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アートをめぐる人びと 関わり方、愛し方の意外な在り方1

「手」木内禮智(1972)

 アートに関わる人たちといえば、もちろん「創り手」と「鑑賞者」の関係がまず浮かぶ。しかし、作品が完成するまでのケア、設置された後のフォローという形で携わり、アートを支える人々もいることは、あまり知られていない。前者はまさに創 り手の一部であり、後者は鑑賞者を超えた鑑賞者と言える大切な人々だ。また、人々が気軽にアートにふれる場を提供することを通してアートを愛する人々もいる。
 知る人ぞ知る彼らの活躍と、アートに寄せる思いを紹介しよう。

彫刻のまち、旭川 彫刻を愛し支える「旭川彫刻サポート隊」アートをめぐる人びとイメージ画像

彫刻のまち、旭川 彫刻を愛し支える「旭川彫刻サポート隊」

 野外の彫刻は、汚れて当たり前。さわっちゃいけないんでしょ、芸術品だし公共物だから。――そんな思いから解き放たれ、自分にも何かできると知った人々が、旭川にいる。その活動を追った。

 「野外にある自分の彫刻が汚れているのを見ると、悲しくてね」。
 ある日、有名彫刻家からそう聞いて、正直驚いた。外なら汚れて当然、それを承知で作ったろうに、と思った。しかし歳月による風化ではなく、鳥のフンや排気ガス、落書きなどによる汚れは確かに意図するところではない。いい状態で作品を見てほしい。そう願う彼から、中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館の清掃ボランティアの存在を教えられた。

 旭川は、彫刻の街。市が所有するものだけで約60基が点在する。この貴重な財産と市民との絆がもっと深まるようにと、同館は2002年にボランティア組織を企画。野外彫刻の清掃を主とする募集に、主婦、学生、退職者など127人が応募した。「汚れてかわいそうと思っていた」という人もいれば、「彫刻に清掃が必要なんて初めて知った」という人もいた。グループで参加した旭川実業高校の生徒の案で、名称は「旭川彫刻サポート隊」に決まった。

野外彫刻の清掃イメージ
▲水を含んだスポンジで彫刻をぬぐう手が、いつしか自分の子供の体を洗うかのような優しさに。(写真提供:旭川市彫刻美術館)
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