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桜の国の北海道

北海道人・2006年4月特集

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 4月1日にオープンした新五稜郭タワーは、高さ約107メートル。旧タワーは約60メートルなので、約2倍の空中楼閣となる。当然、今までの数倍の広さを見下ろせ、五稜郭をほぼ全景眺め渡せるようになる。桜の群生を「上から眺める」という、ただでさえ珍しい花見に、さらなる広がりが加わるのだから見逃せない。オープン前の3月、職員の野澤義(よしみ)さんは、「スタッフ一同、楽しみなんですよ。この春に見下ろす五稜郭の桜は、今まで誰も見たことのない姿なのですから」と語ってくれた。

五稜郭のお堀端に、たわわな花が咲きそろう。

△五稜郭のお堀端に、たわわな花が咲きそろう。

手前が4月1日にオープンした新五稜郭タワー。90メートルの高さに展望室がある。

△手前が4月1日にオープンした新五稜郭タワー。90メートルの高さに展望室がある。

蝦夷地防衛のかなめとして1864年に完成した五稜郭。函館戦争の舞台となり、1913年(大正2年)に公園として一般に開放された。

△蝦夷地防衛のかなめとして1864年に完成した五稜郭。函館戦争の舞台となり、1913年(大正2年)に公園として一般に開放された。

市民の憩いと場となっている函館公園。

△市民の憩いと場となっている函館公園。

函館公園の案内をして今年で14年めを迎える木村マサ子さん。

△函館公園の案内をして今年で14年めを迎える木村マサ子さん。

 明治12年、日本初の和洋式公園として誕生した、函館公園。「病人に病院が要るように、健康な人間には公園が必要」と語る英国領事に賛同した市民が、積極的に資金や労働力を提供し、造築。市民が自らの手で造りあげた、『おれたちの公園』だ。現在約600本ある桜も市民の寄付で植えられた。「愛着はひとしおだったことでしょう」と、同園で公園利用者指導員を14年間(昭和53年〜)務めた木村マサ子さんは語る。

 北洋漁業全盛の子供時代、花見の時期には公園に色とりどりの露店が並び、宴会のにぎわいが絶えることなく、誰もが浮き浮きと心踊らせた。特に、やがて遠洋に出港する父や息子を囲む大家族の宴会は華やかで、往事の光景が今でも目に浮かぶ、と木村さんは懐かしむ。
 親しんだ場所への愛着と持ち前の好奇心から、在職中は忘れ去られかけていた函館公園の歴史、点在する歌碑・石碑の意味、植生など、すみずみまで調べ続けた。「上司や、博物館、図書館の人たちの協力のおかげなの。フリーになった今、集めた膨大な資料を整理しなきゃならないんだけど…」と苦笑しつつ、旅行者や地元の子供たちに函館の歴史と、「本物の自然」をガイドする仕事に励んでいる。「私たちは、自然が訴えてくる情報を人の言葉に代えて伝えるのが役目だからね」。

函館公園の中に建つ市立函館図書館。

△函館公園の中に建つ市立函館図書館。

明治15年に描かれた「函館公園全図」。季節はやはり桜のころである。

△明治15年に描かれた「函館公園全図」。季節はやはり桜のころである。

 桜の見どころは?と問うと、「ソメイヨシノが散って、2週間後くらいかな」。えっ、散って??「そのころに、色が濃く花も大きい関山が花盛りなんですよ」。ソメイヨシノが白い花びらを舞い落とし新芽をまとうかたわらで、あでやかな里桜が咲く。だいたい、5月の後半。花見のにぎわいはソメイヨシノの時なので、静かに桜を愛でたい人や野点を楽しみたい人たちには、知る人ぞ知るこの時期を勧めていたという。
 「桜前線に乗って、鳥もやって来るの」。花と共に目覚める虫たちを求め、野鳥が桜を渡り歩く。「ソメイヨシノのころは、メジロ、ウグイス、オオルリ…」。
 花だけでなく、それが根付く場の歴史、自然、通り過ぎた人々、そして現在…と、桜が生きる土地のすべてを味わい、耳を傾け、感じ取る。今年はそんな花見を、いかがだろうか。

■五稜郭公園
桜の見ごろ:例年5月上旬
住所:函館市五稜郭町44
電話:0138-51-2864(管理事務所)
交通:市電「五稜郭公園前」から徒歩15分
■函館公園
桜の見ごろ:例年4月下旬から5月上旬
住所:函館市青柳町17
電話:0138-22-7255(管理事務所)
交通:市電「青柳町」から徒歩3分

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