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北の大地と空につづく「北海道ゾーン」に注目!――釧路市動物園

 

 

釧路市動物園イメージ画像

取材・文・写真/編集部

 釧路湿原により添うように、その広大な動物園はある。
 敷地面積47.8ヘクタール(札幌ドームの約1.5倍)の園内には、野生のカモやハクチョウが羽を休める池があり、となりにアオサギのコロニー(営巣地)が見え、上空をオジロワシやタンチョウが飛び交う。園内にある湿原の木道を歩いていると、ふと「ここ動物園の中だっけ?」と思う。一般的な動物園のイメージをはるかに超えた、道東の自然が実感できる壮大なスケールがある。

釧路市動物園内のハクチョウ 釧路市動物園内の様子

 

タンチョウのすむ動物園

 釧路市動物園がオープンした1975(昭和50)年から勤務している、井上雅子さんにお話を聞いた。
 東京生まれの井上さんは、大学で動物生態学を専攻し、日本ザルの研究などをしていたが、開園準備の話を受けて北海道にやってきた。その後30年間、この動物園とともに歩んできた。6年前まで飼育係一筋で、現在はふれあい主幹として活躍している。その聡明でやさしそうな笑顔にひきこまれ、初対面の緊張が一気にほぐれる。動物園の人たちは、人にも動物にも、愛情豊かな性格のかたが多いのだろうか。

釧路市動物園イメージ画像

 

 

釧路市動物園の井上雅子さん。園内を見回りながら、それぞれの動物に声をかけると、動物たちもみんな答える。

ゲージで2羽ずつ、つがいで飼育されるタンチョウ。チャメ、タカユキなど、全部に名前がついている。

 井上さんは、「まずは園内を見てみてください」とずんずん坂道を登っていく。小高い丘の上にでると、タンチョウの夫婦が4組、ゆったり空間をとったゲージにたたずむ姿が見える。まだ枯れ草色の草原に、白と黒のシャープな羽が美しい。
 「そろそろ巣づくりの時期です。頭が赤いのは、ちょっと緊張している証拠ですよ」と井上さんが教えてくれた。タンチョウの赤い頭は、興奮して血液が集まると、赤い部分の面積が大きくなるそうだ。
 ここにいるタンチョウは、ケガをしたり保護されたりして、動物園で飼育している個体。相性のよいオスメスがペアになり、毎年ヒナを育てている。元気に育った子どもたちは、やがて動物園のゲージを出て、自然のなかに帰ってゆく。細い金網をへだてたゲージの外は、なにも仕掛けのない、正真正銘のタンチョウ生息地なのだ。
 大正から昭和にかけて絶滅の危機にさらされたタンチョウも、こうした地道な努力によって、この30年間で生息数が約4倍に増えた。ここ釧路市動物園と、すぐ近くの釧路市丹頂鶴公園(管理は同じく釧路市動物園)が、タンチョウの保護増殖の拠点のひとつとなっている。

 「この自然があって、そこにタンチョウがいること。ワシやフクロウがいて、クマがいて、アザラシがいること――この環境まるごと全部を、来てくださったお客さんに伝えたい」と井上さん。
 それをより具体的に実現するため、動物園では今年新しく園の西側を「北海道ゾーン」と名づけた。タンチョウをはじめ、今までも飼育していた北の動物たち(シマフクロウ、オオワシ、オジロワシ、オオハクチョウ、オオコノハズク、ヒグマ、エゾリスなど)を主役にして、解説に工夫をこらしたり、バラバラにあった飼育舎を系統立てて並べ替えたり、一層特色のある展示をめざしている。

 ここにいると、「動物園のなかに野生動物がいる」のではなく、「広大な自然の一部を、人が見やすいように少し囲っている」という気がしてくる。または、反対に自分が動物園の柵の中に入っているような、不思議な感じがする。これはなかなか楽しい。

 

 

愛嬌たっぷりの大きな目、大きな頭、ふっくらした身体つきが可愛いエゾフクロウ。

シマフクロウは園で最も繁殖に力を入れている動物のひとつ。現在7羽を飼育中。北海道の野生生息数は約100羽。
動物園のヒグマは、秋にエサをたくさん食べさせていないので冬眠しない。(写真提供:釧路市動物園)
関連情報

 

  • 釧路市動物園のイベント案内
    [開園30周年キャンペーン第1弾/2005年4月1日〜30日]
    • 記念パスポート発行
      ホッキョクグマ「ツヨシ」の写真がのったパスポートを限定7000枚発行。1年間何度でも入園できる。1枚800円、窓口で販売。

    • ゾウのナナにエサをあげよう!
      日程:2005年4月17日(日)〜11月3日(祝)の土・日・祝日
      午前11時から先着50名に限り、ゾウの大好物のくだものを手渡しできる。
      ※正門・西門で整理券を受け取りゾウ舎へおいでください。
    • 春の動物園まつり
      日程:2005年4月29日(祝)〜5月5日(祝)
      期間中毎日、動物たちの食事を公開。4月29日は羊の毛刈り、30日はアムールトラの命名式、5月にはキャラクターショーなどを実施。

 

 

 

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