直接依頼された撮影の仕事だったので、ギャラもらえるかなと不安がよぎった。さらにおじさんに質問する。
 「また仕事を探すのは大変でしょう」
 「仕事はある。紹介してくれる人がいてその人に頼むんだ。でも間に何人も入っていて、手元に入る金がどんどん減っていく。もう北京には帰ってこないよ、10年以上も働いてきたんだ。疲れた」
 仲介者が何人も入る仕組みは、いわゆる悪質な派遣会社が間に入っているようなものだ。最後に年齢を聞くと、もう五十代だと言っていた。河北省に戻ってどうやって食っていくのだろう……。
 正月、日本に帰国し、テレビで不景気のため途中で契約を切られた労働者らが、東京の日比谷公園で年越しをしているニュースを見た。まるでこの世の末といった感じの報道の仕方だ。北京駅で出会ったあのおじさんが日本人だったら、こんな受け入れ口があるのになあと想像してしまった。

終わり

著者近影

いわさき・みのる…1974年、宮崎県生まれ。東京工芸短期大学写真学科卒業、中国人民大学法学部卒業。95年から北京市に暮らし、同市を拠点に活動を続けるかたわら、アジアのフォトグラファーネットワークづくりなどに尽力している。
*現在ANAの機内誌「翼の王国」で、作家の原口純子さんと「中国万事通」を連載中です。

ホームページ:http://www.minoruphoto.com/japanesemainpage.htm

【橋場了吾の『SAPPORO MUSIC LETTER』】 第5回

Jazztronikという“比類なきジャンル”

 「メルマガ北海道人」をご覧の皆さん、1月も半ばではありますが新年あけましておめでとうございます。今年も【SAPPORO MUSIC LETTER】では素敵なミュージシャンの魅力をお伝えしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 現在最も勢いのある音楽のジャンル……それはハウスと呼ばれるクラブミュージックでしょう。昨年オリコン1位を記録し、紅白歌合戦にも出場したPerfumeを中心にお茶の間にも浸透しつつあるジャンルですが、そのハウスが日本の音楽シーンに根付く礎を築いたアーティストを今日はご紹介したいと思います。野崎良太さんがプロデュースするJazztronikです。
 Jazztronikは2003年にミニアルバム「Horizon」でデビューしました。このアーティストの面白いところは作詞・作曲・編曲・キーボード・プログラミングを担当する野崎良太さん以外のメンバーは固定されておらず、楽曲に合わせてヴォーカリストが変わるところです。これはいまでこそ多くの方がやっているスタイル(いわゆる“フィーチュアリング”と呼ばれるもの)ではありますが、当時はまだ珍しかった形態です。
 野崎さんはピアノとクラブミュージックを融合させることで新たなハウスサウンドを創ってきました。単なるノリではなく、しっかりとした音楽の裏づけがあるハウスサウンド……それこそがJazztronikの真骨頂です。しかしながら、ブームが起きる、マーケットが広がるということはマガイモノも多数出てくるということです。表面的な真似事だけでハウスミュージシャンを気取ってしまうものですから、音楽に対して取り組む姿勢がどんどん浅くなってきている。そのことに野崎さんは警鐘を鳴らしています。

 「やっぱり音楽然としたものを、僕のファンの人たちは求めていると思うんです。クラブで皆が酔っ払っているときにワーッとやって盛り上がるのは当たり前なんですよ。いまは『深夜に盛り上がって音楽最高!』という部分しか見えてない聴き手と創り手が多過ぎますね、ことクラブミュージックに関しては」
 この痛烈な批判には、活動を開始した1998年から10年間、日本におけるニューエイジ・ハウスミュージックの先駆者として走りつづけてきた野崎さんの自信が感じられます。その自信は昨年リリースされた10周年記念アルバム「JTK」からも感じ取ることができます。ベース音が心地良いハウス然とした「Oneness」からはじまり、美しいピアノの旋律が印象的な「Reminiscing」、そしていまできる最大限のことを表現したという「JTK」……どの曲をとってもJazztronikにしか表現できない、ひとつのジャンルを確立しているように思います。
 そのJazztronikのライブが2月に行われますが場所はなんとベッシーホール。ご存知の方も多いと思いますがロック系のミュージシャンが使用することが多いホールです。そのことを野崎さんに伝えると、「最近のJazztronikのライブはもはやロックなので問題ないですね(笑)。はじめての場所なので楽しみです」とのこと。やはりJazztronikは、野崎良太さんにしかプロデュースできない“比類なきジャンル”に昇華した存在になっているといっても過言ではないでしょう

【Jazztronik ライブ情報】
Jazztronik 10th Anniversary 「JTK」Live Tour
2009.2.28(土) 札幌・ベッシーホール(札幌市中央区南4西6/開場・開演時間未定)
(HP)http://jazztronik.com/index2.html

著者近影

橋場了吾…1975年札幌市生まれ。1998年同志社大学卒業後、札幌テレビ放送入社。ラジオディレクターとして「日高晤郎ショー」「ライブスピカ」等を担当。2005年同社を退社。以後広告制作プロダクションなどを経て、2008年株式会社アールアンドアールを設立し、札幌発の音楽情報WEBマガジン「SAPPORO MUSIC NAKED」を立ち上げる。「音楽で北海道を元気にする」を信条に、札幌にやって来たミュージシャンの取材を続けている。

「SAPPORO MUSIC NAKED」:http://www.sapporo-mn.com/

【和多田進の『濡れにぞ濡れし』】 第18回

写真機携帯症患者の病状報告(14)

 と、まあ、南京大虐殺をめぐる写真の真贋問題での私の立場は、前述のごとくであった。それはそれとして、ここで問題にしたいのはその真贋のことではない。そうではなくて、「戦争写真」あるいは「残虐写真」にはどういう意味があるのか、ということを考えたいのである。端的に言って、「残虐写真」を見た人に必ず反残虐の気持ちが生じるか、ということを考えたい。「戦争写真」を見て「戦争の悲惨」を知った人は、必ず反戦を生きる縁(よすが)とするような人間になるだろうか、ということである。
 ここに答えを書くまでのことはないだろう。もしそうなるなら、とーのむかしに戦争はなくなっているはずなのだ。この百年の間に、ありとあらゆる戦争が写真になり、ありとあらゆる戦争の残虐がカメラマンによって写真にされてきた。第二次大戦しかり、太平洋戦争しかり、ベトナム戦争しかり、イラク戦争しかり、いままたイスラエルによるガザ攻撃しかり、である。
 しかし、それらの「戦争写真」、したがってまたそれらの「残虐写真」を見た人びとは、それらの写真に写されている絶望的な情景・光景を見て切実な思いを持つことができるのかといえば、決してそうではないのである。画面の向こうにある悲惨は、「私」とは直接関係のない出来事なのではあるまいか、恐ろしいことに。

札幌('08.12)

 胸を銃で撃ち抜かれた男や女、空爆で作られたガレキの下で肉体を破壊されてしまった乳児や児童の死体の山は、死体の山が写っている一枚の「写真」となって、つまり、一枚の紙っぺらとなって眼前にあるだけのことになってしまっているのではないのか――。
 私は思うのだが、写真というものは、肉体の温度をまるきり抜き去って、呼吸する肉体をただ批評、論評の対象にしてしまう冷酷な行為でもあるのではないかと。そうだとすると、写真に戦争は告発できないように思うのだ。従ってまた、写真で戦争は止まないとも思う。反戦のために戦場へ、というカメラマンの言い分に私は懐疑的なのである。あの言い分は、カメラマンのエゴイズムじゃないのかと私はほとんど疑っているのである。
 写真という行為には、実は以上のような「邪悪(よこしま)」な人間の「性(さが)」も混入しているのだろうと私は考える。いや、人間というのは、元来が邪悪な存在であるのかもしれないとも思う。なにしろ「写したい」という欲望には勝てないのだから。
 蛇足ながら、「大砲の射撃とカメラのピント合わせは非常によく似たところがある」と小倉磐夫氏が書いている(『カメラと戦争―光学技術者たちの挑戦』朝日文庫)。「最も類似性の高いのは戦闘機の照準器であろう。戦闘機の場合、機関銃や機関砲は機体の軸線方向に固定されており、パイロットは自分の機体を操縦しながら照準器のなかに標的をとらえ引き金を引く。ファインダーのなかに被写体をとらえシャッターボタンを押すカメラマンの動作と基本的には同じだ」(同)と。

インフォメーション ポータルサイト「北海道人」更新情報

北海道人特集「となりの北海道人」を更新しました

難しく考えない
〜「私のお父さん」 in 斎藤牧場(下)〜

 斎藤牧場には全国各地から多くの人が訪れる。酪農の専門家や就農を目指す人はもちろん、中には乳牛をじかに見るのは初めてという人もいる。珍しい乳製品を開発したわけでも、有名レストランがあるわけでもないのに、なぜ老若男女を引き付けるのかといえば、牧場として魅力的だからである。

つづきはこちらから
北海道人特集 「私のお父さん」in 斎藤牧場(下)

次号予告

 次号の配信は、1月22日(木)です。ちなみに1カ月後の2月22日は、222でニャンニャンニャンの猫の日です。
 さて、次号のメルマガラインナップは、上林早苗の「上海日記」、「とろんのPAI通信」、若月元樹の「南の島から――沖縄県黒島の日々」です。
 お楽しみに!

※インターネットに接続するとメルマガ上の画像をご覧になれます。

メルマガに対するご意見・ご質問などはこちらまで
メルマガ執筆者へのメッセージもお待ちしております!
mailmag@prc.hokkaido-jin.jp

ポータルサイト『北海道人』
http://www.hokkaido-jin.jp/

※登録(または解除)は、こちら
http://www.hokkaido-jin.jp/mailmagazine/index.html

このページの先頭へ

バックナンバー

最新のメルマガ
第160回までのメルマガ
第140回までのメルマガ
第120回までのメルマガ
第100回までのメルマガ
第80回までのメルマガ
第60回までのメルマガ
第40回までのメルマガ
第20回までのメルマガ