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ドラゴンとアンモナイト --化石が語る太古の北海道 北海道人トップページへ
1. 知っているようで知らない、クビナガリュウのこと
 クビナガリュウといえば、おそらく、だれもがすぐ想像できる生き物だろう。
 ヘビのような長い首をもち、ウミガメのような身体で水中をスイスイ泳ぐ――そんな姿を想像するかたが多いとおもう(有名なネス湖のネッシーもクビナガリュウの仲間といわれる)。
 でも、その先はどうだろう。じつは専門家の間でも、まだ研究中のことがたくさんあるようだ。

 クビナガリュウは、アンモナイトや恐竜が栄えていたのと同じころ、中生代の海にすんでいた大型の海生爬虫類。古生物学では「長頚竜類」といい、その化石は南極を含むすべての大陸と周囲の島々から見つかっている。
 日本でもおなじみの化石で、とくに1970年代から保存状態のよい物がぞくぞくと発掘された。現在までに、北海道で約40個体、本州で7個体と、これまた大部分を北海道産が占めている。北のほうから、稚内市、中川町、苫前町、小平町、三笠市、夕張市、沼田町、穂別町、門別町、浦河町など、北海道を縦断する地層がクビナガリュウ化石の産地。これはアンモナイト化石とほぼ一致している。

  しかしそのわりに、全身骨格が復元されることが少なく、系統分類や生態の研究があまり進んでいない。理由はいくつかあるが、そのひとつに、化石ができるまでの道のりがある。


[クビナガリュウが化石になるまで]

[クビナガリュウが化石になるまで]イメージ図

 日本では、(2)(3)をたどって化石になることが多いので、全身の骨が発見されることが少ないのだ。このほか、私たちが知っているようで知らないクビナガリュウの生態について、いくつかご紹介しよう。

 
■爬虫類だけど、卵ではなく水中でお産?
 1980年代まで、クビナガリュウは産卵のために、ウミガメのように陸に上がったと考えられていた。しかし研究が進むにつれ、クビナガリュウの手足は完全にヒレ化し、肩や腰の骨が発達していないことから、陸上で重い身体を支えることは不可能だった、と見解が変わってきた。さらに、アメリカで母親の体内から赤ちゃんの化石が発見された。どうやらクビナガリュウは水中で子どもを産んだらしい。
 
     
 
■長い首は水面に出せなかった?
クビナガリュウイラスト かつてクビナガリュウといえば、水面から首を出している絵が一般的だった。しかし近年は、身体の約半分を占める長い首を空中で支えることができたかどうか、疑問視する意見が出ている。また、首の骨の構造から、水中でもあまりクネクネ曲げることはできず、釣りざおがしなるように、上下左右に大きく動かしていたと考えられている。
 
     
 
■わざと飲み込んだ胃石で浮力調整?
クビナガリュウの胃石(丸いほうの石)と横肋骨 クビナガリュウの化石のお腹の部分から、丸い石が見つかることがある。中川町で発掘された2体からも、たくさんの丸い石が発掘された。この石は、周りの地層に無い石であること、肋骨などの間にあったことなどから、クビナガリュウが生きている間に飲み込んだ「胃石(いせき)」であると考えられている。クビナガリュウは石を飲み込むことで、水中でバランスをとったり、浮力を調整していたようだ。
 
 

写真撮影はすべて中川町エコミュージアムセンター
参考文献: 『中川町郷土資料館紀要自然誌の研究 第1号』
『中川町「森の学校」ジュニア2003夏』

 



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