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星空のまち、陸別で北極星を見る

文・編集部/写真提供・陸別『銀河の森天文台』空気が澄みきって美しく、空にさえぎるものが少なく、すばらしい天文台がある陸別(りくべつ)町。 	ほんものの北極星を見るのに、これ以上の場所はない。とっておきの北極星を見るために、陸別をたずねた。銀河の森天文台
国内最大級の反射式大型望遠鏡「りくり」と筧伸浩さん

直径115センチ、国内最大級の反射式大型望遠鏡「りくり」と筧伸浩さん。「いつか自分で新しい星を見つけるのが夢です」と話してくれた。

■ 真昼の北極星

 陸別町は、東北海道のぼぼ中央、北見市から車で約1時間のところにある。冬(2月)の平均気温が日本一低い場所として知られ、1年で数回は、温度計がマイナス30度を下回る。 そして、美しい星空が見られるまちとして、天文好きにはあこがれの場所でもある。

 丘の上に建つ「銀河の森天文台」に到着すると、主任の筧伸浩(かけい・のぶひろ)さんがいろいろ案内してくださった。 天文台は午後1時にオープンする。昼でも晴れてさえいれば、望遠鏡で星が見えるという。  さっそく巨大な望遠鏡をのぞかせてもらうと、少しだけ黄色味をおびた、白く、頼りない北極星が見えた。 線香花火がおわる直前のように、小さく、チラチラと瞬いている。真昼の北極星は、青空にはかなく浮かんで、透き通って消えてしまいそうに見えた。
陸別の天の川
天文台とオーロラ

■ 赤いオーロラ

 ところで、陸別はどうして「星空のまち」なのだろう。
 確かに、街の灯が少ないので星がたくさん見える。「天の川」の迫力もすごい。でも北海道には、そういう場所がほかにもたくさんある。じゃあどうして? 筧さんに聞いてみた。
 「人工物が少なく、夜空が暗いこと。車などが少なく、空気が澄んでいること。晴天率が高いこと。この3つが大きな理由です。それからもう一つ、オーロラのカラー写真がきっかけでした」
 平成元(1989)年、国内で初めてカラーのオーロラ撮影に成功したことが、天文関係者の注目を集めるきっかけとなったのだ。

 撮影したのは、星好きで、私設の天文台までつくっていた町役場の職員、津田さん。10月21日の夜、赤く染まった北の空をカメラにおさめた。オーロラというと、カナダやアラスカでカーテンのように波打つ、緑や青色の空を想像するだろう。 しかし、青っぽいオーロラは、北緯70度付近の高緯度地域で見られるもので、北緯43度くらいの北海道では、空全体に広がって、赤っぽく見えることが多い。これを「低緯度オーロラ」とよぶ。

 このニュースが全国に流れると、国内外でオーロラや大気圏、成層圏など、地球大気に関わる研究をしている人たちが、観測に適した場所として陸別の存在を知ることになる。多くの研究者が陸別を訪れるようになる。
 そうした流れのなかで、陸別では「まちの財産」として、星空を大切に思う気持ちが高まってきたのだろう。やがて、さまざまな計画や整備が進められ、天文台をつくるまでになった。
陸別の空に広がるオーロラ
大型望遠鏡「りくり」から撮影した北極星

大型望遠鏡「りくり」から撮影した北極星(2006年3月12日)。

■ もうひとつの北極星

 日が暮れて、再び望遠鏡をのぞくと、北極星がしっかり静かに輝いていた。そして、北極星のすぐとなりに、小さく光る別の星が見える。
 「北極星は、連星なんですよ」と筧さんが教えてくれた。
 「連星」というのは、二つ以上の星(恒星)がお互いの引力で引き合いながら、同じ重心の周りをまわっている天体のこと。じつは、夜空に輝く星の約半分は、2つ3つの星が引き合う連星だという。

 夜空に輝く北極星。肉眼で見ると1つだけポツンとしているけれど、じつは仲間の星といっしょに、仲良くまわっていたのである。

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