▲夏場の掃除をうけもつ斉藤幸治さん
▲毎朝行われる掃除
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おもに冬場の掃除を担当している太田さんに対して、夏場の掃除を担当しているのが斉藤幸治さんだ。斉藤さんは羅臼で生まれ、今年80歳になる。
「朝5時半というと毎日上がってくるのさ。風の日も雨の日も。毎日。私、戦争に行く前、羅臼で銭湯をやっていたんですよ。その恩返しみたいなもんだ。今は。水の出し加減だとか、いろいろ(風呂のコツが)あるからね。80になれば、若い者には負けないという気持ちになるんだよ。それで、昔の知恵を生かして、今、みんなに返しているところさ」。
熊の湯の掃除は、毎朝5時30分に行われる。斉藤さんが湯船の栓を抜くと、10人ほどの男たちがモップを持ち、慣れた手つきで清掃を始めた。彼らは国道をはさんだ向かい側にある国設羅臼キャンプ場の住人だ。
羅臼キャンプ場は長期滞在者が多いことで知られる。1週間の程度の連泊者はざらで、なかには春にテントを張り、紅葉の季節まで居つづける者もいる。若者だけではなく、純度の高い熊の湯の効能を求めて、キャンプしながら湯治を続ける中高年の湯治客も少なくない。熊の湯は羅臼キャンプ場の住人たちの生活の核となっている。
「キャンプ場の人には、せっかく羅臼に来たんだからと、羅臼のいい魚を持たせてやったりしているんですよ。やっぱり人間、持ちつ持たれつだからね」。 |