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サステナビリティへの挑戦 北海道人
エコロジーなどの視点を中心に、自らの生活や地域社会のサステナビリティ=持続可能性に挑戦する北海道人たちを追う。
(構成・文 森末忍)
→サステナビリティについて 第2回
ライジングサン・ロックフェスティバル
「ライジングサン・ロックフェスティバルのアースケア」〜進化する音楽イベント<前編>
 石狩市から小樽市にまたがる石狩湾新港の一角を舞台として、毎年数万人の観衆が集う音楽イベントがある。2003年で5回目を迎える、「RISING SUN ROCK FESTIVAL」(以下ライジングサン)。毎年数十組というアーティストが集結するこのライジングサンは、新潟県の苗場で行われる「FUJI ROCK FESTIVAL」等と並んで、日本有数の野外ロックフェスとして名を馳せ、毎年日本各地から熱心な観衆を集める。ライジングサンの醍醐味は出演アーティストの豪華さ・幅広さの魅力だけにとどまらず、ロックと北海道の大地と戯れる二日間の時空間にある。広大な会場でのびのびと、思い思いのスタイルで、ロックを楽しむ。そして朝日の昇るエンディングが象徴的だ。
 
◆ 大地に配慮する仕組みづくり
 ライジングサンでは、環境対応の試み、「アースケア」に積極的に取り組んでいる。 広報資料などに「アースケア」というクレジットまで掲載されるほどのしっかりした試みだ。これは大地に対する配慮、つまり環境に対する配慮を意味している。
 環境問題に対する対応は、社会のサステナビリティ(持続可能性)を考える上での必須事項であるが、音楽の業界でも同じことなのだ。その手の話題に敏感なアーティストは数多い。「アースケア」を前面に掲げるこのフェスは、そういった時代に敏感なアーティストに支持されて、音楽業界の先端を走り続けることが可能になるともいえるのだ。ライブホールZEPPのグリーン電力の導入など、昨年から音楽業界でアースケア的な動きが加速中であることも見逃せない。
 ライジングサンのアースケアは、これまでごみ対応が中心だ。第二回の2000年から、国際環境NGO「A SEED JAPAN」とアライアンスを組み、A SEED のごみゼロナビゲーションの動きを取り入れて対応している。
 昨年(2002年)この動きを取材した。牧草ロールが所々に転がる広大な会場へ入ると、すぐに目に付くのがごみ袋の配布。私が手にした袋は、有名アーティストのイラストレーションが入った、記念に持って帰りたくなるようなカッコイイもの。ごみゼロナビゲーションの活動はかなり浸透しているらしく、自らこの場所にごみ袋を取りに来る観客も多数いる。そして、その活動の核となるA SEED のブースでは、100名近いボランティアスタッフがミーティング中であった。会場各所では、ごみ分別に関する説明がなされ、当たり前に分別回収されている。A SEED のスタッフに聞いた言葉が記憶に残る。「ごみを回収してまわるということより、分別やリサイクルの情報を伝えて、みんなが自分で考えて行動できる仕組みづくりをしたいんですよ」

ライジングサン・ロックフェスティバルのごみ回収   ライジングサン・ロックフェスティバルのごみ回収
 

◆来年もまた、この朝日を見るために
 朝日が昇り、二日間に渡るステージがエンディングとなった。金髪の若者集団、子供連れのファミリー・・・それぞれが分別用のごみ袋を片手に、身の回りの整理をしている。もちろん全員という訳ではないが、大多数がごみ袋をしっかり抱えて出口へと向かっていく。「なにもない土地にゼロからつくりあげた会場。終わったら元通りにして戻したい」「来年もまたこの朝日を見たいから、このフェスが続いてほしいから、会場をきれいにして帰ろうよ」
 スタッフ・観客、様々な立場の人たちから聞こえてきた声だった。皆ごみの問題を通して、このフェスのサステナビリティを意識していた。
 今年に入って、ライジングサンを主催する(株)ウエスのプロデューサー井手上哲さんに、このアースケアに関して話を聞く機会を得た。話はその発端から、音楽が環境運動の拡がりに繋がっているという点にまで及び、「音楽にはそれだけの力があると思うんです。(環境問題について)行政的なスローガンで打ち出しても、そう簡単にはいかないでしょ。ところがアーティストがステージで『ごみを持ち帰ろうね』って一言言えば、会場はきれいになったりするんですよ。音楽は環境問題の啓蒙にも使いやすいという側面が見えてきましたね」。この視点でこのアースケアがプロデュースされていることに、ライジングサンの大きな可能性を感じる。
 アースケアという切り口が、時代に敏感なアーティストと観客達に支持される。そして、社会にとって様々な意味を持つイベントとして、必要とされていくわけである。

 2003年、「アースケア」のクレジットに「いしかりECO&PEACE」が加わった。地元石狩市の有志で組織される団体である。昨年からブース出店者のごみ処理についてサポートしているという。
 次は「地域社会」と繋がりつつある。アーティスト・NGO・観客・地域社会が、「アースケア」を切り口に繋がって、自ら進化していくフェスティバルがここにある。

後編では、2003年ライジングサンについて現地を取材し報告する。

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2003 in EZO
■日程
 2003年8月15日(金)
 2003年8月16日(土) 【オールナイト開催】
■会場
 北海道・石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ
 http://rsr.wess.co.jp/

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