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特集 流氷の海へ

オホーツク紀行――流氷と氷民への旅

 
取材・文/編集部 写真/酒井広司、編集部
◆流氷をもとめて紋別の海へ

 紋別は流氷のまちである、というと他のまちは怒るかもしれない。
 しかし、紋別を訪れると、その隅々に「流氷」がまちのアイデンティティになっていることを感じさせる空気がある。流氷まつり、流氷砕氷船、流氷科学センター、流氷岬、そしてよさこいチームが流氷童夢。厳寒の2月、紋別は流氷一色になる。
 常呂から紋別までは、車で約1時間の道のりである。

紋別のまちをバックに、流氷の間を進むガリンコ号II(写真提供:紋別市) 以前、雪と氷の1000キロの道のりを、流氷をもとめ車を走らせたことがある。一寸先も見えない吹雪の道をスリップしながら山を越え、姿の見えない流氷を追いながら、その終着点が紋別だった。
 海は、一面の氷だった。
 海岸にごろごろ転がる氷塊に触れると、アムール川の水音が聴こえるような気がした。
 しかし、アムール川あたりの氷がぷかぷかオホーツク海を漂ってオホーツク沿岸に流れ着くのだという、それまで抱いていたイメージがまったくのデタラメだと分かったのは、紋別の北海道立オホーツク流氷科学センターを訪れてのことだった。
 流氷は、オホーツク海の塩分の薄い海水層の表面が凍るというメカニズムをここで知った。
 ロマンは少々薄まるかもしれないが、それでも世界中で海が凍るという体験ができるのは、北海道が最南端なのである。

氷の底の部分が茶色くなっているのは、植物プランクトンがすんでいる証拠。(写真提供:青田昌秋さん)
流氷とともに生きるアザラシたち。(写真提供:紋別市)

 

(写真提供:紋別市) この流氷は、オホーツクの海の恵みをもたらす。
 アイスアルジーとよばれる流氷の底に繁殖した植物プランクトンを、動物プランクトンや小さな生物が食べ、さらに大きな魚が食べ、それを海獣が食べる。もちろん、人間はこの豊かな海の幸や、アザラシ、トド、ラッコを食べ、毛皮を獲ってきた。流氷がなければこの豊かな食物連鎖は、まちがいなく貧困なものになっただろう。まさしくオホーツク人は「氷民」であった。
 今も紋別の魚は美味しい。
 「紋別のホッケが一番うまい」と、紋別の漁師は、誇らしげな顔をする。
 かれが、氷民・オホーツク人の末裔であることは、まちがいない。

 
 

 

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