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ドラゴンとアンモナイト --化石が語る太古の北海道 北海道人トップページへ
3. カイギュウの魅力満載 「滝川市美術自然史館」を訪ねて

滝川市美術自然史館 館内 滝川市内にある「滝川市美術自然史館」を訪ねた。
 ここには、地元の宝であるタキカワカイギュウの化石標本をはじめ、ヨルダニカイギュウ、ステラーカイギュウなど、カイギュウに関する資料を一堂に展示している。さすが日本で初めて本格的なカイギュウ研究が行なわれた場所だ。


 一般に、大きな化石は発掘したあとがたいへんである。
 まず現場をこまかく調査して、化石から余計な岩石などをていねいに取り除くクリーニング作業を行う。ちなみにタキカワカイギュウは、のべ2000人で約1万時間もの作業が行われた。そのほかレプリカを制作したり、全身の骨格を復元したり、まさに掘り上げてからがスタートといえる。

 タキカワカイギュウの発掘は、こうした一連の作業に大きな特徴がある。
 いままでは、古生物研究の専門機関に任せてしまいがちなところを、滝川市では現場の発掘から調査、研究、クリーニング作業、レプリカづくり、その後の普及活動までを、専門家の協力を得ながら、ほとんど地元の人々が行ったのだ。
 当時の市長が「化石をまちの財産にしよう」とよびかけ、地元の学校の先生たちや高齢者事業団のみなさんが中心となって、調査やクリーニングなどに大活躍した。できあがった標本も、遠くの博物館に持っていくのではなく、市内に施設を整備して大切に展示している。また、海外のカイギュウ研究家や博物館との交流も深まり、展示資料などもどんどん充実していった。こうした流れは「地元主義」とよばれ、その後の国内の化石発掘にも大きな影響を与えている。

 さて、展示室に話をもどそう。
 タイムトンネルのような入口をぬけると、天井の高い大きな展示室いっぱいに、多くの化石標本や模型が並んでいる。
 タキカワカイギュウの標本は、とにかく大きい。ここに来る前、資料で「全長8メートル」と読んではいたが、百聞は一見にしかず、実物を見るとその大きさに圧倒されてしまう。胸板の厚さや肩幅の広さもすごい。そして、一本ずつの骨がとても太いことにも驚いた。
 タキカワカイギュウは、現在、暖かい海にすむマナティーやジュゴンとちがい、冷たい海に適応したカイギュウなので、身体が寒冷地仕様になっているそうだ。これだけ大きくゴロンとしているのも、寒さに耐える進化のひとつなのだろう。その祖先にあたるヨルダニカイギュウや、子孫にあたるステラーカイギュウと比べると、またいろいろと違いがあっておもしろい。

1980年に発掘されたタキカワカイギュウの標本 タキカワカイギュウを前方から見たところ。太くて緻密な骨と、胸板の厚いところが特徴。
1980年に発掘されたタキカワカイギュウの標本。
タキカワカイギュウを前方から見たところ。太くて緻密な骨と、胸板の厚いところが特徴。
 
   
   
ステラーカイギュウの標本と復元像 ステラーカイギュウの標本と復元像
ステラーカイギュウの標本と復元像。全長5メートル、冷たい海にすんでいた最後のカイギュウ。1741年にベーリング海で発見されたが、人間に乱獲されて27年後に絶滅してしまった。
   

カイギュウの仲間たちの進化
   
 空知川の川床からタキカワカイギュウが発掘されて、もうすぐ25年が過ぎようとしている。発見当初は大きなクジラかと思われたが、調査を進めるうちに、500万年前の海にすんでいたカイギュウであると判明。さらに研究の結果、新種であることが分かった。その後も多くの専門家と滝川市民を巻き込んで、研究が続けられている。
 今年の夏は、骨格標本だけでなく、はじめて全身の復元像が登場する予定。これからもまだ新しい発見が続きそうである。


 
 
文・写真/ 編集部
取材協力/ 滝川市美術自然史館 半井仁さん
札幌博物館活動センター 古沢仁さん



■滝川市のホームページ
http://www.city.takikawa.hokkaido.jp/

 
■滝川市美術自然史館
地球誕生から人類の出現まで46億年の歴史を多数の化石などで展示する「自然史部門」と、滝川市ゆかりの三作家(岩橋英遠・一木万寿三・上田桑鳩)の作品を展示する「美術部門」があります。
住所:滝川市新町2丁目5-30
電話:0125-23-0502
開館:午前10時〜午後5時
休館:月曜、祝日の翌日、年末年始(12/31〜1/5)
http://www.city.takikawa.hokkaido.jp/kyouikubu/bijutusizen/bijutu/index.html

[2004年・企画展のお知らせ]
●「滝川海」―たんけん!500万年前の滝川―
7/17(土)〜8/22(日)
※500万年前の海だった滝川の様子を再現します。実物大のタキカワカイギュウの複製も初登場!


 
[美術自然史館に隣接するこちらの施設もおすすめです]
■滝川市こども科学館
「宇宙・地球の不思議」「自然界の不思議」「人間の不思議」の3つをテーマに、体験型の展示が充実。
住所:滝川市新町2丁目6-1
電話:0125-22-6690
■滝川郷土資料館
稲作に使われた道具や大正時代の商家の様子など、人々の暮らしの歩みを展示。
住所:滝川市新町3-8-20
電話:0125-22-4811



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