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イメージ 4. 最新カイギュウ情報 ドラゴンとアンモナイト --化石が語る太古の北海道
イメージ 「札幌のカイギュウ」に高まる期待 明るい海のなかを泳ぐカイギュウの親子(イメージ) 絵/古沢 仁さん
イメージ    2003年8月、札幌を流れる豊平川から、大きなカイギュウの化石(ろっ骨4本と胸つい2個)が発見された。
 発掘時の調査により、タキカワカイギュウやステラーカイギュウと同じく、冷たい海に適応した大型カイギュウ(ジュゴン科ヒドロダマリス属)であることが判明。しかも、この仲間では日本最古(500万年前)とされていたタキカワカイギュウより、さらに古い時代(1000万年〜750万年前)に棲息していたと見られ、研究者たちの熱い視線が注がれている。
 もしかすると世界最古のヒドロダマリス属かもしれない。
 化石のクリーニング作業や本格的な調査は、この春から始まる予定。現在は「札幌博物館活動センター」の収蔵庫で、静かに出番を待っている。
明るい海のなかを泳ぐカイギュウの親子(イメージ) 絵/古沢 仁さん
収蔵庫に納められたカイギュウの化石
収蔵庫に納められたカイギュウの化石
 
 タキカワカイギュウ研究の中心人物であり、カイギュウ研究の国内第一人者である古沢仁さんは発掘時をふりかえる。
 「知らせを受けたときは驚きました。まさか札幌でカイギュウが見つかるとは思ってもいなかったので。でも、一目でカイギュウ化石であることが分かりました」
 この札幌カイギュウは、棲息した時代が非常に古いことから、寒冷適応系カイギュウのルーツを明らかにする上で貴重な資料となることは間違いない。
 寒冷適応系カイギュウのなかで、現在世界最古の化石は800万年前の北アメリカのカイギュウである。その300万年後、遠く太平洋の海を越えた北海道に、タキカワカイギュウが現れている。
 どうしてそんなに離れた土地に、同じ寒冷適応型カイギュウが棲息したのか。はるか昔、カイギュウが泳いだ道のりや、大型化のプロセスなどを明らかにするカギが、この札幌カイギュウにあるかもしれない。
 さて、これからどんな新展開がみられるだろう。

 
カイギュウのろっ骨
カイギュウのろっ骨の特徴は、断面が丸いことと、骨のなかにすき間がなく、石のように固く重く丈夫であること。

 今回の化石の第一発見者は、小学校6年の女の子と、そのお父さんだった。化石集めが趣味という彼女は、豊平川に何度も足を運んでいて、ずっとその石が気にかかっていたという。
 「いままで見た化石とはちがう。何か大きな動物かも」
 そこでお父さんが化石に詳しい理科の恩師に相談したところ、タキカワカイギュウの研究にも関わった木村方一さん(北海道教育大学名誉教授)と、古沢さんに連絡がとび、2人がすぐさま現場にかけつけた。発掘には女の子とお父さんはもちろん、地元の大学生や高校生たちも参加した。
 「これから始まるクリーニングや調査に、ぜひ参加したいという市民の方がたくさんいるんです。タキカワカイギュウの時のように、札幌カイギュウにも多くの方が参加していただけそうで、うれしいですね」
 と古沢さん。こちらもまた楽しみである。

 
第一発見者の手で発掘中。
第一発見者の手で発掘中。
カイギュウが眠っていた札幌の豊平川。
カイギュウが眠っていた札幌の豊平川。
 

 
   
古海生哺乳類学の理学博士、古沢仁さん。
古海生哺乳類学の理学博士、古沢仁さん。1980年のタキカワカイギュウ発掘から研究、解明に大きく貢献し、カイギュウ類の世界に深く入る。滝川市、沼田町で学芸員を経て、現在は札幌博物活動センターの学芸員。著書に『新版 化石の研究法』(共著)、『時をながれる川』(文・絵)などがある。
ちなみに、タキカワカイギュウの学名をつけたのは古沢さんで、「ヒドロダマリス・スピッサ・フルサワ」という。スピッサとは「濃厚でち密な、頑丈な骨を持つ」という意味。
 
 
取材・文/
編集部
写真提供/ 古沢仁さん、棚橋邦雄さん


 
 
札幌市博物館活動センター
住所:札幌市中央区北1条西9丁目リンケージプラザ内
電話:011-200-5002
開館:午前10時〜午後5時
休館:日・月・祝日、年末年始(12/29〜1/3)
http://www.city.sapporo.jp/museum/

[2004年企画展のお知らせ]
●「生きている化石」展
3月27日(土)〜5月15日(土) (5/4,5は閉館)
※いろいろな化石と現在も「生きている」化石の両方を展示。ヒドロダマリス属の復元模型も登場します。
   
 

 
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