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彫刻のまち、旭川 彫刻を愛し支える「旭川彫刻サポート隊」

 居住区ごとに6つのエリアに班分けし、1〜2カ月に1回、エリア内の彫刻を清掃する。ブロンズ像の場合は、水を含んだスポンジで洗い、ワックスを塗って乾拭き。高い位置を拭く時には必ず頼りにされる男性メンバーがいて、「ほんとは高いの苦手なんだ〜」と言いつつ率先して登ってくれる。「頼りにしてるよ」と仲間の声が飛ぶ。活動は和気あいあい、ほぼ全員が皆勤し、転勤など以外は辞める人がいない状態が続いた。

アートをめぐる人びと 関わり方、愛し方の意外な在り方1

「親和」高橋清(1974)
野外彫刻の清掃イメージ
▲脚立で届く範囲の彫刻はすべて清掃の対象。永山武四郎像など巨大なものは、業者の手で清掃されるそう。(写真提供:旭川市彫刻美術館)
一昨年と昨年、サポート隊がガイドとなり視覚障害者の彫刻鑑賞会を実施
▲一昨年と昨年、サポート隊がガイドとなり視覚障害者の彫刻鑑賞会を実施。手を導き、声をかける。この経験で、メンバーは一層成長した。(写真提供:旭川市彫刻美術館)

 回を重ねるうち、サポート隊の初代リーダー櫛田稔さんはあることに気づく。みんなの拭き方が変わった。慣れただけじゃない。彫刻がまるで人であるかのように、優しく、時に語りかけながら拭いている。…自分もだ。
 彫刻が、いとおしくなってきていた。そして愛情を持ち、何度も身近に接する間に、意匠の面白さや技術の巧みさ、作者の意図などを感じ取り、理解できるようにもなってきた。確かに、普通に見るだけでは分からないディティールまで「ふれて」鑑賞できるのだから、一般レベルを超えている。彫刻も、彼らに積極的に「語りかける」ようになったのかもしれない。
 その後、サポート隊は道内各地での研修や、視覚障害者をガイドしての彫刻鑑賞会の実施など、さまざまな経験を積み、成長してきた。「最近は、違うエリアの彫刻も清掃したいという希望が多くて。みんな彫刻好きなんですよ」と語るのは、現リーダーの上林勲さん。「要望をふまえて、今後どういうふうに活動していくか。今、それを模索しているところです」。
 入れ替わりを経て、今年、新たに54人が参加。メンバーは143人に増えた。

[関連情報]

中原悌二郎記念 旭川市彫刻美術館

日本の近代彫刻史に偉大な足跡を残した旭川ゆかりの彫刻家・中原悌二郎(1888〜1921)を記念して、1994年に彫刻専門の美術館として開館しました。建物は、旧陸軍将校の社交場として作られた「旧旭川偕行社」。重要文化財に指定されており、これを見るためだけにでも行く価値があります。

住所:旭川市春光5条7丁目 電話:0166-52-0033
開館時間:午前9時〜午後5時
休館日:毎週月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始

野外彫刻マップ

中原悌二郎記念 旭川市彫刻美術館「若きカフカス人」中原悌二郎

URL:http://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/
files/sculpture_mus/index.htm

ホームページのなかで「あさひかわの野外彫刻マップ」を掲載しています。
市内にある野外彫刻を、エリアごとと彫刻作品名から、情報をみることができます。
美術館で配布もしています。

旭川に行ったら、ここはぜひ見よう!
「サキソフォン吹きと猫」黒川晃彦(2001)

買物公園

JR旭川駅前を基点として、南北約1キロメートル続く歩行者専用の道路に、彫刻が点在しています。次々にあらわれる彫刻を見つけながら散歩すると楽しい。

「風雪の群像」本郷新(1970)

常磐公園

市の中心部にある大きな公園で、市民の憩いの場。石碑や野外彫刻がたくさん置かれています。園内には道立旭川美術館もあるので、アートの旅には必見。

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