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『メルマガ北海道人』第47号 2007.11.29. ―「北海道人」、街に光あふれる―

 日が短くなりました。12月22日の冬至に向けてますます短くなっていきます。そのかわりなのでしょうか、日が沈んだころからあちこちで光が見られるようになりました。庭先にはサンタやトナカイの形をしたイルミネーションが飾られ、札幌の大通公園では恒例のさっぽろホワイトイルミネーションがはじまりました。
 たくさんの光に誘われ、そそっと近づいて気がつきました。その行動は街灯に集まる夏の夜の虫といっしょでした。原始的な脳の部分がそうさせるのでしょうか。光あふれる街のあちこちに、ふらふら、ふらふらです。
 『メルマガ北海道人』第47号、原始的なリズムで光のトナカイに乗って配信!

となりの北海道人 『私のお父さん』




■もくじ

連載【田野城寿男の『楽譜のいらない音楽授業』】

 自分が奏でるサックスの音、救急車のサイレンの音、街の雑踏などを聞き入るクセがあるという田野城さんは、音の一歩さきには何か別な世界があると言います。渋谷のライブハウスで演奏をしていたときに、演奏者全員が体験した不思議な出来事。ユニゾン、のち、うねうねの摩訶不思議ワールド!

連載【岩崎稔の『大陸人の時間』】

 東京の強烈な地下鉄ラッシュから逃れるように北京にやってきたという岩崎さん。しかし、最近の北京の交通事情にもなにやら変化が……。次々に開通する地下鉄の新路線、料金の改定などにより利用者が急増。地下鉄ラッシュ in 北京、東京とはかなり違ってビックリです! 岩崎さん大丈夫ですか?

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□連載
【田野城寿男の『楽譜のいらない音楽授業』】 Lesson 20

音、その一歩さきにある世界

 私はサックス奏者として自分の奏でる音や街の遠くを走り抜ける救急車のサイレンの音、街の雑踏などをじっと聞き入るクセがあります。そこに音楽理論を当てはめようとか、音程などを探そうとしているのではなく、音の向こう側にはいったい何が存在しているのか? ということを感じようとしているのです。
 サイレンの音を聴くことで、まるで映画のワンシーンのような情景をイメージしたり、街の雑踏を聴くことで、自分があたかも鳥になって空から賑わう街を眺めたりしているのです。うまく言えませんが、空気の振動が体に響くとき、時空を超えた過去のような未来のような宇宙のような……まだ見たことのない空間を感じる自分がそこに必ずいるのです。
 20年程前の出来事です。渋谷のライブハウス「ライブ・イン」に出演しているときのことでした。ドラム、ベース、キーボード、ギターをバックに私がサックスを奏でるステージ。演奏も終盤になり、細かで複雑なリズムやアクセントを全員が一糸乱れず反復する「ユニゾン」をしはじめたときのことでした。いきなり目の前が歪みはじめてきたのです。「今」存在しているこの世界がうねうねと歪みはじめたのです。目が回るような感じではありませんでした。まさに目の前の世界が歪んだのです。
 「いったい何が起きたんだ?」と必死に演奏を続けながら自問自答しました。それと同時に今度はバンドの演奏する音もうねりはじめました。まるでステージ上だけが違う次元に吸い込まれていったような不可思議な体験をいまでもしっかりと覚えています。楽屋にもどると私はすぐに、さきほど体験した不可思議な出来事をメンバーに問いただしてみました。すると驚くべきことに、メンバー全員が同じ体験をしていたのです。
 一体なんだったのでしょうか……。あれ一度きりの出来事ですが、いまもって謎は解明されていません。この体験以後、「なぜサックスを演奏するのですか?」という質問を受けたときにはきまって、「もう一度あのような素敵な体験をしてみたい!」と答えた時期もありました。
 さて、私は常々心の豊かさとは「自分自身の心のデザインを死ぬまで一生懸命描き続けることである」と考えています。別な言葉で表すなら「真剣勝負で遊び続ける」がピッタリ当てはまるかもしれません。好きなことを毎日続ける……羨ましい話と思われるかもしれませんが、これが一生懸命となると意外にできそうでできないものです。
 私にとってこの心のデザインになくてはならないものがサックスであると断言できます。このサックスを通して文化を伝えてくださった恩師ジョー・アラッドとの出会いが、私の揺るぎない考えの根底を形成しています。彼と私という人間はサックスを通して点と点が結ばれて線になったのです。それはまさに民族や言語そして宗教の壁を超えた温かく愛情溢れるエネルギーの融合でありました。これらはおそらく記憶重視と識字率を高めるようなトップダウン化された教育では決して産み出せるものではないと思います。心のデザインを描き続ける、これはまさしく文化の醍醐味ではないでしょうか。文化はまるでオブラートに包まれるがごとくそれを共有する仲間に覆いかぶさってきます。これがファミリーなのです。
 少なからず音楽教育にたずさわる私にとって、現代社会に生きる人たちにこの体験を伝えることが最も大切なことであり、しいてはこの行為が1つの文化伝承なのだ……と気づかされたいま、改めて恩師に感謝の気持ちでいっぱいです。
 音楽はエネルギーの表現であり魂の解放です。
 ときに、音の一歩さきに存在する精神世界をかいま見る楽しみに出会えるかもしれません。

写真:田野城寿男氏

たのしろ・ひさお…1958年広島市生まれ。サックス奏者。78年バークリー音楽院入学。在学中から精力的に活動し、帰国後の87年サリナ・ジョーンズの日本ツアーにソロ奏者として参加。91年「25周年記念」のモントルー・ジャズフェスティバルに出演。音楽家はもちろん、多彩なジャンルの表現者たちとのコラボレートを積極的に実践、近年は「音楽教育」の必要性を重視し、広い層の若者たちに個性的な指導を続けている。

ホームページ:http://www.tanoshiro.com

携帯サイト:http://www.tanoshiro.com/m/

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□連載
【岩崎稔の『大陸人の時間』】第23回

恐怖の地下鉄

 雑誌の取材のためロサンゼルスから日本人の著名な風水の先生がやって来た。風水については無知な私だが、色々と教えていただくにつれ、昔の中国人がとことん研究し尽くし体系立てられた考え方に感心させられた。残念なのは文化大革命のころ、風水も呪術の一種と捉えられて禁止されていたこともあり、本家本元の大陸より海外のほうが風水の研究が進んでいるということだ。今回はせっかく北京で本場の風水師や風水学を取材できると思っていたが、そう簡単にはいかなかった。渋滞だ。
 風水の先生が夕方のラッシュにはまってしまった車の中でポツリとつぶやいた。
 「北京は意外と自転車、少ないのね」
 確かに10年前と比べると自転車の数は激減した。最近は電気自転車が幅をきかせていて、子供を後ろに乗せたおじさんやおばさんがスイスイと車の脇を猛スピードで走り抜けていく。北京市内の主要道路には自転車専用道路があり、慣れると運転はかなり便利だ。しかし、零下に達する冬は、自転車での通勤や買い物はかなりつらい。この自転車利用者の減少には環境汚染も関係があるようだ。
 中国を訪れた当初は、私も自転車での移動がメインで、冬でも新鮮な空気を吸いながらどこまでも自転車で出かけた。しかしここ数年、車の急激な増加・建築ラッシュなどのため、空気が汚染され、ただ立っているだけでも息苦しい場所が多い。ましてや自転車などこげたものではない。ゆえに自動車通勤者が増え、ますます大気汚染が深刻化し、さらにまた自転車利用者が減り……と悪循環している。風水にしても自転車にしても、私のような外国人がイメージする中国とは意外と大きな隔たりがあることが多い。
 最近それを痛感するのが地下鉄のラッシュである。十数年前、東京でカメラマンのアシスタントをしていた私は、都内のスタジオまで小田急線と地下鉄を乗り継ぎ毎日片道1時間40分かけて通勤していた。もちろん毎朝ものすごい人で、一度電車に乗ると体を動かすのも大変なほど車内は人だらけだった。何度ガラガラの下り電車に飛び乗ろうと思ったことか。結局は数ヶ月も続かず、東京のような地下鉄ラッシュのない北京にやってきてしまったのだが……。

写真
夕暮れ時

 しかし先月、“北京には地下鉄のラッシュがない”という私にとっての神話が崩れてしまった。地下鉄に新路線が開通した。それに伴い運賃が変更になった。いままで北京の地下鉄は、東西に伸びる「1号線」と旧市街を一周する「環線」の2本のみで、きわめてシンプルだった。その後、市外に広がっていく市民の住居と中心部を結ぶ線路が開通した。なぜか「13号線」という。市内北側を這うような形で伸び、「環線」とつながっている。それでも公共バスと比べると値段が高いため、利用者は限られていたのだが、突然4本もの新路線を突貫工事で建設し始め、先日開通した路線の開通日から全線の運賃を一律とした。どこまで行っても乗り換えても2元(約30円)に設定したのである。マイカー通勤者・バス利用者・自転車通勤者が一挙に渋滞のない地下鉄を利用するようになり、朝夕は東京のあのラッシュに決して劣らない、いやそれ以上の恐怖のラッシュと化してしまったのである。
 突然の利用者の増加に地下鉄会社も対応しきれていないため、毎朝大混乱で、1、2本電車を待たないと無事に乗れない。たとえ乗れたとして目的の駅で降りることがさらに難しい。「次、降ります」と叫びながら出口に近づいても、ドア近くの人はなかなか動かない。ドアが開くと、外に出るでもなく、逆に降りまいぞとスクラムを組むのである。それをすり抜けないと目的の駅で降りることができない。毎朝アメフトの試合に参加しているようなものだ。
 以前、人が少なかったころは、お年よりや体に障害のある人たちが自分で改造したステレオを担ぎ、マイクを持って歌いながら、あるいは小さな子どもを抱きかかえながら、物乞いにやってきていたが、最近、朝夕はほとんど見かけなくなった。いたとしてもこの人ごみでは目に入らないかもしれない。その人たちにとっては生活の糧を得る場所が脅かされていることになる。それでも先日、ひどい火傷を負って皮膚が爛れてしまった人が果敢に満員の地下鉄に乗りこみ、お金を恵んでもらおうと試みているのを見た。驚愕した。これほどまでに人が積極的に動きまわって生きていく国なのだ。
 しかし物乞いがいたところで、地下鉄利用者は目的地まで行くのに必死で他人のことを顧みる余裕などない。物乞いのほうもとにかく人の多いラッシュ時が稼ぎどきだから、これもまた必死。突然の変化に慣れず苦しんでいるのは私だけではないようだが、この通勤ラッシュ、中国経済の発展につれまだまだ増してゆくと思われる。新たなラッシュのない街を探しにまた旅に出ようかと考える今日この頃だ。

写真:岩崎稔氏 いわさき・みのる…写真家。1974年、宮崎県生まれ。東京工芸短期大学写真学科卒業、中国人民大学法学部卒業。95年から北京市に暮らし、同市を拠点に活動を続けるかたわら、アジアのフォトグラファーネットワークづくりなどに尽力している。

*現在ANAの機内誌「翼の王国」で、作家の原口純子さんと「中国万事通」を連載中です。

ホームページ:http://www.minoruphoto.com/japanesemainpage.htm

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■インフォメーション

ポータルサイト北海道人更新情報

北海道物産店「逸品誕生秘話」を更新しました。

  今回『北海道人』が選んだこだわりの逸品は海藻専門店オーガニックケルプの「海乃香藻(ウミノハーブ)」です。健康食品としても知られるガゴメと自然塩をブレンドしたウミノハーブ。ガゴメや塩との出会いなどウミノハーブができあがるまでの物語をご紹介します。

同じ海育ちの海藻と塩が瓶の中でひとつになって

「海藻の良さを引き出し、毎日の食卓の中で気軽に使ってもらうためにはどうすればよいかを考えました」

 海藻と合わせる塩を探していた吉川さんは、北海道寿都湾の海水で塩を焚き上げている黒松内町「海心窯しおのや」の存在を知った。椴法華(とどほっけ)の海藻には椴法華の海水から焚き上げた塩を、根崎の海藻には根崎の塩を。これが最高の取り合わせであると考えた。

本文はこちらから
http://www.hokkaido-jin.jp/kodawari/uminohearb/




■次号予告
 次号の配信は12月です。ついに師走に突入です。ますますあっというまの1ヵ月になることは間違いありません。年賀状、お歳暮、大掃除の計画をお忘れなく。
 さて、次号のメルマガラインナップは、上林早苗の「上海日記」、「とろんのPAI通信」、「危機の時代に―鈴木邦男・和多田進 10年目の往復書簡」です。
 『メルマガ北海道人』第48号の配信は12月6日(木)です。
 
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