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紫薫るラベンダーの大地−もうひとつの富良野 北海道人・2006年6月特集

富良野産ラベンダーオイルの今

↑→ファーム富田の蒸留工場『蒸留の舎』の蒸留機。(写真提供:ファーム富田)
花の時期には刈り取ってすぐ蒸留作業が行われる。

ラベンダー発祥と再生のまちで
ラベンダーの刈り取りのようす

↑ラベンダーの刈り取りのようす。(写真提供:ファーム富田)

上富良野町・深山峠のラベンダー園

↑ラベンダーオーナー園のある上富良野町・深山峠のラベンダー園。全国のオーナーには、ドライフラワー、富良野メロン、上富良野町産のラベンダーオイルが贈られる。(写真提供:かみふらの十勝岳観光協会。

 ファーム富田(中富良野町)の敷地内に建つ蒸留工場。7月〜8月、ここで、水蒸気蒸留法と呼ばれる手法による、ラベンダーオイルの蒸留、抽出のようすを見ることができる。

 

 刈り取ったラベンダーを蒸留釜に入れ、釜の底から蒸気を吹き込むと、芳香成分を含む水蒸気が上がる。水蒸気を冷却管に通して冷やすと液体に変わり、これを集めると液体の上に芳香成分が浮かぶ。その成分を水から分離して得られる琥珀色の物質が、ラベンダーオイルだ。

 

 ファーム富田が本格的にオイルの生産を開始したのは、1982年。香料会社との契約栽培による富良野地方のオイル生産が途絶えた後、富田忠雄さんが鉄工所に通いつめ、自力で蒸留機を作り上げた。

 

 富良野地方で最も早く、1952年に上富良野町・東中に設置された蒸留場の蒸留機も、今なお稼働している。東中地区内の別な場所に移され、しばらくはシソオイルの抽出に使われてきたが、ラベンダーオイルの蒸留も復活。香料会社の協力のもと、生産を手がけているのは観光協会だ。

 

 かみふらの十勝岳観光協会は、ラベンダーの発祥地・上富良野町のPRと、ラベンダー畑を広げるための協力者を募るべく、「ラベンダーオーナー制度」を実施している。年間10000円の出資でラベンダー5株のオーナーになるというもので、協会が生産したオイルは、香料関連会社に卸されるほか、全国のラベンダーオーナーに提供されている。

世界に誇る富良野産ラベンダーオイル
上富良野町・東中地区の蒸留場

↑上富良野町・東中地区の蒸留場(曽田香料所有)でのラベンダーオイルの蒸留風景。かつてラベンダー栽培農家たちが蒸留作業にあたった当時の蒸留設備が使われている。(写真提供:かみふらの十勝岳観光協会)

 植物の天然の芳香成分を抽出した精油(エッセンシャルオイル)の中でも、ラベンダーオイルは世界で最も高い人気を誇る。

 今、世界市場に出回るラベンダーオイルの多くを占めるのは、ラバンジンという種のラベンダーを原料とする精油だ。原料から採れる精油の量が多く価格も安いため生産・流通が盛んだが、真性ラベンダーから採れる精油よりも香りやリラックス作用は劣るとされている。

 

 また、精油は、原料植物が同じ品種でも気候や土壌など成育環境によって品質が大きく異なることも知られている。ラベンダーオイルの香りやリラックス作用を左右し、品質の指標とされるのは、エステル(酢酸リナリル)という成分の含有量。真性ラベンダーから抽出される富良野産オイルは、その含有量が、ヨーロッパ産の真性ラベンダーオイルをも上回るという。

 

 生産量はわずかだが、質はピカいち。そんなラベンダーオイルが、上富良野町と中富良野町で作られ続けられている。

ファーム富田のラベンダーオイル

←ファーム富田のラベンダーオイル。園内で栽培されている真性ラベンダー4品種から抽出され、一般販売のほか香水、せっけん、シャンプー、入浴剤など同社のオリジナル製品づくりに生かされている。もっとも香りが優れているとされる「おかむらさき」だけを原料としたオイルも作られ、フランスの『ラベンダー芳香フェア』で第1位獲得の実績も。(写真提供:ファーム富田)

富良野地区 地産地消のおいしい食案内2富良野ラーメン
■これぞ究極の“富良野ラーメン”
石臼挽き中華そば(800円)↑地元でも大人気の石臼挽き中華そば(800円)。原則・1日50食限定だが、「すぐ出ちゃうので、もっと出してます」。

 地産地消にとことんこだわり、地元富良野市民にも評判の『とみ川』。「卵は大西さんのさくら卵、チャーシューは倉島さんのSPF豚、ネギは・・・、ほうれん草は・・・」と、店主の富川哲人さんが紹介する材料の数々には、仕入先の地元の生産者たちの名前がついてくる。

 めんは、「菅野さんの有機無農薬小麦・はるゆたか」を富川さんが自ら石臼で挽き、店内の製めん機で製めんする。「無農薬だから殻ごと挽いてるんですよ」というそのめんは小麦の風味が香り立ち、化学調味料無添加のまろやかなスープに絶妙にマッチする。

 「地元の生産者が手間ひまかけて作っているこだわりの食材を、少しでも引き立てる味をめざしたい。そしてうちの家族に食べさせても安心と思えるものであること」。それがモットーだ。「まだまだ進化していきますよ」。

石臼中華そば とみ川

→1.めんはスープの味ごとに石臼挽き中華そば用、塩・しょうゆラーメン用、みそラーメン用、とうがらしラーメン用と定番4種類。これに月がわりの特別メニュー用に毎月、1種類が加わる。すべて富川さんの手づくりめん。

→2.元ボクサーという異色の経歴を持つ、店主・富川哲人さん。「富良野は食材の宝庫。それに麓郷の水は大麓山の伏流水ですよ。これほど恵まれた環境はないでしょう!」。

■石臼中華そば とみ川
住所:富良野市麓郷市街地の5 電話:0167-29-2666
営業:11時〜20時30分(ラストオーダー)、不定休

■取材協力

曽田香料株式会社札幌営業所、太田信夫さん(上富良野町)、上田博昭さん(旭川市)

■参考文献

・『郷土をさぐる』(かみふらの郷土をさぐる会機関紙)

・『曽田香料七十年史』(曽田香料株式会社)

・『わたしのラベンダー物語』(著・富田忠雄、新潮文庫)

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