メルマガ北海道人

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『メルマガ北海道人』第39号 2007.10.18. ―「北海道人」、北から山から雪だより―

 10月13日、旭川など道北で雪が降ったというニュースが届きました。翌14日には札幌の手稲山で初冠雪が観測されました。思えばその直前、雪むしを見たという話も聞いていました。正しい順序で着実に冬が近づいています。
 とは言え、このまま冬にまっしぐらというわけでもありません。進んだり戻ったりしながら、ときには冬、ときには秋の10月です。
 『メルマガ北海道人』第41号は読者の皆様のもとへまっしぐら!

となりの北海道人 『私のお父さん』




■もくじ

連載【田野城寿男の『楽譜のいらない音楽授業』】

 ジャズの演奏はどのように勉強したら良いのか? ジャズはどのように聴いたら良いのか? 高校時代の田野城さんも同じ問題にぶつかったと言います。田野城さんにとっての音楽の基本、そしてそれを実践するためのジャズアンサンブルクラスの開設。田野城的ジャズ教育論が展開されるLesson17。

連載【岩崎稔の『大陸人の時間』】

 今回岩崎さんが訪れた南部の二つの街は、中国有数の観光地と中国で最も暮らしやすいと言われているところです。広い国土の中国。北部と南部では気候はもちろん文化や暮らしぶりも随分違うようです。南部のタクシードライバー管さんと北京の白タク段さんでは、これまたいろいろ違うようなのです。

連載【大竹正枝の『新・自然真営道』】

 「食を考える」シリーズの第2回目となる今回のテーマは、「遺伝子組み換え食品」です。農業の現状、遺伝子組み換え、遺伝子組み換えが必要とされる理由などについて大竹さんが語ります。「遺伝子組み換え技術が救世主に!」。最先端の現場から届けられる食の話。これは読まねばなりません!

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□連載
【田野城寿男の『楽譜のいらない音楽授業』】 Lesson 17

大人としての責任

 ここ数年、私は“技術に関係なく誰でも参加できる”タノラボミックスと言うネーミングのジャズ・ロック・オーケストラのコーディネートをしています。その経験をもとに、いよいよ敷居の高いジャズアンサンブルクラスを新しく始めました。
 一口にジャズと言っても現在ではいろんなスタイルが存在しています。歴史をさかのぼると、ニューオリンズやシカゴで盛んだったデキシーランドをはじめ、スイング、ビ・バップ、ハード・バップからフュージョンと呼ばれるもの。また、最近のブームであるスムースジャズがあり、近年ヨーロッパではクラブ系ジャズとカテゴリーされるスタイルまで存在しています。しかし、それらは演奏スタイルの違いこそあれ、同じ音楽であることに変わりはありません。
 では、どのようにジャズを演奏する勉強をすればよいのか?
 ジャズを学ぶにあたり、これが意外とはっきりしていません。どの世界でも同じですが、基本が大切! という言葉をよく耳にします。でも、基本っていったい何なのでしょうか?
 たとえば私が子供の頃は、サッカー、バレーボール、野球に明け暮れた運動畑の人間でしたが、基本トレーニングとして、必ずうさぎ跳びの練習をさせられていたものです。しかし、現代のスポーツ科学の世界では、逆に筋肉を痛めるので練習の必要はないと判断されています。サックスをはじめ、音楽においても、さまざまな楽器を練習する上で、同じように間違った練習をしているかもしれません。その都度、なぜこんな練習をするのか? と考えてみる必要があります。
 私にとっての音楽の基本は、常に自分の持つ想像力を最大限引き出すための準備をすることであると考えます。技術あっての音楽ではなく、魂あっての音楽であるからです。己の魂を表現するために技術を磨くわけです。
 この考えを実行に移すべく、今回、ジャズアンサンブルクラスを開設したわけですが、そこでの私の役目は、参加者個々のレベルに合わせ、彼らが最大限の想像力を引き出せるように導くことです。その先は、参加者が自分の力で新しい何かを産み出して行くのです。それが自己表現であり、芸術(アート)だと私は考えます。私たち大人は、それを導く責任があると思います。単なるうわべやスタイルの好みだけで選ぶのではなく、より深い本質に迫ることで、豊かな心が育まれ、心に響く演奏が出来るのです。ただ楽譜通りに音程やリズムをきっちり合わせて演奏をしても、それが音楽として認められないケースが実はよくあるのです。単なるうわべだけの音の集まりとでも言いましょうか……“無意味な音”なんです。
 私は音楽番組のDJをしていたこともあり、多くのリスナーの方から、ジャズをどのように聴いたら良いのでしょうか? どのアーティストのアルバムを聴けば良いのでしょうか? という質問を受けました。実際、私がジャズに興味を持ち始めた高校時代、同じ問題にぶつかりました。チャーリー・パーカーやジョン・コルトレーンの伝記を読んでも良く分らない。残された道は、とにかくがむしゃらにジャズを聴きまくっていくしかありませんでした。
 その気持ちを少しばかりスッキリさせてくれたのが、大学時代に選択したジャズヒストリークラスでした。音楽理論や演奏スタイルではなく、ジャズの誕生と進化の歴史、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカの国々を巻き込んでの国益、民族、宗教問題など、生々しい時代背景を知ることで、より一層明確なジャズ音楽を捉えることが出来ていったのです。
 以前ふらりとニューヨーク・リンカーンセンターに足を運んだ時、驚かされる講座が開かれていました。なんとランチタイムに、ニューヨーク市民のためにジャズの歴史講座が行われていたのです。私はジャズを通じて歴史や人類学を学べる開かれた環境が存在することを知り、まさにニューヨークはいろんな角度から芸術を育てている街なのだと感じました。
 私の見方から言うと、これが大人としての責任を果たしているということです。「育つ環境」がある街はなんと魅力的なんでしょう!

写真:田野城寿男氏

たのしろ・ひさお…1958年広島市生まれ。サックス奏者。78年バークリー音楽院入学。在学中から精力的に活動し、帰国後の87年サリナ・ジョーンズの日本ツアーにソロ奏者として参加。91年「25周年記念」のモントルー・ジャズフェスティバルに出演。音楽家はもちろん、多彩なジャンルの表現者たちとのコラボレートを積極的に実践、近年は「音楽教育」の必要性を重視し、広い層の若者たちに個性的な指導を続けている。

ホームページ:http://www.tanoshiro.com

携帯サイト:http://www.tanoshiro.com/m/

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□連載
【岩崎稔の『大陸人の時間』】第20回

北部と南部の格差

 春節・メーデーにならぶ1週間の大型連休である国慶節休みが終わり、朝の地下鉄の混雑がまた始まった。国慶節休み中は例年通り人の大移動が起こり、国内各地の旅行地に大勢の人がなだれ込んだ。韓国やオーストラリア行きの団体旅行に参加し、そのまま消えてしまった人も例年以上に多く、政府は旅行会社に対し監視を強めるよう勧告を出した。どういうことかというと、中国では旅行を口実に海外に出て、そのまま出稼ぎ労働をする人が後を絶たないのである。そのため、政府はパスポートやビザの申請・取得には多くの条件を設けていて、旅行するまでに手間もひまもお金(旅行会社への預け金など旅行代金以外のお金)もかかる。これだけ多くの人口を抱えていると、管理するのは容易ではない。
 私はこの休み中、黄山と杭州に出張した。黄山は中国国内で一、二を争う観光名所である。出発する前から、果たしてこの時期に取材ができるのかどうか心配で、「人と同じくらいの幅にかさばった荷物とそれを持った大勢の旅行客に押しつぶされる」不安が頭の中をよぎったが、取材は意外とスムーズに進んだ。
 私は今回の取材で初めて安徽省黄山市を訪れたのだが、そこで思わぬ発見があった。よく言われるように、北と南では同じ中国でもまったく違う。北部の人の生活は全般的に厳しい。冬の凍てつく寒さや乾燥した気候、厳しい自然条件の下での生活は生きていくことだけで精一杯だ。ゆえに生活習慣や文化は素朴で地味だ。一方、南部の人は豊かな緑と新鮮な食べ物に恵まれ、生活そのものを彩ろうとする精神的な余裕がある。
 私が黄山で気がついたことは、北部と南部の境界線がちょうどこの黄山市を通っているのではないか、ということだ。現地のレストランや農家で食事をする機会があったが、料理は北にはない新鮮な食材で作られ、とても美味しい。だが、食事をする場所の雰囲気はとても簡素で、こんなに恵まれた環境があってもそれを積極的に楽しもうという心意気は感じられない。窓の外には緑の美しい風景があるのだが、人の気配りなどは無いに等しく、北部と同様、ざっとした感じを受ける。そんなふうに一日のうちの半分は南部の要素を感じ、半分は北部の要素を感じた。

写真
人民大会堂に映る天安門広場

 黄山からいったん北京に戻り、1日あけて杭州に出張した。黄山から北東に200キロ離れた場所にある杭州は、中国の暮らしやすさベストシティーに選ばれるほど風光明媚な街である。杭州には何度も訪れているので、知り合いのタクシードライバー・管さんの車をチャーターして、数日の間取材をした。管さんは四川省の三星堆遺跡から出土したマスクに酷似していて、横に広がった平べったい顔をしている。面長が特徴の北方人の顔つきとは異なっている。管さんは、中国全土に名を馳せている緑茶「龍井茶」で有名な龍井村の近くの村に建てた4階建ての家に暮らしている。好きな木花や野菜を植えた大きな庭もあるそうだ。タクシーの仕事は朝8時から夕方5時までで、それ以降は自分で雇った運転手に車を貸して朝まで運転してもらっているという。
 「残業はあまりしないよ、家に帰って毎日夕食を食べるから」
 何とも羨ましい言葉である。
 「もともと農民だったから、今住んでいる所は政府から分けられた土地。外国人が買おうと思っても買えないんだよ。この前、兄も家の近くに4階建ての家を建てたんだ」
 ますますもって羨ましい。
 北京の知り合いの白タク段さんが頭によぎる。空気の悪いあの街で睡眠をも削りながら客を運ぶ段さん。同じ国の同じ業種でこれだけ暮らしが違うものなのか。取材をしながら管さんと杭州郊外を回っていると、あちらこちらで3階建てから4階建ての立派な農家が目に入る。中国の農家と言っても、砂漠化が進む地域で今も1000年前と同じような厳しい暮らしをしている家もあれば、穏やかな自然環境で快適そうに暮らしている家もあり、その言葉から浮かぶイメージは人によって大きく違うだろう。
 緑と新鮮な食材があふれた南部の都市・杭州、私の暮らす北京とは本当にえらい違いである。

写真:岩崎稔氏 いわさき・みのる…写真家。1974年、宮崎県生まれ。東京工芸短期大学写真学科卒業、中国人民大学法学部卒業。95年から北京市に暮らし、同市を拠点に活動を続けるかたわら、アジアのフォトグラファーネットワークづくりなどに尽力している。

*現在ANAの機内誌「翼の王国」で、作家の原口純子さんと「中国万事通」を連載中です。

ホームページ:http://www.minoruphoto.com/japanesemainpage.htm

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□連載
【大竹正枝の『新・自然真営道』】第23回

食を考える(2)〜遺伝子組み換え食品

写真
我々は選択の時をせまられているのかもしれない
 有機野菜は慣行農法で作った野菜より栄養価が高い、美味しい、安全、そして生態系にやさしいと言われており、その良さは誰もが認めるところだろう。しかし、これだけ有機野菜が良いと分っていても、普及しないのはなぜだろうか?
 ある農家は「販売用ではなく、家庭用に作った(=自分の家で食べる)野菜を売ってくれないか」とたびたび言われるそうである。また、ある農家は「化学肥料や農薬を全く使用しないというのは無理な話。いくら有機だといっても、少しでも虫食い跡があれば消費者は買ってくれない。農家が生産する場合、家庭菜園とは異なり、一匹ずつ虫を駆除するわけにはいかない」と、話してくれたことがある。それについては、私ももっともだと思う。自分で野菜を育てた人なら誰でも「一晩で虫に食べられたこと」「病気のために出来が良くなかったこと」などの経験があるはずだ。野菜は虫たちにとって、ご馳走なのである。虫たちから野菜を守るために、生産者は農薬に頼ることになる。
 もし仮に全国の生産農家が一斉に有機栽培に切り替えたとしたらどうなるだろう? 「生産供給が追いつかず、食糧危機に陥る可能性を否定できない」と、ある専門家は話す。生産農家にとって有機栽培は、1.手間がかかり、2.生産コストがかかり、3.安定供給が難しい農法である。一方、消費者は従来より高い野菜を買うことになる。このような図式から、野菜を低価格で安定供給するためには化学肥料や農薬に頼らざるを得ないのである。
 しかし、それでは私たちは農薬漬けの野菜を食べ続けなければならないことになる。化学肥料や農薬に頼らず有機栽培を行うことは、本当に無理なのだろうか? いや、一つだけ方法がある。それが遺伝子組み換えの技術だ。遺伝子組み換えの技術によって除草剤や害虫に対して抵抗性を持たせて、農薬散布の回数を減らすことができる。そうすれば農作業の負担も軽減できるし、生産コストも下げることができるのだ。
 その方法は大まかに言って次のような内容である。まず有用な遺伝子を見つけ、その遺伝子を細胞の中に入れる。入れたからといって必ずしもその形質(性質)が現われるとは限らないので、有用な遺伝子を選抜する。そして、その細胞を培養して植物体に育てる。こうして、組み換え体植物ができるのである。代表的なものはトウモロコシや大豆などだろう。トウモロコシに組み込まれるのは「土壌細菌の殺虫性たんぱく質の遺伝子」で、これを蝶や蛾の幼虫が食べると死んでしまう。大豆には「除草剤に対して耐性のある遺伝子」が組み込まれ、除草剤が散布されても枯れることがない。本来なら除草するために、この草に対してはこの除草剤、といったように、収穫までに数種の除草剤を撒かなければならない。しかし、組み換え大豆なら、農薬散布の回数も使用量も減らすことができるのだ。これによって私たちは農薬漬けの野菜を食べなくても済むのである。
 こうして見ると遺伝子組み換えの技術は、農薬漬けの野菜から私たちを解放する救世主になる可能性を秘めていると言えるのではなかろうか。

おおたけ・まさえ…1965年生まれ、千葉県出身。現在、北海道大学農学研究科に在籍。植物が人間に与える不思議なパワーに興味を持ち、主に園芸療法について研究するかたわら、ガーデニング、環境保全、そして地域・農村活性化など幅広く関心を持つ。

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■次号予告
 次号が配信される頃には新たな雪だよりが届いているのでしょうか。それとも紅葉を楽しむ人びとで行楽地がにぎわっているのでしょうか。季節が進んでも戻っても、メルマガは前進あるのみです。
 次号のメルマガラインナップは、上林早苗の「上海日記」、「とろんのPAI通信」、「危機の時代に―鈴木邦男・和多田進 10年目の往復書簡」です。
 『メルマガ北海道人』第42号の配信は10月25日(木)です。
 
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