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取材・文・写真/編集部

北海道で活躍するパティシェたち カボチャのショコラとモンブラン シェ・イリエ(旭川市)

パンプキンショコラ(写真手前)、カボチャのモンブラン(左)、トマトと枝豆のレアチーズ(右)
▲パンプキンショコラ(写真手前)、カボチャのモンブラン(左)、トマトと枝豆のレアチーズ(右)

 旭川市郊外にある洋菓子店「シェ・イリエ」では、秋になると恒例の「収穫祭」の時期がやってくる。オーナーパティシェの入江祐喜さんのもとに、近くの農家で収穫されたばかりの素材が届くと、入江さんは段ボールからあふれんばかりのカボチャやトマトをにらみながら、「これで何を作ろうか…」と思いをめぐらせ、そこからさまざまなお菓子が生まれるのだ。

 洋菓子作り約30年の入江さんの頭のなかには、フランス菓子の基本がびっしり詰まっている。それをどんな風に応用するか、素材をどう置きかえて、アクセントをつけて、全体をまとめるか。そうして生まれた今年の目玉は、有機カボチャを使ったパンプキンショコラ、カボチャのモンブラン、紅玉のアップルパイなど。

 2つのお菓子に使っているカボチャは、上川郡当麻(とうま)町で無農薬・有機栽培を行う田中秀樹さんが作る「坊ちゃんカボチャ」だ。片手にのるほど小さなカボチャで、オモチャのようにかわいらしい。甘味が強くホクホクして、そのまま食べてももちろん美味しい。お菓子にしても、その味わいが存分に発揮される。

入江祐喜さん
▲入江祐喜さん
お菓子教室 イメージ画像
▲シェ・イリエで開催しているお菓子教室。毎回1人1台ずつケーキを作る。

 入江さんはこのカボチャを使う前、製菓材料のカボチャペーストを使っていた。原料は良質な道産品なのだけれど、いつも均一で調整のとれたペーストに、ときどき物足りなさを感じていた。そして、数年前に田中さんの作るカボチャに出合ってから、「お菓子を作る『楽しさ』をすごく感じるようになった」という。
 坊ちゃんカボチャはホクホクしている分、水分量が少ないので、蒸して、裏ごししてペーストにするのはかなり骨が折れる。しかも、1個ずつがとても小さいので、皮をむくのがまず一苦労だ。

 「信頼できる相手から仕入れた確かな素材は、手間をかけた分だけ、しっかりと味にあらわれてくると思います。もしかすると、それは1回、2回食べただけでは分からないかもしれない。でもね、時間をかけて体にしみ込んでくるように、素材が私たちに教えてくれるんですよ」
 小さなお菓子の向こうには、広いカボチャ畑と、そこで汗する人の姿が広がっている。

北海道の素材に注目! 「坊ちゃん」

坊ちゃん
「ぼちぼち舎(や)」の田中秀樹さん
▲「ぼちぼち舎(や)」の田中秀樹さん

1個の重さは400〜500グラム。皮の色は濃い青緑で、ホクホクした味わいが特徴。電子レンジで7〜8分加熱するだけで美味しく食べられる。「同じカボチャでも微妙に水分量が違いますが、入江さんはその違いを分かったうえで、ちゃんと使ってくれるのでうれしい」と田中さん。対して入江さんは、「自然の素材をいかに上手く使いこなすか、それが楽しい」とニッコリ。

[関連情報]

■シェ・イリエ
北海道旭川市旭神3条4丁目8-4
電話:0166-68-2373
営業:午前10〜午後8時
定休:木曜(祝日の場合は翌日)、第1水曜
http://www.chez-irie.com/top-main/topmain.html

■グループ'84(田中さんが所属するグループのホームページ)
http://www.g84.jp/

シェ・イリエ
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