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個性ゆたかな美術館めぐり

 日ごとに秋が深まり、北海道はますますアートに親しみたくなる季節。赤や黄色に美しく色づく木々のなか、個性ゆたかな美術館を訪ねてみよう。

文/重田サキネ 写真提供/札幌芸術の森 野外美術館

札幌芸術の森 野外美術館

■この場所のために創られた作品が集う、日本最大級の野外美術館

 起伏に富んだ自然環境をそのまま生かした7.5ヘクタールの敷地に、国内外65作家の彫刻作品74点が点在する日本最大級の野外美術館。各界から注目をあび、1986年のオープン当時発行の「現代用語の基礎知識」に、「野外美術館」の項目が加えられるきっかけとなった。

7つの作品で構成されたダニ・カラヴァン「隠された庭への道」の一部。

 展示作品は、その大半が“オーダーメイド”。作家たちが実際に設置する現場を訪れ、周囲の環境や気候などを知った上で制作に当たるという行程を経て創られた。これだけの数が同時に制作される例は、当時としては世界的にも珍しかった。
 中でもイスラエルの作家ダニ・カラヴァンは、92年夏の視察後、翌年の冬に再訪。生まれて初めて見る真っ白な風景に感激し、一気に構想をまとめたという。夏は真っ白なコンクリートの作品が緑に映え、冬は積雪が覆いとなってひと味違う眺めを演出する。施工を始める98年までに、ひと冬模型を設置して積雪の影響を観察するなど、念入りな下準備がなされた。そうして完成したのが、7つの作品で構成された「隠された庭への道」だ。

新宮晋「雲の牧場」
▲新宮晋「雲の牧場」。雪景色の中で見ると、まさに白雲の上をヨットが駈けているかのよう。

■ピクニック、散策。そして冬は「かんじき」が人気

 「どこにあってもいい作品を持ってくるのではなく、ここに調和し、ここでこそ息づくものを」が同館のコンセプト。作品と作品の間隔を広くとっているため、周囲の環境との調和を1作品ごとに味わうことができる。季節ごとにさまざまな変化が楽しめるのも野外のだいご味だ。風景の移り変わりと共に驚くほど変わる彫刻の表情は、見飽きることがない。

 春から秋はピクニックや散策のできる「彫刻のある庭園」として愛され、冬には、腰まで積もる雪の上を、かんじきで散策する楽しみがある。
 ほかの季節より高い位置や別の角度から見られるため、普段は見えない部分を鑑賞できるほか、積雪が人物像を泡風呂に入っているように見せたり、煙突から煙が出ているように見せたりと、冬ならではのお楽しみも多い。ひと冬で実に1000人もが「かんじき散策」に訪れ、知る人ぞ知る札幌の人気スポットとなっている。

[関連情報]

■札幌芸術の森 野外美術館

住所:札幌市南区芸術の森2丁目75/電話:011-592-5111
開館:午前9時45分〜午後5時(入場は30分前まで。冬のかんじき体験は午後4時までに終了が原則)
休館:11月4日〜4月28日(ただし1月中旬〜3月中旬は冬期無料開放となり、かんじき・長靴は芸術の森センターで無料貸し出し)
入場料:一般600円、中学生以下無料
URL:http://www.artpark.or.jp

[展覧会のご案内]

■「構造社〜昭和初期彫刻の鬼才たち展」

彫刻と建築、商業美術との融合を目指し、1926(大正15)年に東京で結成された公募団体「構造社」。新しい彫刻のあり方を模索するユニークな活動を繰り広げた彼らが最も特徴的だった10年間に焦点を当て、昭和初期に繰り広げられた知られざる先進的躍動を伝える。19作家、約150点の彫刻や絵画を展示。

札幌芸術の森 美術館
会期:2005年10月30日(日)〜2006年1月15日(日)
開館:9時45分〜17時(入館は閉館30分前まで)、月曜休館(ただし10月31日と1月9日は開館。12月29日〜1月3日と1月10日は休館)

陽咸二《サロメ》1928年
▲陽咸二《サロメ》1928年

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