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『メルマガ北海道人』第51号 2007.12.27. ―「北海道人」、さらば2007年―

 2007年も残すところ5日となりました。あわただしい年の瀬に、ふと一人になる時間ができたら、あなたは何を考えますか。今年一年の出来事を振り返りますか、それとも来年のことに思いをめぐらせますか。このメルマガをご覧になっているということは、ふとした時間の隙間があるということ。人によって頭に浮かぶ内容はいろいろ、思いは様々でしょうが、ともあれ、時間の大きな一区切りはまもなく訪れます。
 さらば2007年、また会うことのない2007年、さらば! ……おおげさに別れを告げましたが、あと5日ありました。
 『メルマガ北海道人』第51号、2007年を締めくくって配信!

となりの北海道人 『私のお父さん』




■もくじ

連載【田野城寿男の『楽譜のいらない音楽授業』】

 「男と女の間には深くて暗い川がある」という歌詞で知られる『黒の舟歌』から、田野城教授が展開する今回の授業は、いつもとちょっとテイストが違うような……。穏やかに見える川の流れが実はとんでもない急流で、気がつけば海に流されていたりすることもあるようです。田野城さんも流されたそうです。えっ、どこの川でですか?

連載【岩崎稔の『大陸人の時間』】

 中国の正月は2月7日(2008年)、それは春節と言われる太陰暦の正月です。だからこの年末もふだんとあまり変わらず、日本の年の瀬のような賑わいはありません。しかし、そんな中国でもなにやら巷がざわついているらしいのです。今回は華南トラの騒動ではないようですが、日本も関係があるような……。

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□連載
【田野城寿男の『楽譜のいらない音楽授業』】 Lesson 22

男と女の間には……

 「男と女の間には深くて暗い川がある……」という歌詞の古い歌(『黒の舟歌』)があります。こちら(男性)から対岸(女性)を眺めている限りは、まるでマンハッタンの摩天楼の夜景を見るかのようにきらびやかで、時に母なる大地“地球”のごとく、そのダイナミックな力と美しさに見とれてしまう。そして、それだけに満足できず、ついには自分の手でつかみ体感してみようと、期待を胸に川に小舟を浮かべて渡る覚悟(結婚)を決めるのです。しかもほとんどの人が無謀にも「達成できる」と当たり前のように試みるわけです。
 しかし、この一見穏やかな川は眺めるのと渡るのとでは大違い。あのマフィアのボス、アル・カポネが収容されたサンフランンシスコ湾に浮かぶアルカトラズ刑務所が、潮の流れの早さと水温の低さのため、囚人が絶対脱獄できなかったように、流れが速いこの男女間の川も、油断すると簡単に深い川底へ引きずり込まれてしまいます。何とか転覆は免れたとしても、あまりの流れの早さに気がつけば時既に遅し。はるか彼方の海まで流されている……なんてことにもなりかねない。
 そうです。小舟に乗ったほとんどの男性があたかも対岸にたどりついたかのような錯覚を起こしているのではないでしょうか?
 かつて私は、2度もこの川を渡ろうとしたことがありますが、物の見事に途中で流されてしまいました。運良くレスキュー隊に救助され、一命をとりとめたので現在がありますが……。
 最近、何かと団塊の世代が話題にのぼります。日本の高度成長時代、企業戦士として家族を、日本の経済を支えてきた方たちです。定年退職後、今まで温めてきた趣味を思う存分楽しむ時が来た! という話を聴く一方で、熟年離婚という今までの日本社会では聞き慣れない言葉を耳にするようになりました。その前兆とも言える現象があります。
 ネットカフェやマンガ喫茶難民などは若い世代の社会問題として判断されがちですが、実は頑張って働くお父さんの多くにも見受けられるようなのです。それには色々な理由があるのでしょうが、要はお父さんたちが“自宅に帰りづらくなっている”ということがわかります。家庭に居場所がないことを自覚してしまったお父さんたちは、会社が終わるとそのままネットカフェを転々としたり、高速道路のパーキングエリアで生活したり。
 私が30代の頃、演奏を終え、気心の知れたミュージシャン仲間と飲んだ席でよく話題にのぼったある事柄を思い出しました。それは“夜中に帰宅したらどうなるか?”でした。 皆が口をそろえて「かならずドアにチェーンがかけられてしまっているので鍵を開けても中へ入れない」と言いました。自分の家であり、生活費を入れているにもかかわらず、奥さん(彼女)の仕打ちはドアにチェーン。しかも面白いことに、決まって彼らはみんなこう言うのです。「ゴメ〜ン、開けてくれないかな〜?」。なぜあやまらなくてはならないのでしょうか?
 日本の働くサラリーマンの多くは家族を養う力を誇示するかのごとく給料をしっかり家庭に入れます。実際には銀行口座に振り込まれるので、そのまま奥様の元へ届くこととなります。反論も覚悟の上で書きますが、これ、見方を変えると「今月はこれだけ働きました」と奥様に給料を“上納”しているように見えてしまいます。「ははー、お代官様」みたいな。そして奥様(お代官様)からお小遣いをもらうのです。
 なんだか、家庭という名のもう1つの会社が存在していて、世の男性はそこでもサラリーマンをやっているみたいだなと感じます。そう考えれば、熟年離婚とは皮肉にも、もう1つの定年退職だと私には思えるわけです。
 このように男性の立場だけでいうと、田野城はまるで女性が給料回収屋だと言っていると誤解されそうですが、そうではありません。女性の言い分も理解しているつもりです。
 「子育てや養育費、食費に車のローンの支払い等、家計をなんとか切り盛りしていかなければならない」。そのための上納制であり小遣いなのですよね。
 ここでアメリカの例を紹介しましょう。アメリカの一般家庭では、家計の切り盛りをするのは妻ではなく、実は夫の場合が多いのです。私はここが重要なポイントであると思います。毎月生活費を支払いながら暮らしているという意味では日本もアメリカも同じなのですが、夫が家計を仕切るということで日本の場合のように上納する形にはならないのです。夫婦で働いている場合でも、基本的に相手の財布の中身までは知ろうとしないのです。よって、家庭内で夫が奥様からお小遣いを貰う習慣はほとんどないと言えるでしょう。依存型ではなく、ある程度自立した関係が家庭の中で維持されるのです。共同経営者といえば分りやすいでしょうか。また、これが大事なのですが、子供の扱いも違います。子供はもちろん大切な宝物ですが、お互いにとって一番大切なのは自分が選んだパートナーである、という考えを常にもっている点です。だから夫婦だけでディナーや娯楽を楽しむのです。
 今回のレッスンで私が伝えたいこと、それは「男と女の間には深くて暗い川がある……」という歌に立ち戻って考えた時、お互いに家庭や仕事の問題を最優先にするのではなく、パートナーとの問題をデリケートに扱って生きてゆく方がより素晴らしい人生を送れるのではないか、ということです。また、父親母親である前に、一人の男と女であることをいつも忘れないでいて欲しいのです。苦楽を共にすると誓い、愛し合って結婚したのなら、その気持ちを忘れることなく、おじいちゃん、おばあちゃんになっても手をつないで公園を散歩する。それはロマンがあって美しいことだと私は感じるのです。
 それを心から望む私は、2回の転覆で諦めることなく、再びこの深くて暗い川を一生懸命渡りきるためにこぎ続けたいと思います。
 「ロー(raw;漕ぐ)アンドロー、ローアンドロー、振り返るなローロー♪」

写真:田野城寿男氏

たのしろ・ひさお…1958年広島市生まれ。サックス奏者。78年バークリー音楽院入学。在学中から精力的に活動し、帰国後の87年サリナ・ジョーンズの日本ツアーにソロ奏者として参加。91年「25周年記念」のモントルー・ジャズフェスティバルに出演。音楽家はもちろん、多彩なジャンルの表現者たちとのコラボレートを積極的に実践、近年は「音楽教育」の必要性を重視し、広い層の若者たちに個性的な指導を続けている。

ホームページ:http://www.tanoshiro.com

携帯サイト:http://www.tanoshiro.com/m/

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□連載
【岩崎稔の『大陸人の時間』】第25回

北京の年の瀬

 中国では春節(陰暦の正月、2008年は2月7日)を盛大に祝うため、われわれ日本人が祝う太陽暦の正月はそれほど盛り上がらない。今年から12月30日・31日・1月1日と三連休になるそうだが、これまでは元旦のみが休みだったので、あの正月独特ののんびりした雰囲気はなく、いつもの休日とあまり変わらなかった。今年からの連休も正月三箇日でもなく、年末年始にまたがった、日本人の感覚では首を傾げる休みの作り方だ。クリスマスと新年のデコレーションが、市内のホテル、オフィスビル、ショッピングセンターなどで施され、何となく普段よりは色鮮やかな感じはするが、商業臭さが全面に出て文化的な香りが微塵もなく、いかにも上滑りだ。やはり中国の正月は春節なのだ。
 しかし、外国人記者にとっては、年の瀬を感じる行事がある。中国に滞在するためのビザの更新時期が年末なのだ。何年も住んでいると海外にいるということを忘れてしまいがちだが、このビザの更新手続きのたびに、中国が海外だったと、はっとする。中国では15日以内の滞在以外は旅行・出張・駐在いずれもビザが必要だ。特に長期滞在の記者ビザは、中国の外務省にあたる外交部の認可が必要で、年末一斉に更新が行われる。フリーのカメラマンやライター、個人事業主などにとっては、ビザの取得はまさに死活問題だ。
 知人のレストラン経営者は北京では滞在するための就労ビザが下りないため、毎年、知り合いのいる地方都市に行きビザを取得する。ビザの取得を代行する業者もいるが、これがものすごく怪しい。代行を頼むと、ビザが取得しやすい河北省や遥か内モンゴルまで行ってビザを取得してくる。戻ってきたパスポートを見ると、ビザ発券場所として、聞いたこともない街の名前が登録されている。いったい自分のパスポートはどこをどんなルートで旅してきたのだろうと、無事戻ってきたパスポートを眺めて感無量な気持ちにさえなるという。

写真
建設中の新しい中国中央テレビ本社

 年の瀬の慌ただしさは感じることのない大陸人たちだが、来年1月1日から改正される「労働契約法」の話題で巷はややざわついている。新しく改正される法律は労働者の権利を保護する内容になるため、今までこれでもかという安い人件費によって利益を出していた工場などが対応に追われている。知り合いの中国人女性は、「日本企業に勤めて10年以上が過ぎるが、保険にも加入してもらっていない」と不満をぶちまける。来年法律が施行されると、中国各地で労働者VS経営者の闘いが繰り広げられるのではという懸念もあり、広州など南の地域で工場を経営する日本の中小企業の中には、ベトナムなどへ移転を考える企業も現れ始めている。しかし、まだ法律についての人々の意識は低いと思う。先日、こんな事件があった。
 12月4日は中国の「法制(法律と制度)宣伝日」である。その日に合わせて北京市内の中国中央テレビ本社には、各地から陳情者たちが様々な不満を訴えに集まってきた。テレビ局に呼ばれるのではなく、それぞれが任意でやって来るのだ。もちろんそこには警察官(私服警察も含む)が待ち構えていて、人々は次々に公安局が用意したバスに乗せられ、陳情者はあっという間に拘束されてしまう。私が例のごとく、その様子を記者とともに、しれーっと写真に収めていると、いつの間にか警官に囲まれ、職務質問をされた。
「合法的に取材をしている。中国の法律でも報道の自由は認めているはずだ」
「そんなものは意味がない」
 と言い、警官は私たちを現場から押し出した。「法制宣伝日」にこんなにも堂々とそんな発言をする警官がいること自体、まだまだ法律に対する意識の低さを感じる。
 急速な経済発展とともに、全体的には遅々としてはいるものの、局部的には法律の整備も進み、文化や習慣も変わりつつある中国。日本のように師走に大掃除なんて日もいずれ来るかも知れない。いや、来ないかもしれないが……。

写真:岩崎稔氏 いわさき・みのる…写真家。1974年、宮崎県生まれ。東京工芸短期大学写真学科卒業、中国人民大学法学部卒業。95年から北京市に暮らし、同市を拠点に活動を続けるかたわら、アジアのフォトグラファーネットワークづくりなどに尽力している。

*現在ANAの機内誌「翼の王国」で、作家の原口純子さんと「中国万事通」を連載中です。

ホームページ:http://www.minoruphoto.com/japanesemainpage.htm

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■次号予告
 次号の配信は来年、2008年です。正月に向けてすごろくの練習をしていたら“1回休み”にとまりましたので、1月3日のメルマガはお休みいたします。年明け第一号は1月10日(木)に配信します。鬼の笑い声が聞こえてきそうですが、来年の予告をします。
 次号(第52号)のメルマガラインナップは、上林早苗の「上海日記」、「とろんのPAI通信」、「危機の時代に―鈴木邦男・和多田進 10年目の往復書簡」です。
 読者の皆様、良いお年をお迎えください。また来年、メルマガでお逢いしましょう!
 
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