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特集 北国ラーメンものがたり 北海道四大ラーメンを訪ねる 旭川編 取材・文・写真/重田サキネ

みそ〜「よし乃」
「よし乃」オーナー、浦野勉さん

▲「よし乃」オーナー、
浦野勉さん

 しょうゆ味のひとり勝ちと思われがちな旭川ラーメンだが、実はみそ味の人気もかなり根強い。昭和43年にオープンした「よし乃」が、その礎(いしずえ)を築いたと言える。
 当時ブームとなっていた「札幌ラーメン」を旭川に合うようにアレンジできないか…と、オーナー浦野勉さんが試行錯誤を重ねて生まれた、「よし乃」のみそラ−メン。数種のみそをブレンドした甘み・辛みのバランスが絶妙のスープに、歯応えの心地よい麺が入り、さらにしゃきっとしたモヤシがこんもり乗ってボリュームとみずみずしさを加えている。

 いつ食べてもウマイと思うが、実はできる限り味に変更を加えているというから驚く。例えば、天候が暑いか寒いか、客が若いか年配か。仕事人が頑張れる月〜水曜には味を濃いめに、疲れて来る木・金曜は優しめに、リラックスする土・日曜は甘めに…という具合。凝り性で進取の気があり、データから物事を判断する浦野さんは、時代に先んじて徹底した顧客ニーズのマーケティングリサーチを行ってきたわけだ。
 そうして定着した人気に甘んじることなく、今も絶えず改良を続け、「常に進化を続ける味」を信条としていることに頭が下がる。「昔の味を懐かしむ人もいますが、時代はどんどん減塩傾向になり、舌もそれに慣れているはず。昔の味を今は食べられないと思いますよ」と浦野さん。「だから、時代のニーズと共に変わっていくことも大事」ときっぱりと語る。


 時代を見極め、市内外での支店展開など、外に向けての活動も、他店に先駆け積極的に始めた。また、「常に先のことを見つめて取り組む性分」の浦野さんは、平成11年には全国初のラーメン店による同業者組織「ラーメンの会旭川」を旗揚げした。現在29店が加盟し、「旭川ラーメンをさらに広めて行こう!」と協力して頑張っているが、最初のうちは「加盟していても(売り上げ的に)何のメリットもない」と、性急に辞めてしまう店もあったという。
 「同じ業種の人間が集まり、共通の悩みを相談したりアイデアを交換しあえる場がある。それだけでも大きなメリットです。閉じた世界にいないで、もっと外を向かないと」(浦野さん)。
 今後はさらに活動を広げ、株主的に企業・個人会員を集めることも計画中。会員はワンコインで1杯食べられるなど特典をつけて、その話題性と共に旭川ラーメンのさらなる盛り上がりをはかる予定だ。
 浦野さんは今年、北海道全調理師会の旭川支部長に就任。その立場から、ラーメンの枠を超えたイベント展開も考案中だという。ラーメン職人であり、データ重視の経営者であり、意欲的なプランナーでもある浦野さんの動きには、今後も目が離せない。

「よし乃 本店」

▲「よし乃 本店」
住所:旭川市豊岡1-1

「よし乃」のみそラーメン

▲「よし乃」のみそラーメン
平成16年、池袋の東武デパートのイベントに店をあげて1週間、初参加。長蛇の列ができ、日に1000食でた日も。現地で早朝からスープをとったウソのない仕事が、東京人の舌と心をとらえた。



しお〜「さいじょう」
「さいじょう」オーナー、最上登さん

▲「さいじょう」オーナー、
最上登さん

 旭川でウマイ「しお味」と言えば、ほとんどの人が「さいじょう」と答えるだろう。地元誌「北海道経済」が過去に行ったラーメン大賞で、塩味部門の1位に輝いたことがますますその名を高める結果となり、市内「ラーメン村」出店や、東京・品川のラーメンテーマパーク「麺達七人衆」への出店につながった。

 オーナー最上登さんが「しお」で勝負をかけたのは、約10年前。「やるからには人と違うことをして、1番になろうと思って」と語る。デリケートなしお味は、水の良さが命。その点ここは水源地から良質の水が手に入る。食材の見極めも、20代の時に勤めた八百屋で基本をみっちり教わったため、確かな目が培われていた。
 アイデアマンの最上さん、「商売は待つだけじゃだめだ」とさまざまに討って出た。例えば軽トラックを改造して『出前カー』を作り、注文されたお宅の玄関先でラーメンを作るサービスを実施(平成16年まで)。また、3年前にはラーメンの歌を賞金付きで公募し、CDを制作するという企画を実施し、テレビニュースで高視聴率をとるほど話題になった。ちなみに優勝曲は、市内で音楽を学ぶ女性が作った「あ〜食べたいラーメン」。軽快な曲に乗せて、いつでも食べたくなるラーメンの魅力を歌っている。

 もちろん味の面でもアイデアを生かすことは忘れない。今一番の人気メニューは、烏骨鶏でとるスープが話題の「烏骨鶏ラーメン」だ。しかも、遠赤外線を出すブラックシリカ製のどんぶりで提供する。独特のクセある風味をほかの食材でうまくおさえ、コク深いうえに優しい味わいの、飲みやすいスープに仕上げてある。
 押しも押されもしない人気店だが、「ラーメン村と品川がなかったら、つぶれてるよ」と最上さんは笑う。ラーメン人気とはいえ、やはり人は便利な場所や勢いのある場所に集まる。その点、本店の立地はちょっと不利。それが、思い切った支店展開を決意させた。
 「いつか札幌に…と狙っていたら、いきなり東京の話が。準備や運営に予想もしない苦労をしたが、これを一通り経験したら、もうどこにでも出せるノウハウができたよ」(最上さん)。


 旭川ラーメンの会・会員。ほかのメンバーにも「思い切って外に出てみる勇気」を勧めたいという。「もちろん商売の点からでもあるけど、ちょっと照れくさいけど、社会貢献と言うのかな。美味しいラーメンを食べてシアワセな気分になる人が、増えてくれることがうれしいよね」と語る。
 今後は、九州と横須賀に出店が決まっている。「北海道・旭川のしおラーメン」が、現地でどう受け入れられるか。緊張と期待とに、胸踊らせている最上さんである。




[関連情報]
 麺達七人衆
 URL:http://www.shinatatsu.com/
ラーメン「さいじょう」

▲ラーメン「さいじょう」
住所:旭川市春光6区2-3

「さいじょう」の烏骨鶏ラーメン塩

▲「さいじょう」の烏骨鶏ラーメン塩
コラーゲンたっぷりの烏骨鶏を使い、遠赤外線を出すブラックシリカの特注どんぶりで提供される逸品。ブラックシリカのせいだろうか、汗のかき方が違い、内側からじんわりくる気がする。


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