函館育ちのガゴメと塩のブレンド「海乃香藻(ウミノハーブ)」

〜日本の食文化と最新の研究データから生まれた〜

文/杉本真沙彌 写真提供/有限会社アイアン

海を守り育て、「ガゴメ」と出会う

 潜水業を営んで70余年、世界各地の海や海藻を見つめ続けてきた企業グループが函館にあった。それが有限会社アイアンを含むグループアイアンだ。
 「グループといっても10名ほどです」と有限会社アイアンで企画・開発を担当する吉川誠さんは言う。グループは規模こそ大きくはないが、潜水、海藻の調査や研究、水中撮影などを仕事とする海のプロフェッショナルで構成されている。
 10年ほど前、海藻栽培用ネットシステムを考案するなど“海の森を守り育てる”取り組みを行う中、今では健康食品として広く知られるある海藻に出会う。それがコンブの一種「ガゴメ」である。
 北海道大学水産学部の研究者などとガゴメの調査を進める中、函館地区の都市エリア産学官連携促進事業に参画することになり、ガゴメについての知見を深めながら、食材としての新たな可能性を知ることとなる。
 そこから発想を得て商品化したものが粉末にしたガゴメと塩をブレンドした「海乃香藻(ウミノハーブ)」だ。
 「1年ものの“やわらかさ”という特徴に注目して商品開発をしていたところ、1年もののガゴメの方がフコイダンなどの有効成分が多いことがわかったんです」と、ウミノハーブを企画・立案した吉川さんが言うように、1年もののガゴメに含まれる“フコイダン”は2年ものの約2倍、カリウムなど他の有効成分も一様に多い。ウミノハーブにはそれまであまり使いものにならないとされてきた1年もののガゴメを積極的に使っている。2年ものに比べやわらかく、口の中であっというまにとろみに変わるのだ。

同じ海育ちの海藻と塩が瓶の中でひとつになって

 「海藻の良さを引き出し、毎日の食卓の中で気軽に使ってもらうためにはどうすればよいかを考えました」
 海藻と合わせる塩を探していた吉川さんは、北海道寿都湾の海水で塩を焚き上げている黒松内町「海心窯しおのや」の存在を知った。椴法華(とどほっけ)の海藻には椴法華の海水から焚き上げた塩を、根崎の海藻には根崎の塩を。これが最高の取り合わせであると考えた。
 「しおのやさんは私たちのコンセプトに共感してくれました。使う海藻に合う塩の粒や仕上がりなどについて相談にのっていただいています」
 こうして函館のガゴメと同じ海域の塩のブレンドが実現した。
 コンブ=伝統食という従来のイメージにこだわらず、お茶やハーブのように使ってもらいたいという思いから、容器にはスパイスのような小瓶を選び、手軽に使えるように工夫されている。パスタや浅漬け、スープやドレッシングなどウミノハーブを使ったさまざまなレシピを自ら考え普及に努めている。
 「主役にはなれない、説明が必要な商品なんです」
 素材と素材をつなぐ役割を果たすのがウミノハーブ。ぱぱっと振りかけるだけでとろみがついたり、旨みが出たり。フコイダンなどの成分が多く含まれることのほかにもこの手軽さがウミノハーブの魅力である。
 ガゴメはデリケートな海藻で、独特のヌメリは自らを守るためのものだ。かつては2000トンだった収量も今では200トン台にまで減っている。近年の温暖化の影響による大型低気圧や水温の上昇による海中環境の変化がガゴメの生育に影響を与えていると吉川さんは心配する。
 「海藻とは生き物としてかかわっています」
 海藻の普及、海藻の新たな可能性を探りながら、これからも吉川さんをはじめとするグループアイアンは函館の海を見つめ続ける。

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船上で作業する吉川さん。企画・開発のみならず、実際に船に乗って海藻の調査もする

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海の中には様々な海藻がゆらめく。グループアイアンは世界各地の海と海藻を海の中から見つめてきた

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海中に生息する1年ものの天然ガゴメ。ガゴメは表面にでこぼことした凹凸があり、それが籠の目(かごのめ)に似ていることからガゴメと呼ばれるようになったという

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粉末にした「ガゴメ」と窯焚き自然塩をブレンドした「海乃香藻(ウミノハーブ)#02」は、函館の海の恵みが凝縮された一本

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「海乃香藻(ウミノハーブ)」シリーズ。ガゴメやおとひめ昆布と窯焚き塩のブレンド(ソルトインタイプ)をはじめ、荒挽きしたガゴメやおとひめ昆布のみのタイプなど料理によって使い分けられる

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