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ぜいたくな時を過ごす場所 2006年7月12日公開・北海道人特集

津軽海峡のパノラマを味わう、老舗の湯元 割烹旅館 若松(函館市湯川町) 湯の川で最も古い歴史を持つ「割烹旅館 若松」 湯の川で最も古い歴史を持つ「割烹旅館 若松」

←↑湯の川で最も古い歴史を持つ「割烹旅館 若松」。趣ある数寄屋造りの玄関前には、湯元の宿らしく、温泉が噴き上がる様子の見られるあずまやが建つ。

 何というぜいたく。目の前には、津軽海峡。それを視界いっぱいに味わいながら、男性は大理石の湯舟、女性は檜の湯舟で、たっぷりとかけ流される湯に身をひたせるのだから。
 力強く寄せる波、広がる空、晴れていれば真正面に下北半島の影…。ダイナミックなパノラマをさらに肌で感じたければ、そしてもっと海に近づきたければ、大きな廂に覆われた露天に出てみればいい。潮風がうっすらと鼻をくすぐる。カモメが鳴き交わす。
 あえて目を閉じ、光景を五感で感じてみるのも一興だ。夜には夜で、輝く星々と、函館の街に灯る、これも星群のような明かりのきらめきを眺められる。昼夜、ついつい長湯をしてしまう。

 大正11年創業の「割烹旅館 若松」は、湯元の宿として湯の川でもっとも長い歴史を刻む老舗宿。数寄屋造りの本館は創業以来のたたずまいを残し、玄関をくぐると並んだ女性たちが礼を尽くして迎えてくれる。ロビーに設けられた光庭が柔らかな陽を辺りに滲ませ、重々しくなりがちな玄関周りの雰囲気を優しげなものに変えている。これを感じながら、ロビーのソファで静かに談笑するひとときも快い。
 客室は、本館・新館あわせて29室。広い窓からの眺めは、露天風呂に等しい大パノラマ。部屋に入ったとたん非常な解放感を覚えるという、矛盾した喜びが面白い。窓辺のイスに身を預けて大海に心を解放するもよし、かすかな潮騒だけを聞きながら本のページを繰るもよし。気が向けばまた、ふらりと浴場へ。

海を目の前に感じながらゆったり浸かる露天風呂

↓津軽海峡を望む大浴場「月のゆ」(男性用)。女性用の「花のゆ」は桧の湯船で、優しげな風情をたたえている。

津軽海峡を望む大浴場「月のゆ」(男性用)。

↑海を目前に感じながらゆったり浸かる露天風呂。

津軽海峡を望む大浴場「月のゆ」(男性用)。
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↓到着客を迎える仲居の女性たち。お客が外出から戻る際にも、担当の女性が待ち受け、出迎える。

玄関にやわらかな陽を滲ませる光庭。 到着客を迎える仲居の女性たち。

←玄関にやわらかな陽を滲ませる光庭。

 大きさを誇る風呂ではないが、これは「完ぺきに手入れが行き届くサイズ」というこだわりなのだそう。湯は毎日抜き、清掃し、3時間かけて毎日入れる。部屋数を増やさないのも、気配りの行き届く範囲を守るため。到着から出発まで、一人の仲居さんが先任で世話をしてくれる心安さもうれしい。
 「特別なことはしていません。当たり前のことを守って行きたいのです。それが一流かどうかは、お客様が決められることです」とオーナー。「ごゆっくりどうぞ」という言葉ひとつも、そうできない事情の客には心なく響く。お客の思いを汲み、魂の入った接客を。その思いを全員が共有できる宿こそが、確かに一流と言えるのだ。

401号室「菊」。新館「南坊」は、千利休の高弟・南坊宗啓の名をとって命名。

←401号室「菊」。新館「南坊」は、千利休の高弟・南坊宗啓の名をとって命名。いずれの客室も、桧や秋田杉の醸し出す純和風のたたずまいが好ましい。中でも「菊」は、一隅に書院を備えた趣が愛されている一室。旅の夜、ここで記念の一筆をしたためてみてはいかがだろう。

→702号室「南海」。メゾネット式で人気の一室。下の階は純和室、2階はツインのベッドルームになっており、露店気分の味わえるジャグジー風呂が付いている。ここで海の眺めを独り占めするのも悪くない。

702号室「南海」
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ほぼ9割を海の幸が占める夕食の華やぎ。 「年配の、ゆっくり過ごされたいお客様が多いので、なるべくお目障りにならないよう心がけています」と仲居さん。

←「年配の、ゆっくり過ごされたいお客様が多いので、なるべくお目障りにならないよう心がけています」と仲居さん。適度で適切な心遣いが「割烹旅館 若松」らしさ。

↑ほぼ9割を海の幸が占める夕食の華やぎ。「この日にこの目で仕入れたものしか出さない」と料理長。少しずつ多彩な味わいの数々が、自慢の器に盛られて提供される。この日の焼物は「時不知鮭 照焼」、蒸し物は「フカヒレと雲丹、白キクラゲの茶碗蒸し」。刺身盛りの中では活エビがまだゆるやかな動きを止めず、口にするとぷりぷりの身が歯に心地よい弾力を与えてくれる。

割烹旅館 若松割烹旅館 若松

住所:函館市湯川町1丁目
電話:0138-59-2171
http://wakamatsu.hakodate.ne.jp/
チェックイン:15時から
チェックアウト:10時まで
宿泊費例:2名1室利用=「南海」1人6万5250円、同「桔梗」1人4万4250円、同「菊」1人3万3750円
アクセス:■車/函館空港から7分、またはJR函館駅から15分 ■JR/札幌駅から函館駅まで約3時間


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