メルマガ北海道人

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『メルマガ北海道人』第37号 2007.09.20. ―「北海道人」、秋雨と菊と薔薇―

 前線や台風の影響で雨の日が多い近頃の北海道。秋雨がつづくと寒さの深度が増してゆくような気がします。この涼しさの中、あちこちの庭で秋バラが見られるようになりました。野に行けば小さな菊が咲き誇っています。しかし、秋雨はそんなことはおかまいなし。咲き始めのバラの上にも満開の菊の上にもザーザーです。ザーザーザーザーシトシトザー。秋雨のち秋晴れのち秋曇。せめてこれくらいのリズムでお願いしたいものです。
 『メルマガ北海道人』第37号、秋雨ニモ負ケズ配信!

となりの北海道人 『私のお父さん』




■もくじ

連載【田野城寿男の『楽譜のいらない音楽授業』】

 「楽譜のいらない音楽授業」Lesson15では、「忘れてはならないもの」について田野城教授が語ります。漫画『ゲゲゲの鬼太郎』、音楽、そして物理学にまで及ぶ今回の授業のキーワードは「ワクワク」です。子どもの心に戻って異次元ワールドの旅に出かけましょう。

連載【岩崎稔の『大陸人の時間』】

 北京五輪まで1年を切った中国では、関連のイベントが次々と行われています。今回、岩崎さんが取材したパラリンピックのイベントに予想だにしない大スターが現れました。小学生の頃大ファンだったというそのスターを、なんと岩崎さん自身が困らせてしまうのです!

連載【大竹正枝の『新・自然真営道』】

 前々回の「新・自然真栄道」で取り上げたB&B(ブレックファスト&ベッド)について、今回はさらに内容を掘り下げます。イギリスなどのヨーロッパを発祥地とするB&B。その本来の目的、B&Bと北海道の関わり、B&Bがもたらすものについて大竹さんが伝えます。

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□連載
【田野城寿男の『楽譜のいらない音楽授業』】 Lesson 15

忘れてはならないもの……

 「あなたは目に見えない何かを信じますか?」
 たとえば世界各地で目撃されている未確認飛行物体やアイルランドの古城に夜な夜な姿を現すといわれるゴースト達。これまで飛行機や艦船が瞬時にして消えたといわれてきた場所、バミューダトライアングルの謎など。
 私は小学生の頃から、とにかく自分の目で見たことのない、しかも訳の分からない物が大好きでした。それらは理屈抜きで、ただ私の魂をワクワクさせてくれたからだと思います。
 今回のタイトル「忘れてはならないもの」に、この「ワクワク感」があると私は考えます。
 さて、未知の不思議な世界が大好きだった小学生の私にとって、大スターであり、憧れの的でもあったのが、漫画『ゲゲゲの鬼太郎』でした。鬼太郎マニアの私が密かに自慢できることがあります。なんと鬼太郎と目玉親父の誕生秘話を知っているのです。「私も知っている!」という方は、是非、ご連絡ください。
 力はないけれど人生経験豊富な目玉親父と、若い息子の鬼太郎が人間界のために頑張る姿はとても魅力的でした。その一方で、「妖怪の世界ってどうなっているんだろう?」「人間死んだらどうなるのだろう?」と、次々に疑問が湧いてきました。何故なら目玉親父や鬼太郎は、私の知らない妖怪の世界とこの世を行ったり来たりしていた人物だったからです。
 「だったら鬼太郎に直接聞けば良い!」
 「でも妖怪ポストに手紙をどうやって出せば良いのだろう?」
 と、小学生の私は夢中になって答えを探しました。でも、残念なことにいくら一生懸命考えても答えは出ませんでした。今言えることは、物事を突き詰めて考えるためのモチベーションを保つには、50歳を目前にしたいい大人にも、やっぱり「ワクワク感」が必要だということ。
 考えてみると音楽の世界もワクワクします。音色は自分の目で見ることができないのに、魂を揺さぶるものが存在するからです。私の吹くサックスの音色も残念ながら誰一人見ることは出来ないのです。しかし、その音色は時に力強かったり、また優しさであふれていたり……そう感じることは出来ます。私達が音楽会やライブに出かけるのは、演奏家が奏でる音色を「魂で感じる」ことによって、現実の世界から未知の世界へ導かれ、その違いにワクワクするからではないでしょうか。会場で音に包まれ、おのおのの魂の赴くままに未知なる世界へと旅立っていくのです。
 この魂の作用は、いったいどこから来るものでしょうか?
 現在、物理学の世界では5次元(異次元)の存在が研究されています。私をはじめ世界の人々は3次元の世界に生かされています。でも、私は考えるのです。演奏を聴いて未知の世界へ導かれる魂の作用や人間の空想や妄想などは、時としてこの3次元の枠を取っ払い、異次元の世界で感じる働きなのではないかと。
 黒人奴隷がかつてこう言いました。「制度の下に、私達の肉体は奴隷として縛られています。でも、私達の魂まで束縛することはできない。私達は自由だ」と。また、人間はよく「自由だ」あるいは、「自由になりたい」と言います。この衝動はきっとどこかで知っているのじゃないでしょうか……異次元の世界を。
 そう突き詰めて考えていくと、インスピレーションがわきました。人間には、3次元に束縛された肉体の中に、5次元(異次元)に通じるものが埋め込まれている……それが魂なのだと! 魂の感度を敏感にすればするほど、よりスパイスの効いた人生を送ることができるんじゃないでしょうか。そう考えると、またワクワクしてきました。きっとこれからも私は、未知のものに「ワクワク」して生きて行くでしょう。

写真:田野城寿男氏

たのしろ・ひさお…1958年広島市生まれ。サックス奏者。78年バークリー音楽院入学。在学中から精力的に活動し、帰国後の87年サリナ・ジョーンズの日本ツアーにソロ奏者として参加。91年「25周年記念」のモントルー・ジャズフェスティバルに出演。音楽家はもちろん、多彩なジャンルの表現者たちとのコラボレートを積極的に実践、近年は「音楽教育」の必要性を重視し、広い層の若者たちに個性的な指導を続けている。

ホームページ:http://www.tanoshiro.com

携帯サイト:http://www.tanoshiro.com/m/

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□連載
【岩崎稔の『大陸人の時間』】第18回

ジャッキー・チェンと高倉健

 五輪開催まで1年を切り、北京では相変わらずさまざまなイベントが開催されている。先日取材したパラリンピック開幕1年前のイベントに思わぬ大物が現れた。
 マスコミの間ではパラリンピックの取材に対する重要度はかなり低く、「まあ、何もなければ取材してきて」とかなり消極的な依頼だった。そもそもオリンピックにもパラリンピックにも関心がそう高くない私にとっては、どちらも似たようなもので、花火でも打ち上げて盛大にやるのなら見に行ってみようというような気分でとりあえず取材に向かった。
 話では、有名人はあまり来ないと聞いていたのだが、メディア関係者が乗せられた現場に向かうバスの中で配られた予定表には、聞いたことのある大陸や香港の歌手の名前がいくつかあった。そして大トリ、「『WE ARE READY』(私たちは準備が出来た)ジャッキー・チェン」とあるではないか! この歌は以前にも紹介したことがあるが、五輪の1年前を祝うイベントのために作られた曲だ。私は思わず「お前が歌うのかよ!」と声に出して突っ込みを入れてしまった。何を隠そう私は小学生の頃、ジャッキー・チェンの大ファンで、プロマイドシールを集めていたことがある。まさかこんな所で会えるとは。取材に来てよかった、などと思いながら現場に向かった。
 バス3台分の記者団は現場に着くと一斉に場所取りに走る。野外の特設ステージの前から30メートルほどの所に照明と音響のどでかい櫓があり、その前面に2人ほどが縦に並ぶのがやっとの狭くて長い足場にカメラマンがどっと場所を取る。カメラマンが多すぎて、一度台に上がると身動きがとれない。私は何とか好位置が取れたが、イベント開始までの約1時間は身動きがとれずただただ待つだけ。そんな間に私の後ろに巨大な白いボードがいくつも運び込まれた。「こんな狭い所に置いて行かないでくれ」などと中国人カメラマンがスタッフと争っているが、「これは重要なものなので……」などと押し切られた。いったい何に使うんだろうと不思議に思っているうちに式典が始まった。

写真
私たちは準備ができた

 毎回の事だが、どうやったらこんな演出が出来るのだろうと感心する内容でイベントは進んでゆき、最後にジャッキーが現れた。久しぶりに見るジャッキーだが、全然老けていない。この人は不老不死の薬でも飲んでいるのではないだろうか。
 『WE ARE READY』のイントロが始まると、私の後ろに数人係員がやってきて、先ほど置いていった白いボードを高く突き上げた。まさか五輪開催の抗議団体がなにやら抗議を始めたのかと思いきや、よく見るとジャッキー用のカンペである。どうも我々カメラマンが邪魔でジャッキーからはカンペが半分しか見えないらしい。ジャッキーは少し不安げな顔で歌のイントロを聞いている。歌い始めるとアクティブな踊りをしながらジャッキーは我々のほうに向かって退いてくれという合図を送ってくるのだが、それは無理な相談で、ぎゅう詰めにされている我々は全く動けない。ジャッキーの表情はまるで映画のワンシーンのように困っている。往年の映画を思い出させるその表情に「さすがだよ、あんたは」と私をうならせた。歌の半分ぐらいは「ふふふん」とか「あははん」と言葉にならずに終わってしまった。
 大満足の私は中国人記者の王(30代後半、男)さんに「ジャッキーは私の小学生の頃の大スターなんだ」と高揚した気分を隠さずに話した。
 「ジャッキーの作品は小さい頃はなかなか見られなかった。彼が国のヒーローになったのは本当に最近のことだよね」と王さんから意外な反応が返ってきた。
 「じゃあ、小さい頃はどんな有名人が好きだったの?」と聞いてみると、王さんは「高倉健」とはっきり答えた。
 私が日本人だからそう答えてくれたのかもしれないが、実際、中国での高倉健の人気は計り知れないものがある。意外と自分たちが欲しているアイドル像は隣の国にあるもんだと感心せずにはいられなかった。

終わり


写真:岩崎稔氏 いわさき・みのる…1974年、宮崎県生まれ。東京工芸短期大学写真学科卒業、中国人民大学法学部卒業。95年から北京市に暮らし、同市を拠点に活動を続けるかたわら、アジアのフォトグラファーネットワークづくりなどに尽力している。

*現在ANAの機内誌「翼の王国」で、作家の原口純子さんと「中国万事通」を連載中です。

ホームページ:http://www.minoruphoto.com/japanesemainpage.htm

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□連載
【大竹正枝の『新・自然真営道』】第21回

エコツーリズムを考える〜B&Bって何?

写真
こういった風景を見たいと感じている人も多い
 前々回(『メルマガ北海道人』第33号)取り上げた、B&Bについてもう少し知りたいという要望があったので、今回はさらに内容を深めたいと思う。
 前にも書いたが、B&Bとはブレックファースト&ベッドのことで、「朝食と一夜の宿」のことだ。イギリスやヨーロッパが発祥地で、都市に住む人々が農家や民家に泊めてもらう自然体験型のツーリズムのことである。都会の人にとっては自然に慣れ親しむための良い機会になるほか、農家にとってはちょっとした収入となる。
 しかし、B&Bの本来の目的は、もっと奥深いところにある。例えば、農家に泊まれば、どんな作物がどのように自分たちの食卓に並ぶのかを学ぶことができるし、民家であれば、その地方での習慣や考え方などが学べる。つまり、B&B体験は、流通経済、栽培学、食育、環境学、自然科学、異文化交流などをふくめた総合的体験学習につながるのである。
 このシステムを伝えようと日本でいち早く声を上げたのは北海道だった。芦別市の「NPO法人北海道B&B協会」代表 横市英夫氏は、乳製品の会社を経営する関係で幾度となく欧州へ視察に行ってB&Bを知り、「日本でも広まったらもっと消費者と生産者の間が縮まるのではないか」と考えて、NPO法人を設立した。それが北海道から九州、東京、青森などに広がり、いまでは全国的な展開となっている。
写真
何気ないもてなしが嬉しく感じるものだ
 エコツーリズムに関心をもっていた私は、これまでに、北海道の下川町、南幌町、中標津町、別海町などでB&Bを体験した。その中のある農家から、次のような話を聞いた。
 この方はB&Bというものを全く知らなかったが、あるキッカケで知った東京の若者を自分の家に泊めることになった。彼は絵描きで、ふらっと北海道旅行にやって来ていたのだが、気が合って、1ヶ月程もその農家に滞在した。その間、農作業を手伝ってもらったりしながら、毎日のように夜には一緒にお酒を飲みながらいろいろと語り合った。東京からやってきた若者は都会の息苦しさから開放され、農家の主人は新鮮な何かを若者から貰ったのだ。
 B&Bをもっと多くの人に知ってもらえれば、多くの人が北海道を「動物、植物、そして人を育くむ生命のゆりかご」と感じてくれるのではないかと私は考えているのである。

おおたけ・まさえ…1965年生まれ、千葉県出身。現在、北海道大学農学研究科に在籍。植物が人間に与える不思議なパワーに興味を持ち、主に園芸療法について研究するかたわら、ガーデニング、環境保全、そして地域・農村活性化など幅広く関心を持つ。

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■次号予告
 次号は9月最後のメルマガです。1年の約4分の3を締めくくるメルマガです。第4コーナーに差しかかったあたりでの配信です。そう思うと身が引き締まります。
 さて、次号のメルマガラインナップは、上林早苗の「上海日記」、「とろんのPAI通信」、「危機の時代に―鈴木邦男・和多田進 10年目の往復書簡」です。
 『メルマガ北海道人』第38号の配信は9月27日(木)です。
 
※インターネットに接続するとメルマガ上の画像をご覧になれます。

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