メルマガ北海道人

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『メルマガ北海道人』第49号 2007.12.13. ―「北海道人」、しばれる真昼―

 寒く感じるのは雪が少ないせいでしょうか。乾いたアスファルトと厚手のコートの取り合わせ。札幌では似合わないような気がします。家々の庭では冬囲いも済みました。街路樹は見事なまでに裸になりました。一糸まとわぬ姿でぶるぶる震えています。雪を待っています。放射冷却のしばれる真昼。雪よ、降れ、降るな、降れ、降るな……。灯油は高いしな〜、ブラックアイスバーンもおっかないしな〜。
 『メルマガ北海道人』第49号、配信する、しない、する、しない。やっぱり配信します!

となりの北海道人 『私のお父さん』




■もくじ

連載【田野城寿男の『楽譜のいらない音楽授業』】

 パーティーなどに行く機会も多い12月。季節柄でしょうか、今回の授業はマナーについてです。学生時代にアメリカで西洋式のマナーを身につけた田野城さん。握手、ハグ、レディーファーストなど向こうでは当たり前でも日本では?? ところかわれば習慣も変わります。紳士淑女になるのは難しい!

連載【岩崎稔の『大陸人の時間』】

 中国では一枚のトラの写真が話題になっているそうです。43年ぶりに生息が確認されたと国中が大喜びしたのに実は……。中国にはいろいろなカメラマンがいるそうです。行く先々でシンジラレナイようなカメラマンに会うことも多いという岩崎さん。中国の写真界をのぞき見できる「大陸人の時間」第24回。

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□連載
【田野城寿男の『楽譜のいらない音楽授業』】 Lesson 21

私がマナーを考えるとき

 普段、お箸を使うことが多い私は、ナイフとフォークを使うことがなんとなく苦手です。特にライスの食べ方です。左手に持ったフォークの背の先端にライスをのせて食べる。作法とはいえ、この食べ方を体得するまでは、大人もですが子供にとって、食事の時間はかなり窮屈なものとなるのではないでしょうか。
 食が多様化された現在では、お箸文化の日本においてもそれほどこの作業に抵抗がないのか、手先が器用だからなのか、上手に食べていらっしゃる方を目にします。海外暮らしを少なからず経験している私はというと、正直言って右手にフォークを持ち替えて、そのままザクっとライスをすくって食べた方が美味しく感じてしまいます。
 しかし、こんなことをしてしまうとフォーマルな場面では、恐らく野蛮人扱いされるか、もしくは教養が劣っている……と判断されるのは間違いありません。
 ところが多民族がごちゃまぜの国家アメリカに滞在している間、フォークの背を使って食事をする人の姿を不思議と見かけたことがありませんでした。もっともライスにも原因があると思います。日本のお米は水分も多くふっくらモチモチしているので、おむすびの要領でフォークの背に乗せたライスをナイフで押さえ固めて食べることができますが、アメリカではパサパサしたいわゆるタイ米が主流となります。タイ米はピラフやカレーに適しており、どちらかと言えば“すくって食べる”米でしょう。フォークの背に乗せて食べるにはかなり無理があります。イギリスの中流階級以上の方々(お会いした方を参考にしています)は、会食の席で日本と同じフォーク&ナイフさばきをされていました。というか、日本が真似ているのですが……。その姿はさすが紳士淑女の国と言われるだけあるなぁと感じさせてくれるものでした。
 それに対して最近気になるのが、お箸の扱い方が下手な日本人をよく目にすることです。“お箸”、これは日本の文化です。ということは、日本の良き伝統文化が失われはじめていると言えるのではないでしょうか。食事が欧米化されていることも要因の1つでしょう。逆にアメリカで日本食レストランに入ると、この箸さばき(?)の上手な外国人が多いことに驚きます。私が留学していたころに比べると圧倒的に増えました。食文化を意識すればこそできる姿勢……見習いたいものです。
 話は変わりますが、ボストンでの留学時代にはパーティーが至るところで開催されていました。近所のコミュニティーのホームパーティーであったり、大学主催のフォーマルパーティーであったり、本当にパーティーが好きなんだなぁと、その数の多さに驚いた記憶があります。それまでパーティー経験が皆無だった私にとって、毎回が緊張と発見の連続で、大切な社交勉強の場となりました。
 私がまだパーティーに慣れていないころ、フォーマルな場で食前酒がふるまわれていたことがありました。それが甘くてあまりにも美味しかったために飲み過ぎてしまい、お酒に弱い私はベロンベロンになってしまったという苦い思い出もあります。失敗談はいろいろありますが、それに懲りることなく積極的にパーティーに出席し、まわりの方の仕草を観察しては、自分なりに応用させてもらいました。
 こうして学生時代に西洋式のマナーを徹底的に体で覚えた私が、帰国後、日本でちょっとやっかいな状況に陥りました。それはマナーの違いです。
 たとえば初対面での挨拶のとき、握手をすることが当たり前だと思っている私が、相手に手を差し伸べるとします。男性はまだスムーズに行くのですが、女性には一歩距離を置かれてしまいます。ハグ(抱き合うこと)も私にとっては当たり前ですが、女性にしようものならもう危険きわまりない人物だと思われてしまいます。女性にコートを掛けたり座りやすく椅子を差し出したりすると、“キザ”だと白い目で見られたものです。
 一方私も、日本での飲み会の席で女性からお酒を注がれることにかなり抵抗感があったのも事実です。
 学生時代の自然な習慣が出てしまうだけのことですが、マナーの異なる日本では、いくら友人でも女性となれば、慎重に行動しなければ相手に不快感を与えかねません。なので、日本式に変えていきました。そのおかげで、海外に出かけ、デパートのエレベーターやエスカレーターに乗るときも、何も気にしないで女性よりも先に自分が乗ろうとしていることがあります。はっと気づき、慌ててレディーファースト“どうぞお先に”をするのです。
 レディーファーストは西洋では当たり前の習慣です。特にロンドンやパリそしてニューヨークでこれを忘れようものなら、即座に紳士失格の烙印を押されてしまいます。
 ところ変われば習慣も変わるマナーですがそれを踏まえた上で、ユーモアに溢れウィットの効いた会話のできるお洒落な紳士になりたいものです。

写真:田野城寿男氏

たのしろ・ひさお…1958年広島市生まれ。サックス奏者。78年バークリー音楽院入学。在学中から精力的に活動し、帰国後の87年サリナ・ジョーンズの日本ツアーにソロ奏者として参加。91年「25周年記念」のモントルー・ジャズフェスティバルに出演。音楽家はもちろん、多彩なジャンルの表現者たちとのコラボレートを積極的に実践、近年は「音楽教育」の必要性を重視し、広い層の若者たちに個性的な指導を続けている。

ホームページ:http://www.tanoshiro.com

携帯サイト:http://www.tanoshiro.com/m/

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□連載
【岩崎稔の『大陸人の時間』】第24回

憧れの中国人写真家

 ある猟師が撮影した華南トラの写真が中国全土で話題になっている。野生の華南トラが確認されたのは43年ぶりとあって、中国当局もこの猟師に報酬金を出し、国を挙げての大喜び。が、専門家が写真を調査したところ、あるカレンダーに出てくる華南トラとまったく同一で、偽造写真であると認定された。専門家によると、まずカレンダーに使われていた写真の華南トラの部分だけを切り取って等身大に拡大し、それを山中に置いて撮影したということだ。どのように偽造写真を撮影したかを紹介するホームページまで出現し、ネット上で話題沸騰である。一枚の写真がこんなにも話題を呼ぶのかと、カメラマンとして改めて感心させられたが、その古典的手段に気づかなかった中国当局にも驚かされる。
 この華南トラ偽造写真事件がきっかけとなり、中国初の月探査衛星「嫦娥一号」が撮影した月面写真もアメリカの衛星が撮影したもののコピーではないかという疑惑まで出てきた。さすがに国家事業である月探査機が撮影した写真については、すぐに疑惑を一掃するニュースが躍起になって報じられた。ここまで写真に対しての信頼が失墜してしまうと、毎日手にする現地の新聞に載っている写真までも疑惑の目で見てしまう。
 さて写真と言えば、北京では色々なカメラマンや写真家に出会う。ある署名式の取材に行ったとき、年配のカメラマンが、署名をする台から自分が撮影する場所までの距離を巻尺で計っていた。何をしているのか大変興味をそそられて、声をかけてみたところ、目が悪くてピントを合わせられないため、先に巻尺で距離を計り、それに合わせてピントを決めるのだという。もちろんそれは被写体が動かなければ役に立つ神技なのだが……。米中の代表が入ってくると、そのカメラマンは隣にいた私に
「やっぱりよく見えないからピントを合わせてくれ」
 と頼んできた。目算が狂ったか。こちらとて握手や署名の瞬間を逃したくはなかったが、その大胆な頼みを断ることはできなかった。

写真
ベルタワー

 また別の日、遊園地の開園式典を取材していると、近くにいたカメラマンが私のカメラに付いているレンズを見て、
「それはいいレンズだなあ」
 と話しかけてきた。
「あ、これは超広角レンズです」
 などと気を良くして答えていると、ぜひ見せてくれと言いだした。まあ少しだけとカメラを渡した。すると突然、私のカメラを手に撮影を始め、戻って来るなり
「今撮影した写真は私のものだからこのメールアドレスに送ってくれ」と言う。
 図々しいにもほどがある。私の常識を超えたその依頼に、とっさには何も言えず、数分にも感じる間、立ち尽くしてから、
「馬鹿なことを言うな!」
 とようやく反応したことがある。これはほんの一例で、中国には想像を絶するカメラマンたちが多いが、私が憧れるカメラマンもいる。
 先日、北京の芸術区798を歩いていてバッタリ再会した徐勇さんは、北京の「胡同」(北京下町の路地)の写真集で有名になった方だ。彼はこの10数年でビジネスマンとしても大成功した。芸術区には巨大なギャラリーを所有し、中国全土に不動産を持ち、現在はニュージーランドにも家がある。ギャラリーでは徐勇さんの新作写真展が行われており、意外にも女性のヌードの写真展だった。以前の作品より現代アートに近づいた写真だったが、写す力をひしひしと感じさせられた。徐勇さんは以前こう言っていたことがある。
「成功しない人は、人生の選択の中でリスクを負わなかった罰を受けているんだ」
 このざわついた時代の中で、なお変化を続けながら前進してゆく彼が私はとても好きだ。
 中国の写真界、驚かされることも多々あるが、写真を撮らなければと思わされることも多々ある今日この頃である。

写真:岩崎稔氏 いわさき・みのる…写真家。1974年、宮崎県生まれ。東京工芸短期大学写真学科卒業、中国人民大学法学部卒業。95年から北京市に暮らし、同市を拠点に活動を続けるかたわら、アジアのフォトグラファーネットワークづくりなどに尽力している。

*現在ANAの機内誌「翼の王国」で、作家の原口純子さんと「中国万事通」を連載中です。

ホームページ:http://www.minoruphoto.com/japanesemainpage.htm

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北海道物産店より

<第一弾! 知床の楽しみ〜海からの贈り物〜>
 世界自然遺産「知床」から、海産物の逸品をお届けします。めんめ(きんき)やホッケ、イクラ、真ツブなど、冬においしい海の幸をセレクトしました。食べればわかります、知床の豊かさ。

知床の楽しみ〜海からの贈り物〜


<第二弾! いかにも北海道のお歳暮特集>
 お歳暮の手配はおすみですか? 北海道物産店では、いかにも北海道らしいお歳暮商品を集めました。3大がにしゃぶしゃぶ、サケ山漬け、生干しししゃも、らんこし米などなど、もらってよろこばれる品物ばかりです。

いかにも北海道のお歳暮特集〜




■次号予告
 次号で50号となる『メルマガ北海道人』。クリスマス直前号ということもあり、何かいいことがあるかも。
 さて、次号のメルマガラインナップは、上林早苗の「上海日記」、「とろんのPAI通信」、「危機の時代に―鈴木邦男・和多田進 10年目の往復書簡」です。
 『メルマガ北海道人』第50号の配信は12月20日(木)です。
 
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